イエスはオリーブ山やまの上うえで4人にんの使し徒とたちから自じ分ぶんの臨りん在ざいと体たい制せいの終しゅう結けつのしるしについて質しつ問もんされ，その答こたえとして，もう1つの例たとえ話ばなしを語かたります。数すう日じつ前まえにエリコにいた時とき，イエスはミナの例たとえ話ばなしをして，王おう国こくが設せつ立りつされるのはまだ遠とおい将しょう来らいであると説せつ明めいしました。この2つの例たとえ話ばなしには似にている点てんがたくさんあります。この章しょうで考かんがえる例たとえ話ばなしは，使し徒とたちはイエスから委ゆだねられた持もち物ものを扱あつかう際さいに勤きん勉べんでなければならないということを教おしえています。

イエスはこう話はなし始はじめます。「それはちょうど，外がい国こくへ旅りょ行こうに出でる際さいに，奴ど隷れいたちを呼よび寄よせて，自じ分ぶんの持もち物ものを委ゆだねた男だん性せいのようです」。（マタイ 25:14）イエスは自じ分ぶんを「王おう権けんを確かく立りつ」するために旅りょ行こうに出でた男だん性せいに例たとえたことがあるので，使し徒とたちは今こん回かいの例たとえ話ばなしに出でてくる「男だん性せい」もイエスであるとすぐに分わかります。（ルカ 19:12）

その人ひとは外がい国こくに旅りょ行こうに出でる前まえに，奴ど隷れいたちに自じ分ぶんの貴き重ちょうな持もち物ものを委ゆだねます。イエスは3年ねん半はんの伝でん道どう期き間かん中ちゅう，神かみの王おう国こくの良よい知しらせを伝つたえることに全ぜん力りょくを傾かたむけ，弟で子したちが伝でん道どう活かつ動どうを行おこなえるよう訓くん練れんしました。自じ分ぶんは間まもなく去さっていきますが，訓くん練れんした通とおりに弟で子したちが伝でん道どう活かつ動どうをしていくと確かく信しんしています。（マタイ 10:7。ルカ 10:1，8，9。ヨハネ 4:38; 14:12と比ひ較かく。）

例たとえ話ばなしの男だん性せいは自じ分ぶんの持もち物ものをどのように委ゆだねたでしょうか。イエスはこう話はなします。「その男だん性せいは，ある人ひとには5タラント，別べつの人ひとには2タラント，さらに別べつの人ひとには1タラントと，各かく自じの能のう力りょくに応おうじて与あたえてから，外がい国こくへ行いきました」。（マタイ 25:15）では，奴ど隷れいたちは委ゆだねられたもので何なにをしますか。主しゅ人じんの期き待たいに沿そって委ゆだねられたものを勤きん勉べんに用もちいるでしょうか。イエスはこう続つづけます。

「5タラントを受うけ取とった人ひとはすぐに出で掛かけ，それで商しょう売ばいをして，さらに5タラントを手てに入いれました。2タラントを受うけ取とった人ひとも同おなじように，さらに2タラントを手てに入いれました。しかし，ただ1タラントを受うけ取とった奴ど隷れいは，出で掛かけていって地じ面めんを掘ほり，主しゅ人じんのお金かねを隠かくしておきました」。（マタイ 25:16-18）さて，主しゅ人じんが戻もどってきた時ときにどうなりますか。

イエスはこう話はなします。「長ながい時ときがたち，主しゅ人じんが来きて，奴ど隷れいたちと清せい算さんをしました」。（マタイ 25:19）最さい初しょの2人ふたりの奴ど隷れいは「各かく自じの能のう力りょくに応おうじて」ベストを尽つくしました。委ゆだねられたものを使つかって勤きん勉べんに熱ねっ心しんに働はたらき，利り益えきを生うみ出だしました。5タラントを受うけ取とった人ひとも2タラントを受うけ取とった人ひとも，委ゆだねられたものを2倍ばいにしたのです。（当とう時じ，1タラントを稼かせぐには19年ねんほどかかりました。）主しゅ人じんはその2人ふたりの奴ど隷れいに同おなじ褒ほめ言こと葉ばを掛かけます。「よく頑がん張ばりました，あなたは忠ちゅう実じつな良よい奴ど隷れいです！ わずかなものに忠ちゅう実じつでした。多おおくのものを管かん理りさせる ためにあなたを任にん命めいしましょう。主しゅ人じんである私わたしと共ともに喜よろこびなさい」。（マタイ 25:21）

しかし，1タラントを受うけ取とった奴ど隷れいはこう言いいます。「ご主しゅ人じんさま，あなたが厳きびしい方かたで，まかなかった所ところで刈かり取とり，脱だっ穀こくしなかった所ところで集あつめることを知しっていました。それで怖こわくなり，行いって，あなたの1タラントを地ち中ちゅうに隠かくしておきました。さあ，お返かえしいたします」。（マタイ 25:24，25）この奴ど隷れいはお金かねを銀ぎん行こう家かに預あずけることもしませんでした。そうしていれば，少すくなくとも幾いくらかの利り息そくが付ついたでしょう。この奴ど隷れいは主しゅ人じんの期き待たいを裏うら切ぎったのです。

当とう然ぜんのこととして，主しゅ人じんはその奴ど隷れいを「怠たい惰だな悪わるい奴ど隷れい」と呼よび，委ゆだねていたものを取とり上あげ，喜よろこんで勤きん勉べんに働はたらく人ひとにそれを与あたえます。そしてこう言いいます。「持もっている人ひとは皆みな，さらに与あたえられて満みちあふれます。しかし，持もっていない人ひとは，持もっているものまで取とり上あげられます」。（マタイ 25:26，29）

イエスの弟で子したちはこの例たとえ話ばなしを聞きいて，さまざまなことを考かんがえさせられたでしょう。彼かれらはイエスから何なにを委ゆだねられたか知しっています。それは人ひと々びとを弟で子しとするという大たい変へん価か値ちのある立りっ派ぱな仕し事ごとです。イエスは，弟で子したち全すべてが同おなじ仕し方かたでその仕し事ごとをし，同おなじ成せい果かを上あげるよう期き待たいしているわけではありません。弟で子したちは「各かく自じの能のう力りょくに応おうじて」働はたらくべきなのです。「怠たい惰だ」になり，主しゅ人じんの持もち物ものを増ふやすためにベストを尽つくさないなら，イエスが喜よろこぶことは決けっしてありません。

「持もっている人ひとは皆みな，さらに与あたえられ[る]」とイエスが約やく束そくした時とき，使し徒とたちはとてもうれしかったに違ちがいありません。