イエスはベタニヤの村むらの外はずれで，まずマルタに，それからマリアに会あいます。そしてラザロの墓はかへ行いきます。墓はかは洞どう窟くつで，入いり口ぐちは石いしでふさがれています。イエスは，「石いしをどけなさい」と指し示じします。マルタは，イエスが何なにをしようとしているのかよく分わからず，「主しゅよ，もう臭くさくなっているに違ちがいありません。4日かたっています」と心しん配ぱいします。しかしイエスは，「信しんじるなら神かみの輝かがやかしい力ちからを目めにする，とあなたに言いいませんでしたか」と答こたえます。（ヨハネ 11:39，40）

石いしがどけられると，イエスは天てんを見み上あげてこう祈いのります。「父ちちよ，私わたしの願ねがいを聞きいてくださったことを感かん謝しゃいたします。常つねに聞きいてくださることは知しっていました。しかし，周まわりに立たつ人ひと々びとのために言いっています。あなたが私わたしを遣つかわされたことをこの人ひと々びとが信しんじるためです」。イエス はこの祈いのりにより，これから行おこなうことが神かみの力ちからによるということをその場ばの人ひと々びとに示しめしました。その後ごイエスは大おお声ごえでこう叫さけびます。「ラザロ，出でてきなさい！」 すると，ラザロが出でてきます。手てと足あし，そして顔かおにも埋まい葬そう用ようの布ぬのが巻まかれたままです。イエスは，「ほどいて，歩あるけるようにしてあげなさい」と言いいます。（ヨハネ 11:41-44）

マリアとマルタを気き遣づかって訪たずねてきた大おお勢ぜいのユダヤ人じんたちは，この奇き跡せきを見みてイエスに信しん仰こうを持もちます。しかし，ある人ひと々びとはパリサイ派はの人ひとたちの所ところへ行いき，イエスがしたことを話はなします。パリサイ派はの人ひとたちと祭さい司し長ちょうはユダヤ人じんの高こう等とう法ほう廷ていサンヘドリンを招しょう集しゅうします。大だい祭さい司しカヤファもサンヘドリンの一いち員いんです。彼かれらの中なかにはこう言いう人ひともいます。「この男おとこが多おおくのしるしを行おこなっているが，私わたしたちはどうすべきだろうか。このまま放ほうっておいたら，皆みなが彼かれに信しん仰こうを持もち，ローマ人じんがやって来きて，私わたしたちの神しん殿でんも国こく民みんも奪うばい去さってしまう」。（ヨハネ 11:47，48）彼かれらはイエスが「多おおくのしるしを行おこなっている」という目もく撃げき証しょう言げんを聞ききましたが，神かみがイエスを通とおして行おこなっている事こと柄がらを喜よろこびません。自じ分ぶんたちの立たち場ばと権けん威いを守まもることしか考かんがえていないからです。

サドカイ派はの人ひとたちはラザロの復ふっ活かつに激はげしく動どう揺ようします。復ふっ活かつを信しんじていないからです。そのサドカイ派はのカヤファがこう発はつ言げんします。「皆みなさんは何なにも分わかっていません。国こく民みん全ぜん体たいが滅ほろぼされるよりも1人ひとりの人ひとが民たみのために死しぬ方ほうが皆みなさんの得とくになる，ということを考かんがえていません」。（ヨハネ 11:49，50。使し徒と 5:17; 23:8）

カヤファは「独どく自じの考かんがえで言いった」のではありません。彼かれが大だい祭さい司しだったので，神かみがそう語かたらせたのです。カヤファは，自じ分ぶんたちの権けん威いと影えい響きょう力りょくがこれ以い上じょう弱よわまらないように，イエスを殺ころすべきだと言いっていました。しかしカヤファの言こと葉ばは，イエスの死しがユダヤ人じんだけでなく，「各かく地ちに散ちる神かみの子こ供どもたち」全すべてのための贖あがないになることを示しめす預よ言げんでした。（ヨハネ 11:51，52）

カヤファはサンヘドリンがイエスの殺さつ害がいを計けい画かくするよう仕し向むけることに成せい功こうします。その計けい画かくを，サンヘドリンの成せい員いんでイエスに友ゆう好こう的てきなニコデモがイエスに伝つたえたのでしょうか。いずれにせよイエスは，神かみが定さだめられた時ときより前まえに殺ころされることを避さけて，エルサレム地ち域いきをすぐに離はなれます。