イエスは弟で子したちに粘ねばり強づよく祈いのることの大たい切せつさを例たとえで教おしえたことがあります。（ルカ 11:5-13）今いまイエスはサマリアかガリラヤにいますが，祈いのるのを諦あきらめてはならないことを，例たとえを使つかってもう一いち度ど教おしえます。こう話はなします。

「ある町まちに，神かみへの畏おそれも人ひとへの敬けい意いもない裁さい判ばん官かんがいました。その町まちには1人ひとりのやもめもいて，しきりに彼かれの元もとに来きては，『訴そ訟しょうの相あい手てとの間あいだで公こう正せいな裁さい判ばんがなされるようにしてください』と言いいました。裁さい判ばん官かんはしばらくは気きが進すすみませんでしたが，その後ご，心こころの中なかで言いいました。『私わたしは神かみを畏おそれず誰だれも敬うやまいはしないが，このやもめがうるさく言いってくるから，公こう正せいな裁さい判ばんがなされるようにしてやろう。そうすれば，しつこく訴うったえて私わたしを困こまらせることはないだろう』」。（ルカ 18:2-5）

どんなことを学まなべますか。イエスは次つぎのように話はなします。「正ただしくない人ひととはいえ，この裁さい判ばん官かんが言いったことを聞ききましたか。では神かみは，昼ひるも夜よるもご自じ分ぶんに向むかって叫さけぶ選えらばれた者ものたちのために必かならず公こう正せいが行おこなわれるようにしてくださらないでしょうか。神かみは彼かれらに対たいして辛しん抱ぼうしています」。（ルカ 18:6，7）イエスは天てんの父ちちについて何なにを教おしえていたのでしょうか。

エホバ神かみがその裁さい判ばん官かんに似にているというのではありません。粘ねばり強づよく頼たのまれると正ただしくない人にん間げんの裁さい判ばん官かんでも応おうじるのであれば，神かみは間ま違ちがいなくそうしてくださるということです。神かみは正ただしく善ぜん良りょうなので，諦あきらめずに祈いのるなら聞きき届とどけてくださいます。イエスの次つぎの言こと葉ばからもそう確かく信しんできます。「[神かみは]速すみやかに公こう正せいが行おこなわれるようにしてくださるのです」。（ルカ 18:8）

権けん力りょくを持もつ人ひとや裕ゆう福ふくな人ひとが優ゆう遇ぐうされ，立たち場ばの低ひくい人ひとや貧まずしい人ひとが公こう正せいに扱あつかわれないことはよくあります。でもそれは神かみの物もの事ごとの扱あつかい方かたとは違ちがっています。時ときが来くれば，神かみは邪じゃ悪あくな人ひとたちを罰ばっし，神かみに仕つかえる人ひとたちに永えい遠えんの命いのちを与あたえます。そのようにして公こう正せいを行おこなうのです。

では，このやもめのような信しん仰こうを抱いだき，神かみが「速すみやかに公こう正せいが行おこなわれるようにしてくださる」ことを本ほん当とうに確かく信しんしている人ひとはどれくらいいるのでしょうか。イエスは粘ねばり強づよく祈いのるべきであると教おしえた後のち，祈いのりに対たいする信しん仰こうについて話はなし，「人ひとの子こは来くる時とき，このような信しん仰こうを地ち上じょうで本ほん当とうに見みつけるでしょうか」と言いいます。（ルカ 18:8）これは，キリストが来くる時ときにそうした信しん仰こうはあまり見みられないということを示しめしているようです。

イエスの話はなしを聞きいている人ひとたちの中なかには，自じ分ぶんの信しん仰こうは大だい丈じょう夫ぶだと考かんがえている人ひとがいるようです。自じ分ぶんは正ただしいと思おもい込こみ，ほかの人ひとを見み下くだしています。イエスはそうした人ひとたちに対たいし，次つぎのような例たとえを話はなします。

「2人ふたりの人ひとが祈いのりをするために神しん殿でんに上のぼりました。1人ひとりはパリサイ派はの人ひと，もう1人ひとりは徴ちょう税ぜい人にんでした。パリサイ派はの人ひとは立たって，心こころの中なかでこう祈いのり始はじめました。『神かみよ，私わたしがほかの人ひと々びとのように，ゆすり取とる者もの，不ふ正せいな者もの，姦かん淫いんをする者ものではなく，この徴ちょう税ぜい人にんのようでもないことを感かん謝しゃします。私わたしは週しゅうに2回かい断だん食じきをし，得える物もの全すべての10分ぶんの1を納おさめています』」。（ルカ 18:10-12）

パリサイ派はの人ひとたちは，自じ分ぶんが正ただしいことを見みせつける ことで有ゆう名めいです。人ひとに感かん銘めいを与あたえたいのです。彼かれらは月げつ曜よう日びと木もく曜よう日びに断だん食じきをすることにしています。それらの日ひは大おおきな市いち場ばが開ひらかれてにぎわうので，大おお勢ぜいの人ひとから注ちゅう目もくしてもらえます。彼かれらは小ちいさな薬やく草そうであってもきちょうめんに10分ぶんの1を納おさめます。（ルカ 11:42）数すうカ月げつ前まえに，彼かれらは一いっ般ぱんの人ひとたちを軽けい蔑べつしていることをはっきり示しめし，こう言いいました。「律りっ法ぽう[つまり，律りっ法ぽうに対たいするパリサイ派はの解かい釈しゃく]を知しらないあの群ぐん衆しゅうは神かみに見み放はなされているのだ」。（ヨハネ 7:49）

イエスは続つづけます。「一いっ方ぽう，徴ちょう税ぜい人にんは離はなれた所ところに立たって，天てんを見み上あげようともせず，胸むねをたたきながら，『神かみよ，罪つみ人びとの私わたしに慈じ悲ひをお示しめしください』と言いいました」。徴ちょう税ぜい人にんは謙けん遜そんに自じ分ぶんの罪つみ深ぶかさを認みとめます。イエスは最さい後ごにこう言いいます。「あなた方がたに言いいますが，この人ひとはパリサイ派はの人ひとより正ただしいことが明あきらかになり，家いえに帰かえっていきました。高こう慢まんになる人ひとは皆みな辱はずかしめられますが，謙けん遜そんになる人ひとは高たかく評ひょう価かされるのです」。（ルカ 18:13，14）

このようにイエスは，謙けん遜そんであるようにとはっきり教おしえます。これは弟で子したちにも大たい切せつな教きょう訓くんです。当とう時じの社しゃ会かいでは，自じ分ぶんが正ただしいと信しんじて疑うたがわないパリサイ派はの人ひとたちが立たち場ばや地ち位いを重じゅう視ししていたからです。もちろん，謙けん遜そんさはイエスに従したがう全すべての人ひとにとって重じゅう要ようです。