1-2. （ア）エホバに仕つかえる人ひとたちも問もん題だいにぶつからないわけではありません。どうしてそう言いえますか。（イ）この記き事じではどんなことを考かんがえますか。

 エホバに仕つかえている私わたしたちは，難むずかしい問もん題だいにぶつかることがあるということを知しっています。聖せい書しょにも「私わたしたちは，多おおくの苦く難なんを経けい験けんして神かみの王おう国こくに入はいらなければなりません」とあります。（使し徒と 14:22）新あたらしい世せ界かいが来くるまではなくならない問もん題だいもあります。その時ときが来くれば，「死しはなくなり，悲かなしみも嘆なげきも苦く痛つうもなくなります」。（啓けい 21:4）

² エホバは私わたしたちが問もん題だいにぶつからないように守まもってくれるわけではありませんが，それに耐たえられるよう力ちからを与あたえてくれます。パウロはローマのクリスチャンに宛あてた手て紙がみの中なかで，自じ分ぶんたちが直ちょく面めんしている問もん題だいを幾いくつか挙あげた後あと，こう言いいました。「私わたしたちは，愛あいしてくださった方かたにより……完かん全ぜんな勝しょう利りを収おさめています」。（ロマ 8:35-37）エホバは私わたしたちが大たい変へんな状じょう況きょうの中なかでも成せい功こうできるように助たすけてくださるのです。この記き事じでは，エホバがどのようにヨセフを成せい功こうさせたか，どのように私わたしたちのことも助たすけてくださるかを考かんがえます。

3. ヨセフの人じん生せいはどのように大おおきく変かわりましたか。

³ ヤコブは息子むすこのヨセフをとても愛あいしていました。（創そう 37:3，4）ヨセフの兄あにたちはその様よう子すを見みてねたみ，ヨセフをイシュマエル人じんの商しょう人にんたちに売うり飛とばしました。商しょう人にんたちはヨセフを何なん百びゃっキロも離はなれ たエジプトへ連つれていき，ファラオの護ご衛えい官かんの長ちょうポテパルに売うりました。こうしてヨセフの人じん生せいは突とつ然ぜん大おおきく変かわってしまいました。優やさしいお父とうさんに大たい切せつにされていたのに，エジプト人じんの下もとで奴ど隷れいとして働はたらくことになったのです。（創そう 39:1）

4. 私わたしたちもどんな問もん題だいにぶつかることがありますか。

⁴ 聖せい書しょには「悪わるいことはだれにでも起おきる」と書かかれています。（伝でん 9:11，「聖せい書しょ ― 読よみやすい訳やく」[英えい語ご]）私わたしたちも「多おおくの人ひとが同おなじように経けい験けん」する問もん題だいにぶつかることがあります。（コリ一いち 10:13）イエスの弟で子しであるために直ちょく面めんする問もん題だいもあります。あざけられたり，反はん対たいされたり，迫はく害がいされたりします。（テモ二に 3:12）でもエホバは，私わたしたちがどんなに難むずかしい状じょう況きょうの中なかでも成せい功こうできるように助たすけてくれます。奴ど隷れいになったヨセフを，エホバはどのように助たすけたでしょうか。

5. ポテパルはヨセフが成せい功こうしている理り由ゆうについてどう思おもっていましたか。（創そう世せい記き 39:2-6）

⁵ 創そう世せい記き39:2-6を読よむ。ポテパルは，ヨセフが働はたらき者もので有ゆう能のうであることに気き付づきました。その理り由ゆうも分わかっていました。「エホバがヨセフのすること全すべてを成せい功こうさせている」と感かんじたのです。 b やがて，ポテパルはヨセフを自じ分ぶんのそばで仕つかえさせ，家いえの管かん理りも全すべて任まかせました。その結けっ果か，ポテパルの家いえは豊ゆたかになりました。

6. ヨセフは自じ分ぶんが置おかれていた状じょう況きょうについてどう感かんじていたと思おもいますか。

⁶ ヨセフの身みになって考かんがえてみましょう。ヨセフが本ほん当とうに願ねがっていたのはどんなことだったでしょうか。ポテパルから認みとめられたり，良よい待たい遇ぐうをされたりすることだったでしょうか。いいえ。それよりも自じ由ゆうの身みになって，父ちち親おやのヤコブの元もとに帰かえりたいと思おもっていました。ポテパルの家いえでどれほど高たかい立たち場ばを与あたえられたとしても，奴ど隷れいであることに変かわりはなかったからです。しかも主しゅ人じんは，エホバに仕つかえていないエジプト人じんでした。エホバは，ポテパルがヨセフを自じ由ゆうにするように介かい入にゅうすることはありませんでした。そして ヨセフはこの後あと，もっとつらい経けい験けんをすることになります。

7. ヨセフの状じょう況きょうはどのように悪わるくなっていきましたか。（創そう世せい記き 39:14，15）

⁷ 創そう世せい記き 39章しょうによると，ポテパルの妻つまはヨセフに魅み力りょくを感かんじ，何なん度ども誘ゆう惑わくしてきました。でもヨセフはそのたびにきっぱり退しりぞけました。怒おこったポテパルの妻つまは，ヨセフにレイプされそうになった，とうそを言いいました。（創そう世せい記き39:14，15を読よむ。）それを聞きいたポテパルは，ヨセフを牢ろう獄ごくに入いれます。ヨセフはそこで何なん年ねんも過すごすことになりました。（創そう 39:19，20）その牢ろう獄ごくはどんな場ば所しょだったのでしょうか。ヨセフが使つかった「投とう獄ごくされる」という言こと葉ばには「水みずために入いれられる」という意い味み合あいもあるので，そこはとても暗くらい場ば所しょだったのでしょう。ヨセフは絶ぜつ望ぼう感かんに襲おそわれたかもしれません。（創そう 40:15，脚きゃく注ちゅう）聖せい書しょによれば，ヨセフは一いち時じ期き，足あしかせをはめられ，首くびを鉄てつでつながれていました。（詩し 105:17，18）このようにヨセフの状じょう況きょうはますます悪わるくなっていきました。奴ど隷れいとして信しん頼らいされていたのに，牢ろう獄ごくで惨みじめな生せい活かつを送おくることになったのです。

8. 状じょう況きょうが悪わるくなっていくとしても，どんなことを覚おぼえておくとよいですか。

⁸ 私わたしたちは，一いっ生しょう懸けん命めいに祈いのっているのに状じょう況きょうがどんどんと悪わるくなっていくように感かんじることがあります。サタンが支し配はいしている今いまの世よの中なかでは，いろいろな問もん題だいが起おきます。エホバは，そうした問もん題だいにぶつからないように守まもってくれるわけではありません。（ヨハ一いち 5:19）でも，忘わすれないでください。エホバは私わたしたちがどんな問もん題だいと闘たたかっているかをよく知しっていて，優やさしく気き遣づかってくれます。（マタ 10:29-31。ペテ一いち 5:6，7）「私わたしは決けっしてあなたを離はなれず，決けっしてあなたを見み捨すてない」とも約やく束そくしています。（ヘブ 13:5）絶ぜつ望ぼう的てきに思おもえる状じょう況きょうでも，エホバは忍にん耐たいできるように力ちからを与あたえてくれます。ヨセフの場ば合あいもそうでした。

9. ヨセフが牢ろう獄ごくにいた時ときもエホバがヨセフと共ともにいたことは，どんなことから分わかりますか。（創そう世せい記き 39:21-23）

⁹ 創そう世せい記き39:21-23を読よむ。投とう獄ごくされている大たい変へんな状じょう況きょうの中なかでも，エホバはヨセフを成せい功こうさせました。やがてヨセフは，ポテパルと同おなじように牢ろう獄ごくの長ちょうからも信しん頼らいされ，囚しゅう人じんたちの監かん督とくを任まかされるようになりました。聖せい書しょには，「ヨセフに任まかせておけば，牢ろう獄ごくの長ちょうは安あん心しんだった」と書かかれています。ヨセフは大おおきな責せき任にんを与あたえられました。これは驚おどろくような変へん化かでした。ファラオの廷てい臣しんの妻つまをレイプしたとして投とう獄ごくされていた人ひとが，とても信しん頼らいされるようになったのです。どうしてそのようなことが起おきたのでしょうか。創そう世せい記き 39章しょう23節せつにはこう書かかれています。「エホバがヨセフと共ともにいて，エホバがヨセフのすること全すべてを成せい功こうさせていた」。

10. ヨセフは，全すべて成せい功こうしているとは思おもえなかったかもしれません。なぜですか。

¹⁰ もう一いち度ど，ヨセフの身みになって考かんがえてみましょう。無む実じつの罪つみで投とう獄ごくされているのに，全すべて成せい功こうしていると思おもえたでしょうか。ヨセフが願ねがっていたのは，牢ろう獄ごくの長ちょうから気きに入いられることだったでしょうか。いいえ。事じ実じつが明あきらかになり，自じ由ゆうになることでした。ヨセフは仲なか間まの囚しゅう人じんに，もしあなたが釈しゃく放ほうされたら私わたしがここから出でられるようにファラオに頼たのんでほしい，と言いいました。（創そう 40:14）その囚しゅう人じんがファラオに話はなす のを忘わすれてしまったため，ヨセフはさらに2年ねん間かん，牢ろう獄ごくで過すごさなければなりませんでした。（創そう 40:23; 41:1，14）しかし，エホバはその後ごもヨセフが成せい功こうできるように助たすけました。どのようにでしょうか。

11. ヨセフはエホバからどんな能のう力りょくを与あたえられましたか。エホバの目もく的てきの実じつ現げんにどのように貢こう献けんしましたか。

¹¹ ヨセフが牢ろう獄ごくにいた時とき，エホバはエジプトのファラオに2つの不ふ思し議ぎな夢ゆめを見みせました。ファラオはその意い味みをぜひ知しりたいと思おもいました。ヨセフに夢ゆめの解とき明あかしができるということを知しったファラオは，ヨセフを自じ分ぶんの元もとに連つれてこさせました。ヨセフはエホバの助たすけで夢ゆめを解とき明あかし，優すぐれたアドバイスをしました。そのことに驚おどろいたファラオは，エホバがヨセフと共ともにいることを理り解かいし，ヨセフにエジプト全ぜん土どの食しょく糧りょうを管かん理りさせました。（創そう 41:38，41-44）その後ご，エジプトとヨセフの家か族ぞくが住すむカナン地ち方ほうで深しん刻こくな飢き饉きんが起おきました。でも，ヨセフは高たかい立たち場ばにいたので，家か族ぞくの命いのちを救すくい，メシアにつながる家か系けいを守まもることができました。

12. エホバはどのようにしてヨセフを成せい功こうさせましたか。

¹² ヨセフの人じん生せいには予よ想そう外がいの出で来き事ごとが幾いくつもありました。奴ど隷れいのヨセフがポテパルから目めをかけられるようにしたのは誰だれでしょうか。囚しゅう人じんになったヨセフが牢ろう獄ごくの長ちょうに気きに入いられるようにしたのは誰だれですか。ファラオに不ふ思し議ぎな夢ゆめを見みせ，それを解とき明あかす能のう力りょくをヨセフに与あたえたのは誰だれでしょうか。ヨセフにエジプト全ぜん土どの食しょく糧りょうを管かん理りさせるよう，ファラオの心こころを動うごかしたのは誰だれですか。（創そう 45:5）ヨセフがすることを全すべて成せい功こうさせていたのは，間ま違ちがいなくエホバでした。エホバは，ヨセフの兄あにたちの意い地じ悪わるなたくらみを逆ぎゃく手てに取とって，ご自じ分ぶんの望のぞむことを実じつ現げんさせたのです。

13. 私わたしたちが問もん題だいにぶつかる時とき，エホバはいつも介かい入にゅうしてくれますか。

¹³ ヨセフに起おきたことから何なにを学まなべるでしょうか。私わたしたちが問もん題だいにぶつかる時とき，エホバはいつも介かい入にゅうしてくれるのでしょうか。何なにか悪わるいことが起おきても，必かならず良よい結けっ果かになるように物もの事ごとを 動うごかしてくれるのでしょうか。いいえ。聖せい書しょにそのようなことは書かかれていません。（伝でん 8:9; 9:11）でも，次つぎのことは確たしかです。私わたしたちがつらい経けい験けんをする時とき，エホバはそのことをよく知しってくれていて，祈いのりに耳みみを傾かたむけてくれます。（詩し 34:15; 55:22。イザ 59:1）それだけでなく，大たい変へんな中なかでも頑がん張ばれるよう力ちからを与あたえてもくれます。どのようにでしょうか。

14. 大たい変へんな時ときにエホバはどのように助たすけてくれますか。

¹⁴ エホバは多おおくの場ば合あい，ぴったりのタイミングで私わたしたちを慰なぐさめ，励はげましてくれます。（コリ二に 1:3，4）トルクメニスタンのエジズ兄きょう弟だいは，まさにそのような経けい験けんをしました。兄きょう弟だいはエホバへの信しん仰こうを貫つらぬいたために，2年ねん間かんの拘こう禁きん刑けいを言いい渡わたされました。こう言いいます。「裁さい判ばんの日ひの朝あさ，ある兄きょう弟だいがイザヤ 30章しょう15節せつの『平へい静せいを保たもち，信しん頼らいするなら，力ちからを得える』という言こと葉ばを見みせてくれました。この聖せい句くのおかげで，いつも平へい静せいを保たもち，全ぜん面めん的てきにエホバに頼たよることができました。そして，この聖せい句くを黙もく想そうすることが，刑けい務む所しょにいる間あいだずっと助たすけになりました」。あなたも，一いち番ばんつらい時ときにエホバが慰なぐさめ，励はげましてくれたことがありませんか。

15-16. トリ姉し妹まいの経けい験けんから何なにを学まなべますか。

¹⁵ 大たい変へんな中なかでも頑がん張ばれるようエホバが助たすけてくれていたことに，後あとになってから気き付づくこともあります。トリ姉し妹まいがそうでした。姉し妹まいの息子むすこのメーソンは6年ねん間かんがんと闘たたかい，亡なくなりました。姉し妹まいは胸むねが張はり裂さけるような思おもいをしました。こう言いっています。「母はは親おやにとって，これほどつらいことはありません。親おやはみんなそうだと思おもいますが，子こ供どもが苦くるしんでいるのを見みるのは，自じ分ぶんが苦くるしむよりもずっとつらいものです」。

 ¹⁶ トリ姉し妹まいはとてもつらい経けい験けんをしましたが，そのつらい状じょう況きょうを乗のり切きれるようにエホバが助たすけてくれたと感かんじています。こう言いっています。「今いま思おもうと，息子むすこが病びょう気きの間あいだずっと，エホバはいろいろな方ほう法ほうで優やさしく支ささえてくれました。例たとえば，メーソンの調ちょう子しが悪わるくて面めん会かいができない時ときでも，兄きょう弟だい姉し妹まいは車くるまで2時じ間かんかけて病びょう院いんまで来きてくれました。待まち合あい室しつには必かならず誰だれかがいて，いつでも力ちからになってくれました。経けい済ざい面めんでも支ささえていただきました。どれほど大たい変へんな時ときにも必かならず助たすけが与あたえられました」。確たしかにエホバはトリ姉し妹まいのこともメーソンのことも支ささえていたのです。（「 エホバは……必ひつ要ような助たすけをいつも与あたえてくれていました」の囲かこみを参さん照しょう。）

17-18. 大たい変へんな中なかでもエホバが助たすけてくれていることに目めを向むけるために，どんなことができますか。（詩し編へん 40:5）

¹⁷ 詩し編へん40:5を読よむ。山やま登のぼりをする人ひとは，山さん頂ちょうにたどり着つくことを目め指ざします。でもその道どう中ちゅうも，時とき々どき立たち止どまって，いろいろな景け色しきを楽たのしめます。同おなじように，大たい変へんな時ときもエホバが私わたしたちをどのように支ささえ，成せい功こうさせてくださっているかを時じ間かんを取とって考かんがえるのは良よいことです。1日にちの終おわりに次つぎのように考かんがえてみましょう。「今日きょう，エホバはどのように私わたしを助たすけてくれただろうか。問もん題だいは続つづいていても頑がん張ばれるように，どのように支ささえてくれただろうか」。エホバが自じ分ぶんを力ちからづけるためにしてくれたことを，毎まい日にち少すくなくとも1つ思おもい起おこすようにしましょう。

¹⁸ 「つらい状じょう況きょうを早はやく終おわらせてください」と祈いのっていますか。それは間ま違ちがったことではありません。（フィリ 4:6）でも，エホバが今いまでも支ささえてくれていることに目めを向むけるようにしましょう。エホバが約やく束そくしているのは，私わたしたちが問もん題だいに耐たえることができるよう力ちからづけるということです。それで，エホバの助たすけに感かん謝しゃすることを忘わすれないようにしましょう。たとえ問もん題だいがあっても，ヨセフの場ば合あいと同おなじように，私わたしたちが忍にん耐たいし成せい功こうできるようエホバは必かならず支ささえてくださるのです。（創そう 41:51，52）