2022年1月26日
グローバル・ニュース
大会をより楽しめる音声解説が,視覚障害のある人たちのもとへ
過去2年と同様,今年も地区大会の音声解説が提供されます。音声解説は主に視覚障害のある人たちのためのもので,ビデオの映像が音声で説明されます。世界には,目の見えない人が4300万人,見えにくい人が2億9500万人いるとされています。そうした人たちにも聖書の教えを届けるため,音声解説が製作されるようになりました。
音声解説協会の会長で,音声解説の著名な専門家のジョエル・スナイダー博士はこう言っています。「視覚障害者のためのエホバの証人の取り組みには,とても感銘を受けています。ビデオに音声解説を付けて,目の見えない人たちも楽しめるようにするなんてことは,普通は考えません。でも,エホバの証人はそれをやっています。すごいです」。
統治体は,コロナ禍のために2020年の地区大会をビデオ収録すると決めた時,音声解説も加えることにしました。2020年は,ニューヨークのウォーウィックにあるエホバの証人の世界本部の翻訳サービス部門が大会の音声解説を製作しました。2021年の大会は,ニューヨークのパタソンにあるものみの塔教育センターのテキスト処理サービス部門が担当しました。音声解説チームは,製作のスキルをオンラインセミナーで学びました。
スナイダー博士はこう言います。「効果的な解説の作り方があるので,そのスキルをトレーニングすることが大切です。……簡潔で具体的にイメージできるような言葉を使います」。
エホバの証人のチームは製作に当たり,まず視覚障害のある人たちのつもりになって,ビデオの映像を見ずに音声だけを聞きます。その後,チームメンバーはそれぞれ感じたことをメモします。それから,ビデオをもう一度再生し,音声の間の無音箇所を確認します。そこに音声解説を入れることになるからです。
無音箇所に音声解説を入れるのは簡単なことではありません。チームと働くマイケル・ミレンはこう言っています。「無音箇所の長さは限られているので,映像を理解するために必要な言葉を厳選しなければいけません。時間,場所,登場人物,動作などを伝えるようにします」。
音声解説には,映像についての個人的な解釈が入らないようにしなければいけません。スナイダー博士は,自著「映像を言葉に」(英語)の中で,こう言っています。「解説を聞いている人が自分で解釈できるようにすることが大切です。そのため,解説はできるだけ客観的でなければいけません。例えば,『怒っている』とか『動揺している』とではなく,『こぶしを握り締めている』とか『泣いている』とすべきです」。
音声解説の台本が完成したら,声優に読み上げてもらい,録音します。声優はできるだけ淡々と読みます。マイケル・ミレンはこう言います。「声優はあくまで黒子に徹し,登場人物の邪魔をしないようにします。気持ちを込めて読んでしまうと,聞いている人は,ビデオの登場人物の1人と勘違いしてしまうからです」。
編集チームが最終版を完成させると,それが各支部に送られ,そこでそれぞれの言語に翻訳されます。マイケルによると,過去2年の地区大会では,音声解説全体の完成までに,ビデオ1分当たり3時間の作業を要しました。
現在,エホバの証人の出版物は1000以上の言語に翻訳されています。音声解説は,その数に入っていませんが,1つの言語だと言う人もいます。「音声解説は目の見えない人のための一種の翻訳です。ビデオの映像を音声に置き換えて表現しているんです」と,マイケルは言っています。
エホバは,あらゆる人たちが聖書の教えを楽しく学べるようにしてくれています。それは本当に素晴らしいことです。(イザヤ 65:13)