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なぜ学校で勉強するのですか

なぜ学校で勉強するのですか

11章

なぜ学校で勉強するのですか

1-3 (イ)あなたは学校のことをどう感じていますか。(ロ)ガラテア 6章7節に記されている聖書の原則は学校の勉強にどう当てはまりますか。

あなたはなぜ学校へ行くのですか。おそらくあなたの住んでいる土地では,一定の年限だけ学校に行くことが要求されており,この点で選ぶ余地がないかもしれません。あるいは,まだ未成年者であるため,両親の指示どおりにする務めがあることでしょう。

2 ところで,あなた個人としては,学校に行く理由がほかにもあると思いますか。学校で身を入れて勉強したり,宿題をしたりすることから益が得られますか。あなたは,するとしてもなんとか付いて行ける程度の勉強をするだけの若者をたくさん知っているかもしれません。しかし,学ぶ機会を活用しないため,そうした人はその後の人生で自分を不利な立場に置くことになるのが普通です。なぜそう言えますか。

3 若い時にした事は,その人が成人した後にできる事柄を大きく左右するからです。学業においてさえ,「なんであれ,人は自分のまいているもの,それをまた刈り取ることになる」という聖書の原則が当てはまります。(ガラテア 6:7)ところで,今学業の面で時間と努力を『まく』ことにより,刈り取ることのできる益にはどんなものがありますか。

実際的な訓練

4-6 (イ)学校に通っている間にその学ぶ機会を活用するなら,後に良い結果になるのはなぜですか。(箴 21:5)(ロ)学校でどんな学科を学ぶのが大人になってから大いに役立つと思いますか。

4 将来,あなたは自活することが求められるという状況に立つことでしょう。やがて,夫や父親,また妻や母親としての務めを担うことでしょう。あなたはそうした責任を比較的負いやすいもの,楽しめるものにしたいと思いますか。学校時代を活用し,大人になってからの生活に役立つ事柄を学べば,そうするための助けとなります。

5 多くの学校では,いろいろな技術の基礎を学ぶための課目が設けられています。男子生徒のためには,大工・電気装置の取付け・溶接・会計学その他の学科があるでしょう。女子生徒であれば,秘書の仕事ばかりでなく,料理や裁縫といった家庭管理の技術を教える学科,また他の有益な学科を選べます。

6 こうした訓練の多くは,学校を出てからではなかなか身に付けられないものです。卒業後にそうした事柄を学びたいと思えば,そのためにお金を払わねばならないこともあります。あるいは,あなたに教えることにはほとんど関心のないような人と一緒に働き,そうした人の下でそれを学ばねばならないかもしれません。それなら,できる時に,そうした事柄の幾らかでも学ぶ機会を活用してはいかがですか。そして,課目を選ぶ時に,その事を是非ともご両親と話し合ってください。そうすれば,ご両親の人生の経験から益を受けられるでしょう。

読む力を身に付ける

7-11 (イ)じょうずに読む能力はなぜ特に有用ですか。(テモテ第一 4:13。ヨシュア 1:8)(ロ)読む能力を向上させるのにどんな事が役立ちますか。

7 学校で学べる,実際的に価値のある事柄はたくさんありますが,あなたに大きな喜びをもたらし,今後の学生生活と大人になってからの全生活に非常な影響を持つ事柄があります。それは,読む能力,しかもじょうずに読む能力です。それは数々の知識や技術,また楽しみへのとびらを開くかぎです。

8 標識・はり紙・本・雑誌・新聞・請求書・手紙など,起きている間は絶えず読む物にぶつかります。読む力の乏しい人にとって,それは全くいやなことでしょう。一方,じょうずに読めるようになれば,読まねばならない事柄が重荷となるどころか,あなたの生活を豊かにすることが分かるでしょう。

9 とりわけ,クリスチャンの若者は神のみ言葉である聖書の内容を知りたいと願うゆえに,じょうずに読む技術を学びたいと思います。また,巧みに読むことは,神の目的を他の人々に説明する際に非常にたいせつであることも知っています。確かに,じょうずに読むこととじょうずに話すこととには密接な関係があるのです。

10 じょうずに読めない人は少なくありませんが,もしあなたもそうでしたら,気落ちしないでください。読み方はおもに,文字の正しい書き方に気を配りながら練習することにかかっています。時おり声を出して読んでごらんなさい。これは,正しい意味をつかんだり,ふさわしい感情を込めて朗読するのに役立ちます。また,あなたが朗読するのを,じょうずに読める人にときどき聞いてもらうのは助けになるでしょう。そうした人は間違いや,あなたが身に付けた悪いくせを直すのを助けてくれます。

11 確かに,すらすらとよどみなく読む能力は真剣な努力なしでは得られません。しかし,今努力すれば,今後の生活において何倍も報われます。それは人生から最良のものを得る助けとなります。

勉強から得られる他の益

12-14 (イ)あなたが現在学校で選んでいる学科にはどんな実際的な価値がありますか。(ロ)勉強するために自己訓練することは大人になってどんな益になりますか。

12 中には,自分にとってあまり実際的ではないように思える学科があるかもしれません。しかしそうした学科も,あなたの視野を広げるのを助け,他のいろいろな面で役立つのです。歴史や地理,また語学は他の人々や土地を知る助けになります。多くの人にとって苦手な数学は,種々の職業において非常に役立ちますし,家庭を管理する上でも有用です。なぜなら,料理法を調べたり家計簿をつける必要があるからです。

13 たとえ自分の好きな科目でない場合でも,学校で勉強することにはもう一つの益があります。勉強は頭を訓練し,頭を働かせる能力を増進させるのです。ある意味で人間の頭は体の筋肉になぞらえることができます。つまり頭は訓練すればするほどよく働くようになるのです。頭を使うことが確実にやさしくなってゆき,いっそうよく働くようになってゆくのが分かるでしょう。しかし,筋肉と同様,頭も十分に使わなければ「なまり」ます。自分の頭がそのようになるのを願う人がいるでしょうか。

14 学校の勉強をいっしょうけんめいにして得られる貴重なものがほかにもありますか。あります。自己訓練が学べます。確かに今のところは自己訓練はそれほど望ましいものに見えないかもしれません。ところが,あなたも知るとおり,人は人生で自分のしたいことだけをするわけにはいきません。自分の生計を立てたり,あるいは自分自身の家族を養ったりする,より大きな責任を担うようになると,特にそうした事が起きます。優秀な運動選手と同じで,今自分を訓練することに慣れておけば,大人になってから,さまざまな務めを負うために必要な訓練を受けるのに役立ちます。また集中力を伸ばすのにも役立ちます。それは,多くの人々が,若い時に身に付けておけばよかったと考えるものです。

身の守り

15-18 (イ)勤勉に勉強することはどのように身の守りとなりますか。(箴 13:20)(ロ)クリスチャンである若者が学校で立派な模範を示したいと願うのはなぜですか。(テトス 2:6,7,10)(ハ)クリスチャンに命のどんな見込みがあることは,あなたが学校で勉強し,実際的な技術を身に付ける強力な刺激となりますか。(ヨハネ第一 2:15-17。ペテロ第二 3:13

15 いっしょうけんめい勉強に打ち込むことにはさらに別の益があります。それはあなたの身の守りとなるのです。どのようにですか。

16 おそらくあなたは,学友の間で道徳が低下している証拠をすでに見ているでしょう。性的不道徳や麻薬を使うことがはなはだしく行なわれており,非常に悲しい結果が生じています。さらに,反抗の精神が多くの若者の間に広まっています。

17 神のみ言葉の中で教えられている,振る舞いに関する高い標準を敬わない人々に囲まれて,悩んでいる人がいることでしょう。そうした人々との接触を全く避けることはできないにしても,学業上必要とされる以上に彼らと交わることは避けられます。勉強に十分の注意を払うなら,放課後の自由な時間のかなりの部分をそのために費やすことになり,無節操な人々との交わりは自動的に減ってきます。勉強をどんどん進めたいというあなたの気持ちが分かれば,その種の人々はやがてあなたと交わろうとしなくなるでしょう。それはあなたにとって身の守りとなります。

18 しかも,あなたが真のクリスチャンとして知られているなら,学校の勉強をいっしょうけんめいすることによってりっぱな模範となります。それは,あなたとご両親,またあなたが崇拝する神にとって誉れとなります。今培うことに専念している能力や技術の多くは,現在の事物の体制におけるごく短い生がいよりはるかに長い期間にわたって役立ちます。クリスチャンの若者はそのことから大きな励ましと刺激を受けるはずです。なぜなら,聖書は,現在の邪悪な全体制が終わりに近づいていることを証明しているからです。まもなくそれに代わって,心の正直な人々が永遠の命を受けることのできる神の正義の新しい秩序が訪れます。その新しい秩序のもとでは,「わたしの選んだ者たちは自分の手の業を十分に用いる」という神の約束が成就します。(イザヤ 65:22)ですから,若い人々が今身に付けている,勉強や仕事の良い習慣は,神の新しい秩序において,いつまでも満足と楽しみを得る源となることが分かるでしょう。

[研究用の質問]

[80ページの図版]

実際的な指導は後の生活のための備えとなる