エリサベツの出しゅっ産さんの日ひが近ちかづいています。これまで3カ月げつの間あいだ，マリアはエリサベツの所ところで過すごしていました。しかし，別わかれの時ときがやって来きます。マリアは長ながい旅たびをして，北きたにあるナザレの家いえに帰かえらなければなりません。あと半はん年としほどで，マリアにも息子むすこが生うまれる予よ定ていです。

マリアが出しゅっ発ぱつしてから間まもなく，エリサベツに子こ供どもが生うまれます。うれしいことに出しゅっ産さんは無ぶ事じに終おわり，母はは親おやも赤あかちゃんも健けん康こうです。エリサベツが生うまれたばかりの息子むすこを近きん所じょの人ひとや親しん族ぞくに見みせると，皆みな一いっ緒しょに喜よろこんでくれます。

神かみがイスラエルに与あたえた律りっ法ぽうによると，男おとこの子こが生うまれたなら，8日か目めに割かつ礼れいを受うけさせる必ひつ要ようがありました。それから名な前まえを付つけました。（レビ記き 12:2，3）ある人ひと々びとは，ゼカリヤの息子むすこなのだからゼカリヤという名な前まえにするべきだ，と言いいます。しかし，エリサベツは，「いいえ！ この子こはヨハネと呼よばれるのです」と言いいます。（ルカ 1:60）生うまれてくる子こをヨハネと名な付づけるよう天てん使しガブリエルから命めいじられていたからです。

近きん所じょの人ひとや親しん族ぞくは反はん対たいし，「親しん族ぞくの中なかに，そう呼よばれている人ひとは一人ひとりもいません」と言いいます。（ルカ 1:61）そして，その子こにどんな名な前まえを付つけたいか，身みぶりでゼカリヤに尋たずねます。するとゼカリヤは書かき板いたを求もとめ，「名な前まえはヨハネ」と書かきます。（ルカ 1:63）

その時とき，奇き跡せきが起おきます。ゼカリヤが再ふたたび話はなせるようになったのです。ゼカリヤは，エリサベツに子こ供どもが生うまれるという天てん使しガブリエルの言こと葉ばを信しんじなかったので，話はなす能のう力りょくを失うしなっていました。ですから，近きん所じょの人ひとたちは大たい変へん驚おどろきます。そして，「この子こはどんな人ひとになるのだろうか」と考かんがえます。（ルカ 1:66）人ひと々びとは，ヨハネという名な前まえが付つけられたことに神かみの導みちびきを感かんじます。

ゼカリヤは聖せい霊れいに満みたされてこう言いいます。「イスラエルの神かみエホバが賛さん美びされますように。ご自じ分ぶんの民たみに 注ちゅう意いを向むけ，救きゅう出しゅつされたからです。そして，ご自じ分ぶんに仕つかえたダビデの家いえに救すくいの角つのが現あらわれるようにしてくださいました」。（ルカ 1:68，69）「救すくいの角つの」と言いった時とき，ゼカリヤはこれから生うまれる主しゅイエスのことを述のべていました。そしてさらに，「神かみは[その方かたによって]私わたしたちを敵てきから救すくい出だした後のち，恐おそれずに神しん聖せいな奉ほう仕しを行おこなえるようにしてくださいます。私わたしたちはいつの日ひも神かみの前まえで忠ちゅう節せつで正ただしくあるのです」と続つづけます。（ルカ 1:74，75）

ゼカリヤは自じ分ぶんの息子むすこについて次つぎのような予よ告こくをします。「わが子こよ，おまえは至し高こう者しゃの預よ言げん者しゃと呼よばれる。道みちを整ととのえるためにエホバの前まえを行いくからだ。そして，罪つみの許ゆるしによる救すくいについて民たみに知しらせる。それは神かみの温あたたかい思おもいやりによるのであり，この思おもいやりによって，高たかい所ところから私わたしたちに夜よ明あけが訪おとずれ，闇やみと死しの陰かげにいる人ひとたちに光ひかりを与あたえ，私わたしたちを平へい和わの道みちに導みちびく」。（ルカ 1:76-79）希き望ぼうを与あたえる何なんと素す晴ばらしい預よ言げんでしょう。

このころには，マリアはナザレの自じ宅たくに到とう着ちゃくしています。でも，まだ結けっ婚こんはしていません。もし妊にん娠しんしていることが皆みなに知しられたら，マリアはいったいどうなってしまうのでしょうか。