サマリアで2日か過すごした後のち，イエスは自じ分ぶんの故こ郷きょうに移い動どうします。ユダヤ地ち方ほうで伝でん道どう活かつ動どうを熱ねっ心しんに行おこなっていましたが，ガリラヤへ戻もどるのは休きゅう息そくするためではありません。むしろ，さらに熱ねつ意いを込こめて伝でん道どうを行おこないます。イエスは自じ分ぶんが歓かん迎げいされないことを予よ想そうしています。「預よ言げん者しゃが自じ分ぶんの故こ郷きょうでは敬うやまわれない」と述のべたことがあるからです。（ヨハネ 4:44）弟で子したちはイエスと一いっ緒しょに行こう動どうせず，自じ宅たくに帰かえって以い前ぜんの仕し事ごとを再さい開かいします。

イエスが伝つたえるメッセージは次つぎのようなものです。「神かみの王おう国こくは近ちかづきました。悔くい改あらためて，良よい知しらせに信しん仰こうを持もちなさい」。（マルコ 1:15）ガリラヤの人ひとたちはどんな反はん応のうをしますか。大おお勢ぜいの人ひとがイエスを喜よろこんで迎むかえ，敬けい意いを払はらいます。ただ単たんにそのメッセージを聞きいたからではなく，何なんカ月げつも前まえの過すぎ越こしの祭まつりの時とき，エルサレムでイエスの目め覚ざましい奇き跡せきを目もく撃げきしていたからです。（ヨハネ 2:23）

イエスはガリラヤでの伝でん道どうを恐おそらくカナで始はじめます。披ひ露ろう宴えんで水みずをぶどう酒しゅに変かえるという奇き跡せきを行おこなった場ば所しょです。今こん回かい2度ど目めに訪おとずれると，イエスはある若わか者ものが重おもい病びょう気きで死しにそうになっていることを知しります。その子こは王おうヘロデ･アンテパスに仕つかえる役やく人にんの息子むすこです。ヘロデ･アンテパスは後のちにバプテストのヨハネを斬ざん首しゅ刑けいにした人ひとです。役やく人にんはイエスがユダヤからカナに来きたと聞きき，カペルナウムの自じ宅たくからイエスを捜さがしにやって来きます。その人ひとは必ひっ死しにこう頼たのみます。「主しゅよ，私わたしの子こ供どもが死しなないうちに来きてください」。（ヨハネ 4:49）

イエスは，役やく人にんが驚おどろくような返へん事じをし，「行いきなさい。あなたの息子むすこは治なおります」と言いいます。（ヨハネ 4:50）その人ひとはイエスの言こと葉ばを信しんじて，自じ宅たくに向むかいます。すると途と中ちゅうで，役やく人にんに良よい知しらせを伝つたえようとして急いそぐ自じ分ぶんの奴ど隷れいたちに出で会あいます。息子むすこは生いき延のび，元げん気きになったのです。役やく人にんは事ことの次し第だいを知しろうとして，いつ回かい復ふくしたのかと尋たずねます。

「昨日きのうの午ご後ご1時じごろに熱ねつが下さがりました」と奴ど隷れいたちは答こたえます。（ヨハネ 4:52）

役やく人にんは，イエスが「あなたの息子むすこは治なおります」と言いったまさにその時じ刻こくだ，と気き付づきます。その後ご，奴ど隷れいを所しょ有ゆうするほど裕ゆう福ふくなこの男だん性せいと，家か族ぞく全ぜん員いんがキリストの弟で子しになります。

こうしてイエスはカナで2度ど奇き跡せきを行おこないました。水みずをぶどう酒しゅに変かえ，約やく25㌔離はなれた所ところにいた若わか者ものを癒いやしたのです。イエスがこの時ときまでに行おこなった奇き跡せきはそれだけではありません。とはいえ，今こん回かいの奇き跡せきは重じゅう要ような意い味みを持もっています。イエスが明あきらかに神かみからの預よ言げん者しゃとしてガリラヤに戻もどってきたことを示しめすものだからです。しかし，イエスは，「預よ言げん者しゃが自じ分ぶんの故こ郷きょうでは敬うやまわれない」と言いいました。それは，どの程てい度どのことなのでしょうか。

イエスが故こ郷きょうのナザレに行いくと明あきらかになります。何なにが起おきるのでしょうか。