1-2. 贖あがないとは何なんですか。私わたしたちにそれが必ひつ要ようなのはなぜですか。

完かん全ぜんな人にん間げんアダムが罪つみを犯おかした時とき，アダムだけでなく，その子し孫そんも永えい遠えんに生いきるチャンスを失うしないました。アダムは意い図と的てきに罪つみを犯おかしたので，何なんの言いい訳わけをすることもできません。しかし，アダムの子し孫そんについてはどうでしょうか。子し孫そんはアダムの罪つみに何なんの責せき任にんもありません。（ロマ 5:12，14）アダムが死しぬのは当とう然ぜんのことでしたが，その子し孫そんを死しの宣せん告こくから救すくい出だす方ほう法ほうは何なにもないのでしょうか。あります。アダムが罪つみを犯おかした直ちょく後ごから，エホバはアダムの大おお勢ぜいの子し孫そんをどのように罪つみと死しの災わざわいから救すくい出だすかを徐じょ々じょに明あきらかにしていきました。（創そう 3:15）エホバはご自じ分ぶんが定さだめた時ときに独ひとり子ごを天てんから遣つかわすことにしました。独ひとり子ごが「多おおくの人ひとと引ひき換かえる贖あがないとして自じ分ぶんの命いのちを与あたえるため」です。（マル 10:45。ヨハ 6:51）

² 贖あがないとは何なんでしょうか。ギリシャ語ご聖せい書しょに出でてくる場ば合あい，それはアダムが失うしなったものを買かい戻もどすためにイエスが支し払はらった代だい価かのことを指さします。（コリ一いち 15:22）私わたしたちに贖あがないが必ひつ要ようなのはなぜでしょうか。モーセの律りっ法ぽうから分わかる通とおり，公こう正せいに関かんするエホバの基き準じゅんによれば，命いのちは命いのちで償つぐなう必ひつ要ようがあるからです。（出しゅつ 21:23，24）アダムは完かん全ぜんな人にん間げんの命いのちを失うしないました。神かみの公こう正せいの基き準じゅんを満みたすために，イエスは完かん全ぜんな人にん間げんの命いのちを差さし出だしました。（ロマ 5:17）それでイエスは，贖あがないに信しん仰こうを抱いだく全すべての人ひとの「永えい遠えんの父ちち」となります。（イザ 9:6。ロマ 3:23，24）

3. ヨハネ 14章しょう31節せつと15章しょう13節せつによると，イエスが自じ分ぶんの完かん全ぜんな人にん間げんの命いのちを進すすんで差さし出だしたのはなぜですか。

³ イエスは，天てんのお父とうさんと私わたしたちへの深ふかい愛あいに動うごかされて，自じ分ぶん の命いのちを進すすんで差さし出だしました。（ヨハネ 14:31; 15:13を読よむ。）そして，最さい後ごまで忠ちゅう誠せいを保たもつことと，お父とうさんエホバの意い志しを成なし遂とげることを決けつ意いしていました。死しぬまで忠ちゅう実じつを保たもったのです。結けっ果かとして，エホバが意い図としていた人じん類るいと地ち球きゅうの本ほん来らいの姿すがたが実じつ現げんすることになります。神かみは，イエスが非ひ常じょうに苦くるしんで死しぬままにしました。その理り由ゆうについてこれから考かんがえます。また，贖あがないに深ふかく感かん謝しゃしていた聖せい書しょ筆ひっ者しゃヨハネの手て本ほんについて短みじかく考かんがえます。そして，エホバとイエスが私わたしたちに与あたえてくださった贖あがないに対たいする感かん謝しゃを示しめす方ほう法ほうと，その感かん謝しゃを深ふかめる方ほう法ほうについても考かんがえます。

4. イエスは，捕とらえられてから死しぬまでにどんな経けい験けんをしましたか。

⁴ イエスが人にん間げんとして過すごした最さい後ごの日ひについて考かんがえてみましょう。イエスは，天てん使しの大たい軍ぐんを呼よんで守まもってもらうこともできましたが，ローマの兵へい士したちに捕とらえられ，ひどい仕し打うちをされるままにしました。（マタ 26:52-54。ヨハ 18:3; 19:1）兵へい士したちはむちで打うちたたくことによって，イエスの体からだに幾いく筋すじもの深ふかい傷きずを負おわせます。そして，イエスの傷きずだらけの背せ中なかに重おもい杭くいを載のせて運はこばせます。イエスは処しょ刑けい場ば所しょに向むかって運はこび始はじめますが，すぐに力ちから尽つきてしまったため，そばにいた人ひとが代かわりに運はこぶよう命めいじられます。（マタ 27:32）イエスが処しょ刑けい場ば所しょに到とう着ちゃくすると，兵へい士したちはイエスの手てと足あしを杭くいにくぎ付づけにします。杭くいが立たてられると，体からだの重おもみでくぎを打うたれた所ところが裂さけ始はじめます。友ゆう人じんたちは深ふかく悲かなしみ，母ははマリアは涙なみだを流ながしています。一いっ方ぽう，ユダヤ人じんの支し配はい者しゃたちはイエスをあざけっています。（ルカ 23:32-38。ヨハ 19:25）イエスの苦くるしみは何なん時じ間かんも続つづきます。イエスの心しん臓ぞうと肺はいには非ひ常じょうに大おおきな負ふ担たんが掛かかり，息いきをするのも大たい変へんになります。そして，死しに至いたるまで忠ちゅう実じつを保たもったイエスは，苦くるしい息いきの中なか，エホバに向むかって最さい後ごの祈いのりを捧ささげます。その後あと，頭あたまを垂たれて息いきを引ひき取とります。（マル 15:37。ルカ 23:46。ヨハ 10:17，18; 19:30）イエスは痛いたみと屈くつ辱じょくに耐たえながら，ゆっくりと死しんでいったのです。

5. イエスにとって，どんな方ほう法ほうで処しょ刑けいされるかよりも，もっと気きに掛かかっていたこととは何なんですか。

⁵ イエスにとって，どんな方ほう法ほうで処しょ刑けいされるかよりも，もっと気きに掛かかることがありました。それは，どんな罪ざい状じょうで処しょ刑けいされるかということです。イエスは，神かみや神かみの名な前まえに敬けい意いを示しめさず冒ぼう瀆とくした，という偽いつわりの告こく発はつを受うけました。（マタ 26:64-66）このような容よう疑ぎを掛かけられること自じ体たい，イエスを非ひ常じょうに苦くるしめるものでした。この屈くつ辱じょくを取とり去さってください，とお父とうさんエホバに祈いのったほどです。（マタ 26:38，39，42）では，どうしてエホバは愛あいする独ひとり子ごが苦くるしんで死しぬままにしたのでしょうか。3つの理り由ゆうを考かんがえましょう。

6. イエスが杭くいに掛かけられる必ひつ要ようがあったのはなぜですか。

⁶ 第だい一いちに，イエスはユダヤ人じんを災わざわいから解かい放ほうするために杭くいに掛かけられる必ひつ要ようがありました。（ガラ 3:10，13）ユダヤ人じんは神かみの律りっ法ぽうに従したがうと約やく束そくしたのに，従したがいませんでした。それで，アダムから受うけ継ついだ罪つみの結けっ果かに加くわえて，さらに災わざわいを被こうむることになりました。（ロマ 5:12）神かみがイスラエル人じんに与あたえた律りっ法ぽうによれば，死しに値あたいする罪つみを犯おかした人ひとは処しょ刑けいされることになっていました。その後ご，死し体たいが杭くいに掛かけられることもありました。 *  （申しん 21:22，23; 27:26）イエスは，杭くいに掛かけられることにより，ユダヤ人じんの身み代がわりになりました。こうして，イエスを退しりぞけたユダヤ人じんも，イエスの犠ぎ牲せいの恩おん恵けいを受うけられるようになりました。

7. イエスが苦くるしまなければならなかった2つ目めの理り由ゆうは何なんですか。

⁷ 第だい二にに，エホバはイエスが将しょう来らい，大だい祭さい司しとしての役やく割わりを果はたせるように備そなえさせていました。イエスは非ひ常じょうに厳きびしい試し練れんの中なかで，神かみに従したがうことの大たい変へんさを経けい験けんしました。とても大おおきなプレッシャーを感かんじていたので，「大おおきな声こえで叫さけび，涙なみだを流ながしながら」助たすけを求もとめて祈いのりました。極きょく度どのストレスを経けい験けんしたので，私わたしたちの必ひつ要ようを理り解かいし，「試し練れんに遭あっている[私わたしたち]を助たすけることができます」。「私わたしたちの弱よわさに同どう情じょう」できる憐あわれみ深ぶかい方かたを大だい祭さい司しとして任にん命めいしてくださったことを，エホバに心こころから感かん謝しゃできるのではないでしょうか。（ヘブ 2:17，18; 4:14-16; 5:7-10）

8. イエスが苦くるしまなければならなかった3つ目めの理り由ゆうは何なんですか。

⁸ 第だい三さんに，重じゅう要ような質しつ問もんに対たいする答こたえを出だす必ひつ要ようがありました。厳きびしい試し練れんに遭あっても神かみへの専せん心しんを示しめせる人にん間げんはいるだろうか，という質しつ問もんです。サタンは，いない，と言いっています。人にん間げんが神かみに仕つかえるのは自じ分ぶんの得とくになるからだ，と言いうのです。そして，人にん間げんは皆みな，先せん祖ぞのアダムと同おなじで，エホバを愛あいしてなどいないと考かんがえています。（ヨブ 1:9-11; 2:4，5）エホバは，イエスが裏うら切ぎることはないと信しんじていたので，人にん間げんが耐たえられる限げん界かいまでイエスが試ためされるままにしました。イエスは忠ちゅう誠せいを保たもち，サタンがうそつきであることを証しょう明めいしました。

9. 使し徒とヨハネはどんな手て本ほんを示しめしましたか。

⁹ 多おおくのクリスチャンは，贖あがないの教おしえによって信しん仰こうを強つよめられてきました。反はん対たいされても伝でん道どうを続つづけてきた人ひともいれば，長ながい人じん生せいの中なかでありとあらゆる試し練れんを忍にん耐たいしてきた人ひともいます。使し徒とヨハネの手て本ほんについて考かんがえてみましょう。ヨハネは，キリストと贖あがないに関かんする真しん理りを伝つたえ続つづけました。60年ねん以い上じょうもそうしたようです。100歳さい近ちかくになった時とき，ローマ帝てい国こくから危き険けん人じん物ぶつと見みなされ，パトモス島とうに島しま流ながしにされました。いったい何なにをしたというのでしょうか。「神かみについて語かたり，イエスについて証しょう言げんした」のです。（啓けい 1:9）信しん仰こうと忍にん耐たいの素す晴ばらしい手て本ほんです。

10. ヨハネは贖あがないに感かん謝しゃしていました。そのことは，ヨハネが書かいた書しょからどのように分わかりますか。

¹⁰ ヨハネが聖せいなる力ちからに導みちびかれて書かいた書しょの中なかには，イエスへの深ふかい愛あいや贖あがないへの感かん謝しゃが言いい表あらわされています。贖あがないや贖あがないによって可か能のうになったことについて100回かい以い上じょう述のべられています。例たとえば，こうあります。「もし誰だれかが罪つみを犯おかしたとしても，私わたしたちを助たすけてくださる方かたが父ちちのもとにいます。正ただしい方かたであるイエス･キリストです」。（ヨハ一いち 2:1，2）また，「イエスについて証しょう言げんする」ことの大たい切せつさも強きょう調ちょうされています。（啓けい 19:10）ヨハネが贖あがないに深ふかく感かん謝しゃしていたことがよく分わかります。では，私わたしたちも贖あがないに感かん謝しゃしていることをどのように示しめせるでしょうか。

11. 誘ゆう惑わくを退しりぞける上うえで何なにが役やく立だちますか。

¹¹ 罪つみへの誘ゆう惑わくを退しりぞける。贖あがないに心こころから感かん謝しゃしているなら，次つぎのように考かんがえたりはしないでしょう。「誘ゆう惑わくを感かんじても，罪つみを犯おかさないように頑がん張ばる必ひつ要ようはない。罪つみを犯おかしても，許ゆるしを求もとめればいいんだ」。誘ゆう惑わくを感かんじた時ときには，こう考かんがえてください。「だめ！ こんなことできるわけない。エホバとイエスがあれほどのことをしてくれたんだから」。 そして，力ちからを求もとめてエホバに次つぎのように祈いのることができます。「誘ゆう惑わくに負まけないように助たすけてください」。（マタ 6:13）

12. ヨハネ第だい一いち 3章しょう16-18節せつのアドバイスをどのように当あてはめられますか。

¹² 仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいを愛あいする。仲なか間まを愛あいするなら，贖あがないに対たいする感かん謝しゃを示しめしていることになります。どうしてそう言いえますか。イエスはあなただけでなく，仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいのためにも命いのちを与あたえてくれたからです。これはつまり，イエスが兄きょう弟だい姉し妹まいのことを貴き重ちょうに思おもっているということです。（ヨハネ第だい一いち3:16-18を読よむ。）私わたしたちは兄きょう弟だい姉し妹まいを愛あいしていることを接せっし方かたで示しめせます。（エフェ 4:29，31–5:2）例たとえば，病びょう気きにかかっている仲なか間まや，自し然ぜん災さい害がいなどの厳きびしい試し練れんに耐たえている仲なか間まを助たすけることができます。では，仲なか間まから嫌いやなことを言いわれたりされたりした場ば合あいはどうすべきでしょうか。

13. 仲なか間まを許ゆるすべきなのはなぜですか。

¹³ 仲なか間まを許ゆるすのが難むずかしいと感かんじることがありますか。（レビ 19:18）もしあるなら，次つぎのアドバイスの通とおりにしてください。「引ひき続つづき互たがいに我が慢まんし，寛かん大だいに許ゆるし合あいましょう。たとえ誰だれかに不ふ満まんを感かんじるとしてもです。エホバが寛かん大だいに許ゆるしてくださったのですから，同おなじようにしなければなりません」。（コロ 3:13）仲なか間まを許ゆるすたびに，贖あがないに心こころから感かん謝しゃしていることを天てんのお父とうさんエホバに示しめすことになるのです。では，神かみからのこの贈おくり物ものに対たいする感かん謝しゃを深ふかめていくために何なにができるでしょうか。

14. 贖あがないに対たいする感かん謝しゃを深ふかめるために何なにができますか。

¹⁴ 贖あがないに感かん謝しゃしていることをエホバに伝つたえる。インドに住すむ83歳さいのジョアナ姉し妹まいはこう言いいます。「毎まい日にちの祈いのりの中なかで贖あがないに感かん謝しゃしていることをエホバに伝つたえるのは大だい事じなことだと思おもいます」。1人ひとりで祈いのる時ときには，1日にちを振ふり返かえり，してしまった良よくないことについてエホバに許ゆるしを求もとめましょう。もちろん，重じゅう大だいな罪つみを犯おかした場ば合あいには，長ちょう老ろうたちの助たすけも必ひつ要ようです。長ちょう老ろうたちはあなたの話はなしを聞きき，聖せい書しょから親しん切せつな助じょ言げんを与あたえてくれるでしょう。そして一いっ緒しょに祈いのり，イエスの犠ぎ牲せいに基もとづいて許ゆるしてくださるようエホバにお願ねがいしてくれます。「そうすれば癒いやされ」，エホバとの良よい関かん係けいを取とり戻もどせることでしょう。（ヤコ 5:14-16）

15. 贖あがないについて読よんでじっくり考かんがえるために時じ間かんを取とるべきなのはなぜですか。

 ¹⁵ 贖あがないについてじっくり考かんがえる。73歳さいのラジャマニ姉し妹まいは，「イエスが苦くるしんだことについての記き述じゅつを読よむたびに，涙なみだがあふれてきます」と言いっています。あなたも，イエスがどれほど苦くるしんだかについて考かんがえると，いたたまれない気き持もちになるかもしれません。それでも，イエスが払はらった犠ぎ牲せいについてじっくり考かんがえるほど，イエスとエホバへの愛あいは深ふかまっていくでしょう。贖あがないについてじっくり考かんがえるために，研けん究きゅうのテーマとして個こ人じんや家か族ぞくで調しらべてみるのはいかがですか。

16. 贖あがないについて教おしえることは，どのように私わたしたちのためになりますか。（表ひょう紙しの絵えを参さん照しょう。）

¹⁶ 贖あがないについて教おしえる。贖あがないについて人ひとに教おしえると，感かん謝しゃの気き持もちが深ふかまります。さまざまな優すぐれたツールを使つかって，イエスが私わたしたちのために死しぬ必ひつ要ようがあったのはなぜかを教おしえることができます。例たとえば，「神かみからの良よい知しらせ」の冊さっ子しの第だい4課か「イエス･キリストはどんな方かたですか」から教おしえることができます。あるいは，「聖せい書しょが教おしえていること」の本ほんの5章しょう「贖あがないは神かみからの最さい高こうの贈おくり物もの」を使つかうこともできます。そして毎まい年とし，イエスの死しの記き念ねん式しきに出しゅっ席せきすることや，熱ねっ心しんに招しょう待たいすることによって，贖あがないへの感かん謝しゃを深ふかめることができます。エホバは，イエスについて教おしえることを私わたしたちに委ゆだねてくださいました。これは本ほん当とうに素す晴ばらしい務つとめです。

17. 贖あがないは神かみから人じん類るいへの最さい高こうの贈おくり物ものである，と言いえるのはなぜですか。

¹⁷ 確たしかに，私わたしたちは贖あがないに対たいする感かん謝しゃをさらに深ふかめていくべきです。贖あがないのおかげで，完かん全ぜんではない私わたしたちもエホバの親したしい友ともになることができます。贖あがないのおかげで，悪あく魔まの行おこないは完かん全ぜんに終おわります。（ヨハ一いち 3:8）贖あがないのおかげで，エホバが意い図としていた地ち球きゅうの本ほん来らいの姿すがたが実じつ現げんすることになります。地ち球きゅう全ぜん体たいがパラダイスになります。そこに住すむのは，エホバを愛あいし，エホバに仕つかえる人ひとたちだけです。では，毎まい日にちさまざまな機き会かいに，贖あがないに対たいする感かん謝しゃを示しめしていきましょう。贖あがないは神かみから人じん類るいへの最さい高こうの贈おくり物ものなのです。