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2015年11月27日
韓国

韓国の631人のエホバの証人は国連の「恣意的拘禁に関する作業部会」に申し立てを提出する

韓国の631人のエホバの証人は国連の「恣意的拘禁に関する作業部会」に申し立てを提出する

2015年の7月と8月に,韓国で投獄されている若い男性600人余りが国連の「恣意的拘禁に関する作業部会」に申し立てを提出しました。それらの男性は,個人の宗教的信念ゆえに兵役を拒否したため,起訴されて有罪判決を受け,1年半の刑を宣告されています。

申し立ての根拠

2014年10月15日,国連の規約人権委員会は,良心的兵役拒否者を投獄した韓国は恣意的拘禁の責任を問われる,という判断を下しました。この判断は,投獄されている男性たちが「恣意的拘禁に関する作業部会」に提出した申し立ての根拠になりました。

恣意的拘禁に関する作業部会には,「恣意的に,あるいは関係諸国が受諾した……国際条約に反して自由を剥奪した事例を調査する」権限がある。

申立人側の代理人を務めるオー・ドゥジン弁護士は,良心的兵役拒否者の投獄が恣意的と言える理由について説明しています。

国際基準からすれば,政府は良心上の理由で兵役を拒否する国民のために代替制度を設けなければなりません。なぜなら,良心と宗教に関する自由の権利には当然,良心的兵役拒否の権利が含まれるからです。しかし韓国政府は,代替の市民的奉仕活動の制度を設けるようにという国際社会からの求めを無視してきました。

偏見のない態度で考えるなら,韓国が60年にわたり,1万8000人余りの男性とその家族を巻き込んできた問題の解決をかたくなに拒んできたことは,「恣意的」と言えるでしょう。韓国政府は,国連の規約人権委員会からの5つの判断に含まれる勧告に従わず,それらの男性に「効果的な救済措置」を差し伸べていません。他人を傷つけまいと固く決意している男性たちを犯罪者として投獄することは,明らかに不公正かつ筋の通らない行為です。

作業部会への要請

作業部会に申し立てを提出した男性たちは次の事柄を求めています。

  • 「申立人たちを良心的兵役拒否ゆえに投獄しているのは恣意的拘禁であると結論付けること」。

  • 「大韓民国に対し,申立人たちの即時釈放と犯罪歴の抹消を指示すること」。

信仰ゆえに投獄される

投獄されている申立人の1人にアン・ジュンヒョクがいます。他の申立人と同様,アンは自分が犯罪者であるとは考えていません。幼い頃から,聖書の原則を理解し適用するよう母親に教えられてきました。アンはまだ若者ですが,兵役に就くことは自分の宗教的信念と良心に反すると判断しました。 a 韓国の状況を知っていたため,兵役拒否がどんな結果を招くかは分かっていました。そのうえで,どう決定するかを真剣に考えたのです。こう話します。

自分の宗教的信念を守ったからといって投獄されるべきだとは思いません。政府によって代替の市民的奉仕活動が設けられていたなら,それを行なったと思います。人を傷つけることはしないという誠実な信念ゆえに有罪判決を受けて罰せられるのは,正当なことではありません。

韓国は変化を求める圧力にどう応じるか

作業部会は631人分の申し立てを韓国政府に送り,意見や観察を聞くことにしています。韓国がそれに応答した後,作業部会は国連の人権理事会に所見と勧告を提出することになります。同理事会が良心的兵役拒否者の投獄を恣意的な拘禁であると認めるなら,韓国は国際社会の一員として人権を守る義務を無視しているという厳しい非難を浴びるでしょう。オー弁護士は以下のように述べています。

韓国は現在まで,良心的兵役拒否者が受け入れ可能な代替の市民的奉仕活動の制度を設けるようにという国際的な圧力を受けても,それに応じようとしてきませんでした。国内の複数の地方法院からの圧力も強まっています。ここ数か月の間に,2つの地方法院の判事が6人の良心的兵役拒否者に無罪を言い渡しています。2012年以降,地方法院の判事たちは7件の事件を憲法裁判所に付託しており,2015年7月にこの問題に関する公開の弁論が開かれました。

現在,韓国政府は国際法を無視し,毎月40人から50人のエホバの証人を有罪とし,投獄しています。韓国で良心的兵役拒否ゆえに投獄されているアン・ジュンヒョクや他のすべての証人たちは,憲法裁判所と国連の人権理事会による判断を待ち望んでいます。