1. 不ふ安あんの原げん因いんにはどんなものがありますか。不ふ安あんを抱いだくと，どう考かんがえてしまうかもしれませんか。

不ふ安あん *に悩なやまされたことがありますか。誰だれかに言いわれたりされたりしたことで傷きずついたからですか。自じ分ぶんが言いったり行おこなったりした事こと柄がらを考かんがえて不ふ安あんになることもあります。もしかしたら，何なにかの過あやまちを犯おかして，エホバに許ゆるしていただけないと思おもい悩なやんでいるでしょうか。不ふ安あんに圧あっ倒とうされているのは，信しん仰こうが足たりず，駄だ目めな人にん間げんだからだ，と考かんがえる人ひともいます。この考かんがえ方かたは正ただしいでしょうか。

2. 信しん仰こうが強つよい人ひとでも不ふ安あんを抱いだくことがあります。どんな例れいがありますか。

² 聖せい書しょ中ちゅうの例れいを取とり上あげましょう。後のちに預よ言げん者しゃサムエルの母はは親おやとなったハンナは，強つよい信しん仰こうを持もっていました。それでも，家か族ぞくの1人ひとりからひどい扱あつかいを受うけたために不ふ安あんを抱かかえました。（サム一いち 1:7）使し徒とパウロも強つよい信しん仰こうを抱いだいていましたが，「全すべての会かい衆しゅうについての心しん配ぱい」がのしかかっていました。（コリ二に 11:28）ダビデ王おうも強つよい信しん仰こうを持もつ人ひとで，エホバにとても愛あいされていました。（使し徒と 13:22）しかし，自じ分ぶんの過あやまちのせいで思おもい悩なやんだ時じ期きがあります。（詩し 38:4）エホバはこの3人にんを安あん心しんさせ，落おち着つかせました。3人にんの例れいから何なにを学まなべますか。

3. 人ひとに言いわれることが不ふ安あんの原げん因いんになる，どんな例れいがありますか。

³ 誰だれかにきついことを言いわれたり不ふ親しん切せつなことをされたりすると，不ふ安あんになります。親したしい友ともや親しん族ぞくからそのような扱あつかいを受うけると，特とくにこたえます。気き持もちが晴はれず，もう仲なか良よくやっていけないかも，と感かんじます。中なかには，悪わる気ぎなく傷きずつけるようなことを言いう人ひとがいます。剣つるぎで突つき刺さされたと感かんじるでしょう。（格かく 12:18）わざと傷きずつけるようなことを言いう人ひともいます。ある若わかい姉し妹まいは，そのような経けい験けんをしました。「数すう年ねん前まえ，仲なか良よくしていた子こがネット上じょうで私わたしのことを中ちゅう傷しょうするようになりました。傷きずつき，悲かなしくなりました。そんなことを平へい気きでできるのが信しんじられませんでした」。親したしい友ともや親しん族ぞくに傷きずつけられたことがあるなら，ハンナから大たい切せつな点てんを学まなべます。

4. ハンナはどんな問もん題だいを抱かかえていましたか。

⁴ ハンナは幾いくつかの難むずかしい問もん題だいを抱かかえていました。長ながい間あいだ，子こ供どもができませんでした。（サム一いち 1:2）昔むかしのイスラエルでは，子こ供どもができないのは神かみから災わざわいを受うけているからだ，と考かんがえられていました。ハンナにとって屈くつ辱じょく的てきなことでした。（創そう 30:1，2）しかも，夫おっとのもう1人ひとりの妻つまペニンナには子こ供どもがいました。ペニンナはハンナをライバルと見みて，「傷きずつけようとして……しきりにあざけ[り]」ました。（サム一いち 1:6）初はじめのうち，ハンナは参まいってしまっていました。つら過すぎて，「泣ないて，食しょく事じをしようと」せず，「非ひ常じょうに苦くるしんで」いました。（サム一いち 1:7，10）ハンナはどうしましたか。

5. ハンナは祈いのった後のち，どうなりましたか。

⁵ ハンナはエホバに祈いのり，気き持もちを全すべて打うち明あけました。祈いのった後あと，大だい祭さい司しエリに事じ情じょうを説せつ明めいしました。するとエリは言いいます。「安あん心しんして行いきなさい。あなたが願ねがい求もとめたことをイスラエルの神かみがかなえてくださいますように」。どうなりましたか。ハンナは「そこを離はなれて，食しょく事じをした。もう沈しずんだ顔かおではなかった」とあります。 （サム一いち 1:17，18）ハンナは祈いのったので，気き持もちが落おち着つきました。

6. 祈いのりについてハンナから何なにを学まなべますか。また，フィリピ 4章しょう6，7節せつから何なにを学まなべますか。

⁶ 粘ねばり強づよく祈いのるなら気き持もちが落おち着つきます。ハンナは天てんのお父とうさんに長ながく祈いのりました。（サム一いち 1:12）私わたしたちも，不ふ安あんや恐おそれや自じ分ぶんの弱よわさについて，じっくり祈いのることができます。祈いのりの言こと葉ばが詩しのようにきちんと整ととのっているかどうかを気きにする必ひつ要ようはありません。苦くるしい胸むねの内うちを語かたりながら涙なみだし，言こと葉ばが続つづかないこともあるでしょう。そういう時ときでも，エホバはひたすら耳みみを傾かたむけてくださいます。悩なやみについて祈いのるだけでなく，フィリピ 4章しょう6，7節せつのアドバイスを心こころに留とめる必ひつ要ようもあります。（読よむ。）パウロは感かん謝しゃの祈いのりを捧ささげるようにと，はっきり述のべています。エホバに感かん謝しゃできることはたくさんあります。命いのちを与あたえ，数かず々かずの美うつくしいものを創そう造ぞうし，揺ゆるぎない愛あいを示しめし，素す晴ばらしい希き望ぼうを与あたえてくださいました。ほかにもハンナから学まなべることがありますか。

7. ハンナは夫おっとと共ともにどんなことを習しゅう慣かんにしていましたか。

⁷ ハンナは悩なやみを抱かかえていましたが，エホバを崇すう拝はいする場ば所しょがあるシロに夫おっとと共ともに行いくことを習しゅう慣かんにしていました。（サム一いち 1:1-5）ハンナは大だい祭さい司しエリから，エホバが祈いのりをかなえてくださいますように，と言いってもらえました。ハンナは幕まく屋やに来きていたので，そのような励はげましが得えられ，慰なぐさめられました。（サム一いち 1:9，17）

8. 集しゅう会かいに出しゅっ席せきするとどんな助たすけが得えられますか。

⁸ 集しゅう会かいに出しゅっ席せきし続つづけるなら気き持もちが落おち着つきます。集しゅう会かいを始はじめる際さいの祈いのりではよく，聖せいなる力ちからが注そそがれることを願ねがいます。平へい和わは聖せいなる力ちからが生うみ出だすものの1つです。（ガラ 5:22）ストレスを感かんじていても集しゅう会かいに出しゅっ席せきするなら，エホバと兄きょう弟だい姉し妹まいから励はげましが得えられ，気き持もちが穏おだやかになります。祈いのりと集しゅう会かいは，エホバが私わたしたちの気き持もちを落おち着つかせるための大たい切せつな手しゅ段だんです。（ヘブ 10:24，25）ハンナから学まなべるもう1つの点てんを取とり上あげましょう。

9. ハンナの場ば合あい，どんな状じょう況きょうは変かわりませんでしたか。どのようにしてから気き持もちが楽らくになりましたか。

⁹ ハンナの場ば合あい，不ふ安あんの原げん因いんはすぐにはなくなりませんでした。幕まく屋やでエホバを崇すう拝はいしてから家いえに帰かえると，ペニンナとのいつもの生せい活かつが待まっていました。ペニンナが態たい度どを改あらためたとは，聖せい書しょには書かかれていません。ですから，わざと傷きずつけるようなことを言いわれるのを耐たえなければならなかったでしょう。それでもハンナは気き持もちが楽らくになりました。注ちゅう目もくできるのは，エホバを信しん頼らいしたため，不ふ安あんに圧あっ倒とうされないで済すんだことです。エホバがハンナを安あん心しんさせ，落おち着つかせました。やがて祈いのりが聞きかれ，ハンナも子こ供どもを持もつことができました。（サム一いち 1:19，20; 2:21）

10. ハンナの例れいからどんなことを学まなべますか。

¹⁰ 不ふ安あんの原げん因いんがなくならないとしても，穏おだやかな気き持もちでいられます。真しん剣けんに祈いのり，集しゅう会かいに欠かかさず出しゅっ席せきしていても問もん題だいが続つづくことがあります。それでもハンナの例れいから分わかるように，エホバが心こころを落おち着つかせてくださいます。エホバは私わたしたちのことを忘わすれません。忠ちゅう実じつに仕つかえ続つづけるなら，必かならず報むくいてくださいます。（ヘブ 11:6）

11. パウロはどんなことに不ふ安あんを抱いだいたかもしれませんか。

¹¹ パウロも不ふ安あんの要よう因いんを幾いくつも抱かかえていました。兄きょう弟だい姉し妹まいのことを深ふかく愛あいしていたパウロは， 仲なか間まが抱かかえていた問もん題だいを自じ分ぶんのことのように感かんじていました。（コリ二に 2:4; 11:28）伝でん道どうした時ときには，反はん対たい者しゃたちに殴おう打だされ，拘こう禁きんされました。「貧まずしい生せい活かつ」も経けい験けんし，不ふ安あんの要よう因いんとなったことでしょう。（フィリ 4:12）さらに，少すくなくとも3度ど難なん船せんしているので，船ふねに乗のるたびに不ふ安あんになったとしても不ふ思し議ぎではありません。（コリ二に 11:23-27）パウロはどのように対たい処しょしましたか。

12. パウロはどのようにして気き持もちが楽らくになりましたか。

¹² パウロは難むずかしい状じょう況きょうにある兄きょう弟だい姉し妹まいのことを心しん配ぱいしていましたが，自じ分ぶんで全すべて何なんとかしようとは考かんがえませんでした。慎つつしみがあったので，他たの兄きょう弟だいたちに会かい衆しゅうの世せ話わをお願ねがいしました。テモテやテトスといった信しん頼らいできる兄きょう弟だいに権けん限げんを委ゆだねました。それらの兄きょう弟だいに助たすけてもらえたので，気き持もちが楽らくになったことでしょう。（フィリ 2:19，20。テト 1:1，4，5）

13. 長ちょう老ろうはどのようにパウロに倣ならえますか。

¹³ 助たすけを求もとめましょう。今こん日にち，多おおくの長ちょう老ろうはパウロのように仲なか間まを思おもいやり，試し練れんに遭あっている兄きょう弟だい姉し妹まいのことを深ふかく気きに掛かけています。しかし，長ちょう老ろう1人ひとりにできる事こと柄がらは限かぎられています。慎つつしみがあれば，資し格かくを持もつ兄きょう弟だいたちと責せき任にんを分ぶん担たんします。また，若わかい兄きょう弟だいたちを訓くん練れんし，神かみの羊ひつじを世せ話わしてもらえるようにします。（テモ二に 2:2）

14. パウロはどんなことを心しん配ぱいしませんでしたか。パウロから何なにを学まなべますか。

¹⁴ 支ささえが必ひつ要ようなことを認みとめましょう。パウロは謙けん遜そんだったので，自じ分ぶんから友ともに頼たのんで励はげましてもらいました。友ともの支ささえが力ちからになったことを認みとめるなら弱よわい人ひとと見みられてしまう，と心しん配ぱいしたりはしませんでした。フィレモンに対たいしてこう書かいています。「あなたの愛あいについて聞きき，私わたしはとてもうれしくなり，慰なぐさめられました」。（フィレ 7）パウロは，たいへんな時ときに力ちからづけ，助たすけてくれた兄きょう弟だいたちの名な前まえをほかにも挙あげています。（コロ 4:7-11）私わたしたちも，助たすけが必ひつ要ようであることを謙けん遜そんに認みとめるなら，兄きょう弟だい姉し妹まいは喜よろこんで支ささえてくれるでしょう。

15. パウロは気き持もちが張はり詰つめる状じょう況きょうで，どのようにして慰なぐさめを得えましたか。

¹⁵ 聖せい書しょから力ちからを得えましょう。パウロは聖せい書しょから慰なぐさめを得えられることを知しっていました。（ロマ 15:4）聖せい書しょからは知ち恵えも得えられ，そのおかげでどんな試し練れんにも立たち向むかうことができます。（テモ 二に 3:15，16）パウロはローマで2度ど目めに拘こう禁きんされた時とき，もうすぐ処しょ刑けいされるということを察さっしました。気き持もちが張はり詰つめる状じょう況きょうで，どうしましたか。テモテにすぐ来きてくれるよう頼たのみ，「巻まき物もの」を持もってきてほしいとも言いいました。（テモ二に 4:6，7，9，13）何なんのためですか。「巻まき物もの」はヘブライ語ご聖せい書しょの一いち部ぶだったと思おもわれます。自じ分ぶんで聖せい書しょを学まなぶために使つかいたかったのでしょう。パウロに倣ならい，聖せい書しょを学まなぶことを習しゅう慣かんにしましょう。そうすれば，どんな試し練れんに遭あっても，エホバは聖せい書しょを使つかって私わたしたちを落おち着つかせてくださいます。

16. ダビデはどんなことで苦く悩のうしましたか。

¹⁶ ダビデは良りょう心しんにさいなまれました。それも当とう然ぜんです。バテ･シバと姦かん淫いんを犯おかし，バテ･シバの夫おっとを死しなせ，自じ分ぶんの悪あく事じを覆おおい隠かくそうとしていたからです。（サム二に 12:9）初はじめは良りょう心しんの声こえを押おし殺ころそうとしました。そのため，エホバとの絆きずなが損そこなわれ，心こころも体からだも疲つかれ果はてました。（詩し 32:3，4）自じ分ぶんの失しっ敗ぱいのために苦く悩のうしたダビデは，どのように対たい処しょしましたか。私わたしたちも重じゅう大だいな過あやまちを犯おかした場ば合あい，どうすればよいでしょうか。

17. 詩し編へん 51編ぺん1-4節せつのどんな表ひょう現げんから，ダビデが罪つみを心こころから悔くいていたことが分わかりますか。

¹⁷ 許ゆるしを求もとめて祈いのりましょう。ダビデはやがて，エホバに祈いのりました。罪つみを心こころから悔くいて，自じ分ぶんがしたことを全すべて告こく白はくしました。（詩し編へん51:1-4を読よむ。）そうしてついに，心こころが安やすらぎました。（詩し 32:1，2，4，5）重じゅう大だいな罪つみを犯おかしたなら，覆おおい隠かくそうとしてはなりません。エホバに祈いのり，罪つみを告こく白はくしましょう。良りょう心しんに責せめられていたなら，気き持もちが少すこし楽らくになるでしょう。でもエホバとの友ゆう情じょうを修しゅう復ふくするには，祈いのるだけでは十じゅう分ぶんではありません。

18. ダビデは矯きょう正せいされた時とき，どうしましたか。

¹⁸ 矯きょう正せいを受うけ入いれましょう。エホバは預よ言げん者しゃナタンを遣つかわしてダビデの罪つみを暴あばきました。ダビデは自じ分ぶんを正せい当とう化かしたり，罪つみを軽かるく見みたりはしませんでした。自じ分ぶんの行こう動どうがバテ･シバの夫おっとに対たいする罪つみであるばかりか，エホバに対たいする罪つみであることをすぐに認みとめました。ダビデはエホバからの矯きょう正せいを受うけ入いれました。エホバはダビデを許ゆるしました。（サム二に 12:10-14）重じゅう大だいな罪つみを犯おかしたなら，私わたしたちを世せ話わするためエホバから任にん命めいされた人ひとたちに助たすけを求もとめる必ひつ要ようがあります。 （ヤコ 5:14，15）自じ分ぶんを正せい当とう化かしたくなる気き持もちを抑おさえましょう。与あたえられる矯きょう正せいを受うけ入いれて実じっ行こうすれば，それだけ早はやく平へい和わと喜よろこびを取とり戻もどせます。

19. 私わたしたちは，どんなことを決けつ意いする必ひつ要ようがありますか。

¹⁹ 同おなじ過あやまちを繰くり返かえさないことを決けつ意いしましょう。ダビデは，同おなじ罪つみを繰くり返かえさないためにはエホバの助たすけが必ひつ要ようであることを知しっていました。（詩し 51:7，10，12）エホバに許ゆるされた後あとは，良よくないことを考かんがえ続つづけたりはしないと決けつ意いしました。こうして気き持もちが楽らくになりました。

20. エホバから許ゆるされることの価か値ちを認みとめている人ひとは，どのように行こう動どうしますか。

²⁰ エホバから許ゆるされることの価か値ちを認みとめている人ひとは，許ゆるしを求もとめて祈いのり，矯きょう正せいを受うけ入いれ，同おなじ過あやまちを繰くり返かえさないことを決けつ意いします。この3つのステップを踏ふむなら，気き持もちが楽らくになります。重じゅう大だいな罪つみを犯おかしたジェームズという兄きょう弟だいは，この通とおりであることを知しりました。こう言いっています。「罪つみを長ちょう老ろうたちに告こく白はくした時とき，肩かたの荷にが下おりたように感かんじました。気き持もちが楽らくになりました」。次つぎの言こと葉ばは大おおきな励はげみとなります。「エホバは心こころが傷きずついた人ひとのそばにいる。打うちのめされた人ひとを救すくってくださる」。（詩し 34:18）

21. エホバはどのように私わたしたちの心こころを落おち着つかせてくださいますか。

²¹ 今いまの終おわりの時じ代だいは，もうすぐ終おわります。それまでの間あいだ，不ふ安あんの原げん因いんは増ふえていくでしょう。不ふ安あんな気き持もちになる時ときは，すぐエホバに助たすけを求もとめて祈いのりましょう。聖せい書しょをよく学まなんでください。ハンナ，パウロ，ダビデの手て本ほんに倣ならいましょう。「自じ分ぶんがなぜ不ふ安あんなのか教おしえてください」と天てんのお父とうさんに祈いのりましょう。（詩し 139:23）自じ分ぶんの力ちからではどうにもならない重おも荷にをエホバに委ゆだねてください。そうすれば，エホバに向むかって歌うたった詩し編へん作さく者しゃと同おなじ経けい験けんができます。「心しん配ぱい事ごとで圧あっ倒とうされそうな時とき，あなたは私わたしを安あん心しんさせ，落おち着つかせてくださった」。（詩し 94:19）