研究記事36

若い兄弟姉妹の力の素晴らしさを認める

若い兄弟姉妹の力の素晴らしさを認める

「若い人の素晴らしさは力であ[る]」。格言 20:29

69番の歌 あなたの道をわたしに知らせてください

を学ぶか *

1. 年を重ねても,どんなことを目指して努力できますか。

私たちは年を重ねるにつれて,若い頃ほどエホバのために多くのことを行えなくなるのではないかと心配になるかもしれません。確かに,年を取ると,以前ほどの体力はないかもしれません。それでも,これまでに得た知恵や経験を活用して,若い人たちの可能性を十分に引き出し,さらに多くの責任を担えるように助けることはできます。長年奉仕してきた1人の長老もこう述べています。「年のせいで限界を感じ始めた時,仕事を引き継ぐことができる年下の兄弟たちがいてくれたので,本当にうれしかったです」。

2. この記事ではどんなことを考えますか。

2 前の記事では,年下の兄弟姉妹が年長の兄弟姉妹と親しくなるなら多くを学べることについて考えました。この記事では,年長の人たちが謙遜さと慎みを示し,感謝を表し,惜しみなく与えることが,年下の人たちと共に働く上で役に立ち,会衆全体にも良い影響をもたらすことについて考えます。

謙遜さを示す

3. フィリピ 2章3,4節によると,謙遜さとは何ですか。クリスチャンにとって,謙遜さはどのように助けとなりますか。

3 年長の兄弟姉妹は,年下の人たちを助けようと思う場合,謙遜さを示す必要があります。謙遜な人は,自分より他の人の方が上だと考えます。フィリピ 2:3,4を読む。)謙遜な年長の人たちは,聖書に沿った仕方で物事をふさわしく扱う方法は多くの場合,1つだけではないということを認めます。ですから,これまでのやり方を人に押し付けるようなことはしません。(伝 7:10)年下の人たちに伝えることができる貴重な経験がたくさんあるとはいえ,「今の世のありさまは変わろうとしている」ことを理解しています。また,場合によっては,新しい状況に合わせる必要があることも認めています。(コリ一 7:31

年長の兄弟姉妹は自分の経験を惜しみなく伝える。(4‐5節を参照。) *

4. 巡回監督たちは,レビ族の人に倣ってどんな態度を示していますか。

4 謙遜な年長の兄弟姉妹は,年を取ると以前ほど多くのことができなくなることを認めます。例えば,巡回監督は70歳になると別の割り当てを受けることになります。この変化を受け入れるのは簡単ではないかもしれません。兄弟たちに仕える奉仕を大切にしてきたからです。その奉仕を愛していて,今後も続けていきたいと心の底から願っています。それでも,年下の兄弟たちに引き継ぐ必要があることを理解しています。それで,古代イスラエルのレビ族の人たちと同じような態度を示しています。レビ族の人たちは,50歳を過ぎると幕屋での奉仕から退かなければなりませんでした。しかし,幕屋での奉仕ができなくなっても,喜びを失うことはありませんでした。自分にできることを精いっぱい行い,年下の人たちを全力でサポートしたのです。(民 8:25,26)現代において,70歳になって巡回奉仕を終えた兄弟たちは,多くの会衆を訪問することはもうありませんが,割り当てられた会衆にとって宝のような存在になっています。

5. ダン兄弟とケイティー姉妹の手本からどんなことを学べますか。

5 巡回奉仕を23年行ったダン兄弟について考えてみましょう。兄弟は70歳になった時,妻のケイティー姉妹と共に特別開拓者に任命されました。2人は,この新しい割り当てにどのように取り組んでいるでしょうか。兄弟は,これまでで今が一番忙しい,と言っています。兄弟は,会衆でさまざまな務めを果たし,援助奉仕者としての資格を身に付けるよう兄弟たちを助け,大都市や刑務所で伝道できるよう兄弟姉妹を訓練しています。年長の兄弟姉妹たち,全時間奉仕を行っていてもいなくても,皆さんには仲間を助けるためにできることがたくさんあります。変化に順応し,新しい目標を定め,できないことではなくできることに目を向けましょう。

慎みを示す

6. 慎みが大切なのはなぜですか。どんな例えで説明できますか。

6 慎みのある人は自分の限界を理解しています。(格 11:2)状況に合わせて目標を調整し,達成できないことを追い求めたりはしません。それで,喜んで活動を続けることができます。慎みのある人は,車で坂を上る人に例えることができます。坂を上り続けるためには,ギアを落とす必要があります。そうすれば,スピードは遅くなるかもしれませんが,進み続けることができます。同じように,慎みのある人は“ギアを落とす”べき時を知っているので,エホバへの奉仕を活発に行い続けることができます。(フィリ 4:5

7. バルジライはどのように慎みを示しましたか。

7 バルジライの手本を考えてみましょう。バルジライは80歳の時,ダビデ王から,宮廷で仕えるように招かれました。しかし,慎みを示して辞退しました。年齢に伴う限界を認めていたので,自分の代わりに年下のキムハムを推薦しました。(サム二 19:35‐37)年長の兄弟たちもバルジライのように,年下の兄弟たちに喜んで務めを委ねています。

ダビデ王は,息子ソロモンが神殿を建てるという神の決定を受け入れた。(8節を参照。)

8. ダビデ王は,神殿の建設に関連してどのように慎みを示しましたか。

8 ダビデ王も,慎みの素晴らしい手本を残しました。ダビデは,エホバのために家を建てたいと心から願っていました。しかし,その家を建てるのは若いソロモンである,とエホバから言われた時,エホバの決定を受け入れ,その建設プロジェクトをサポートするためにできる限りのことをしました。(代一 17:4; 22:5)ダビデは,ソロモンは「経験が浅い若者」なので自分の方がふさわしい,と考えたりはしませんでした。(代一 29:1)この建設プロジェクトの成功は,建てようとする人の年齢や経験ではなく,エホバの祝福に懸かっている,ということを理解していました。現在の年長の人たちも,割り当てや責任が変わっても,ダビデのように活発にエホバに仕えています。そして,自分の務めを引き継いだ若い人たちをエホバが祝福してくださることを理解しています。

9. ある支部委員はどのように慎みを示しましたか。

9 現代の慎みの手本も考えてみましょう。重雄兄弟は,1976年,30歳の時に支部委員会で奉仕するよう任命されました。そして,2004年には支部委員会の調整者になりました。やがて,兄弟は体力の限界を感じ,務めを手際よく果たすのを難しく思うようになりました。それで,年下の兄弟に責任を委ねることの価値について,祈ってよく考えました。現在,重雄兄弟は調整者ではありませんが,支部委員会の一員として引き続き熱心に奉仕しています。バルジライ,ダビデ王,重雄兄弟の手本から分かる通り,謙遜で慎みのある人は,若い人たちの経験の少なさではなく力に目を向けます。そして,若い人たちのことをライバルではなく仲間の奉仕者と考えます。(格 20:29

感謝を表す

10. 年長の人たちは,会衆の年下の人たちのことをどう見ていますか。

10 年長の人たちは,若い人たちをエホバからの贈り物と考え,感謝しています。体力の衰えを感じる時,若い人が自分の力を生かして必要に応え,会衆に仕えてくれることをありがたく感じています。

11. 年下の人たちからの助けを感謝して受け入れるなら,良い結果になります。そのことは,ルツ 4章13‐16節からどのように分かりますか。

11 聖書に出てくるナオミは,年下の人からの助けを感謝して受け入れる面で素晴らしい手本を残しました。ナオミは初め,やもめになった嫁のルツに,自分の家族の所へ帰るようにと強く勧めました。しかし,ルツがベツレヘムまで付いていくと言って譲らなかったので,ナオミはルツの助けを受け入れました。(ルツ 1:7,8,18)その結果,2人とも非常に大きな祝福を経験することになりました。ルツ 4:13‐16を読む。)謙遜な年長の人たちは,ナオミの手本に倣いたいと思うことでしょう。

12. 使徒パウロはどんなことに感謝を示しましたか。

12 使徒パウロも仲間からの助けに感謝しました。例えば,必要な物を送ってくれたフィリピの兄弟姉妹に感謝しました。(フィリ 4:16)テモテが助けてくれたことにも感謝を表しました。(フィリ 2:19‐22)また,囚人としてローマに送られる途中,励ましに来てくれた人たちを見て,神に感謝しました。(使徒 28:15)パウロは,何千キロもの旅をし,良い知らせを伝えて各地の会衆を強めた,活力にあふれる人でしたが,謙遜に仲間からの助けを受け入れました。

13. 年長の人たちは,年下の人たちに感謝していることをどのように示せますか。

13 年長の兄弟姉妹たち,皆さんはさまざまな仕方で会衆の年下の人たちに感謝を表すことができます。若い人たちが車の運転や買い物や,その他の援助を申し出てくれるなら,そうした助けを感謝して受け入れましょう。そうした助けをエホバの愛の表れと考えることができます。若い兄弟姉妹との友情が育つかもしれません。年下の兄弟姉妹の進歩にいつも関心を払い,会衆でもっと役に立とうと頑張っている姿を見てうれしく思っていることを伝えてください。時間を取って自分の経験を語るようにしましょう。そのようにするなら,エホバが年下の人たちを会衆に引き寄せてくださったことに「感謝を表」すことができます。(コロ 3:15。ヨハ 6:44。テサ一 5:18

惜しみなく与える

14. ダビデ王は惜しみなく与える態度をどのように示しましたか。

14 ダビデ王は別の大切な面でも,年長の人たちの手本となっています。それは,惜しみなく与えることです。ダビデは神殿の建設をサポートするために,自分の財産の中からたくさんの寄付をしました。(代一 22:11‐16; 29:3,4)このプロジェクトの主な功績がソロモンのものになることは分かっていたのに,そうしたのです。現代の私たちも,体力が衰えて王国会館や支部施設などの建設に参加することはできないとしても,可能な範囲で寄付を行うことによって,こうしたプロジェクトを引き続きサポートすることはできます。また,長年の経験を生かして年下の人たちを助けることもできます。

15. 使徒パウロはテモテにどんな貴重なものを伝えましたか。

15 惜しみなく与えることについて,使徒パウロの手本から考えてみましょう。パウロは宣教旅行に加わるようテモテを誘い,伝道したり教えたりするための技術をテモテに惜しみなく伝えました。(使徒 16:1‐3)パウロの訓練のおかげで,テモテは良い知らせを上手に伝えられるようになりました。(コリ一 4:17)そして今度はテモテが,パウロから教わったことを生かして,ほかの人たちを訓練しました。

16. 重雄兄弟がほかの人たちを訓練したのはなぜですか。

16 現代の年長の人たちも,自分が役に立たなくなるのではないかと恐れるのではなく,自分が会衆で行ってきた務めを引き継げるよう,年下の人たちを訓練しています。例えば,先ほどの重雄兄弟は,数年にわたって支部委員会の年下の兄弟たちに必要な訓練を与えました。兄弟は,自分が奉仕している国の王国の活動を前進させるためにそうしたのです。結果として,十分に訓練された兄弟に調整者としての務めを引き継ぐことができました。重雄兄弟は今でも,支部委員として奉仕してきた45年余りの間に学んだことを年下の兄弟たちに伝えています。こうした年長の兄弟たちは,エホバに仕える人たちにとって,なんと貴重な存在なのでしょう。

17. ルカ 6章38節からすると,年長の人たちにはどんなことができますか。

17 年長の兄弟姉妹たち,皆さんは信仰と忠誠を示してエホバに仕えることが一番良い生き方であることの生きた証拠です。聖書の原則を学んで生活の中で実践するよう努力することには価値があるということを手本によって示してきました。経験を通してこれまでのやり方を知っていますが,新しい状況に合わせる必要があることも理解しています。最近バプテスマを受けた年長の兄弟姉妹にも,できることがたくさんあります。例えば,年を重ねてからエホバを知った喜びについて語ることができます。また,自分が経験したことや得た教訓について話すなら,年下の人たちはうれしく思うことでしょう。蓄えてきた経験の中から「いつも与え」るなら,エホバからの豊かな祝福を味わえます。ルカ 6:38を読む。)

18. 年長の人たちと年下の人たちは,どのように互いに助け合うことができますか。

18 年長の兄弟姉妹が年下の人たちと親しくなるなら,互いに支え合うことができます。(ロマ 1:12)年長の人たちも年下の人たちも,それぞれが良いものを持っています。年長の人には,長い人生を通して得た知恵や経験があります。年下の人には,力があります。若い人と年長の人が一層親しくなり,協力して働くなら,愛情深い天のお父さんエホバをたたえることができ,会衆全体に良い影響がもたらされるのです。

121番の歌 互いに励まし合いなさい

^ 5節 会衆には,エホバの組織をサポートするために一生懸命に奉仕している若い兄弟姉妹が大勢います。それは本当にうれしいことです。年長の兄弟姉妹は,文化や育った環境に関わりなく,年下の人たちを助けることができます。エホバへの奉仕に力を尽くすよう助けるのです。

^ 55節 や挿: 1人の巡回監督が70歳になり,夫婦で新しい割り当てを受けた。2人は長年の経験を生かして,割り当てられた会衆の兄弟姉妹を助けている。