1. 神を畏れるとはどういうことですか。神を愛し，畏れる人は，どのように考えますか。

私たちは神を愛すると同時に，神を畏れます。矛盾していますか。神を畏れるとは，神に恐怖心を抱くということではありません。神に畏敬の気持ち，深い敬意を抱くことです。父エホバを悲しませてエホバとの友情を損なうようなことはしたくない，と考えます。（詩 111:10。格 8:13）

2. 詩編 86編11節のダビデの言葉に基づいて，どんな2つの点を考えますか。

² 詩編 86:11を読む。この言葉から分かるように，エホバに仕えたダビデは，エホバを畏れることの大切さを理解していました。私たちは，どうすればダビデが語った通りに行動できますか。この記事ではまず，神の名に畏敬の気持ちを抱くべき理由を考えましょう。次に，毎日の生活で神の名に畏敬の気持ちを抱いていることをどうすれば示せるかを考えます。

3. モーセはどんな体験を通してエホバの名に畏敬の気持ちを抱くことができましたか。

³ モーセは岩の裂け目に隠れ，エホバの栄光が通り過ぎるのを見た時，どんな気持ちになったでしょうか。「聖書に対する洞察」の本によれば，モーセが経験したことは，「イエス･キリストが到来する前のどんな人も経験できなかったような，畏怖の念を起こさせる経験」でした。モーセは，天使によって語られたと思われる，次の言葉を聞きました。「エホバ，エホバ，憐れみ深く，思いやりがある神，すぐに怒らず，揺るぎない愛に満ち，常に信頼できる。揺るぎない愛を幾千代までも示し，過ちと違反と罪を許す」。（出 33:17‐23; 34:5‐7）モーセはエホバの名を使うたびに，この時の出来事を思い起こしたことでしょう。モーセが後にエホバの民に，「この輝かしい崇高な名……を畏れ[る]」よう諭したのも理解できます。（申 28:58）

4. エホバのどんな性格について考えると，畏敬の気持ちが強まりますか。

⁴ エホバの名について考える時，エホバがどんな方かということもよく考える必要があります。エホバは力，知恵，公正，愛にあふれた方です。こうしたものをはじめとするエホバの性格について考えると，畏敬の気持ちが強まります。（詩 77:11‐15）

5‐6. （ア）神の名にはどんな意味がありますか。（イ）出エジプト 3章13，14節とイザヤ 64章8節によれば，エホバは望むことをどのように成し遂げますか。

⁵ 神の名にはどんな意味がありますか。エホバという名には「彼はならせる」という意味があるという見解に，多くの学者は同意しています。ですから，エホバはご自分の望むことを必ず成し遂げます。どのようにですか。

⁶ エホバは，決めたことを達成するため，必要などんなものにもなります。（出エジプト 3:13，14を読む。）このことをよく考え，エホバに対する畏敬の気持ちを深めるように，という勧めが与えられてきました。エホバはまた，不完全な人間がご自分に仕え，ご自分の望むことを行えるよう，どんなものにもならせることができます。（イザヤ 64:8を読む。）エホバは，この2つの方法で，ご自分の望むことを成し遂げます。エホバが決めたことを達成するのを，誰も阻めません。（イザ 46:10，11）

7. どうすればエホバに対する感謝の気持ちが深まりますか。

⁷ エホバがどんなものになってきたか，私たちをどんなものにならせてきたかを考えると，エホバに対する感謝の気持ちが深まります。エホバが造ったもの全てについて考えると，創造者であるエホバに対する畏敬の気持ちに打たれます。（詩 8:3，4）エホバの助けで行えた事柄を考えると，エホバに対する敬意が深まります。エホバの名は本当に崇高です。エホバの名には，エホバがこれまで行ってきたことや，これから行うこと全てが含まれます。（詩 89:7，8）

8. 申命 32章2，3節に書かれているように，エホバは自分の名がどのように扱われることを望んでいますか。

⁸ イスラエル人が約束の地に入る直前，エホバはモーセに，ある歌の言葉を教えました。（申 31:19）モーセはその歌を人々に教えるよう指示されました。（申命 32:2，3を読む。）2，3節の内容を考えると分かるように，エホバは自分の名が隠されることを望んでいません。とても神聖なので発音してはならない，とも考えていません。エホバは自分の名が全ての人に知られることを望んでいます。人々は，モーセからエホバとエホバの輝かしい名について教えられ，感動したことでしょう。草木に降る優しい雨にも似た教えを聞いて，力づけられ爽やかにされました。私たちはどうすればモーセのような教え方ができますか。

9. 私たちはどうすればエホバの名を神聖なものとすることができますか。

⁹ 家から家に，また公共エリアで伝道する時も，神の名がエホバであることを聖書を使って知らせましょう。エホバの素晴らしさについて伝える出版物，動画，公式ウェブサイトの情報を紹介できます。職場でも学校でも，出掛ける時にも，エホバについて話す機会を見つけられるでしょう。エホバが私たちのために，また地球に関して行う素晴らしい事柄について語れます。多くの人にとって，愛情深い神について初めて聞く機会になるかもしれません。私たちが愛する父エホバについて語る時，エホバの名を神聖なものとしていることになります。エホバの名を傷つける教えが一般に広まっている，ということを示せます。こうして人々を教えるなら，人々はほかでは得られない力や爽やかさを得ることができます。（イザ 65:13，14）

10. 聖書レッスンを行う時，神の基準や規則を教える以上のことが必要なのはなぜですか。

¹⁰ 聖書レッスンを行う時，学んでいる人がエホバの名を知って使うよう助けたいと思います。エホバがどんな方かを教えたいとも思います。では，私たちの行動に関するエホバの基準や規則を学ぶだけでエホバについて十分に知ることができますか。エホバの基準を学び，その価値を認める人もいるでしょう。でもだからといって，エホバを愛するゆえにエホバに従うようになるでしょうか。エバもアダムもエホバの指示を知っていましたが，エホバを心から愛してはいませんでした。（創 3:1‐6）ですから，神の基準や規則を教える以上のことが必要です。

11. エホバの基準や規則を教えるだけでなく，エホバを愛するよう，どのように助けることができますか。

¹¹ 確かに，エホバの基準や規則は良いものであり，私たちのためになります。（詩 119:97，111，112）でも，エホバの基準や規則の価値を理解するには，それらが愛の表れであるということを知る必要があります。聖書レッスンを行う際，こう尋ねることができます。「神がこのような指示を与えているのはなぜだと思いますか。エホバのどんな性格や考えが分かりますか」。聖書を学んでいる人の心を動かすため，エホバについて考え，エホバの輝かしい名を愛するよう助けましょう。エホバの基準を愛するだけでなく，基準を定めた方エホバを愛するよう助けるのです。（詩 119:68）そうするなら，信仰が強まり，厳しい試練に耐えられるでしょう。（コリ一 3:12‐15）

12. ダビデの心が分かれてしまった，どんな例がありますか。どんな結果になりましたか。

¹² 詩編 86編11節には，「私の心を一つにしてください」という意味深い表現もあります。神に導かれてダビデが書いた言葉です。ダビデは，自分の心が分かれてしまうという経験をしました。ある時，屋上から，1人の女性が体を洗っているのが見えました。ダビデの心は一つでしたか，分かれていましたか。ダビデは，「仲間の妻[を]……欲しいと思ってはならない」というエホバの基準を知っていました。（出 20:17）それでも，その女性を見続けたようです。ダビデの心は分かれてしまいました。エホバに喜ばれたいと思いながら，結婚していたバテ･シバを欲しいと思ったのです。それまでずっとエホバを愛し畏れていましたが，身勝手な欲望のままに行動しました。とても悪いことをしてしまいました。エホバの名をひどく傷つけました。罪のない人々にひどい損害をもたらし，自分の家族も苦しむことになりました。（サム二 11:1‐5，14‐17; 12:7‐12）

13. ダビデの心は再び一つになったといえるのはなぜですか。

¹³ ダビデはエホバから矯正を受け，再びエホバと親しくなれました。（サム二 12:13。詩 51:2‐4，17）心が分かれたため周囲に大きな危害を与え，自分も深く苦悩したことを忘れなかったでしょう。詩編 86編11節の言葉は，「分かれていない心を私に与えてください」とも訳せます。ダビデのこの願いはかなえられました。後にエホバは，ダビデの心は「全てがエホバ神に向いている」と聖書に記させました。（王一 11:4; 15:3）

14. どんなことを自問する必要がありますか。なぜですか。

¹⁴ ダビデの例は，励みになるとともに警告ともなります。ダビデが重大な罪を犯したことは，今エホバに仕えている人にとって警告となります。最近仕えるようになった人も，長年仕えてきた人も，「サタンが私の心を分かれさせようとする時，抵抗しているだろうか」と自問する必要があります。

15. 性的な欲望を刺激する画像を目にした時，神を畏れている人はどうしますか。

¹⁵ テレビやインターネットで性的な欲望を刺激する画像を目にしたら，どうしますか。ポルノではないので大丈夫，と考えますか。心を分かれさせようとするサタンの手口であることを見抜きますか。（コリ二 2:11）そのような画像は，大きな丸太を割る時に使う，金属製の小さなくさびのようです。まず，薄い刃の部分を丸太に刺します。それから，くさびを打ち込むと，丸太は割れます。性的な欲望を刺激する画像は，くさびの刃先のようです。無害に思える小さなことがきっかけで心が分かれ，あっという間に罪を犯してしまうことがあります。エホバへの忠誠心を捨ててしまうのです。ですから，良くないどんなものも心に入り込ませてはなりません。心を一つにし，一心にエホバの名を畏れましょう。

16. 誘惑される時，どんな点を考えるべきですか。

¹⁶ サタンはほかにもさまざまなものを使って誘惑し，悪いことを行わせようとします。私たちはどうしますか。「そんなに悪いことではないので大丈夫」と考えてしまいがちです。「排斥にはならないので大したことではない」と考えますか。こうした考え方はとても危険です。次のように考えてください。「サタンが私の心を分かれさせようとしているのではないか。誘惑に負けたら，エホバの名を傷つけてしまうのではないか。このように行動したらエホバと親しくなれるだろうか，それともエホバから遠ざかることになるだろうか」。正直な自己分析をするための知恵を祈り求めましょう。（ヤコ 1:5）そうすれば自分の身を守ることができます。イエスのように，誘惑をきっぱり退けることができます。イエスは「離れ去れ，サタン！」と言いました。（マタ 4:10）

17. 心が一つでないと，どんな弊害がありますか。

¹⁷ 心が一つでないと，どんな弊害がありますか。次のようなスポーツチームを想像してください。メンバーの仲が良くありません。自分だけ目立とうとする選手がいます。ルールを守らない選手もいます。コーチをばかにする選手もいます。このようなチームが試合に勝てるでしょうか。一方，チームが団結しているなら，勝つ見込みは上がります。自分の心の状態を，団結しているチームのようにしましょう。エホバに仕えるという1つの目標に，自分の考えや欲求や感情を合わせるのです。サタンは，私たちの心が分かれることを望んでいます。考えや欲求や感情がエホバの基準とぶつかることを望んでいます。エホバに仕えるには，心が一つになっていなければなりません。（マタ 22:36‐38）サタンに付け込まれ，心が分かれてしまうことがないようにしましょう。

18. ミカ 4章5節にはどんな決意が述べられていますか。あなたはどんなことを決意していますか。

¹⁸ ダビデのように，エホバにこう祈りましょう。「私の心を一つにしてください，私はあなたの名を一心に畏れます」。この祈りの通りに生活しましょう。毎日下す大小さまざまな決定に，エホバの聖なる名に対する深い畏敬の気持ちが表れるようにしましょう。そうすれば，エホバの証人としてエホバの名誉を守れます。（格 27:11）預言者ミカと同じように，次のように語れます。「私たちは，いつまでも永遠に，私たちの神エホバの名によって歩む」。（ミカ 4:5）