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ガブニア事件の被害者たちの一部,近影

2017年10月24日
ジョージア

ヨーロッパ人権裁判所は,条約違反を認めたジョージアの宣言を受け入れる

ヨーロッパ人権裁判所は,条約違反を認めたジョージアの宣言を受け入れる

2017年10月12日,ヨーロッパ人権裁判所は,10人のエホバの証人の権利を侵害したことを認めるジョージアの宣言を受け入れる判断を下しました。「ガブニアほか 対 ジョージア」事件において,ヨーロッパ人権条約の第9条と第14条によって保護されている信教の自由と差別からの自由を侵害したことへの賠償として,政府は被害者それぞれに800ユーロ(約10万円)を支払うことに同意しました。

2005年9月,10人のエホバの証人は,宗教上の動機による正教会過激派の暴徒たちによる4つの攻撃に関してヨーロッパ人権裁判所に申し立てを提出しました。4つの事件は,1999年10月から2003年11月までの間にジョージア政府が後ろ盾となってエホバの証人に加えた宗教的迫害の一部です。当局者は,暴力に加わったことにより,あるいは被害者を守らなかったことにより襲撃に加担しました。

ガブニア事件よりも前に,ヨーロッパ人権裁判所はジョージア政府に対して痛烈な判決を3回言い渡しています。その迫害期間中に受けた暴力から保護せずエホバの証人の権利を守らなかったことを理由に,政府を強く非難したのです。また,当局のこのような怠慢は「犯罪者と政府側が共謀しているのではないかとの合理的な疑いを市民社会に抱かせるものである」と,同裁判所は結論しました。さらに,「ジョージア当局は,不処罰の風潮を生み出し,国中でエホバの証人に対する攻撃を助長した」とも述べています。同裁判所はまた,「申立人に加えられた暴力行為を司法の側が黙認」していたこと,そして,ジョージアの裁判所が被害者の訴えに関して行なった調査が「偏っており,表面的であった」ことを指摘しました。

ヨーロッパ人権条約で保障されている被害者の権利を侵害したことを「遺憾ながら認める」という一方的宣言を提出することにより,ジョージアはこれまでの3つの裁判と同じように明らかに非難されることとなるであろう4番目の判決を回避しました。現在ジョージアのエホバの証人は,暴徒の襲撃や政府主導による宗教的迫害の被害を受けることはなくなり,信教の自由を享受しています。