1. 愛あい情じょう深ぶかい父ちちエホバにどのように倣ならえますか。

エホバはわたしたちを深ふかく愛あいしておられます。（ヨハ 3:16）わたしたちは愛あい情じょう深ぶかい父ちちエホバに倣ならいたいと思おもっています。ですから，すべての人ひと，特とくに「信しん仰こうにおいて結むすばれている人ひとたち」に，「思おもいやり……兄きょう弟だいの愛あい情じょう……優やさしい同どう情じょう心しん」を示しめすよう努つとめます。（ガラ 6:10。ペテ一いち 3:8）兄きょう弟だい姉し妹まいがストレスとなる問もん題だいにぶつかる時ときには，助たすけになりたいと思おもいます。

2. この記き事じではどんなことを学まなびますか。

² エホバの家か族ぞくの一いち員いんになりたいと思おもう人ひとは皆みな，ストレスとなる状じょう況きょうに置おかれることがあります。（マル 10:29，30）この体たい制せいの終おわりが近ちかづくにつれ，ますます多おおくの試し練れんに対たい処しょしなければなりません。どのように助たすけ合あえるでしょうか。ロト，ヨブ，ナオミに関かんする聖せい書しょの記き述じゅつから学まなびましょう。また，今こん日にち，兄きょう弟だい姉し妹まいが直ちょく面めんしている問もん題だいを幾いくつか取とり上あげ，どのように彼かれらを助たすけることができるかも考かんがえます。

3. ペテロ第だい二に 2章しょう7，8節せつにあるとおり，ロトはどんな決けっ定ていをしましたか。どんな結けっ果かを身みに招まねきましたか。

³ ロトは，住じゅう民みんが非ひ常じょうに不ふ道どう徳とくだったソドムに住すむという，良よくない決けっ定ていをしました。（ペテロ第だい二に2:7，8を読よむ。）ソドムは繁はん栄えいした都と市しでしたが，ロトはそこに住すむことで，多おおくの大たい切せつなものを失うしなうことになりました。（創そう 13:8-13; 14:12）ロトの妻つまはその都と市しをとても気きに入いり，一いち部ぶの人ひとたちとかなり親したしくなったようです。その結けっ果か， エホバに背そむいてしまいました。エホバがその地ち域いきに火ひと硫い黄おうを降ふらせた時とき，ロトの妻つまは命いのちを失うしないました。ロトの2人ふたりの娘むすめの婚こん約やく者しゃたちはソドムで死しにました。ロトは家いえや持もち物ものを失うしなっただけでなく，妻つまを失うしなうという非ひ常じょうにつらい経けい験けんをしました。（創そう 19:12-14，17，26）非ひ常じょうに大おおきなストレスを抱かかえていたロトに対たいして，エホバは辛しん抱ぼう強づよさを失うしなってしまったでしょうか。そのようなことはありませんでした。

4. エホバはロトに対たいして，どのように辛しん抱ぼう強づよさを示しめしましたか。（表ひょう紙しの絵えを参さん照しょう。）

⁴ ソドムに住すむことにしたのはロトでしたが，エホバは思おもいやり深ぶかくも，ロトと家か族ぞくを救すくい出だすために2人ふたりの天てん使しを遣つかわしました。ところがロトは，ソドムを直ただちに離はなれるようにという天てん使したちの命めい令れいになかなか従したがわず，「手て間まどって」いました。そのため，天てん使したちはロトの手てをつかみ，ロトと家か族ぞくを連つれ出ださなければなりませんでした。（創そう 19:15，16）天てん使したちはロトに，山さん地ちまで走はしって逃にげるようにと告つげました。しかしロトはエホバに従したがわず，近ちかくの町まちに行いきたいと言いいました。（創そう 19:17-20）エホバは辛しん抱ぼうしてロトの願ねがいを聞きき入いれ，ロトがその町まちに行いくことを許ゆるします。後のちにロトはその町まちに住すんでいるのが怖こわくなり，山さん地ちに移うつり住すみました。エホバが最さい初しょに行いくようにと言いっていた場ば所しょです。（創そう 19:30）エホバは何なんと辛しん抱ぼう強づよい方かたなのでしょう。わたしたちはエホバにどのように倣ならえますか。

5-6. エホバがロトを助たすけた方ほう法ほうにどのように倣ならえますか。テサロニケ第だい一いち 5章しょう14節せつでは，どんなことが勧すすめられていますか。

⁵ 会かい衆しゅうの兄きょう弟だいか姉し妹まいが，ロトのように良よくない決けっ定ていをし，重じゅう大だいな問もん題だいを身みに招まねくことがあるかもしれません。そんな時とき，どうしますか。まいたものを刈かり取とったのだ，と言いいたくなりますか。確たしかにそのとおりかもしれません。（ガラ 6:7）でも，そのようなことを言いうよりも，エホバがロトを助たすけた方ほう法ほうに倣ならうほうがよいでしょう。どんなことができますか。

⁶ エホバが天てん使したちを遣つかわしたのは，ロトに警けい告こくを与あたえるためだけではなく，ソドムに臨のぞむ災わざわいから逃のがれられるようロトを助たすけるためでした。同どう様ように，兄きょう弟だいか姉し妹まいが危き険けんな歩あゆみをしている場ば合あい，警けい告こくを与あたえる必ひつ要ようがあるかもしれません。しかしそれだけではなく，その人ひとを助たすけることもできるでしょう。相あい手てが聖せい書しょに基もとづくアドバイスをなかなか当あてはめようとしなくても，辛しん抱ぼう強づよく接せっしてください。あきらめて見み限かぎるのではなく，2人ふたりの天てん使しに倣ならい，その人ひとを助たすけるための具ぐ体たい的てきな方ほう法ほうを探さがしましょう。（ヨハ一いち 3:18）こちらから手てを差さし伸のべ，聖せい書しょに基もとづくアドバイスを当あてはめるよう助たすけるのです。（テサロニケ第だい一いち5:14を読よむ。）

7. ロトに対たいするエホバの見み方かたにどのように倣ならえますか。

⁷ エホバはロトの不ふ完かん全ぜんさにではなく，良よい点てんに目めを向むけました。後のちに使し徒とペテロはエホバに導みちびかれ，ロトを義ぎ人じんと呼よびました。エホバがわたしたちの間ま違ちがいも見み過すごしてくださるのは，本ほん当とうに感かん謝しゃすべきことです。（詩し 130:3）ロトに対たいするエホバの見み方かたに倣ならいましょう。兄きょう弟だい姉し妹まいの良よい点てんに目めを向むけるなら，いっそう辛しん抱ぼう強づよく接せっすることができます。そのように接せっするなら，兄きょう弟だい姉し妹まいはわたしたちの助たすけを受うけ入いれる気き持もちになるかもしれません。

8. 思おもいやりがあれば，兄きょう弟だい姉し妹まいにどのように接せっすることができますか。

⁸ ロトとは異ことなり，ヨブが苦くるしんでいたのは自じ分ぶん の良よくない決けっ定ていのせいではありません。それでも，ひどい災わざわいに遭あい，持もち物ものや社しゃ会かい的てき立たち場ばを失うしない，病びょう気きになりました。もっと悪わるいことに，子こども全ぜん員いんを一いち度どに亡なくしました。3人にんの偽いつわりの友ともからも非ひ難なんされました。3人にんがヨブに対たいして思おもいやりを示しめせなかったのはなぜでしょうか。ヨブの状じょう況きょうを表ひょう面めん的てきにしか見みていなかったからです。その結けっ果か，思おもい込こみで，悪わるいのはヨブだと決きめつけました。わたしたちは，どうすればそのような間ま違ちがいをしないで済すむでしょうか。人ひとの状じょう況きょうについてすべての事じ実じつを知しっているのはエホバだけである，と認みとめることです。苦くるしんでいる人ひとの言いうことによく耳みみを傾かたむけてください。言こと葉ばを聞きくだけではなく，痛いたみを感かんじ取とるよう努つとめましょう。そのようにして初はじめて，兄きょう弟だい姉し妹まいの気き持もちに寄より添そうことができます。

9. 思おもいやりがあれば，どんなことは避さけますか。なぜですか。

⁹ 思おもいやりがあれば，他たの人ひとが直ちょく面めんしている問もん題だいについて，その人ひとを傷きずつけるようなうわさを広ひろめたりはしません。うわさ話ばなしをするなら，会かい衆しゅうの一いっ致ちは弱よわまり，分ぶん裂れつが生しょうじます。（箴しん 20:19。ロマ 14:19）うわさを広ひろめるのは，不ふ親しん切せつで思し慮りょに欠かけたことです。ただでさえ苦くるしんでいる人ひとに，さらに深ふかい傷きずを負おわせることになるからです。（箴しん 12:18。エフェ 4:31，32）相あい手ての良よい点てんを探さがし，試し練れんに対たい処しょできるよう助たすける方ほう法ほうを考かんがえるほうが，はるかに優すぐれています。

10. ヨブ 6章しょう2，3節せつからどんなことを学まなべますか。

¹⁰ ヨブ 6:2，3を読よむ。ヨブは「乱らん暴ぼうな話はなし」をしてしまうことがありました。後あとになって，言いい過すぎてしまった部ぶ分ぶんがあることを認みとめました。（ヨブ 42:6）ヨブと同どう様よう，ストレスにさらされている 人ひとは，後こう悔かいするようなことを言いってしまうことがあります。そんな時ときは，その人ひとを非ひ難なんするのではなく，思おもいやりを示しめすようにしましょう。エホバは人にん間げんを創そう造ぞうされた時とき，わたしたちが問もん題だいやストレスを抱かかえることなく，幸しあわせに生せい活かつすることを望のぞんでおられました。でも今いまは，エホバに忠ちゅう実じつに仕つかえる人ひとも大おおきなストレスにさらされています。思し慮りょに欠かけた話はなし方かたをしてしまうとしても，無む理りはありません。その人ひとがエホバやわたしたちについて間ま違ちがったことを言いうとしても，すぐに腹はらを立たてたり非ひ難なんしたりしないようにしましょう。（箴しん 19:11）

11. 長ちょう老ろうたちはエリフに倣ならい，どのようにアドバイスを与あたえることができますか。

¹¹ ストレスとなる問もん題だいに対たい処しょしている人ひとが，アドバイスや矯きょう正せいを必ひつ要ようとしていることもあります。（ガラ 6:1）長ちょう老ろうたちはどのように助たすけになれるでしょうか。エリフに倣ならうことができます。エリフはヨブに深ふかい思おもいやりを示しめし，ヨブの言こと葉ばに耳みみを傾かたむけました。（ヨブ 33:6，7）ヨブの考かんがえを理り解かいしてからアドバイスを与あたえました。長ちょう老ろうたちはエリフに倣ならい，相あい手ての話はなしによく耳みみを傾かたむけ，状じょう況きょうを理り解かいするよう努つとめるべきです。その後あとにアドバイスを与あたえるなら，心こころを動うごかすことができるでしょう。

12. ナオミは夫おっとと2人ふたりの息子むすこを亡なくし，どんな気き持もちになりましたか。

¹² ナオミはエホバを愛あいする忠ちゅう実じつな女じょ性せいでしたが，夫おっとと2人ふたりの息子むすこを亡なくし，自じ分ぶんの名な前まえを「苦にがい」を意い味みする「マラ」に変かえたいと思おもいました。（ルツ 1:3，5，20，脚きゃく注ちゅう，21）ナオミの義ぎ理りの娘むすめルツは，そのようなつらい時じ期きにずっとナオミのそばにいました。ナオミの世せ話わをするだけでなく，慰なぐさめの言こと葉ばもかけました。短みじかくても心こころのこもった言こと葉ばで愛あいを表あらわし，ナオミを支ささえたのです。（ルツ 1:16，17）

13. 配はい偶ぐう者しゃを亡なくした人ひとに支ささえが必ひつ要ようなのはなぜですか。

¹³ 配はい偶ぐう者しゃを亡なくした兄きょう弟だい姉し妹まいには支ささえが必ひつ要ようです。夫ふう婦ふは隣となり合あって育そだつ木きのようです。何なん年ねんもの間あいだに根ねが絡からみ合あいます。1本ぽんの木きが引ひき抜ぬかれてしまうと，もう1本ぽんの木きは大おおきなダメージを受うけます。同どう様ように，夫おっとや妻つまを失うしなった人ひとは，長ながい間あいだ大おおきな喪そう失しつ感かんを感かんじます。突とつ然ぜん夫おっとを亡なくしたポーラ *はこう言いいます。「大おおきなショックで，力ちからが抜ぬけてしまいました。いちばんの友ともがいなくなってしまったのです。夫おっとには何なんでも話はなせました。うれしいことがあると一いっ緒しょに喜よろこび，つらい時ときには支ささえてくれました。悩なやみもよく聞きいてくれました。夫おっとがいなくなり，体からだの一いち部ぶを失うしなったような気き持もちです」。

14-15. 配はい偶ぐう者しゃを亡なくした人ひとをどのように慰なぐさめられますか。

¹⁴ 配はい偶ぐう者しゃを亡なくした人ひとをどのように慰なぐさめられるでしょうか。何なにをどう言いえばよいか悩なやむかもしれません。それでも，こちらから話はなしかけることは大たい切せつです。先さきほどのポーラはこう言いいます。「人ひとの死しに直ちょく面めんすると，だれもが困こん惑わくします。不ふ用よう意いなことを言いって相あい手てを傷きずつけてしまうのではないかと心しん配ぱいするのです。でも，何なにも言いってもらえないほうが，もっとつらいです」。悲かなしんでいる人ひとは必かならずしも，気きの利きいたことを言いってほしいと思おもっているわけではありません。ポーラはこう言いいます。「友とも達だちが『本ほん当とうにつらいですね。わたしも残ざん念ねんです』と言いってくれるだけでもうれしかったです」。

¹⁵ 何なん年ねんか前まえに妻つまを亡なくしたウィリアムはこう述のべています。「兄きょう弟だい姉し妹まいが妻つまの思おもい出で話ばなしをしてくれる と，うれしくなります。妻つまが愛あいされ慕したわれていたことを感かんじ，本ほん当とうに慰なぐさめられます。妻つまはかけがえのない存そん在ざいで，わたしの人じん生せいの一いち部ぶだったからです」。夫おっとを亡なくしたビアンカはこう言いいます。「兄きょう弟だい姉し妹まいが一いっ緒しょに祈いのってくれたり，1つか2つの聖せい句くを読よんでくれたりすると，慰なぐさめられます。夫おっとの思おもい出で話ばなしを聞きくのも好すきです。わたしが夫おっとの思おもい出でを話はなす時ときに聞きいてもらえるのも，うれしいです」。

16. （ア）配はい偶ぐう者しゃを亡なくした兄きょう弟だい姉し妹まいは，どんな支ささえを必ひつ要ようとしていますか。（イ）ヤコブ 1章しょう27節せつによると，わたしたちにはどんな務つとめがありますか。

¹⁶ ルツは，夫おっとを亡なくしたナオミをずっと支ささえました。わたしたちも，配はい偶ぐう者しゃを亡なくした兄きょう弟だい姉し妹まいを支ささえ続つづけたいと思おもいます。先さきほどのポーラはこう言いいます。「夫おっとが亡なくなるとすぐ，大おお勢ぜいの兄きょう弟だい姉し妹まいが助たすけてくださいました。当とう然ぜんのことですが，時じ間かんがたつと，みんないつもの生せい活かつに戻もどっていきます。でもわたしの生せい活かつはすっかり変かわってしまいました。家か族ぞくを亡なくして悲かなしんでいる人ひとには，何なんか月げつも何なん年ねんも支ささえが必ひつ要ようです。それに気きづいてくれる人ひとがいると，とてもうれしいものです」。もちろん，状じょう況きょうの変へん化かに比ひ較かく的てき早はやく順じゅん応のうする人ひともいれば，最さい愛あいの人ひととかつて一いっ緒しょに行おこなっていたことをするたびに，つらい気き持もちになる人ひともいます。人ひとによって悲かなしみ方かたは異ことなります。いずれにしても，配はい偶ぐう者しゃを亡なくした人ひとを支ささえるという大たい切せつな機き会かいと務つとめをエホバが与あたえてくださっていることを，忘わすれないようにしましょう。（ヤコブ 1:27を読よむ。）

17. 配はい偶ぐう者しゃが出でて行いってしまった人ひとに支ささえが必ひつ要ようなのはなぜですか。

 ¹⁷ 配はい偶ぐう者しゃが出でて行いってしまったため，大おおきな苦くるしみやストレスを味あじわっている人ひともいます。ジョイスがそうでした。夫おっとが別べつの女じょ性せいの元もとに行いってしまったのです。ジョイスはこう言いいます。「離り婚こんは死し別べつよりつらいと思おもいました。夫おっとは事じ故こや病びょう気きで亡なくなったわけではありません。あえてわたしを捨すてたのです。とても傷きずつき，自じ尊そん心しんを失うしないました」。

18. 配はい偶ぐう者しゃがいなくなった人ひとをどのように助たすけることができますか。

¹⁸ 配はい偶ぐう者しゃがいなくなった人ひとにちょっとした親しん切せつを示しめすことで，愛あいを表あらわすことができます。そのような人ひとは特とくに，良よい友ともを必ひつ要ようとしています。（箴しん 17:17）どうすれば良よい友ともになれますか。簡かん単たんな食しょく事じに招しょう待たいできるかもしれません。一いっ緒しょに楽たのしい時ときを過すごしたり，野や外がい宣せん教きょうを行おこなったりするのもよいでしょう。時とき折おり，家か族ぞくの崇すう拝はいに招まねくこともできます。そのような親しん切せつを示しめすなら，エホバは喜よろこんでくださいます。エホバは「心こころの打うち砕くだかれた者ものたちの近ちかくにおられ」，「やもめの裁さばき主ぬし[または，やもめを保ほ護ごする方かた]」だからです。（詩し 34:18; 68:5）

19. ペテロ第だい一いち 3章しょう8節せつでは，どんなことが勧すすめられていますか。あなたはどんな決けつ意いを抱いだいていますか。

¹⁹ 神かみの王おう国こくは間まもなく，地ちを治おさめ始はじめます。その時とき，すべての「苦く難なんは……忘わすれられ」ます。「以い前ぜんのことは思おもい出だされることも，心こころの中なかに上のぼることもない」のです。わたしたちはその時ときを心こころ待まちにしています。（イザ 65:16，17）それまでの間あいだ，仲なか間まを支ささえ，言こと葉ばと行おこないですべての兄きょう弟だい姉し妹まいに愛あいを表あらわしましょう。（ペテロ第だい一いち3:8を読よむ。）