1，2. 神の王国は何を成し遂げますか。王国が来ることを確信できるのは，なぜですか。

西暦31年の春，イエス･キリストはカペルナウムに近い山の上で，「あなたの王国が来ますように」と祈るよう追随者たちに教えました。（マタ 6:10）今日において，その王国が本当に来るのかどうか，疑問に思う人は少なくありません。しかしわたしたちは，神の王国が来ることを願う誠実な祈りは聞き届けられる，という確信を抱いています。

² エホバはこれから王国を用いて，天と地にいるご自分の家族を一つに結び合わせます。神のその目的は実現します。（イザ 55:10，11）今日すでに，エホバは王となっておられるからです。その点を裏づけているのが，過去100年間に生じた様々な劇的な出来事です。神は忠節な幾百万という臣民のために偉大で驚くべき業を行なっておられます。（ゼカ 14:9。啓 15:3）しかし，エホバが王になることは，イエスが祈り求めるように教えた，神の王国が来ることとは違います。どのようにでしょうか。その各々は，わたしたちにどのような影響を与えますか。

3. （イ）イエスが王として即位したのは，いつですか。どこで即位しましたか。（ロ）王国が1914年に設立されたことを，どのように証明できますか。（脚注を参照。）

³ 19世紀の終わりごろ，ダニエルが2,500年前に記した預言に光が 当てられるようになりました。それは，「それらの王たちの日に，天の神は決して滅びることのないひとつの王国を立てられます」という預言です。（ダニ 2:44）聖書研究者たちは数十年にわたり，1914年の重要性を指摘してきました。当時の人々は概して楽観的でした。「1914年の世界は希望と約束に満ちていた」と，ある作家が述べたとおりです。しかし1914年の後半に第一次世界大戦が勃発し，聖書預言が成就しました。その後に生じた飢きん，地震，疫病その他，様々な聖書預言の成就は，イエス･キリストが1914年に神の王国の王として天で支配を開始したことの決定的な証拠となりました。 * エホバはみ子をメシアなる王として即位させることにより，新たな意味で王となられました。

4. 新たに即位した王は，直ちにどんな行動を取りましたか。その後，だれに注意を向けましたか。

⁴ 神が新たに即位させた王の最初の任務は，み父の主要な敵対者サタンと戦うことでした。イエスとみ使いたちは，悪魔と配下の悪霊たちを天から投げ落としました。これは天にとっては大きな歓びでしたが，地にとっては前例のない災いの時となりました。（啓示 12:7‐9，12を読む。）次に王は地上の臣民に注意を向けます。神のご意志を行なえるよう臣民を精錬し，教育し，組織するためです。王国によるそうした3種類の活動に臣民が示した積極的な反応は，どのように今日のわたしたちの手本となっているでしょうか。調べてみましょう。

5. 1914年から1919年の初めごろまで，どんな清めの業が行なわれましたか。

⁵ 新たに即位した王がサタンと配下の悪霊たちの腐敗的な影響を天から除き去った後，エホバはその王に指示を与え，地上の追随者たちの霊的な状態を検分させ，精錬させました。預言者マラキによれば，それは霊的に清める業でした。（マラ 3:1‐3）歴史の事実からすると，その清めは1914年から1919年の初めごろまで行なわれました。 * わたしたちはエホバの宇宙的な家族の一員であるために，清く聖なる者でなければなりません。（ペテ一 1:15，16）偽りの宗教や世の政治に少しも汚されていてはならないのです。

6. 霊的食物はどのように供給されていますか。それはどれほど大切なものですか。

⁶ 次いでイエスは王としての権威を用い，「忠実で思慮深い奴隷」を任命されました。この奴隷は，イエスの世話のもとで「一つの群れ」を構成するすべての人たちに，健全な霊的食物を定期的に供給することになっています。（マタ 24:45‐47。ヨハ 10:16）油そそがれた兄弟たちの少人数の一団は1919年以来，「召使いたち」を養うという重い責任を忠節に果たしてきました。この経路を通して提供される豊かな霊的食物は，信仰において成長できるようにわたしたちを助けます。また，霊的･道徳的･精神的･身体的な清さを保とうとするわたしたちの決意を強めます。さらに，わたしたちはこの霊的食物により，今日地上で行なわれている最も重要な業に十分あずかれるよう教育され，必要な備えをすることができます。あなたもそうした霊的食物を十分に活用していますか。

7. イエスは地上におられた時，どんな重要な業を始めましたか。その業はいつまで続きますか。

⁷ イエスは地上での宣教を始めた時，「わたしはほかの都市にも神の王国の良いたよりを宣明しなければなりません。わたしはそのために遣わされたからです」と述べました。（ルカ 4:43）3年半の間この業を中心とした生活を送り， 弟子たちにも，「行って，『天の王国は近づいた』と宣べ伝えなさい」と，命じておられます。（マタ 10:7）復活後イエスは，追随者たちが良いたよりを「地の最も遠い所にまで」広めることを予告されました。（使徒 1:8）また，事物の体制の終わりまでこの重要な業を支援する，ということも約束されました。―マタ 28:19，20。

8. イエスはご自分の地上の臣民をどのように行動へと奮起させましたか。

⁸ 1919年までに，「王国の……良いたより」は新たな意味を帯びるようになりました。（マタ 24:14）王イエスは天で支配しており，地上の清められた臣民の少人数のグループをすでに集めておられました。このグループは，神の王国が天で支配しているという良いたよりを全地で宣べ伝えよ，とのイエスの明確な命令に熱心に従いました。（使徒 10:42）例えば，1922年9月に米国オハイオ州シーダーポイントで開かれた国際大会には，2万人近い王国の支持者たちが集まりました。その大会で，ラザフォード兄弟が「天の王国は近い」と題する講演を行ない，「ご覧なさい，王は統治しておられます！ あなた方は王のことを広く伝える代理者です。それゆえに，王とその王国を宣伝し，宣伝し，宣伝しなさい」と宣言した時の興奮を想像してみてください。2,000人の代表者たちはその呼びかけに応じて特別な「奉仕の日」の活動に参加し，大会会場から70㌔ほど離れた場所を含む広い範囲で戸別訪問を行ないました。ある兄弟は興奮を隠せず，「御国[王国]を宣伝せよという招きのことばと，集まった人[々]の熱意とはいつまでも忘れないでしょう」と述べました。そう感じたのはこの兄弟だけではありません。

9，10. （イ）王国宣明者を訓練するためのどんな取り決めが設けられていますか。（ロ）そのような学校から，あなたはどのような益を得てきましたか。

⁹ 1922年までには，世界中の58の国や地域で，1万7,000人以上の王国宣明者が活動していました。しかし，彼らには訓練が必要でした。1世紀当時，王として指名されていたイエスは，何をどこでどのように宣べ伝えるかについて，弟子たちに明確な指示を与えました。（マタ 10:5‐7。ルカ 9:1‐6; 10:1‐11）イエスは今もその型に倣い，王国を宣べ伝える業に参加する人たちすべてが明確な指示を受けられるよう，また効果的な伝道活動に必要な道具が手に入るよう取り計らっておられます。（テモ二 3:17）イエスはクリスチャン会衆を通して，宣教の訓練を施しておられます。そのための一つの手段は，神権宣教学校です。この学校は世界中の11万1,000余りの会衆で行なわれています。こうした教育によって，今では700万人以上の奉仕者が，「あらゆる人」に訴えるような伝道の仕方，教え方を身に着けています。―コリント第一 9:20‐23を読む。

 ¹⁰ 神権宣教学校以外にも，長老たち，開拓者たち，独身の兄弟たち，夫婦，支部委員とその妻たち，旅行する監督とその妻たち，宣教者たちを訓練するための聖書学校が設けられています。 * 「クリスチャンの夫婦のための聖書学校」のあるクラスに出席した生徒たちは，学校への感謝を次のように言い表わしました。「わたしたちは特別な訓練を受けて，エホバへの愛を深めることができました。そして，人々を助けるためのより良い備えができました」。

11. 反対があっても，王国宣明者たちが耐え忍ぶことができたのは，なぜですか。

¹¹ 王国を宣べ伝えて人々を教えるための広範にわたるこうした活動は，敵であるサタンの注目するところとなっています。サタンはその業をやめさせようとして，王国の音信とそれを携える人たちを正面から，あるいは巧妙な手を使って攻撃します。しかし，サタンの働きかけは水泡に帰します。エホバはみ子を「あらゆる政府と権威と力と主権……のはるか上に」座らせたからです。（エフェ 1:20‐22）王であるイエスは，み父のご意志が確実に行なわれるよう，ご自分の権威を用いて弟子たちを守り，導かれます。 * 良いたよりは宣べ伝えられており，その結果，心の正直な幾百万もの人たちが，エホバの道を教えられています。この壮大な業に参加できるのは，なんと大きな特権なのでしょう。

12. 王国が設立されて以来行なわれてきた組織上の精錬について，述べてください。

¹² 1914年に王国が設立されて以来，王イエスは，神のご意志を行なう僕たちを組織面で精錬してこられました。（イザヤ 60:17を読む。）1919年，各会衆に，宣べ伝える業の指導に当たる奉仕の主事が任命されました。1927年には，日曜日ごとに家から家の奉仕を行なうようになりました。1931年にはエホバの証人という聖書的な名称が採択され，エホバの僕たちは，より大きな活動のための刺激を受けました。（イザ 43:10‐12）1938年，会衆の責任を担う男子を選挙する民主的な方法が，神権的な任命に取って代わられました。1972年，一人の監督ではなく，長老たちの一団が会衆を監督するよう割り当てられました。資格を持つすべての男子に対して，「ゆだねられた神の羊の群れを牧（する）」ことが勧められました。（ペテ一 5:2）1976年，世界中の王国の業を監督するため，統治体は6つの委員会に組織されました。それ以降，イエスは神の方法で物事を行なう ため，漸進的に追随者たちを組織しています。

13. 100年にわたる王国支配が成し遂げてきた事柄は，あなたにどのような影響を及ぼしてきましたか。

¹³ メシアなる王が過去100年にわたる統治期間に成し遂げてきた事柄を考えてみてください。エホバのみ名のための民を清められました。239の国や地域における王国の良いたよりを宣べ伝える活動を指導し，幾百万という人々にエホバの道に関する教育を施してきました。700万を超える忠節な臣民を一つに結び合わせてきました。その一人一人は，父のご意志を行なうために進んで自らをささげているのです。（詩 110:3）確かに，メシアの王国を通して行なわれているエホバの業は，偉大で驚くべきものです。しかし，いっそう劇的な事柄がわたしたちを待ち受けています。

14. （イ）「あなたの王国が来ますように」と祈るとき，わたしたちは何を求めていますか。（ロ）2014年の年句は何ですか。その年句が適切なのはなぜですか。

¹⁴ 1914年，エホバはみ子イエス･キリストをメシアなる王として即位させましたが，それは「あなたの王国が来ますように」という祈りに対する完全な答えではありませんでした。（マタ 6:10）聖書は，イエスが「敵のただ中で従えて」ゆくことを予告していました。（詩 110:2）サタンに操られている人間の諸政府は，今もメシアの王国に敵対しています。わたしたちは神の王国が来ることを祈り求めるとき，メシアなる王とその共なる支配者たちが人間の支配を終わらせ，地上で王国に反対する者たちを除き去ることを求めているのです。こうした介入により，神の王国が「これらのすべての王国を打ち砕いて終わらせ（る）」というダニエル 2章44節の言葉が成就します。王国の政治上の敵たちは存在しなくなるのです。（啓 6:1，2; 13:1‐18; 19:11‐21）その時は間近に迫っています。ですから，天に神の王国が設立されてから100年になる2014年の年句として，「あなたの王国が来ますように」というマタイ 6章10節が選ばれたのは非常に適切なことです。

15，16. （イ）千年統治の期間中に，どんな劇的な出来事が生じますか。（ロ）メシアなる王が最後に行なうのはどんなことですか。そのことは，創造物すべてに関するエホバの目的について何を意味しますか。

¹⁵ メシアなる王は神の敵たちを滅ぼした後，サタンと配下の悪霊たちを底知れぬ深みに投げ込み，千年のあいだ閉じ込めます。（啓 20:1‐3）そのようにして悪い影響力が除かれた後も王国の活動は続き，イエスの贖いの犠牲の益を適用して，アダムに起因する罪の影響を消し去ります。さらに王イエスは，墓の中で眠っている無数の人々を復活させ，その人たちにエホバについて教える大規模な教育計画を組織します。（啓 20:12，13）全地は，エデンの園のような楽園になり，忠実な人たちはすべて，完全さへと引き上げられます。

¹⁶ キリストの千年統治の終わりまでに，メシアの王国はその目的を達成していることでしょう。イエスはその統治の終わりに，王国をみ父に渡されます。（コリント第一 15:24‐28を読む。）エホバと地上の子どもたちの間の仲介者はもはや必要ありません。天の神の子たちと地上の子どもたちはすべて，エホバの宇宙的な家族として，天の父と一つに結び合わされるのです。

17. 王国のために，あなたはどうすることを決意していますか。

¹⁷ 王国が支配してきた100年間の劇的な出来事は，エホバが支配しておられ，地に対するエホバの目的が果たされることを確証しています。ですから，エホバの忠節な臣民として，王とその王国を宣伝してゆきましょう。「あなたの王国が来ますように」というわたしたちの真剣な祈りにエホバが間もなく答えてくださるという全き確信のもとに，その業を続けましょう。