イタリアのコモ市に近いエルバにある病院で救急医として働くジャンドメニコ･グッラ兄弟は，新型コロナウイルスの感染拡大により，非常に忙しい日々を送っています。とはいえ，信仰のおかげで穏やかな気持ちでいられ，他の人を慰めることができています。（コリント第二 1:4）最近，イタリア支部の広報デスクによるインタビューに答えて，そうした経験について語ってくれました。

以下は，グッラ兄弟へのインタビューを抜粋し，一部編集したものです。

感染症が広まっている中，どのような状況に直面していますか。

グッラ兄弟: 私が働いている病院では，環境が急激に変わり，まるで津波に襲われたかのようでした。病院全体が再組織され，新型コロナウイルス感染症の患者だけを対象とした部門が幾つかできました。悲しいことに患者たちは隔離されており，家族や友人と直接会うことができません。それで私が家族に電話をかけ，患者の様子を伝えています。ある時，夜中に女性の患者の息子さんに電話し，母親が危篤状態であることを伝えなければなりませんでした。患者はすでに意識がありませんでしたが，ビデオ通話にしたので，息子さんは最後に母親を一目見ることができました。とても痛ましい状況でした。

聖書を学んできたことはどのように役立っていますか。

グッラ兄弟: 同僚たちが失意落胆している様子をよく目にしますが，私は聖書を学んできたおかげで追い詰められずに済んでいます。私たちがこうした困難な時期を乗り越えられるようにエホバが教えてくださってきたということを，かつてないほど実感しています。この感染症が広まっていることから，ますます聖書の預言通りになっていることが分かるので，冷静に物事を見ることができています。信仰がとても強まりました。

エホバからの慰めは，他の人を慰める上で助けになっていますか。

グッラ兄弟: エホバの聖なる力が大きな支えになっているのを感じます。家族といる時も仕事をしている時も助けられていますし，感染症の拡大のせいで難しい状況にいる兄弟姉妹をサポートすることもできています。

家族を慰める面でエホバからどのように助けられていますか。

グッラ兄弟: 病院での勤務時間が増えましたが，家族みんなでクリスチャンとしての良い習慣を保てるように努力しています。そのおかげで妻も力づけられ，夫婦の絆が強まったと感じています。家族の崇拝は，もうすぐ3歳になる娘のジネーブラを慰めるのにも役立っています。娘も前と何かが違うと感じて不安になるようで，「コロナがあるから，パパお仕事行っちゃダメ」とか，「パパが帰ってこなかったらどうしよう」とか言うことがあります。気持ちを落ち着かせようとオリジナルソングを聞かせると，すぐに笑顔になります。

同僚をどのように慰めることができましたか。

グッラ兄弟: 最近，私と同じ部門で働いている同僚との聖書レッスンが始まりました。彼とは数年前に，以前働いていた病院で出会い，聖書について幾らか話していました。彼は新型コロナウイルスの感染が広まる前に学び始め，今も続けています。現在はビデオ会議で聖書レッスンを行っており，週に2回することもあります。彼がこんなふうに言ってくれたので，とてもうれしく思いました。「聖書を勉強しているおかげで，前よりいい生き方ができていると思う。心が安らかになった。人はなぜ存在しているのか，どうしてこういう世の中なのかといった，いろいろな疑問の答えが分かってきた。信仰を持つことができて動揺しなくなり，将来に希望を持てるようになった」。

会衆の兄弟姉妹をどのように慰めることができていますか。

グッラ兄弟: 会衆の姉妹[ダニエラ･スグレバ姉妹]に新型コロナウイルスの陽性反応が出てしまい，入院しなければならなくなりました。私は救急車を持っている2人の兄弟と連絡を取り，姉妹の搬送をお願いしました。兄弟たちは50キロ以上運転して姉妹を迎えに行ってくれました。姉妹は兄弟たちを見てとてもうれしかったようです。そして，不安を感じながら病院に着くと，救急室に私たちが集まったので，とても安心したようです。私は姉妹を歓迎しました。2人の兄弟たちも医療従事者だったので，姉妹は兄弟たちに囲まれて世話を受けることになりました。姉妹は兄弟たちの愛情深いサポートにとても元気づけられたようです。感謝の気持ちでいっぱいになり，「エホバが私たちのことをよく分かっておられることは知っていましたが，今回は予想をはるかに超えることをしてくださいました」と言いました。

私は毎日ますますエホバに頼り，力を頂いています。仕事の行き帰りの車の中でオリジナルソングを聞くと，元気や勇気が湧いてきます。エホバのあらゆる助けに感謝して，「エホバがいるから」という歌を聞きながら，自分に繰り返しこう言い聞かせています。「弱さも，込み上げる不安も，そびえ立つ壁も，乗り越えられてきた。エホバがいるから」。