この世界はどのように終わりに至るか

この世界はどのように終わりに至るか

「あなた方は闇にいるのではありませんから,盗人たちに対するように,その日が不意にあなた方を襲うことはありません」。―テサ一 5:4

1. ずっと見張っているために,また試練に対処するために,何が助けになりますか。

 間もなく,世界を揺るがす一連の出来事が起こります。そう言えるのは,聖書預言がこれまでも成就してきたからです。それでわたしたちは,ずっと見張っている必要があります。そのために何が助けになるでしょうか。使徒パウロは,「見えないものに目を留め」るよう強く勧めています。そうです,わたしたちは,天での命であれ地上での命であれ,永遠の命という報いを思いに留める必要があるのです。この聖句の文脈から分かることですが,パウロがそのように書いたのは,忠実な歩みの喜ばしい結果に目を向けるよう仲間の信者を励ますためでした。喜ばしい結果に目を向けることは,試練や迫害に対処する助けにもなったでしょう。―コリ二 4:8,9,16-18; 5:7

2. (イ)希望を堅く保つためにどうすべきですか。(ロ)この記事と次の記事で,どんなことを取り上げますか。

2 パウロの訓戒には,重要な考え方が含まれています。それは,希望を堅く保つためには,すぐ目の前にある事柄の先にあるものを見なければならない,ということです。まだ見えない,つまりまだ起こっていない重要な出来事に目を向ける必要があるのです。(ヘブ 11:1; 12:1,2)ですから,永遠の命の希望と密接な関係のある将来の出来事をこの記事と次の記事で取り上げましょう。全部で十あります。

終わりの直前に何が生じるか

3. (イ)テサロニケ第一 5章2,3節にあるように,これからどんなことが起こりますか。(ロ)政治指導者は,どんなことを行ないますか。だれがそれに加わると考えられますか。

3 その一つが,パウロによるテサロニケ人への手紙の中に記されています。テサロニケ第一 5:2,3を読む。パウロは「エホバの日」に注意を向けています。この場合の「エホバの日」とは,偽りの宗教の滅びをもって始まり,ハルマゲドンの戦いで終わる期間のことです。しかし,そのエホバの日が始まる直前,世界の指導者たちは「平和だ,安全だ」と言っています。これは一つの出来事のことかもしれず,一連の出来事のことかもしれません。諸国家は,幾つかの大問題は間もなく解決できると考えるのでしょう。宗教指導者たちはどうですか。彼らも世の一部であり,政治指導者たちに声を和する可能性があります。(啓 17:1,2)そのような聖職者たちは,古代ユダの偽預言者たちに似た者となります。エホバは彼らについて,「彼らは……平和がないのに,『平和だ! 平和だ!』と言う」と述べておられます。―エレ 6:14; 23:16,17

4. わたしたちは人類一般とは違い,何を明確に理解していますか。

4 「平和だ,安全だ」とだれが言うにしても,この進展は,エホバの日が始まることのしるしです。ですからパウロはこう述べることができました。「兄弟たち,あなた方は闇にいるのではありませんから,盗人たちに対するように,その日が不意にあなた方を襲うことはありません。あなた方はみな光の子……なのです」。(テサ一 5:4,5)わたしたちは人類一般とは違い,いま起きている出来事の聖書的な意味を明確に理解できます。では,人々が「平和だ,安全だ」と言うことに関するこの預言は,厳密にはどのように成就するのでしょうか。それは今後の進展を待たなければなりません。ですから,ぜひとも「目ざめていて,冷静さを保ち」ましょう。―テサ一 5:6。ゼパ 3:8

自分の見方の誤りを思い知らされる「女王」

5. (イ)「大患難」はどのように始まりますか。(ロ)どんな「女王」が,自分の見方の誤りを思い知らされますか。

5 次に,どんなことが起こるでしょうか。パウロはこう述べています。「人々が,『平和だ,安全だ』と言っているその時,突然の滅びが……彼らに突如として臨みます」。この「突然の滅び」の第一局面は,「娼婦」とも呼ばれる「大いなるバビロン」,つまり偽りの宗教の世界帝国に対する攻撃です。(啓 17:5,6,15)キリスト教世界を含む,あらゆる形態の偽りの宗教に対するこの攻撃をもって,「大患難」が始まります。(マタ 24:21。テサ二 2:8)この攻撃は多くの人にとって意外なものです。その時まで娼婦は,自分は「女王」であって「嘆きを見ることは決してない」と思い込んでいるからです。しかし突然,その見方の誤りを思い知らされます。「一日のうちに」と言えるほど,素早く拭い去られるのです。―啓 18:7,8

6. だれが偽りの宗教を滅ぼしますか。

6 神の言葉は,「十本の角」を持つ「野獣」が娼婦を攻撃する,としています。「啓示」の書を研究すると,この野獣は国際連合を指すことが分かります。また,「十本の角」は,この「緋色の野獣」を支持する現在の政治勢力すべてを表わします。 a啓 17:3,5,11,12)その攻撃はどれほど破壊的でしょうか。国連に加盟する諸国家は,娼婦の富を強奪し,娼婦の実体を暴き,娼婦をむさぼり食い,「焼き尽くす」ことになっています。その滅びは徹底的なものです。―啓示 17:16を読む。

7. 「野獣」による攻撃の誘因となるのは,何ですか。

7 聖書預言は,この攻撃の誘因となる事柄も示しています。エホバが,「ご自分の考えを遂行すること」つまり娼婦を荒れ廃れさせることを,何らかの方法で政治支配者たちの心の中に入れるのです。(啓 17:17)戦争を挑発する宗教は,世界の分裂を引き起こす要因となってきました。それで諸国家は,娼婦を滅ぼすことは国家の利益になると考えるのかもしれません。実際,支配者たちは攻撃を行なう時,自分たちの「一つの考え」を遂行している,と思うことでしょう。しかし実のところ,彼らは偽りの宗教すべてを除き去るための神の道具として行動しているにすぎません。ですから,事態は驚くべき展開を見せ,サタンの体制の一部分が別の一部分を攻撃することになります。サタンにはそれを防ぐすべがありません。―マタ 12:25,26

神の民に対する攻撃

8. 「マゴグの地のゴグ」による攻撃とは何ですか。

8 偽りの宗教が滅ぼされた後も,神の僕たちは「城壁もなく」,「安らかに住んで」います。(エゼ 38:11,14)エホバの崇拝を続ける,一見無防備なこの人々はどうなるのでしょうか。「多くの民」による総攻撃の標的となるようです。神の言葉はその事態を,「マゴグの地のゴグ」による攻撃,と表現しています。エゼキエル 38:2,15,16を読む。その攻撃をどう見るべきでしょうか。

9. (イ)クリスチャンの主要な関心事は何ですか。(ロ)今,信仰を強めるために何を行なうべきですか。

9 わたしたちは,神の民に対するこの攻撃について知っていても,過度の不安を抱くことはありません。わたしたちの主要な関心事は,自分の救いではなく,エホバのみ名が神聖にされることとエホバの主権の立証です。実際,エホバは,「あなた方はわたしがエホバであることを知らなければならなくなる」と,60回以上も宣言しておられます。(エゼ 6:7。脚注を参照。)ですからわたしたちは,「エホバは,敬虔な専心を保つ人々をどのように試練から救い出すか……を知っておられる」ということに信頼を置き,エゼキエルのこの際立った預言の成就を,大きな関心を抱いて待ち望みます。(ペテ二 2:9,10)それまでの間,どんな試練に直面してもエホバに忠誠を保てるよう,あらゆる機会を活用して信仰を強めてゆきたいものです。どうすればよいでしょうか。祈り,神の言葉の研究と黙想,王国の音信を宣べ伝えることが必要です。それらを行なうなら,永遠の命の希望を,「錨」のように揺るがないものにできます。―ヘブ 6:19。詩 25:21

諸国民はエホバを認めなければならなくなる

10,11. ハルマゲドンはどのように始まりますか。ハルマゲドンでは,どんなことが起こりますか。

10 エホバの僕たちに対する攻撃は,世界を揺るがすどんな出来事を引き起こすでしょうか。エホバがイエスおよび天の軍勢を通して,ご自分の民のために介入されます。(啓 19:11-16)この介入が,「全能者なる神の大いなる日の戦争」,つまりハルマゲドンです。―啓 16:14,16

11 その戦争について,エホバはエゼキエルを通してこう宣言しておられます。「『わたしは,わたしのすべての山地の至る所で剣を呼び起こして[ゴグ]を攻めさせる』と,主権者なる主エホバはお告げになる。『各人の剣は自分の兄弟に向かうことになる』」。サタンの側にいる者たちは慌てふためいて混乱状態に陥り,自分の武器を味方に向けます。兵士が同士討ちを始めるのです。サタンにも害が及びます。エホバはこう述べておられます。「わたしは……火と硫黄を[ゴグ]とその隊,および彼と共にいる多くの民の上に降らせるであろう」。(エゼ 38:21,22)神のこの行動はどんな結果をもたらすでしょうか。

12. 諸国民は何を認めざるを得なくなりますか。

12 諸国民は,エホバご自身の命令ゆえに自分たちが決定的な敗北を喫したことを知らなければならなくなります。その時,サタンに従ってきた者たちは,紅海でイスラエル人の跡を追った古代のエジプト人のように,望みを絶たれ,「確かにエホバが彼らのために……戦っているのだ」と叫ぶことでしょう。(出 14:25)そうです,諸国民はエホバを認めざるを得なくなるのです。エゼキエル 38:23を読む。この一連の出来事は,どれほど間近に迫っているのでしょうか。

別の世界強国は登場しない

13. ダニエルが述べた像の5番目の部分について,何が分かりますか。

13 ダニエル書の預言を調べると,わたしたちが時の流れのどこにいるかが明確になります。ダニエルは,幾つかの金属から成る人間の形をした像について述べています。(ダニ 2:28,31-33)その像は,これまで神の民に大きな影響を及ぼしてきた一連の世界強国を表わしています。バビロン,メディア-ペルシャ,ギリシャ,ローマ,さらに最後の世界強国です。その最後の世界強国は,いま存在しています。ダニエルの預言を研究すると分かりますが,この世界強国は,像の足と指で表わされています。第一次世界大戦中,英国と米国は特別な提携関係に入りました。ですから,ダニエルの像の5番目の部分は,英米世界強国を表わします。足は像の最後にあり,それ以上,世界強国が登場しないことを示しています。足と指が鉄と粘土から成っていることは,英米世界強国の弱体化した状態を表わしています。

14. ハルマゲドンが始まる時に支配的な世界強国となっているのは,どの世界強国ですか。

14 ダニエルのこの預言は,大きな石で表わされている神の王国が,1914年にエホバの主権という山から切り出されたことを示しています。この石は今,像の足の部分を目掛けて猛烈な勢いで進んでいます。像の足もそれ以外の部分も,ハルマゲドンで打ち砕かれます。ダニエル 2:44,45を読む。ですから,ハルマゲドンが始まる時に支配的な世界強国となっているのは,英米世界強国です。ダニエルの預言が完全に成就するのを目撃するのは,何と素晴らしいことでしょう。 b では,エホバはサタン自身をどう扱われるのでしょうか。

神の主要な敵対者はどう扱われるか

15. ハルマゲドンの後,サタンと配下の悪霊たちはどうなりますか。

15 サタンはまず,地上にある自分の組織全体が拭い去られるのを,始めから終わりまで目撃することになります。次にサタン自身に攻撃の矛先が向けられます。その後どうなるかは,使徒ヨハネの言葉から分かります。啓示 20:1-3を読む。「底知れぬ深みのかぎ……を手にし(た)」み使い,つまりイエス・キリストがサタンと配下の悪霊たちを捕らえて,底知れぬ深みに投げ込み,千年のあいだそこに閉じ込めるのです。(ルカ 8:30,31。ヨハ一 3:8)これが,蛇の頭を砕くことの最初の段階となります。 c創 3:15

16. サタンが「底知れぬ深み」にいることは,何を意味しますか。

16 サタンと悪霊たちが投げ込まれる「底知れぬ深み」とは何でしょうか。ヨハネが用いたアビュッソスというギリシャ語には,「非常に,またはひときわ深い」という意味があり,「測りがたい,果てしない」,「広大無辺の虚空」とも訳されることがあります。ですからそこは,エホバと,「底知れぬ深みのかぎ」を持つ任命されたみ使い以外はだれも達することのできない場所です。そこに投げ込まれたサタンは死のような無活動の状態に置かれるので,「もはや諸国民を惑わすことができ」ません。そうです,あの「ほえるライオン」は沈黙させられるのです。―ペテ一 5:8

平和な時代に至る出来事

17,18. (イ)ここまでで,まだ見えないどんな出来事について考慮しましたか。(ロ)そうした出来事の後,どんな時代が始まりますか。

17 重要な進展と,世界を揺るがす出来事がこれから生じます。「平和だ,安全だ」という宣言がどのようになされるのかに期待しましょう。それからわたしたちは,大いなるバビロンの滅び,マゴグのゴグによる攻撃,ハルマゲドンの戦いを目撃します。そしてサタンと配下の悪霊たちは底知れぬ深みに投げ込まれます。そうしたことの後,悪がすべて過ぎ去った世界で,新たな一章が始まるのです。それはキリストの千年統治であり,わたしたちは「豊かな平和」を享受することができます。―詩 37:10,11

18 これまで考慮した五つの出来事のほかにも,「目を留め」ておきたい「見えないもの」があります。それらの点は次の記事で取り上げます。

a 「啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!」の251-258ページを参照。

b ダニエル 2章44節には,「これらのすべての王国を……終わらせ(る)」とありますが,ここで言われている王国とは,像の各部分によって描かれている王国,つまり世界強国のことです。しかし,この聖句に類似した預言によれば,「全能者なる神の大いなる日」に「人の住む全地の王たち」は結集し,エホバに敵対します。(啓 16:14; 19:19-21)したがって,像に含まれる諸王国だけでなく,この世の他の王国すべても,ハルマゲドンで滅ぼされます。

c 蛇の頭が最終的に打ち砕かれるのは,千年が終わった後にサタンと配下の悪霊たちが「火と硫黄との湖」に投げ込まれる時です。―啓 20:7-10。マタ 25:41