イエスは弟で子したちが持もつべき態たい度どについて子こ供どもを実じつ例れいとして教おしえました。弟で子したちは「[イエス]の名なのためにこのような幼おさない子こ供ども……を受うけ入いれ」，「[イエス]をも受うけ入いれ」なければなりません。（マタイ 18:5）何なんの立たち場ばも持もっていない子こ供どものような謙けん遜そんさが必ひつ要ようなのです。

使し徒とたちは誰だれが一いち番ばん偉えらいか議ぎ論ろんしたばかりだったので，イエスの言こと葉ばは良よい助じょ言げんとなったでしょう。ここで使し徒とヨハネが，最さい近きん起おきた出で来き事ごとに話わ題だいを振ふります。「ある人ひとがあなたの名なを使つかって邪じゃ悪あくな天てん使しを追おい出だしていたので，私わたしたちはやめさせようとしました。私わたしたちと一いっ緒しょにあなたに従したがっていないからです」。（ルカ 9:49）

ヨハネは，人ひとを癒いやし邪じゃ悪あくな天てん使しを追おい出だす権けん威いを与あたえられているのは自じ分ぶんたちだけなのに，なぜその男だん性せいが邪じゃ悪あくな天てん使しを追おい出だせるのか，と思おもったのでしょう。ヨハネは，自じ分ぶんたちに同どう行こうしていないその人ひとが奇き跡せきを行おこなうのはおかしい，と考かんがえたようです。

しかし，イエスの次つぎの言こと葉ばを聞きいてヨハネは驚おどろいたでしょう。「やめさせようとしてはなりません。私わたしの名なによって強きょう力りょくな行おこないをしながら，すぐ私わたしを悪わるく言いえる人ひとはいないからです。私わたしたちに反はん対たいしていない人ひとは私わたしたちに味み方かたしているのです。はっきり言いいますが，あなたたちがキリストの弟で子しだという理り由ゆうで1杯ぱいの飲のみ水みずを与あたえてくれる人ひとは，必かならず報むくいを得えます」。（マルコ 9:39-41）

この当とう時じ，イエスの味み方かたになるためにキリストと一いっ緒しょに行こう動どうする必ひつ要ようはありませんでした。クリスチャン会かい衆しゅうはまだ設せつ立りつされていません。ですから，イエスと旅たびをしないとしても，反はん対たい者しゃであるとか偽いつわりの宗しゅう教きょうを推すい進しんしているということにはなりません。この男だん性せいがイエスの名なに信しん仰こうを持もっていたことは明あきらかです。それでイエスは，その人ひとは報むくいを得えると言いったのです。

しかし，使し徒とたちがその男だん性せいの信しん仰こうを妨さまたげるのは重じゅう大だいなことです。イエスは言いいます。「信しん仰こうを持もつそのような目め立だたない人ひと1人ひとりの信しん仰こうを妨さまたげる人ひとは，ロバが回まわすひき臼うすの石いしを首くびに掛かけられて海うみに投なげ込こまれる方ほうがましです」。（マルコ 9:42）続つづけてイエスは，手てや足あしや目めなど貴き重ちょうなものでも，信しん仰こうを妨さまたげているなら，捨すて去さるべきだと教おしえます。自じ分ぶんにとって大たい切せつなものにしがみついてゲヘナ（ヒンノムの谷たに）に行いくよりは，それらを捨すててでも神かみの王おう国こくに入はいる方ほうが良よいのです。ヒンノムの谷たにはエルサレムの近ちかくにあり，そこではごみが燃もやされていました。ですから使し徒とたちは，ゲヘナが永えい遠えんの滅ほろびを表あらわしていると理り解かいできたでしょう。

イエスはさらにこう警けい告こくします。「それら目め立だたない人ひとの1人ひとりをも軽かるく見みないようにしなさい。あなたたちに言いいますが，彼かれらの天てん使したちは，天てんにいる父ちちの前まえに常つねにいるのです」。この「目め立だたない人ひと」たちは天てんの父ちちにとってどれほど大たい切せつなのでしょうか。イエスは100匹ぴきの羊ひつじを飼かっている人ひとの例たとえを話はなします。100匹ぴきのうちの 1匹ぴきがいなくなると，その人ひとは99匹ひきを残のこして捜さがしに行いきます。そして見みつけると，99匹ひきのこと以い上じょうにその1匹ぴきのことで大おお喜よろこびします。イエスは，「それら目め立だたない人ひとが1人ひとりでも滅ほろびるのは，天てんにいる私わたしの父ちちの望のぞむところではありません」と話はなします。（マタイ 18:10，14）

イエスは誰だれが一いち番ばん偉えらいのか言いい合あっていた使し徒とたちのことを考かんがえていたようです。それで，こう勧すすめます。「自じ分ぶんの内うちに塩しおを持もちなさい。そして，互たがいに平へい和わを保たもちなさい」。（マルコ 9:50）塩しおがあれば食たべ物ものは食たべやすくなります。塩しおで味あじ付つけするかのように言こと葉ばを選えらんで話はなすなら，相あい手ては受うけ入いれやすくなり，平へい和わを保たもてます。言いい合あってしまうと，そうはなりません。（コロサイ 4:6）

イエスは，深しん刻こくな問もん題だいの解かい決けつ方ほう法ほうをこう教おしえます。「もしあなたの兄きょう弟だいが罪つみを犯おかしたなら，行いって，あなたと兄きょう弟だいだけの間あいだで罪つみを明あきらかにしなさい。あなたが話はなすことを兄きょう弟だいが聞きくなら，あなたは兄きょう弟だいを助たすけたのです」。相あい手てが聞きかないならどうしますか。イエスは，「1人ひとりか2人ふたりを連つれていきなさい。どんな事ことも2人ふたりか3人にんの証しょう言げんによって確たしかめられるためです」と言いいます。それで解かい決けつしない場ば合あいは，「会かい衆しゅう」に，つまり長ちょう老ろうたちに話はなし，判はん断だんを委ゆだねることができます。それでも罪つみを犯おかした人ひとが聞きかないならどうしますか。「その兄きょう弟だいを，あなたにとって，異い国こく人じんや徴ちょう税ぜい人にんのような者ものとしなさい」とイエスは教おしえます。当とう時じのユダヤ人じんはそうした人ひとたちと交こう友ゆうを持もちませんでした。（マタイ 18:15-17）

会かい衆しゅうの監かん督とくたちは神かみの言こと葉ばにしっかりと従したがいます。もしある人ひとの罪つみが確かく認にんされ，矯きょう正せいが必ひつ要ようなら，その裁さばきは「天てんですでに縛しばられ」たものです。しかし，その人ひとの無む罪ざいが証しょう明めいされるなら，それは「天てんですでに解とかれ」たものです。この考かんがえ方かたは会かい衆しゅうが設せつ立りつされた後のちに大たい変へん役やく立だつでしょう。イエスはこうした重じゅう大だいな問もん題だいを扱あつかう時ときのことについて，「2人ふたりか3人にんが私わたしの名なにおいて集あつまっている所ところには，私わたしもいる」と話はなします。（マタイ 18:18-20）