ニサン14日か金きん曜よう日びの夕ゆう方がたになりました。日ひが沈しずめばニサン15日にちの安あん息そく日びが始はじまります。イエスはすでに亡なくなっています。でも，イエスの両りょう脇わきで杭くいに掛かけられている2人ふたりの犯はん罪ざい者しゃはまだ生いきています。律りっ法ぽうによれば，死し体たいを「夜よ通どおし杭くいに掛かけたままにすべきでは」なく，「その日ひのうちに」葬ほうむらなければなりません。（申しん命めい記き 21:22，23）

また，金きん曜よう日びは準じゅん備びの日ひと呼よばれています。人ひと々びとは食しょく事じの準じゅん備びをし，安あん息そく日びの後あとでは間まに合あわない用よう事じを済すませました。日ひが沈しずむと，「大だい安あん息そく日び」が始はじまります。（ヨハネ 19:31）ニサン15日にちは7日か間かんの無む酵こう母ぼパンの祭まつりの初しょ日にちです。祭まつりの初しょ日にちは何なん曜よう日びであっても安あん息そく日びになります。（レビ記き 23:5，6）今こ年としのニサン15日にちは，週しゅうごとの通つう常じょうの安あん息そく日びとも重かさなっています。それで，このように2つの安あん息そく日びが重かさなると，「大だい安あん息そく日び」となるのです。

こうした事じ情じょうで，ユダヤ人じんたちはピラトにイエスと2人ふたりの強ごう盗とうの死しを早はやめるよう頼たのみます。どのようにしてでしょうか。両りょう脚あしを折おることによってです。そうすると，息いきをしようとしても体からだを持もち上あげられず，窒ちっ息そくしてしまいます。兵へい士したちはやって来きて2人ふたりの強ごう盗とうの脚あしを折おりますが，イエスはすでに死しんでいるようなので，脚あしを折おりません。こうして詩し編へん 34編ぺん20節せつの，「神かみはその人ひとの骨ほねを 全すべて守まもる。1本ぽんも折おられることはなかった」という預よ言げんが実じつ現げんします。

しかし1人ひとりの兵へい士しが，イエスが本ほん当とうに死しんでいるのか確たしかめるためにイエスの脇わき腹ばらをやりで突つき刺さします。やりは心しん臓ぞうの辺あたりにまで達たっします。「すると，すぐに血ちと水みずが出で」ます。（ヨハネ 19:34）これは，「彼かれらは自じ分ぶんたちが刺さし通とおした人ひとを見みつめ」る，という預よ言げんの実じつ現げんです。（ゼカリヤ 12:10）

処しょ刑けい場ば所しょには，サンヘドリンの評ひょう判ばんの良よい一いち員いんで，アリマタヤの町まちから来きたヨセフという「裕ゆう福ふくな男だん性せい」もいます。（マタイ 27:57）聖せい書しょはヨセフについて，「正ただしくて善よい人ひと」また「神かみの王おう国こくを待まつ人ひと」で，「ユダヤ人じんたちを恐おそれてひそかにイエスの弟で子しとなっていた」と述のべています。ヨセフはイエスに関かんする判はん決けつを支し持じしませんでした。（ルカ 23:50。マルコ 15:43。ヨハネ 19:38）ヨセフは勇ゆう気きを出だしてピラトの元もとに行いき，イエスの体からだを頂いただきたいと願ねがい出でます。それでピラトは，イエスの死しを確かく認にんした士し官かんを呼よび寄よせて確たしかめた後のち，ヨセフに遺い体たいを引ひき取とる許きょ可かを与あたえます。

ヨセフはきれいな上じょう等とうの亜あ麻ま布ぬのを買かいます。そして，イエスの体からだを杭くいから下おろし，遺い体たいをその亜あ麻ま布ぬので包つつみます。「以い前ぜん，夜よるにイエスの所ところに来きた」ニコデモも，葬ほうむる準じゅん備びを手て伝つだいます。（ヨハネ 19:39）ニコデモは没もつ薬やくと沈じん香こうを混まぜ合あわせた高こう価かなものを30㌔ほど持もってきます。イエスの遺い体たいはユダヤ人じんの習しゅう慣かんに沿そって，これらの香こう料りょうを含ふくませた布ぬので包つつまれます。

ヨセフはそこから近ちかい場ば所しょに，岩いわをくりぬいた新あたらしい墓はかを所しょ有ゆうしていました。それで，イエスの遺い体たいをその墓はかに横よこたえ，墓はかの入いり口ぐちに大おおきな石いしを転ころがします。安あん息そく日びが始はじまるので，これらは急いそいで行おこなわれます。マリア･マグダレネと小しょうヤコブの母はは親おやマリアはイエスの遺い体たいを葬ほうむる準じゅん備びを手て伝つだったでしょう。そして，安あん息そく日びが終おわった後あとにも遺い体たいの処しょ理りに必ひつ要ような「香こう料りょうと香こう油ゆを準じゅん備びしに」急いそいで家いえに戻もどります。（ルカ 23:56）

安あん息そく日びである翌よく日じつ，祭さい司し長ちょうたちとパリサイ派はの人ひとたちはピラトの所ところに行いき，こう言いいます。「あの詐さ欺ぎ師しがまだ生いきていた時ときに『3日か後ごに私わたしは生いき返かえる』と言いったのを思おもい出だしました。それで，3日か目めまで墓はかを警けい備びするように命めい令れいしてください。弟で子したちがやって来きて彼かれを盗ぬすみ出だし，『彼かれは生いき返かえった！』などと民たみに言いいふらす恐おそれがあります。この最さい後ごの欺あざむきは，最さい初しょのものより悪わるい結けっ果かを生しょうじさせてしまいます」。ピラトはこう答こたえます。「警けい備び隊たいを使つかってよい。行いって，知しる限かぎりの方ほう法ほうで警けい備びしなさい」。（マタイ 27:63-65）

日にち曜よう日びの朝あさとても早はやくに，マリア･マグダレネとヤコブの母はは親おやマリア，ほかの何なん人にんかの女じょ性せいたちは，イエスの体からだに付つけるための香こう料りょうを持もって墓はかに向むかいます。行いく途と中ちゅう，「墓はかの入いり口ぐちから誰だれが石いしを転ころがしてどけてくれるでしょうか」と話はなし合あいます。（マルコ 16:3）ところが到とう着ちゃくしてみると，地じ震しんが起おきた後あとでした。そして，石いしは神かみの天てん使しによって転ころがしてどけられており，警けい備び隊たいはいなくなっています。しかも，墓はかは空からっぽです。