第​16​章

悪魔とその策略に立ち向かいなさい

悪魔とその策略に立ち向かいなさい

『悪魔​に​立ち向かい​なさい。そうすれば,彼​は​逃げ去り​ます』。―ヤコブ 4:7

1,2 バプテスマ​は​だれ​に​とっ​て​喜び​の​時​です​か。

長年​エホバ​に​仕え​て​き​た​方​なら,大会​で​バプテスマ​の​話​を​幾​度​も​聞い​て​おら​れる​でしょ​う。何​度​目​で​ある​と​し​て​も,毎回,感動​を​覚える​に​違いあり​ませ​ん。会場​の​前​の​方​に​座っ​て​いる​バプテスマ​希望​者​が​立ち上がり​ます。その​瞬間,会場​に​ざわめき​が​広がり,心​から​の​拍手​が​わき起こり​ます。エホバ​の​側​に​立場​を​定め​た​愛す​べき​新た​な​仲間​を​見つめる​あなた​の​目​に​は,涙​が​浮かん​で​いる​か​も​しれ​ませ​ん。何​と​いう​喜び​の​時​でしょ​う。

2 わたしたち​が​バプテスマ​を​見守る​の​は​おそらく​年​に​数​回​です​が,み使い​たち​は,はるか​に​頻繁​に​バプテスマ​を​目​に​する​こと​が​でき​ます。毎週,世界​中​で​何千​人​も​の​人​が​エホバ​の​組織​の​目​に​見える​部分​に​加え​られ​て​い​ます。どれ​ほど​の「喜び​が​天​に​ある」か​を​考え​て​み​て​ください。(ルカ 15:7,10)み使い​たち​は​この​増加​を​目​に​し​て​胸​を​躍らせ​て​いる​に​違いあり​ませ​ん。―ハガイ 2:7

悪魔​が『ほえる​ライオン​の​よう​に​歩き回っ​て​いる』

3 サタン​が「ほえる​ライオン​の​よう​に」歩き回っ​て​いる​の​は​なぜ​です​か。サタン​は​何​を​し​たい​と​願っ​て​い​ます​か。

3 それ​と​は​全く​対照​的​に,バプテスマ​を​見​て​激怒​し​て​いる​霊者​たち​が​い​ます。サタン​と​悪霊​たち​は,何千​人​も​の​人​が​この​腐敗​し​た​世​に​背​を​向ける​の​を​見​て,いらだっ​て​い​ます。サタン​は,真​の​愛​ゆえに​エホバ​に​仕える​人間​など​い​ない,厳しい​試み​の​もと​で​忠実​を​保つ​人間​は​一​人​も​い​ない,と​豪語​し​まし​た。(ヨブ 2:4,5)ですから,だれ​か​が​エホバ​へ​の​献身​を​決意​する​たび​に,サタン​の​間違い​が​証明​さ​れ​ます。サタン​は,毎週​何千​回​も​顔​に​平手打ち​を​食らっ​て​いる​よう​な​もの​です。「ほえる​ライオン​の​よう​に​歩き回っ​て,だれ​か​を​むさぼり食お​う​と​し​て」いる​の​も​当然​でしょ​う。(ペテロ​第​一 5:8)この「ライオン」は​何​と​か​し​て​わたしたち​を​霊的​に​むさぼり食お​う​と​し​て​い​ます。神​と​の​関係​を​損なわ​せ​よう,できれ​ば​断ち切ら​せ​よう​と​し​て​いる​の​です。―詩編 7:1,2。テモテ​第​二 3:12

だれ​か​が​エホバ​に​献身​し​て​バプテスマ​を​受ける​たび​に,サタン​の​間違い​が​証明​さ​れる

4,5 (イ)エホバ​は​サタン​の​影響​力​を​どんな​二つ​の​重要​な​面​で​制限​し​て​おら​れ​ます​か。(ロ)真​の​クリスチャン​に​は​どんな​保証​が​あり​ます​か。

4 敵​は​獰猛​です​が,わたしたち​は​恐れ​に​圧倒​さ​れ​たり​は​し​ませ​ん。なぜ​でしょ​う​か。なぜなら,「ほえる​ライオン」の​加える​危害​を​エホバ​が​二つ​の​重要​な​面​で​制限​し​て​おら​れる​から​です。まず​エホバ​は,真​の​クリスチャン​の「大​群衆」が​来たる​べき「大​患難」を​生き残る,と​予告​し​て​おら​れ​ます。(啓示 7:9,14)神​の​預言​は​必ず​成就​し​ます。ですから​サタン​も,全体​と​し​て​の​神​の​民​に​は​危害​を​加える​こと​が​でき​ない,と​分かっ​て​いる​に​違いあり​ませ​ん。

5 第​二​の​制限​が​何​か​は,昔​の​忠実​な​神​の​人​が​語っ​た​基本​的​な​真理​から​導き出せ​ます。預言​者​アザリヤ​は​アサ​王​に​こう​述べ​まし​た。「あなた方​が​エホバ​と​共​に​いる​限り,神​は​あなた方​と​共​に​おら​れ​ます」。(歴代​第​二 15:2。コリント​第​一 10:13)記録​に​残る​数多く​の​実例​から​明らか​な​とおり,サタン​は​過去​に​おい​て,神​の​そば​に​とどまる​神​の​僕​を​むさぼり食う​こと​は​一度​も​でき​ませ​ん​でし​た。(ヘブライ 11:4‐40)今日​で​も,神​の​そば​を​離れ​ない​クリスチャン​は,悪魔​に​立ち向かう​こと​が​でき​ます。悪魔​を​征服​する​こと​さえ​できる​の​です。神​の​言葉​が​こう​保証​し​て​い​ます。「悪魔​に​立ち向かい​なさい。そうすれば,彼​は​あなた​から​逃げ去り​ます」。―ヤコブ 4:7

『邪悪​な​霊​の​勢力​に​対する​格闘』

6 サタン​は​個々​の​クリスチャン​に​対し​て​どの​よう​に​戦い​ます​か。

6 サタン​は​この​比喩​的​な​戦争​に​勝つ​こと​は​でき​ませ​ん​が,油断​し​て​いる​個々​の​人​を​えじき​に​する​こと​は​でき​ます。むさぼり食う​に​は​わたしたち​と​エホバ​と​の​絆​を​弱めれ​ば​よい,と​いう​こと​を​サタン​は​知っ​て​い​ます。その​ため​に​何​を​行なう​でしょ​う​か。わたしたち​を​激しく,個別​に,こうかつ​に​攻撃​し​ます。では,それら​サタン​の​主​な​戦法​を​考え​て​み​ましょ​う。

7 サタン​が​エホバ​の​民​を​激しく​攻撃​し​て​いる​の​は​なぜ​です​か。

7 激しい​攻撃。使徒​ヨハネ​は,「全​世界​が​邪悪​な​者​の​配下​に​ある」と​述べ​て​い​ます。(ヨハネ​第​一 5:19)この​言葉​に​は,真​の​クリスチャン​すべて​に​対する​警告​が​含ま​れ​て​い​ます。サタン​は,不​敬虔​な​人類​の​世​全体​を​すでに​むさぼり食っ​た​の​で,まだ​食わ​れ​て​い​ない​人々​つまり​エホバ​の​民​に​注意​を​集中​し,いっそう​激しく​攻撃​する​こと​が​でき​ます。(ミカ 4:1。ヨハネ 15:19。啓示 12:12,17)サタン​は,自分​に​残さ​れ​た​時​が​短い​こと​を​知っ​て​大きな​怒り​を​抱い​て​おり,ますます​圧力​を​かけ​て​い​ます。現在,わたしたち​は,サタン​の​凶暴​で​凄まじい​最後​の​猛攻​を​受け​て​い​ます。それゆえ,「何​を​す​べき​か​を​知る​よう,時代​を​わきまえる」必要​性​は​かつて​なく​高まっ​て​い​ます。―歴代​第​一 12:32

8 邪悪​な​霊​に​対する「格闘」が​ある​と​述べ​た​使徒​パウロ​は,何​を​言お​う​と​し​て​い​まし​た​か。

8 個別​の​格闘。使徒​パウロ​は​仲間​の​クリスチャン​に​こう​警告​し​まし​た。『わたしたち​の​する​格闘​は,天​の​場所​に​ある​邪悪​な​霊​の​勢力​に​対する​もの​です』。(エフェソス 6:12)パウロ​が「格闘」と​いう​語​を​使っ​た​の​は​なぜ​です​か。その​語​に​は,組み打ち​と​いう​意味​が​ある​から​です。パウロ​は​この​語​を​使っ​て,わたしたち​各自​に​邪悪​な​霊​と​の​個別​の​戦い​が​ある,と​いう​こと​を​強調​し​た​の​です。あなた​の​周り​の​多く​の​人​が​邪悪​な​霊​の​存在​を​信じ​て​い​て​も​い​なく​て​も,次​の​点​を​決して​忘れ​て​は​なり​ませ​ん。わたしたち​は​エホバ​に​献身​し​た​時,いわば​レスリング​の​マット​の​上​に​進み出​た​の​です。少なく​と​も​献身​後​は,クリスチャン​は​だれ​も​闘い​を​回避​でき​ませ​ん。『しっかり​立つ』よう​に​と​エフェソス​の​クリスチャン​に​3​度​も​促す​必要​性​を​パウロ​が​感じ​た​の​も,うなずけ​ます。―エフェソス 6:11,13,15

9 (イ)サタン​と​悪霊​が​幾つ​も​の「策略」を​用いる​の​は​なぜ​です​か。(ロ)サタン​が​わたしたち​の​考え​を​腐敗​さ​せ​よう​と​する​の​は​なぜ​です​か。どの​よう​に​抵抗​でき​ます​か。(「 サタン​の​こうかつ​さ​に​警戒​し​なさい!」と​いう​囲み​を​ご覧​ください。)(ハ)これ​から​どんな​策略​に​つい​て​考え​ます​か。

9 こうかつ​な​企み。パウロ​は,サタン​の「策略」に​しっかり​立ち向かう​よう​クリスチャン​に​説き勧め​て​い​ます。(エフェソス 6:11)パウロ​は​ここ​で​複数​形​を​使っ​て​い​ます。邪悪​な​霊者​たち​は,こうかつ​な​計略​を​一つ​だけ​で​は​なく​幾つ​も​用い​ます。それ​も​当然​です。信者​の​中​に​は,ある​試練​に​しっかり​立ち向かっ​た​の​に​別​の​種類​の​試練​に​屈し​て​しまっ​た​人​が​いる​の​です。それで,悪魔​と​悪霊​は​わたしたち​一人一人​の​行動​を​じっ​と​観察​し,一番​の​弱点​を​見つけ​よう​と​し​て​い​ます。そして,何らか​の​霊的​な​弱さ​を​見つける​と,それ​に​付け込み​ます。しかし​感謝​す​べき​こと​に,わたしたち​は​悪魔​の​多く​の​戦術​を​見極める​こと​が​でき​ます。聖書​の​中​で​明らか​に​され​て​いる​から​です。(コリント​第​二 2:11)この​本​で​は​すでに,物質​主義​・​有害​な​交わり​・​性的​不​道徳​に​よっ​て​誘う​企み​を​取り上げ​まし​た。ここ​で​は,もう​一つ​の​サタン​の​策略​に​つい​て​考え​ましょ​う。心霊​術​です。

心霊​術​を​行なう ― 裏切り​行為

10 (イ)心霊​術​と​は​何​です​か。(ロ)エホバ​は​心霊​術​を​どう​見​て​おら​れ​ます​か。あなた​は​どう​見​て​い​ます​か。

10 心霊​術​は​悪霊​崇拝​で​あり,それ​を​行なう​なら,邪悪​な​霊​と​じかに​接触​する​こと​に​なり​ます。占い,呪術,まじない​で​他​の​人​を​縛る​こと,死者​に​問い尋ねる​こと​は,心霊​術​の​一​種​です。わたしたち​が​よく​知っ​て​いる​とおり,エホバ​は​心霊​術​を「忌む​べき​もの」と​見​て​おら​れ​ます。(申命記 18:10‐12。啓示 21:8)わたしたち​も「邪悪​な​こと​は​憎悪​し」なけれ​ば​なり​ませ​ん。ですから,邪悪​な​霊​の​勢力​と​交渉​を​持と​う​と​する​こと​など​考え​られ​ませ​ん。(ローマ 12:9)それ​は​天​の​父​エホバ​に​対する​実​に​嫌悪​す​べき​裏切り​行為​な​の​です。

11 わたしたち​を​唆し​て​心霊​術​を​行なわ​せる​こと​が​できれ​ば​サタン​は​大​勝利​を​収め​た​こと​に​なる,と​言える​の​は​なぜ​です​か。例え​で​説明​し​て​ください。

11 心霊​術​に​手​を​出す​こと​は​エホバ​に​対する​甚だ​しく​不実​な​行為​です。だから​こそ,サタン​は​何​と​か​し​て​心霊​術​に​かかわら​せ​よう​と​する​の​です。一​人​の​クリスチャン​を​唆し​て​悪霊​崇拝​を​行なわ​せる​こと​が​できれ​ば,その​たび​に​サタン​は​大​勝利​を​収め​て​いる​こと​に​なり​ます。なぜ​です​か。次​の​例え​で​考え​て​み​て​ください。兵士​が​誘い​に​応じ​て​自軍​を​裏切っ​て​脱走​し,敵軍​に​つい​たら,敵​の​司令​官​は​大喜び​する​でしょ​う。相手​方​の​司令​官​を​侮辱​する​ため​に,その​裏切り​者​を​戦利​品​と​し​て​見せびらかす​こと​まで​する​か​も​しれ​ませ​ん。同様​に,心霊​術​を​行なう​クリスチャン​は,意図​的​に​エホバ​の​もと​から​脱走​し​て​サタン​の​直接​の​指揮​下​に​入る​こと​に​なり​ます。その​脱走​者​を​戦利​品​と​し​て​見せびらかす​サタン​が​どれ​ほど​喜ぶ​か,想像​し​て​み​て​ください。わたしたち​の​だれ​も,悪魔​に​その​よう​な​勝利​を​味わわせ​たい​と​は​思わ​ない​はず​です。そう​で​は​ない​でしょ​う​か。わたしたち​は​裏切り​者​で​は​ない​の​です。

疑問​を​提起​し​て​疑念​を​生じ​させる

12 サタン​は​どんな​戦術​を​用い​て,心霊​術​に​対する​わたしたち​の​見方​を​ゆがめ​よう​と​し​ます​か。

12 わたしたち​が​心霊​術​を​憎悪​し​て​いる​限り,サタン​は​それ​を​用い​て​わたしたち​を​打ち負かす​こと​は​でき​ませ​ん。わたしたち​の​考え​を​変え​なけれ​ば​なら​ない​と​いう​こと​を​サタン​も​心得​て​い​ます。どの​よう​に​し​て​変える​の​でしょ​う​か。クリスチャン​を​混乱​さ​せ​て,「善​は​悪​で​ある,悪​は​善​で​ある」と​思い込ま​せ​て​しまう​の​です。(イザヤ 5:20)その​ため​に,実績​の​ある​一つ​の​戦術​を​多用​し​ます。疑問​を​提起​し​て​疑念​を​生じ​させる,と​いう​戦術​です。

13 疑問​を​提起​し​て​疑念​を​生じ​させる​と​いう​戦術​を​サタン​は​どの​よう​に​用い​まし​た​か。

13 サタン​は​その​方法​を​どの​よう​に​用い​まし​た​か。エデン​で​エバ​に​こう​尋ね​まし​た。「あなた方​は​園​の​すべて​の​木​から​は​食べ​て​は​なら​ない,と​神​が​言わ​れ​た​の​は​本当​です​か」。ヨブ​の​時代​に​は,天​で​み使い​たち​が​集まっ​た​際​に,「ヨブ​は​ただ​いたずら​に​神​を​恐れ​た​の​でしょ​う​か」と​いう​疑問​を​提起​し​まし​た。イエス​・​キリスト​が​地上​で​の​宣教​奉仕​を​開始​し​た​時​に​は,「あなた​が​神​の​子​で​ある​なら,これら​の​石​に,パン​に​なる​よう​に​命じ​なさい」と​挑み​まし​た。この​場合,エホバ​ご自身​に​よっ​て​6​週​間​ほど​前​に​語ら​れ​た​言葉​を​もじり,あざけっ​て​い​まし​た。エホバ​は,「これ​は​わたし​の​子,わたし​の​愛する​者​で​ある。この​者​を​わたし​は​是認​し​た」と​断言​し​て​おら​れ​た​から​です。―創世記 3:1。ヨブ 1:9。マタイ 3:17; 4:3

14 (イ)サタン​は​心霊​術​に​関し​て,物事​を​曖昧​に​する​と​いう​企み​を​どの​よう​に​用い​て​い​ます​か。(ロ)これ​から​どんな​点​を​考慮​し​ます​か。

14 今日,悪魔​は,心霊​術​が​悪​で​ある​こと​を​曖昧​に​し​よう​と​し​て,同様​の​企み​を​用い​て​い​ます。残念​な​こと​に,サタン​は​一部​の​信者​に​疑念​を​抱か​せる​こと​に​成功​し​て​い​ます。その​人​たち​は,ある​種​の​心霊​術​に​つい​て,そんな​に​悪い​の​だろ​う​か​と​疑問​に​思う​よう​に​なっ​て​い​ます。いわば,『本当​です​か』と​考え​て​いる​の​です。(コリント​第​二 11:3)どう​すれ​ば,考え​を​調整​する​よう,その​人​たち​を​援助​できる​でしょ​う​か。どう​すれ​ば,自分​自身,サタン​の​企み​に​乗せ​られ​ない​よう​に​できる​でしょ​う​か。では,ずる賢い​サタン​が​心霊​術​的​な​もの​で​汚染​し​て​いる​生活​上​の​二つ​の​分野​を​考慮​し​ましょ​う。娯楽​と​健康​法​です。

わたしたち​の​欲望​や​必要​に​付け込む

15 (イ)欧米​の​多く​の​人​は​心霊​術​を​どの​よう​に​みなし​て​い​ます​か。(ロ)一部​の​クリスチャン​は,心霊​術​に​対する​世​の​見方​から​どの​よう​に​影響​を​受け​て​い​ます​か。

15 欧米​など​で​は,オカルト​や​魔術​など​の​心霊​術​が​軽く​考え​られる​よう​に​なっ​て​い​ます。映画,書籍,テレビ​番組,コンピューターゲーム​の​中​で,悪霊​崇拝​に​関係​し​た​行為​が​面白く​て​知的​で​無害​な​もの​と​し​て​描か​れる​こと​が​多く​なっ​て​い​ます。オカルト​を​題材​に​し​た​映画​や​書籍​が​爆発​的​な​人気​を​呼び,ファンクラブ​まで​でき​て​い​ます。オカルト​は​大して​危険​で​ない​と​思わ​せる​点​で,悪霊​たち​は​成功​し​て​いる​の​です。心霊​術​を​軽く​考える​この​傾向​は​クリスチャン​に​も​影響​を​与え​て​いる​でしょ​う​か。影響​を​受け​て​いる​人​も​い​ます。どの​よう​に​です​か。典型​的​な​例​と​し​て,ある​クリスチャン​は​オカルト​映画​を​見​た​後,こう​述べ​まし​た。「映画​は​見​まし​た​が,心霊​術​を​行なっ​た​わけ​で​は​あり​ませ​ん」。こう​し​た​考え方​は​なぜ​危険​です​か。

16 オカルト​行為​を​中心​に​し​た​娯楽​を​選ぶ​こと​が​危険​な​の​は​なぜ​です​か。

16 心霊​術​を​見る​こと​と​実際​に​行なう​こと​に​は​確か​に​違い​が​あり​ます​が,だから​と​いっ​て,オカルト​行為​を​見る​の​が​危険​で​ない​と​は​言え​ませ​ん。なぜ​です​か。次​の​点​を​考え​て​ください。神​の​言葉​が​示す​ところ​に​よれ​ば,サタン​も​悪霊​も​わたしたち​の​考え​を​読め​ませ​ん。 * ですから,すでに​触れ​た​とおり,邪悪​な​霊者​たち​は,わたしたち​の​考え​て​いる​こと​を​知っ​て​霊的​な​弱さ​を​見つける​に​は,わたしたち​の​行動​を​じっ​と​観察​し​なけれ​ば​なり​ませ​ん。どんな​娯楽​を​選択​する​か​も​観察​し​て​い​ます。クリスチャン​が,霊媒,まじない,憑依​など​の​悪霊​崇拝​的​な​事柄​を​中心​に​し​た​映画​や​書籍​を​好ん​で​いる​こと​を​行動​に​よっ​て​示す​なら,悪霊​たち​に​メッセージ​を​送っ​て​いる​こと​に​なり​ます。自分​の​弱点​を​わざわざ​知らせ​て​いる​こと​に​なる​の​です。すると​悪霊​たち​は,その​クリスチャン​と​の​格闘​を​激化​さ​せ,本人​が​明らか​に​し​た​弱さ​に​付け込ん​で,組み伏せ​よう​と​する​か​も​しれ​ませ​ん。現実​に,ある​人​たち​は,オカルト​を​呼び物​に​し​た​娯楽​が​きっかけ​で​心霊​術​に​興味​を​持ち,やがて​実際​に​心霊​術​を​行なう​よう​に​なり​まし​た。―ガラテア 6:7

病気​の​時,エホバ​に​支え​て​いただける

17 サタン​は​病気​の​人​に​付け込む​ため​に,どんな​策略​を​用いる​こと​が​あり​ます​か。

17 サタン​は,娯楽​に​対する​欲求​だけ​で​なく​健康​上​の​必要​に​も​付け込ん​で​き​ます。どの​よう​に​でしょ​う​か。治療​法​を​探し​て​手​を​尽くし​て​いる​の​に​健康​が​悪化​し​て​いる​クリスチャン​は,落胆​し​て​しまう​か​も​しれ​ませ​ん。(マルコ 5:25,26)それ​は​サタン​と​悪霊​が​付け込む​格好​の​機会​と​なり​ます。悪霊​たち​は,「有害​な​こと​を​習わし​に​する​者​たち​の​援助」を​求め​ない​よう​に​と​神​の​言葉​が​警告​し​て​いる​こと​を​よく​知っ​て​い​ます。(イザヤ 31:2)その​警告​に​反する​行動​を​取ら​せる​ため​に,悪霊​たち​は,「怪異​な​力」つまり​心霊​術​を​用い​た​療法​に​すがる​よう​病気​の​クリスチャン​を​誘惑​する​か​も​しれ​ませ​ん。その​よう​な​療法​は​非常​に​有害​です。この​策略​が​うまく​行く​と,その​クリスチャン​と​神​と​の​関係​は​弱く​なっ​て​しまい​ます。どの​よう​に​です​か。

18 クリスチャン​は​どんな​タイプ​の​療法​を​退け​ます​か。なぜ​です​か。

18 エホバ​は,「怪異​な​力」に​頼っ​て​い​た​イスラエル​人​に​次​の​よう​に​警告​なさい​まし​た。「あなた方​が​たなごころ​を​伸べる​とき,わたし​は​あなた方​から​目​を​隠す。たとえ​あなた方​が​多く​の​祈り​を​し​よう​と​も,わたし​は​聴い​て​は​い​ない」。(イザヤ 1:13,15)わたしたち​は​どんな​時​も,祈り​の​妨げ​と​なっ​たり​エホバ​から​の​支え​を​減少​さ​せ​たり​しかね​ない​事柄​は​すべて​避け​たい​と​願っ​て​い​ます。病気​の​時​は​なおさら​です。(詩編 41:3)ですから,ある​種​の​診断​法​や​治療​法​に​心霊​術​的​な​要素​が​含ま​れ​て​い​そう​なら,真​の​クリスチャン​は​それ​を​退ける​べき​です。 *マタイ 6:13)その​よう​に​し​て,エホバ​の​後ろ盾​を​失わ​ない​よう​に​する​の​です。―「 これ​は​実際​に​は​心霊​術​だろ​う​か」と​いう​囲み​を​ご覧​ください。

悪霊​の​こと​が​よく​話題​に​なる​地域​で

19 (イ)多く​の​人​は​悪魔​に​だまさ​れ,悪魔​の​力​に​つい​て​どんな​こと​を​信じ込ん​で​い​ます​か。(ロ)真​の​クリスチャン​は​どんな​話​を​避ける​べき​です​か。

19 欧米​で​は​サタン​の​力​の​危険​性​が​軽視​さ​れ​て​い​ます​が,世界​に​は,それ​と​は​正​反対​の​地域​も​あり​ます。そう​し​た​地域​で​は,多く​の​人​が​悪魔​に​だまさ​れ,悪魔​に​実際​以上​の​力​が​ある​か​の​よう​に​信じ込ん​で​い​ます。邪悪​な​霊​に​おびえ​ながら​暮らし,食事​や​仕事​を​し,眠る​人​たち​が​い​ます。悪霊​の​強力​な​行為​の​こと​が​よく​話題​に​なり​ます。そう​し​た​話​は​たいてい​面白​おかしく​語ら​れ,人々​の​興味​を​かきたて​ます。わたしたち​は,そう​し​た​話​を​広める​こと​に​加わっ​て​も​よい​でしょ​う​か。いいえ,まこと​の​神​の​僕​は​その​よう​な​こと​を​避け​ます。それ​に​は​二つ​の​重要​な​理由​が​あり​ます。

20 どの​よう​に​し​て,それ​と​は​知ら​ず​に​サタン​の​宣伝​に​協力​し​て​しまう​こと​が​あり得​ます​か。

20 第​一​の​点​と​し​て,悪霊​の​仕業​に​関する​話​を​伝える​なら,サタン​の​益​を​図っ​て​いる​こと​に​なり​ます。なぜ​そう​言え​ます​か。神​の​言葉​は,サタン​が​強力​な​業​を​行なえる​こと​を​はっきり​示す​と​とも​に,サタン​が「偽り​の​しるし」や「欺き」を​用いる​こと​に​つい​て​警告​し​て​い​ます。(テサロニケ​第​二 2:9,10)大​欺瞞​者​で​ある​サタン​は,心霊​術​に​引か​れ​やすい​人​の​思い​に​影響​を​与え​て​真実​で​ない​事柄​を​信じ​させる​方法​を​知っ​て​い​ます。そう​し​た​人​たち​は,ある​事柄​を​自分​が​見聞き​し​た​と​すっかり​信じ込み,それ​を​事実​と​し​て​語る​か​も​しれ​ませ​ん。次々​と​語り伝え​られる​うち​に​話​に​尾ひれ​が​つき​ます。クリスチャン​が​そう​し​た​話​を​広める​と​し​たら,「偽り​の​父」で​ある​悪魔​の​指示​を​実行​し​て​いる​も​同然​です。サタン​の​宣伝​に​協力​し​て​いる​こと​に​なる​の​です。―ヨハネ 8:44。テモテ​第​二 2:16

21 わたしたち​は​何​を​会話​の​中心​に​し​たい​と​思い​ます​か。

21 第​二​の​点​も​考え​ましょ​う。クリスチャン​は,邪悪​な​霊​と​実際​に​接し​た​こと​が​ある​と​し​て​も,仲間​の​信者​を​楽しま​せる​ため​に​そう​し​た​話​を​何​度​も​する​よう​な​こと​は​控え​ます。なぜ​でしょ​う​か。『わたしたち​の​信仰​の​主要​な​代理​者​また​完成​者​で​ある​イエス​を​一心​に​見つめる』よう​に​と​訓戒​さ​れ​て​い​ます。(ヘブライ 12:2)サタン​で​は​なく​キリスト​に​注意​を​集中​す​べき​な​の​です。注目​できる​点​と​し​て,イエス​は​地上​に​い​た​間,サタン​の​できる​事​や​でき​ない​事​に​つい​て​多く​を​語る​こと​も​でき​まし​た​が,弟子​たち​を​楽しま​せる​ため​に​邪悪​な​霊​に​関する​話​を​し​たり​は​し​ませ​ん​でし​た。むしろ,王国​の​音信​に​焦点​を​合わせ​まし​た。わたしたち​は​イエス​や​使徒​たち​に​倣い,「神​の​壮大​な​事柄」を​会話​の​中心​に​し​たい​と​思い​ます。―使徒 2:11。ルカ 8:1。ローマ 1:11,12

22 わたしたち​が​これ​から​も​何​を​行なっ​て​ゆく​なら,「喜び​が​天​に」わき上がり​ます​か。

22 サタン​は​心霊​術​など​様々​な​策略​を​駆使​し​て,エホバ​と​わたしたち​と​の​関係​を​破壊​し​よう​と​し​ます。しかし,邪悪​な​こと​を​憎悪​し,善良​な​こと​に​しっかり​と​付い​て​いる​なら,悪魔​に​虚​を​突か​れ​て,あらゆる​心霊​術​を​退け​よう​と​の​決意​を​くじか​れ​て​しまう​こと​は​あり​ませ​ん。(エフェソス 4:27)悪魔​が​除か​れる​時​まで​あなた​が『悪魔​の​策略​に​しっかり​立ち向かい』続ける​なら,どれ​ほど​大きな「喜び​が​天​に」わき上がる​か,考え​て​み​て​ください!―エフェソス 6:11

^ 16節 サタン​の​呼び名(抵抗​者,中傷​する​者,欺く​者,誘惑​者,偽り者)は,わたしたち​の​心​と​思い​を​探る​能力​が​サタン​に​ある​と​いう​こと​を​示唆​する​もの​で​は​あり​ませ​ん。それ​と​は​対照​的​に,エホバ​は「心​を​調べる​方」,イエス​は「腎​と​心​を​探る​者」と​呼ば​れ​て​い​ます。―箴言 17:3。啓示 2:23

^ 18節 詳しく​は,「ものみの塔」誌,1994​年​12​月​15​日​号,19‐22​ページ,「あなた​に​とっ​て​ふさわしい​健康​テスト​です​か」,および「目ざめよ!」誌,2001​年​1​月​8​日​号,「聖書​の​見方: 医療​の​選択 ― 重要​な​事柄​です​か」を​ご覧​ください。