研究記事20

今の「北の王」は誰ですか

今の「北の王」は誰ですか

「ついに終わりを迎えます。彼を助ける者は誰もいません」。ダニエル 11:45

116番の歌 光は輝きを増す

を学ぶか *

1‐2. この記事では,どんなことを考えますか。

私たちは終わりの時代の最終部分に生きています。今の体制が間もなく終わるという証拠はそろっています。エホバとイエス・キリストは,神の王国に敵対する政府全てをもうすぐ滅ぼします。それまでの間,北の王と南の王は互いに対立し,エホバの民とも戦います。

2 この記事では,ダニエル 11章40節から12章1節の預言について考えます。まず,今の北の王は誰かということを取り上げます。今後何が起きるとしてもエホバが助けてくださる,と確信できる理由も考えます。

新しい北の王

3‐4. 新しい北の王は誰ですか。説明してください。

3 1991年にソビエト連邦が崩壊した後,その広い国土に住むエホバの民は「多少の助け」を得ました。一定の期間の自由を得たのです。(ダニ 11:34)その結果,自由に伝道できるようになり,旧ソ連の国々の伝道者数が大幅に増えました。やがて,ロシアとそれを支持する国々が北の王になりました。前の記事で学んだ通り,北の王や南の王の描写に当てはまる政府には,3つの特徴があります。(1)エホバの民に直接影響を与えます。(2)エホバとエホバの民に敵対します。(3)2人の王は対抗し合います。

4 ロシアとそれを支持する国々が今の北の王であるとなぜいえますか。(1)エホバの民に直接影響を与えてきました。伝道を禁止し,領土内の大勢の兄弟姉妹を迫害しています。(2)こうした行動は,エホバとエホバの民に対する憎しみの表れです。(3)南の王である英米世界強国と対抗してきました。ロシアとそれを支持する国々が北の王として行ってきた事柄を見てみましょう。

北の王と南の王が押し合う

5. ダニエル 11章40‐43節には,どの期間の事柄が記されていますか。何が起きますか。

5 ダニエル 11:40‐43を読む。この部分には,終わりの時に起きる事柄が大まかに記されています。北の王と南の王のせめぎ合いが描かれています。ダニエルが預言した通り,終わりの時に南の王は北の王と「角を突き合わせ[る]」かのように「押し合い」ます。(ダニ 11:40,脚注)

6. 2人の王はどのように押し合っていますか。

6 北の王と南の王は覇権争いを続けています。第2次世界大戦が終わった後に起きたことを考えましょう。ソビエト連邦とそれを支持する国々がヨーロッパの大部分を掌握すると,北の王のその行動に対抗して,南の王はNATO(北大西洋条約機構)と呼ばれる軍事同盟を結成します。北の王は南の王との軍備競争を続け,多くのお金をつぎ込んでいます。北の王はアフリカ,アジア,中南米などでの代理戦争や紛争という形で南の王と戦ってきました。近年,ロシアとそれを支持する国々は世界の国々に対する影響力を強めています。南の王に対するサイバー攻撃も行っています。どちらの王も,サイバー攻撃によって経済や政治を混乱させようとしているとして,相手を非難しています。さらに,ダニエルが預言した通り,北の王は今なおエホバの民を迫害しています。(ダニ 11:41

北の王は「美しい地」に入る

7. 「美しい地」とは何ですか。

7 ダニエル 11章41節には,北の王が「美しい地」に入ると述べられています。「美しい地」とは何ですか。聖書時代には,イスラエルの土地のことでした。その土地は「全ての土地の中で最も美し[い]」と見なされていました。(エゼ 20:6)でも,国土の美しさよりも重要な意味を持つのは,その土地でエホバが崇拝されていたことです。西暦33年のペンテコステの日以来,その「美しい地」が特定の場所を指すことはなくなりました。エホバを崇拝する民は世界中にいるからです。現在の「美しい地」は,エホバの民の活動を指しています。その活動には,集会や伝道という形でエホバを崇拝することが含まれます。

8. 北の王はどのようにして「美しい地」に入りましたか。

8 終わりの時代の間,北の王は「美しい地」に何度も入りました。ナチス・ドイツが北の王だった時,特に第2次世界大戦中,北の王はエホバの民を迫害し殺すことによって「美しい地」に入りました。第2次世界大戦後,北の王になったソビエト連邦は,エホバの民を迫害し,シベリアに追放することによって「美しい地」に入りました。

9. 近年,ロシアとそれを支持する国々はどのようにして「美しい地」に入っていますか。

9 近年,ロシアとそれを支持する国々も「美しい地」に入っています。どのようにですか。2017年,今の北の王はエホバの民の活動を禁止し,一部の兄弟姉妹を刑務所に入れました。「新世界訳」を含む私たちの出版物を禁書にすることもしました。さらに,ロシアの支部事務所,王国会館,大会ホールを差し押さえました。こうした行動を受けて,2018年に統治体は,ロシアとそれを支持する国々が北の王であることを示しました。しかし,エホバの民は強い迫害を受けても,政府を転覆させたり政権交代を求める反対運動に加わったりはしません。聖書の勧めに従い,「高い地位にいる人たち」について祈りを捧げます。その人たちが崇拝の自由に関わる決定を下そうとする時には,特にそうします。(テモ一 2:1,2

南の王は北の王によって倒されるのか

10. 南の王は北の王によって倒されますか。

10 ダニエル 11章40‐45節の預言は,北の王の活動に焦点を当てています。南の王は北の王によって倒されるのでしょうか。そうではありません。南の王は,エホバとイエスがハルマゲドンの戦いで人間の政府全てを滅ぼす時,まだ「生き[て]」います。(啓 19:20)なぜそういえますか。ダニエル書と「ヨハネへの啓示」に示されていることを考えてみましょう。

1つの石で表されている神の王国が,巨大な像で表されている人間の政府をハルマゲドンの時に終わらせる。(11節を参照。)

11. ダニエル 2章43‐45節では,どんなことについて述べられていますか。(表紙の絵を参照。)

11 ダニエル 2:43‐45を読む。ダニエルは,エホバの民に大きな影響を与えてきた一連の政府について述べています。それらの政府は,巨大な金属像の各部として描かれています。その像の足は鉄と粘土でできています。足は,人間の最後の政府,英米世界強国を表しています。この預言によれば,神の王国が人間の政府を打ち砕いて滅ぼす時,英米世界強国はまだ機能しています。

12. 野獣の7番目の頭は何を表していますか。このことに重要な意味があるのはなぜですか。

12 使徒ヨハネも,エホバの民に大きな影響を与えてきた一連の世界強国について述べています。ヨハネはそれらの政府を7つの頭がある野獣として描いています。野獣の7番目の頭は英米世界強国を表しています。このことには重要な意味があります。7番目の頭に続く頭はないからです。キリストと天の軍勢が7番目の頭を野獣ごと滅ぼす時,野獣の7番目の頭はまだ力を持っています。 *啓 13:1,2; 17:13,14

北の王は今後どんな行動を取るか

13‐14. 「マゴグの地のゴグ」とは誰ですか。何がエホバの民を攻撃するきっかけになるかもしれませんか。

13 エゼキエルの預言を調べると,北の王と南の王が迎える結末について手掛かりが得られます。エゼキエル 38章10‐23節,ダニエル 2章43‐45節,11章44節–12章1節,啓示 16章13‐16節,21節の預言は,同じ時期や出来事について述べているものと思われます。もしそうであれば,事態は次のように展開していくでしょう。

14 大患難が始まった後,「全世界の王たち」は諸国家の連合体を結成します。(啓 16:13,14; 19:19)この連合体は,聖書の言う「マゴグの地のゴグ」になります。(エゼ 38:2)諸国家の連合体は,エホバの民に対する最後の総攻撃を行います。何がきっかけで攻撃を行うのでしょうか。ヨハネはこの時に関する幻の中で,エホバに敵対する者たちの上に非常に大きなひょうが降るのを見ました。ひょうが降ることは,エホバの民が処罰に関する厳しいメッセージを伝えることを表しているのかもしれません。このメッセージがきっかけとなり,マゴグのゴグはエホバの民を一掃しようとして攻撃するのかもしれません。(啓 16:21

15‐16. (ア)ダニエル 11章44,45節は,どんなことについて述べているのかもしれませんか。(イ)北の王とマゴグのゴグを構成する他の国々はどうなりますか。

15 処罰に関する厳しいメッセージと,エホバに敵対する者たちによる最後の攻撃は,ダニエル 11章44,45節で述べられているのと同じ出来事なのかもしれません。(読む。)ダニエルは,北の王が「東と北からの知らせに動揺し,激怒して出陣」すると述べています。北の王は「多くの者を滅ぼし尽く」そうとします。「多くの者」はエホバの民を表しているものと思われます。 * ダニエルはエホバの民に対する最後の総攻撃について述べているのかもしれません。

16 北の王が他の政府と共にエホバの民を攻撃する時,全能の神は激怒します。こうしてハルマゲドンの戦いが始まります。(啓 16:14,16)ハルマゲドンの戦いにより,北の王は,マゴグのゴグを構成する他の国々と共に,終わりを迎えます。「彼を助ける者は誰もいません」。(ダニ 11:45

ハルマゲドンの戦いの時,イエス・キリストと天の軍勢は,サタンが支配する悪い世界を滅ぼし,エホバの民を救う。(17節を参照。)

17. ダニエル 12章1節の「偉大な長ミカエル」は誰のことですか。ミカエルは何をしますか。

17 ダニエル 12:1を読む。この節では,北の王とそれを支持する国々が滅ぼされ,私たちが救われることがさらに説明されています。どんなことが分かりますか。ミカエルは王として統治しているキリスト・イエスの別名です。ミカエルは,王国が天で設立された1914年から,エホバの「民のために立って」います。間もなく,ハルマゲドンの戦いの時に「立ち上がり」,重要な行動を起こします。(ダニ 12:1,脚注)ハルマゲドンの戦いは,ダニエルが史上最大の「苦難の時」と呼んだ期間の最後に起きることです。「ヨハネへの啓示」では,この「苦難の時」が「大患難」と呼ばれています。(啓示 6:2; 7:14

あなたの名前は「書に記され」るか

18. 今後起きる苦難について心配しなくてよいのはなぜですか。

18 ダニエルもヨハネも,エホバとイエスに仕える人たちが前例のない苦難の時を生き残ると述べています。ですから,私たちは穏やかな気持ちを保てます。ダニエルは,生き残る人たちの名前が「書に記され」ると述べています。(ダニ 12:1)どうすれば名前を書に記してもらえますか。神の子羊であるイエスに信仰を持っていることを示さなければなりません。(ヨハ 1:29)エホバに献身し,バプテスマを受ける必要があります。(ペテ一 3:21)エホバについて人々に知らせることにより,神の王国を支持していることを示さなければなりません。

19. 今,何をすべきですか。なぜですか。

19 今こそエホバへの信頼を強めるべき時です。エホバのために尽くす人たちから成る組織への信頼を強めるべき時です。神の王国を支持すべき時です。そうするなら,神の王国によって北の王と南の王が滅ぼされる時,私たちは救われます。

132番の歌 勝利の歌

^ 5節 今の「北の王」は誰ですか。どのように終わりを迎えますか。答えを知ると,信仰が強められ,これから間もなく経験する試練に備えることができます。

^ 15節 詳しくは「ものみの塔」2015年5月15日号29‐30ページを参照。