研究記事44

聖書を深く掘り下げて学ぶのは楽しいこと

聖書を深く掘り下げて学ぶのは楽しいこと

「真理の幅と長さと高さと深さがどれほどかを十分に理解[する]」。エフェソス 3:18

116番の歌 光は輝きを増す

を学ぶか a

1-2. 聖書を学ぶ時,どんなことを意識するとよいですか。

 家を買うかどうかを考えているとしましょう。決定する前にどんなものを見ておきたいと思いますか。正面からの写真1枚だけで十分,と言う人はいないでしょう。実際に家の周りを歩いてみたり,中に入って一つ一つの部屋を見たりしておきたいと思うはずです。さらに,設計図などを見て,家の造りがしっかりしているかどうかも調べるかもしれません。自分が住むことになる家について,できるだけ多くのことを知っておきたいと思うことでしょう。

2 聖書を読んで学ぶ時も,同じようにすることができます。ある聖書学者は,聖書を「土台が深いところにある,広くて高い建物」に例えています。では,聖書に書かれていることを十分に理解するにはどうしたらいいでしょうか。ざっと読むだけでは,「神の神聖な宣言の基礎的な事柄」しか知ることができないでしょう。(ヘブ 5:12)家の場合と同じように,“中に入って”細かいところまでじっくり調べることが大切です。聖書を学ぶ時は,読んでいる部分が別の部分とどのように関係しているかに注目しましょう。どんな真理を学べるかだけでなく,どうしてそれを信じられるかも考えます。

3. パウロは仲間のクリスチャンにどんなことを勧めましたか。どうしてですか。(エフェソス 3:14-19

3 聖書の全体像をしっかり理解するためには,深く掘り下げて学ぶ必要があります。パウロは仲間のクリスチャンに,聖書を真剣に学ぶようにと勧めました。「真理のがどれほどかを十分に理解」するためです。そうするなら,信仰面で「しっかりと根を張り,強固な土台の上に建てられ」た建物のようになることができます。エフェソス 3:14-19を読む。)私たちもこうした面で努力する必要があります。では,どうすれば聖書を深く掘り下げて十分に理解できるか考えていきましょう。

聖書の深い真理を調べる

4. エホバとの絆を強めるためにどんなことができますか。

4 クリスチャンである私たちは,聖書を表面的に理解するだけで十分だとは思っていません。聖なる力の助けによって,「神の奥深い事柄」も学びたいと思っています。(コリ一 2:9,10)エホバとの絆を強めるために,個人研究のプロジェクトを始めるのはどうでしょうか。例えば,エホバがご自分に仕える人たちにどのように愛を示したかについて調べることができます。そこから,エホバがあなたのことを愛していることがどのように分かりますか。エホバがイスラエル人のために定めた崇拝に関する取り決めについて調べて,現代の取り決めと比べてみることもできます。イエスが地上にいた時に実現した預言について詳しく調べることもできるでしょう。

5. あなたはどんなテーマについて調べてみたいですか。

5 聖書を楽しく学んでいる人たちは,さらにどんなことを調べたいと思っているでしょうか。幾つかの例が,「 じっくり調べてみましょう」という囲みに載せられています。こうしたテーマについて,「ものみの塔出版物索引」や「エホバの証人のためのリサーチガイド」を使って深く調べるなら,きっと新たな発見があることでしょう。信仰を強め,「神についての知識を見つける」こともできます。(格 2:4,5)では,聖書の幾つかの真理について掘り下げてみましょう。

エホバが持っている目的についてじっくり考える

6. (ア)計画と目的にはどんな違いがありますか。(イ)エホバが人間や地球に対して「永遠の目的」を持っていると言えるのはどうしてですか。(エフェソス 3:11

6 聖書を調べると,エホバが目的を持って行動する方だということが分かります。計画を立てることと目的を持つことには,大きな違いがあります。は,目的地にたどり着くための具体的なルートのようです。何かの理由でその道が通れなくなると,計画を実現することはできなくなってしまいます。一方,は目的地そのものに例えることができます。どこに行くかははっきり決まっていますが,行き方はいろいろあるので状況に合わせて変えることができます。エホバはご自分の「永遠の目的」を聖書の中に収め,私たちがそれを少しずつ理解できるようにしてくださっています。(エフェ 3:11)「エホバは全てのものをご自分の目的に役立つようにしてい」ます。それで,エホバの目的は必ず果たされます。(格 16:4)そして,エホバが成し遂げることは永遠にわたって良い結果をもたらします。では,エホバの目的とは何でしょうか。その目的を果たすためにどんなことをしてきたでしょうか。

7. 最初の人間が反逆した時,エホバは目的を果たすためにどうしましたか。(マタイ 25:34

7 エホバは人間にどんなことを願っているかについて,最初の夫婦にこのように伝えました。「子を生み,増えて,地上全体に広がり,地球を管理しなさい。……あらゆる生き物を治めなさい」。(創 1:28)でも,アダムとエバが反逆したために,罪が人間家族に入り込んでしまいました。そこで,エホバは目的を果たすための方法をすぐに調整しました。人間に対して最初に考えていたことを実現させるために,天に王国を設立することを決めました。マタイ 25:34を読む。)そして,エホバは愛に動かされて地上にご自分の独り子を遣わすことにしました。それは,イエスが王国について人々に知らせ,人間を罪と死から救い出すために命を与えるようにするためでした。その後,イエスを天に復活させ,神の王国の王にならせました。でも,神の目的についてさらにじっくり考えることのできる点があります。

天と地でみんなが一つになってエホバに仕える時のことを想像してみてください。(8節を参照。)

8. (ア)聖書全体のテーマは何ですか。(イ)エフェソス 1章8-11節によると,エホバは最終的にどんなことを実現させたいと考えていますか。(表紙の絵を参照。)

8 聖書のテーマは,エホバの名誉が回復されることです。これは,キリストの王国によって地上に対する神の目的が果たされる時に実現します。エホバの目的が変わることはありません。必ず果たすとエホバは約束しています。(イザ 46:10,11,脚注。ヘブ 6:17,18)将来,地球はパラダイスに変えられます。そして,アダムとエバの子孫で正しいことを愛する人たちは完全になり,「永遠に生き」ることができます。(詩 22:26)でも,ここで終わりではありません。エホバの目的は,天と地にいるエホバに仕える全ての者が一つになることで実現します。その時,全ての者がエホバを主権者として認め,従います。エフェソス 1:8-11を読む。)エホバがご自分の目的を果たす素晴らしい方法について考えると,どう感じますか。

将来についてじっくり考える

9. 聖書を調べると,どれぐらい先のことも知ることができますか。

9 創世記 3章15節にある,エホバがエデンの園で語った預言について考えてみましょう。 b この預言から,エホバの目的が果たされるまでにどんな出来事があるかを知ることができます。エホバはここで,何千年も先に起きる事柄について言っていました。例えば,女の子孫の主要な者であるキリストは,アブラハムの家系から出ることになりました。(創 22:15-18)そして西暦33年に,イエスは預言されていた通り,かかとに傷を負わされました。(使徒 3:13-15)最終的にサタンの頭は砕かれます。これは今から少なくとも1000年以上後に起きることです。(啓 20:7-10)聖書を調べると,サタンの体制とエホバの組織の間にある敵意が最も激しくなる時,どんなことが起きるかについて,さらに詳しく知ることができます。

10. (ア)間もなくどんなことが起きますか。(イ)将来に向けて心を整えるために,どんなことができますか。(脚注を参照。)

10 聖書に予告されている,世界を揺るがすような出来事について考えてみましょう。まず,国々が「平和だ,安全だ!」と言います。(テサ一 5:2,3)そして,間違った宗教全てを攻撃し,「突然」大患難が始まります。(啓 17:16)その後,「人の子が力と大きな栄光を帯びて天の雲に乗って来る」という超自然の現象が生じるでしょう。(マタ 24:30)イエスは人々を裁き,羊をヤギから分けます。(マタ 25:31-33,46)でも,サタンはこうした出来事を黙って見ているわけではありません。憎しみに駆られ,「マゴグの地のゴグ」と呼ばれる諸国家の連合体がエホバに仕える人たちを攻撃するように仕向けます。(エゼ 38:2,10,11)どこかの段階で,天に行くクリスチャンのうち地上に残っている人たちが天に集められ,キリストが率いる軍勢に加わってハルマゲドンの戦争で戦います。こうして,いよいよ大患難が終わります。 cマタ 24:31。啓 16:14,16)そして,地球を治めるキリストの千年統治が始まります。(啓 20:6

エホバについて学び続けて何十億年かたった時,エホバのことをどれほど身近に感じていると思いますか。(11節を参照。)

11. いつまでも生きられることが素晴らしいと言えるのはどうしてですか。(挿絵も参照。)

11 次に,もっと先の将来について考えてみましょう。聖書は,私たちを造った方が「永遠を思う心さえ与え」てくださったと述べています。(伝 3:11)そのことは,私たち自身や私たちとエホバとの関係にどんな意味があるでしょうか。「エホバに近づきなさい」の本の319ページには,私たちの思考を刺激するこのような説明があります。「何百年,何千年,何万年,何億年もたてば,エホバ神について今よりもはるかに多くのことを知っているでしょう。それでも,まだまだ学べる素晴らしいことが限りなくあるのです。……永遠に続く生活は,想像もつかないほど充実していて変化に富んだものになるでしょう。何よりも,エホバとの友情が日に日に深まっていく喜びを永遠にわたって味わえるのです」。ではそれまでの間,聖書からほかにどんなことを調べることができるでしょうか。

天の様子を知る

12. どうすれば天の様子を知ることができますか。

12 聖書を調べると,「この上なく高い所に」いるエホバの様子をほんの少しだけ見ることができます。(イザ 33:5)エホバとエホバの組織の天の部分について知ると,感動します。(イザ 6:1-4。ダニ 7:9,10。啓 4:1-6)例えば,「天が開かれ,……神の幻を見始め」たエゼキエルの言葉から,天に関する貴重な情報を知ることができます。(エゼ 1:1

13. ヘブライ 4章14-16節には,イエスのどんな役割が説明されていますか。その役割に感謝できるのはどうしてですか。

13 天でのイエスの役割についても考えてみましょう。イエスは私たちの王であり,憐れみ深い大祭司です。イエスを通して祈るなら,「惜しみない親切を示してくださる神」に近づき,「必要な時に」憐れみと助けを求めることができます。ヘブライ 4:14-16を読む。)エホバとイエスがしてくださったこと,そして今してくださっていることをじっくり考えるようにしましょう。毎日欠かさずにそうするなら,エホバとイエスを愛する気持ちが強まり,熱心に仕えたいと思うようになるでしょう。(コリ二 5:14,15

自分が真理を伝えた人がエホバの証人になっていたことを新しい世界で知ったら,どんな気持ちになるでしょうか。(14節を参照。)

14. エホバとイエスへの心からの感謝をどのように示せますか。(写真と挿絵も参照。)

14 私たちはいろいろな形でエホバとイエスに心から感謝していることを示せます。中でも,人々がエホバの証人またイエスの弟子となるよう助けるのは,とても良い方法です。(マタ 28:19,20)パウロも,エホバとイエスへの感謝の気持ちにあふれていました。「あらゆる人が救われて,真理の正確な知識を得ること」をエホバが願っているということを知っていました。(テモ一 2:3,4)それで,「できる限りのことをして,何人かでも救いたい」と思い,一生懸命に伝道を行いました。(コリ一 9:22,23

聖書を調べることを楽しむ

15. 詩編 1編2節によると,幸せの鍵は何ですか。

15 詩編作者は,「エホバの律法を喜び,昼も夜も思い巡らす」人は幸せになり,成功すると言いました。(詩 1:1-3,脚注)聖書翻訳者ジョセフ・ロザハムは「詩編の研究」(英語)の中で,この聖句の通りにする人は「神の導きをとても喜ぶので,それを探し,学び,じっくり楽しむだろう」と注釈しています。さらに,「そこに書かれている知恵についてより明快な洞察が得られなければ,その日が無駄になったと感じるだろう」と説明しています。聖書に書かれている豊かな情報を学び,その情報がどう関連し合っているかを知るのは楽しいことです。聖書を立体的に調べると,もっと調べたいと思うようになります。

16. 次の記事ではどんなことを学びますか。

16 エホバが聖書を通して教えてくださる素晴らしい真理は,決して難し過ぎて理解できないものではありません。次の記事では,パウロが「ヘブライ人のクリスチャンへの手紙」の中で説明したエホバの偉大な神殿について学びます。この深い真理について調べることも,ぜひ楽しんでください。

113番の歌 神の言葉に感謝する

a 聖書を学ぶのは楽しいことです。天のお父さんエホバともっと親しくなることができるので,人生が豊かになります。この記事では,どうすれば聖書の真理の「幅と長さと高さと深さ」を十分に理解できるかを考えます。

b 「ものみの塔」2022年7月号の「あなたにとって重要な古代の預言」という記事を参照。

c 間もなく起きる世界を揺るがすような出来事に備えて心を整えるためにどんなことができるかについては,「ものみの塔」2021年11月号 研究記事47 11節をご覧ください。