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三博士が赤子のイエスを訪ねたというのは本当ですか

三博士が赤子のイエスを訪ねたというのは本当ですか

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三博士が赤子のイエスを訪ねたというのは本当ですか

クリスマスの季節になると,世界各地でキリスト降誕の話が語られます。その物語には,赤子のイエスへの高価な贈り物を携えた3人の王あるいは博士が登場します。この話は事実と合っていますか。調べてみましょう。

マタイとルカの福音書には,イエスの誕生前後の出来事が記されています。その二つの記録によると,生まれたばかりのイエスに会いに来たのは,近くの野原にいた身分の低い羊飼いたちだけでした。クリスマスの物語に出てくる“王”あるいは“博士”は,実際には,王族などではなく占星術者でした。人数は明らかにされていません。しかも占星術者たちは,飼い葉おけの中にいる誕生まもないイエスのところにやって来たのではありません。彼らが来た時,イエスはもはや赤子ではなく,家の中にいました。そして,占星術者たちが来たためにイエスの命は危険にさらされました。

イエスの誕生の時の出来事について,ルカは何と述べているでしょうか。こう記録しています。「羊飼いたちが野宿をしながら,夜通し羊の群れの番をしていた。すると,主の天使が近づき,……言った。『……あなたがたは,布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。……』……そして[羊飼いたちは]急いで行って,マリアとヨセフ,また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた」。―ルカ 2:8-16,「新共同訳」,共同訳聖書実行委員会。

赤子のイエスと一緒にいたのは,ヨセフとマリアと羊飼いたちだけです。ルカの記録には,ほかにだれも登場しません。

では次に,マタイ 2章1-11節の記録を見てみましょう。「口語訳」(日本聖書協会)ではこうなっています。「イエスがヘロデ王の代に,ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき,見よ,東からきた博士たちがエルサレムに着い[た]」。彼らはヘロデによってベツレヘムに遣わされます。記録はこう続きます。「そして,家にはいって,母マリヤのそばにいる幼な子に会[った]」。

この記録は,「三人の博士たち」ではなく,「博士たち」とだけ述べています。東から来た彼らはまず,イエスの誕生したベツレヘムではなく,エルサレムへ行きました。その後ベツレヘムに着いた時には,イエスはもはや赤子ではなく「幼な子」になっており,馬小屋ではなく家の中にいました。

「口語訳」は「博士たち」という語を使っていますが,「マギ」や「占星術者たち」という語を使っている翻訳聖書もあります。「博士たち」と訳されている「ギリシャ語の名詞は元来,占星術……を専門とするペルシャの祭司を指す」と,「マタイ福音書に関する手引き」(英語)は述べています。「バインの新約聖書用語解説辞典 増補版」(英語)によると,この語は「魔法使い,呪術師,魔力を持つと称える者,魔術の教師」を意味します。

占星術や魔術は今日でも人気がありますが,聖書はそうした行為を戒めています。(イザヤ 47:13-15)それらは心霊術の一種であり,エホバ神が忌み嫌っておられる行ないです。(申命記 18:10-12)だからこそ神のみ使いは,イエスの誕生をそれら占星術者たちに発表したりはしませんでした。とはいえ,占星術者たちは神からの夢の中で,ヘロデ王のところへ報告しに戻らないようにと警告されます。邪悪なヘロデはイエスを殺そうとしていたからです。それで占星術者たちは『別の道を通って自分たちの国に退きました』。―マタイ 2:11-16

真のクリスチャンは,イエスの誕生に関する事実をゆがめた作り話を語り継ぎたい,などとは思いません。