サタンのわなに決してかからないようにしましょう
イスラエル人は間もなくヨルダン川を渡り,神から約束されていた土地に入ろうとしていました。そこへ外国の女性たちがやって来ます。イスラエル人の男性たちをパーティーに誘いに来たのです。わくわくするような機会です。新たな出会い,ダンス,豪華な食事が待っています。その女性たちのモラルや慣習は,神がイスラエル人に与えた律法に反しています。しかし,イスラエル人の男性の中には,こう考えた人がいたかもしれません。「自分は大丈夫。気をつけるから」。
その後に起きたことについて,聖書はこう述べています。「民はモアブの娘たちと不道徳な関係を持ち始めた」。モアブの女性たちは,イスラエル人の男性たちに偽りの神々を崇拝させようとしていました。彼らはそのわなにかかってしまいました。「エホバの怒りがイスラエルに対して燃え立った」のも当然です。(イスラエル人は2つの点で神の律法に違反しました。偶像に身をかがめ,性的不道徳を犯しました。この不従順な行為のために非常に多くの人が命を落としました。(出 20:4,5,14。申 13:6-9)タイミングの点でも悲惨でした。神の律法に背いていなければ,あと少しでヨルダン川を渡り,約束の地に入ることができたのです。(民 25:5,9)
この出来事について,使徒パウロはこう書いています。「これらの事は例として彼らに降り懸かったのであり,それが書かれたのは,事物の諸体制の終わりに臨んでいるわたしたちに対する警告のためです」。(コリ一 10:7-11)サタンは,イスラエル人が重大な罪を犯し,約束の地に入る資格を失ったのを見て,大喜びしたに違いありません。ですから,パウロの警告を心に留めましょう。サタンは,わたしたちが神の新しい世に入れないようにしたいと思っているからです。
危険なわな
サタンは,今までうまくいった方法を使ってクリスチャンをえじきにしようとしています。すでに考えたとおり,イスラエル人には性的不道徳という策略を使いました。これは今でも危険なわなです。中でもポルノには強い力があります。
今日,ポルノはだれにも気づかれずに見ることができます。以前は,ポルノを上映している映画館や,成人向けの雑誌などを売る店に行かなければなりませんでした。その場にいるのを見られたら恥ずかしい,という理由でポルノを見なかった人も多かったでしょう。でも今ではインターネットがあるので,仕事場でも車の中でも見ることができます。多くの国では男性も女性も自宅でポルノを見ています。
それだけではありません。スマートフォンやタブレットを使えば,歩きながらでも,バスや電車の中でも,簡単にポルノを見ることができます。
ポルノを見ることも,見ていることを隠すのも簡単になったので,かつてないほど多くの人がポルノの害を受けています。夫婦の絆が弱まり,自尊心や良心が損なわれています。もっと悪いことに,神との友情を失う危険もあります。確かにポルノは有害です。ポルノは見る人の感情や考え方に,いわば深い傷をつけます。その傷は徐々に治るかもしれませんが,傷痕が消えない場合もあります。
エホバは,ポルノというサタンのわなからわたしたちを守ってくださいます。しかし,守っていただくには,エホバの声に「固く従[う]」必要があります。イスラエル人はそうしませんでした。(出 19:5)わたしたちは,エホバがポルノを強く憎んでおられることを覚えておかなければなりません。なぜですか。
エホバに倣い,ポルノを憎む
エホバがイスラエル国民に与えた律法は,他の国の法典とは全く異なっていました。律法は,周りの国民の悪い行ないが入り込むのを防ぐ,壁のようでした。(申 4:6-8)律法を読むと,エホバが性的不道徳を憎まれるという重要な真理がはっきり分かります。
エホバは近隣の国民の倒錯行為に注意を向け,イスラエル人にこう言われました。「わたしがあなた方を携え入れるカナンの地の風習に従って[は]レビ 18:3,25)
ならない。……その地は汚れており,わたしはそのとがのゆえにそれに処罰を加え[る]」。カナン人のライフスタイルがあまりにも堕落していたため,イスラエルの聖なる神エホバから見て,カナン人の土地は不潔で汚れたものだったのです。(エホバはカナン人を処罰しましたが,他の国民は性的に不道徳なことを行ない続けました。1500年ほど後,パウロは当時のクリスチャンが,「いっさいの道徳感覚を通り越し」た人たちの間で生活していると述べました。人々は,「貪欲にもあらゆる汚れを行なおうとして,身をみだらな行ないにゆだね」ていました。(エフェ 4:17-19)今日でも,不道徳なことを平気で行なう人が大勢います。エホバを崇拝する人は,不道徳なものが目に入ってくる時,すぐに目を背けるべきです。
ポルノは神に対する冒瀆です。エホバはご自分に似た者として人間を造り,正邪の感覚を与えました。エホバは,性関係に関する道理にかなった制限を設けました。夫婦だけが性関係を楽しむようにされたのです。(創 1:26-28。箴 5:18,19)ポルノを制作したり広めたりする人々は,エホバの道徳規準を完全に無視しています。ポルノを広めるのはエホバに対する不敬な行為です。エホバの規準を無視して,不道徳な内容のものを制作したり広めたりする人々は,エホバから処罰されます。(ロマ 1:24-27)
では,ポルノを読んだり見たりすることについてはどうでしょうか。エンターテインメントとして楽しむ分には問題はない,と考える人もいます。しかし,そのように考えるなら,エホバの規準を無視してポルノを広めている人たちを,ある意味でサポートしていることになります。そんなつもりはない,と言う人もいるでしょう。とはいえ,エホバを崇拝する人がポルノを強く憎むべきであることは明らかです。聖書は,「エホバを愛する者たちよ,悪を憎め」と命じています。(詩 97:10)
ポルノを見ないようにしようと思ってはいても,そのことを難しく感じることがあるかもしれません。不完全なわたしたちは皆,汚れた性的欲望と闘わエレ 17:9)でも,この闘いに勝ち,エホバに仕えている人は大勢います。そのことは,今ポルノと闘っている人にとって励みになるでしょう。では,サタンのわなであるポルノを避けるうえで,聖書はどのように役立ちますか。
なければなりません。時には,心の声が「少しくらいなら大丈夫」とささやくかもしれません。(不道徳な事柄を考え続けない
多くのイスラエル人は悪い欲望を募らせて性的不道徳を犯し,命を失ってしまいました。今の時代にも,こうしたことは起こり得ます。イエスの異父兄弟ヤコブはこう述べています。「おのおの自分の欲望に引き出されて誘われる……のです。次いで欲望は,はらんだときに,罪を産みます」。(ヤコ 1:14,15)悪い欲望を心の中で膨らませるなら,やがて罪を犯してしまうでしょう。ですから,不道徳な考えが頭に浮かんだなら,考え続けるのではなく,すぐに払いのけましょう。
直ちに行動することは大切です。イエスはこう言いました。「もしあなたの手か足があなたをつまずかせているなら,それを切り離して捨て去りなさい。……また,もしあなたの目があなたをつまずかせているなら,それをえぐり出して捨て去りなさい」。(マタ 18:8,9)イエスは,文字どおり体を傷つけるよう勧めていたのではありません。罪を犯させかねないものを速やかに取り除くよう教えていたのです。イエスのアドバイスをどのように当てはめられますか。
ポルノが目に入る時,「自分は大丈夫」と考えてはなりません。すぐに目を背けましょう。テレビをすぐに消してください。コンピューターやスマートフォンをすぐにシャットダウンしましょう。思いを切り替えて,清い事柄を考えましょう。そうすれば,自分の考え方をコントロールでき,悪い欲望にコントロールされずに済みます。
不道徳な映像が頭に浮かぶ時
ポルノを見るのをやめることができたとしても,以前に見た映像が頭に浮かぶことがあるかもしれ
ません。ポルノの映像や描写は脳裏に焼き付き,かなりの期間がたってからも不意に思い浮かぶことがあります。そのような時,衝動に負けてマスターベーションなどの汚れた行ないをしてしまうかもしれません。そのような場合に備えて何ができるでしょうか。エホバが望まれるとおりに考え,行動することを固く決意してください。パウロに倣いましょう。パウロは,「自分の体を打ちたたき,奴隷として引いて行[き]」ました。(コリ一 9:27)汚れた欲望にコントロールされてはなりません。「思いを作り直すことによって自分を変革し……,神の善にして受け入れられる完全なご意志を自らわきまえ知る」ようにしましょう。(ロマ 12:2)本当の喜びは,罪深い衝動を満足させることではなく,エホバが望まれるとおりに考え,行動する時に得られるのです。
本当の喜びは,罪深い衝動を満足させることではなく,エホバが望まれるとおりに考え,行動する時に得られる。
聖句を覚えましょう。良くない考えが頭に浮かんだなら,覚えた聖句を思い巡らしてください。詩編 119編37節,イザヤ 52章11節,マタイ 5章28節,エフェソス 5章3節,コロサイ 3章5節,テサロニケ第一 4章4-8節などです。このような聖句は,ポルノに対してエホバと同じ見方をし,エホバの望まれる行動を取るうえで役立つでしょう。
不道徳な事柄を見たり考えたりする欲望が非常に強くなったら,どうしますか。イエスの手本にしっかり従いましょう。(ペテ一 2:21)イエスがバプテスマを受けた後,サタンはイエスを誘惑し続けました。イエスはどうしましたか。抵抗し続けました。聖句を引用しながらサタンの誘惑を退けました。イエスが「サタンよ,離れ去れ!」と言った時,サタンは離れていきました。サタンとの闘いをやめなかったイエスに倣いましょう。(マタ 4:1-11)サタンとサタンの世は,不道徳なことを考えさせようとしますが,闘いをやめてはなりません。ポルノとの闘いに勝つことは可能です。エホバの助けがあれば,敵を打ち負かすことができるのです。
エホバに祈り,従う
エホバに助けを求め,真剣に祈りましょう。パウロはこう述べています。「あなた方の請願を神に知っていただくようにしなさい。そうすれば,一切の考えに勝る神の平和が,あなた方の心と知力を,キリスト・イエスによって守ってくださるのです」。(フィリ 4:6,7)わたしたちが罪と闘っている時にも,神は平穏な気持ちを持てるよう助けてくださいます。エホバに近づくなら,エホバもわたしたちに「近づいてくださいます」。(ヤコ 4:8)
宇宙の主権者であるエホバとの親しい関係を保っているなら,様々な危険から守られます。イエスはこう言いました。「世の支配者[サタン]が来ようとしてい[ま]す。そして,彼はわたしに対して何の力もありません」。(ヨハ 14:30)そう言い切ることができたのはなぜでしょうか。イエスはある時,次のように述べました。「わたしを遣わした方は共にいてくださいます。わたしを独りだけにして見捨てたりはされませんでした。わたしは常に,その方の喜ばれることを行なうからです」。(ヨハ 8:29)エホバに喜ばれることを行なうなら,エホバはあなたのことも独りにしたりはしません。サタンのわなであるポルノを避けましょう。闘いを続ける限り,サタンに打ち負かされることはないのです。