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神の王国が誕生する!

神の王国が誕生する!

27章

神の王国が誕生する!

第7の幻 ― 啓示 12:1-17

主題: 天の女が出産し,ミカエルがサタンと戦って,これを地に投げ落とします

成就する期間: 1914年にキリスト・イエスが即位された時から大患難の時まで

1 啓示 12章から14章までに述べられているしるしの意味を理解することは,わたしたちにとってどのように役立ちますか。

神の神聖な奥義は明らかにされました。(啓示 10:7)エホバのメシアによる王国は今や強力な現実となりました。その王国は支配しています! この王国が存在していることは,サタンとその胤にとっては滅びを意味しますが,神の天の組織の胤にとっては輝かしい勝利を意味しています。しかし,第七のみ使いはラッパを吹き鳴らすのをまだ終了していません。というのは,そのみ使いには,第三の災いについてわたしたちに明らかにする,もっと多くの事柄があるからです。(啓示 11:14啓示 12章から14章までに述べられているしるしは,その災いと神の神聖な奥義を終わらせることに関係する事柄すべてに対する認識を広くするのに役立ちます。

2 (イ)ヨハネはどんな大きなしるしを見ますか。(ロ)その大きなしるしの意味は,いつ明らかにされましたか。

2 ヨハネは今や大きなしるしを見ます。それは神の民にとってとりわけ興味深いしるしです。そのしるしと共に,胸の躍るような預言的な幻が紹介されます。その幻の意味は,最初,1925年3月1日号,「ものみの塔」誌(英文)の「国民の誕生」と題する記事の中で,またその後再び1926年に「神の救い」(英文)と題する本の中で公表されました。聖書に関する理解のこの輝かしいひらめきは,エホバの業の発展段階の一つの歴史的な里程標となりました。それで,展開し始めるその劇についてヨハネに説明してもらいましょう。「また,大きなしるしが天に見えた。それは太陽で身を装った女で,月がその足の下にあり,頭には十二の星の冠があって,彼女は妊娠していた。そして,苦痛と子を産むもだえのために叫ぶ」― 啓示 12:1,2

3 天に見えるその女の実体は何ですか。

3 ヨハネは初めて天の女を見ます。もちろん,その女は文字通りの女ではありません。それはしるし,もしくは象徴です。(啓示 1:1)彼女は何を象徴していますか。霊感による預言の中で,女は傑出した人物と“結婚している”組織を表わす場合があります。ヘブライ語聖書では,イスラエルはエホバ神の妻と呼ばれています。(エレミヤ 3:14)ギリシャ語聖書では,油そそがれたクリスチャンの会衆は,キリストの花嫁と呼ばれています。(啓示 21:9-14)ヨハネがここで見ている女もある方と結婚しており,まさに出産しようとしています。その夫とはどなたですか。後に彼女の子供は,「神のもとに,そのみ座のもとに連れ去られ」て行きます。(啓示 12:5)こうして,エホバはその子供がご自身の子であると断言しておられます。ですから,ヨハネの見ている,その女は,エホバの象徴的な妻であるに違いありません。

4 神の象徴的な妻の子らとはだれですか。使徒パウロはヨハネの見た女を何と呼んでいますか。

4 それより8世紀ほど前に,エホバはこの象徴的な妻に語りかけて,『あなたの子らは皆エホバに教えられる者となる』と言われました。(イザヤ 54:5,13)イエスはこの預言を引用して,それらの子らはご自分の忠実な追随者であることを示されました。それら追随者は後に油そそがれたクリスチャンの会衆を構成しました。(ヨハネ 6:44,45)ですから,神の子と呼ばれている,この会衆の成員は,同時に神の象徴的な妻の子供でもあります。(ローマ 8:14)使徒パウロはもう一つの決定的な情報を付け加えて,「上なるエルサレムは自由であって,それがわたしたちの母です」と述べました。(ガラテア 4:26)それで,ヨハネの見た「女」は,「上なるエルサレム」です。

5 エホバの象徴的な妻には12の星の冠があることからすれば,上なるエルサレムとは実際には何ですか。

5 しかし,上なるエルサレムとは,厳密に言って何ですか。パウロはこの女のことを「上なる」エルサレムと呼んでおり,ヨハネはそれが天にあるのを見ていますから,この女は明らかに地上の都市ではありません。また,「新しいエルサレム」とも異なります。というのは,その組織はキリストの花嫁であって,エホバの妻ではないからです。(啓示 21:2)この女には12の星の冠があることに注目してください。12という数は,組織的な背景に見られる完全性と結びついています。 * したがって,それら12の星は,古代のエルサレムが地上にあったのと同様,この女が天にある組織的な取り決めであることを示唆しています。上なるエルサレムは,エホバに仕え,子孫を生み出すという両方の点で,その妻の役を務める,霊の被造物で成る,エホバの宇宙的な組織です。

6 (イ)ヨハネの見ている女が太陽で身を装っており,その足の下には月があり,星の冠を頂いていることは,何を示唆していますか。(ロ)妊娠したその女の陣痛は何を象徴していますか。

6 ヨハネはこの女が太陽で身を装っており,その足の下には月があるのを見ます。さらに,星の冠を加えると,彼女は天的な光で完全に囲まれることになります。神の恵みは昼も夜も彼女を照らします。これはエホバの壮大な天の組織の何とふさわしい象徴でしょう。また,彼女は妊娠しており,陣痛に耐えています。そして,神の助けを求めて叫んでいることは,彼女の出産の時が来たことを示しています。聖書では,陣痛は重要な成果をもたらすのに要した懸命な働きを象徴する場合があります。(詩編 90:2; 箴言 25:23; イザヤ 66:7,8と比較してください。)エホバの天の組織が,この歴史的な出産の用意をした時,恐らくそれと同様の陣痛を経験したことでしょう。

火のような色の大きな龍

7 ヨハネが天で見る別のしるしとは何ですか。

7 ヨハネは次に何を観察しますか。「また,別のしるしが天に見えた。見よ,火のような色の大きな龍であって,七つの頭と十本の角があり,その頭には七つの王冠があった。その尾は天の星の三分の一を引きずって,それを地に投げ落とした。そして龍は,子を産もうとする女の前に立っていた。彼女が子を産んだ時に,その子供をむさぼり食うためであった」― 啓示 12:3,4

8 (イ)火のような色の大きな龍の実体は何ですか。(ロ)その龍には七つの頭と十本の角があり,各々の頭に王冠があることは,何を示唆していますか。

8 この龍は,「初めからの蛇」であるサタンのことです。(啓示 12:9。創世記 3:15)彼はどう猛な破壊者,つまりえじきを完全に呑み込むことのできる,七つの頭のある龍,もしくはむさぼり食う者です。それは何と不思議な姿をしているのでしょう。それら七つの頭と十本の角は,この龍がもうすぐ啓示 13章で説明される政治的な野獣の考案者であることを示唆しています。その獣にも七つの頭と十本の角があるのが見えます。サタンは各々の頭に王冠が ― 全部で七つ ― あるので,その野獣で表わされている世界強国は確かに,サタンの支配権のもとに置かれてきたことが分かります。(ヨハネ 16:11)十本の角は,サタンがこの世で行使してきた権力の全体のふさわしい象徴です。

9 龍の尾で「天の星の三分の一を引きずって」地に落とすことは,何を示唆していますか。

9 龍は霊の領域でも権威を持っています。彼はその尾で,「天の星の三分の一を引きずって」行きます。星はみ使いたちを表わす場合があります。(ヨブ 38:7)言及されている「三分の一」は,かなりの数のみ使いたちがサタンに誤導されてきたことを強調しているようです。一度,サタンの支配下に入れられたそれらのみ使いには,逃げ道はありませんでした。彼らは神の聖なる組織に戻ることはできず,あたかも彼らの王,もしくは支配者であるサタンに引きずられて,悪霊になりました。(マタイ 12:24)サタンはまた,彼らを地に投げ落としました。これは恐らく,大洪水前のノアの時代のことを指しているようです。当時,サタンは不従順な神の子らを誘って地に下らせ,人間の娘たちと同棲させました。その罰として,それら「罪をおかしたみ使いたち」は,神により,タルタロスと呼ばれる獄のような状態に投げ込まれました。―創世記 6:4。ペテロ第二 2:4。ユダ 6

10 対立するどんな組織がはっきりと見えてきましたか。女が出産する時,龍はどうしてその子供をむさぼり食おうとしますか。

10 このような訳で,対立する二つの組織 ― 女によって表わされているエホバの天の組織と,神の主権に挑戦するサタンの悪霊の組織 ― がはっきりと見えてきました。主権に関する大論争が解決されなければなりません。しかし,どのようにして解決されるのでしょうか。依然として悪霊を引きずっているサタンは凶暴な猛獣のように,犠牲になりそうな者をねらっています。彼はその女が出産するのを待ち構えており,生まれる予定のその幼児をむさぼり食いたいと思っています。なぜなら,サタンは自分自身と自分が支配権を行使している世を存続させるのに,その子が不吉な脅威となることを知っているからです。―ヨハネ 14:30

子,男子

11 ヨハネはその女の子供の出産をどのように描写していますか。その子供はどうして『子,男子』と呼ばれていますか。

11 諸国民が神の干渉を受けずに支配する定められていた時は,1914年に終わりました。(ルカ 21:24)その時,その女は時をたがえず子供を生みます。「そして彼女は子を産んだ。男子であり,あらゆる国民を鉄の杖で牧する者である。そして彼女の子供は神のもとに,そのみ座のもとに連れ去られた。それから女は,神によって備えられた自分の場所がある荒野に逃げた。それは,彼らが千二百六十日の間そこで彼女を養うためであった」。啓示 12:5,6その子供は『子,男子』です。ヨハネはどうしてこのような二重の表現を用いているのでしょうか。それは,その子供がふさわしいこと,つまり十分の力をもって諸国民を支配する力量を備えていることを示すためです。それはまた,この誕生がいかに重要な,またいかに喜ばしい出来事かを強調しています。それは,神の神聖な奥義を終了させる点で主要な役割を演じます。何と,この男の子は「あらゆる国民を鉄の杖で牧する」のです!

12 (イ)詩編の中で,エホバはイエスに関して,どんな預言的な約束をなさいましたか。(ロ)女が「あらゆる国民を鉄の杖で牧する」子を出産するということは,何を象徴していますか。

12 ところで,この表現はなじみ深い響きを持っていますか。そうです,エホバはイエスに関して,「あなたは鉄の笏をもって彼らを砕き,彼らを陶器師の器であるかのように粉々にする」と述べて,預言的な約束をなさいました。(詩編 2:9)また,イエスに関しては,次のような預言もあります。「あなたの力の杖を,エホバはシオンから送り出して,こう言われます。『あなたの敵のただ中で従えてゆけ』」。(詩編 110:2)ですから,ヨハネの見た出産は,イエス・キリストと密接な関係があります。しかし,それは西暦1世紀以前の処女からのイエスの誕生ではありませんし,またイエスが西暦33年によみがえらされて霊の命を与えられたことを指しているとも考えられません。さらに,それは輪廻でもありません。そうではなくて,1914年における神の王国の誕生,つまり今では20世紀近く天におられるイエスが王として即位されたという事実を指しています。―啓示 12:10

13 男の子が「神のもとに,そのみ座のもとに連れ去られ」て行くことは,何を示唆していますか。

13 エホバは,ご自分の妻や生まれたばかりのご自身の子をサタンにむさぼり食わせるのを決して許されたりはなさいません! その男の子は生まれるとすぐ,「神のもとに,そのみ座のもとに連れ去られ」ます。こうして,その子は,ご自分のみ名を神聖なものにするための手段である,誕生したばかりのこの王国を十二分に世話してくださるエホバの保護を完全に受けられるようになります。同時に,女は神が彼女のために荒野に備えておられた場所に逃げます。このことについては,後でもっと詳しく取り上げます! サタンについて言えば,天の王国を二度と再び脅かし得ないようにさせる重大な出来事のための舞台が今や整いました。それはどんな出来事でしょうか。

天での戦争!

14 (イ)ヨハネが語っているように,サタンはどんな出来事のために王国を二度と再び脅かすことができなくなりますか。(ロ)サタンと悪霊たちの活動はどんな場所に限定されますか。

14 ヨハネはわたしたちにこう告げます。「また,天で戦争が起こった。ミカエルとその使いたちが龍と戦った。龍とその使いたちも戦ったが,優勢になれず,彼らのための場所ももはや天に見いだされなかった。こうして,大いなる龍,すなわち,初めからの蛇で,悪魔またサタンと呼ばれ,人の住む全地を惑わしている者は投げ落とされた。彼は地に投げ落とされ,その使いたちも共に投げ落とされた」。啓示 12:7-9それで,神の神聖な奥義を終わりに至らせる劇的な出来事の一つとして,サタンは天から追放され,投げ出されて,その悪霊たちもサタンと共に地に投げ落とされました。自らを人の住む全地の神とするほどに地を惑わしてきたサタンの活動は,ついにその反逆が最初に始まったこの惑星の近辺に限定されます。―コリント第二 4:3,4

15,16 (イ)ミカエルとはだれのことですか。どうしてそれが分かりますか。(ロ)ミカエルはサタンを天から投げ落とす方ですが,これはどうして適切なことですか。

15 だれがこの偉大な勝利をエホバの名によって成し遂げるのでしょうか。聖書によれば,それはミカエルとその使いたちです。では,ミカエルとはだれのことですか。「ミカエル」という名には,「だれか神のようであろうか」という意味があります。ですから,ミカエルはエホバと比べられる者は一人もいないことを証明して,その主権の正しさを立証することに関心を抱いているに違いありません。ユダ 9節では,ミカエルは「み使いの頭ミカエル」と呼ばれています。興味深いことに,「み使いの頭」という称号は聖書のほかの箇所で,ただ一人の人物,つまりイエス・キリストに関連して使われています。 * パウロはイエスについて,「主ご自身が号令とみ使いの頭の声また神のラッパと共に天から下られる」と述べています。(テサロニケ第一 4:16)「み使いの頭」という称号には,「み使いたちの長」という意味があります。ですから,啓示の書が「ミカエルとその使いたち」について述べていても驚くには当たりません。神の義にかなった僕に服しているみ使いたちに言及している聖書の他の箇所は,イエスと関係があります。そういう訳で,パウロは「主イエスがその強力なみ使いたちを伴い……天から表わし示される」ことについて述べています。―テサロニケ第二 1:7。マタイ 24:30,31; 25:31もご覧ください。

16 これらの聖句や他の句を調べると,ミカエルとは天的な地位に就いておられる主イエス・キリストご自身にほかならないという結論に達せざるを得ません。主の日の今,イエスはサタンに対して,もはや単に,「エホバがあなたを叱責されるように」とだけ言うようなことはなさいません。今は裁きの時ですから,ミカエルであるイエスは,邪悪なサタンと配下の悪霊となっている,み使いたちを天から投げ落とされます。(ユダ 9。啓示 1:10)イエスは新たに即位された王ですから,イエスこそそうすべき方であると考えるのは大変適切なことです。イエスはまた,昔エデンで約束された胤であられ,最後には蛇の頭を砕いて,これを永久に消滅させる方です。(創世記 3:15)イエスはサタンを天から追放することにより,そのように最終的に頭を砕く事態に向かって行動してこられました。

『天よ,喜べ!』

17,18 (イ)ヨハネはサタンが天から落ちたことに関して,天で生じたどんな反応を伝えていますか。(ロ)ヨハネが聞いている大きな声は,恐らくどんな源から出ていますか。

17 ヨハネはサタンのこの驚くべき失脚の結果,天で生じた喜ばしい反応をこう伝えています。「そして,わたしは大きな声が天でこう言うのを聞いた。『今や,救いと力とわたしたちの神の王国とそのキリストの権威とが実現した! わたしたちの兄弟を訴える者,日夜彼らをわたしたちの神の前で訴える者は投げ落とされたからである。そして彼らは,子羊の血のゆえに,また自分たちの証しの言葉のゆえに彼を征服し,死に面してさえ自分の魂を愛さなかった。このゆえに,天と天に住む者よ,喜べ!』」― 啓示 12:10-12前半

18 ヨハネが聞いているのはだれの大きな声ですか。聖書は何も述べていません。しかし,啓示 11章17節で伝えられている同様の声は,復活させられて天的な地位に就いた24人の長老の所から来ました。彼らは今やその場所で14万4,000人の聖なる者たちを代表することができます。(啓示 11:18)それに,なお地上で迫害されている,油そそがれた,神の僕たちはここで,「わたしたちの兄弟」と呼ばれていますから,この発言は恐らくその同じ源から来たと言えるでしょう。確かに,それら忠実な者たちは彼らの声に和することができます。というのは,それらの人たちの復活は,サタンとその悪霊の軍勢が天から投げ出されて間もなく起きることになっていたからです。

19 (イ)神の神聖な奥義が終了することにより,イエスにとって何を行なう道が開かれますか。(ロ)サタンが「わたしたちの兄弟を訴える者」と呼ばれていることは,何を示唆していますか。

19 神の神聖な奥義が終了するには,イエスがエホバの王国で権力を執る必要があります。こうして,神が忠実な人間を救出する偉大な目的を遂行する道が開かれます。イエスは今地上にいる,神を恐れるご自分の弟子たちだけでなく,神の記憶のうちにある何十億人もの無数の死者にも救いをもたらされます。(ルカ 21:27,28)サタンが「わたしたちの兄弟を訴える者」と呼ばれていることは,ヨブに対するサタンの訴えが偽りと判明したにもかかわらず,彼は相変わらず神の地上の僕たちの忠誠に対して挑戦してきたことを示しています。サタンはしばしば,人間は自分の魂の代わりに自分の持っているものすべてを与えると繰り返し非難してきたようです。サタンは何と惨めな失敗をしてきたのでしょう。―ヨブ 1:9-11; 2:4,5

20 忠実なクリスチャンはどのようにしてサタンを征服してきましたか。

20 「子羊の血のゆえに」義にかなっているとみなされる,油そそがれたクリスチャンは,迫害にもめげず,神とイエス・キリストについて引き続き証しをしています。このヨハネ級の人たちは120年以上にわたって,1914年における「異邦人の時」の終わりにかかわる重大な論争を指摘してきました。(ルカ 21:24,ジェームズ王欽定訳; 日本聖書協会発行,文語聖書)そして,今では大群衆が彼らの側に付いて忠節に奉仕しています。現代のエホバの証人の実際の経験が再三再四実証してきたように,それらの人たちはだれも「体を殺しても魂を殺すことのできない者たちを恐れ」ません。彼らは口の言葉とクリスチャンとしての正しい行ないによってサタンを征服し,サタンが偽り者であることを終始一貫証明してきました。(マタイ 10:28。箴言 27:11。啓示 7:9)油そそがれたクリスチャンは天に復活させられる時,どんなにか幸福なことでしょう! というのは,サタンはもはや天にいないので,彼らの兄弟たちを訴えることはないからです。確かに今は,み使いの軍勢のすべてが,「天と天に住む者よ,喜べ!」と叫ぶ声に喜びを抱いてこたえ応じるべき時です。

匹敵する災い!

21 サタンはどのように地と海に災いをもたらしてきましたか。

21 第三の災いのゆえにいら立っているサタンは,今や彼独自の特異な災いで人類を悩ませることに腐心しています。その災いについて,こう記されています。「地と海にとっては災いである。悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りを抱いてあなた方のところに下ったからである」。啓示 12:12[後半]サタンが天から放逐されたため,文字通りの地は災いを被り,地は利己的な人間に支配されて損なわれています。(申命記 32:5)しかも,『支配せよ。さもなければ,破滅させよ』というサタンの意向のために,象徴的な地,つまり人間の社会機構はもとより,象徴的な海,つまり動揺する集団である人類それ自体もさらにひどい災いに遭っています。二度の世界大戦中,サタンの憤りはその支配に服する諸国民の憤りとなって表われ,同様の悪霊の爆発する激怒は今日に至るまで続いていますが,もうそれほど長くはありません!(マルコ 13:7,8)しかし,悪魔の企てが恐ろしいものであっても,それは第三の災い ― 神の王国によって講じられる処置 ― がサタンの見える組織にもたらす悲惨な結果には決して匹敵しないでしょう!

22,23 (イ)ヨハネは,龍が地に投げ落とされた後,何が起きると言っていますか。(ロ)龍はどうして,「男の子を産んだ女」を迫害することができるのでしょうか。

22 サタンが激変を被って放逐されて以来,なお地上にいるキリストの兄弟たちは,サタンの憤りの矢面に立たされてきました。ヨハネはこう伝えています。「さて,自分が地に投げ落とされたのを見た時,龍は,男の子を産んだ女を迫害した。しかし,大きな鷲の二つの翼が女に与えられた。荒野の中の自分の場所に飛んで行くためであった。そこは,一時と二時と半時のあいだ彼女が蛇の顔から離れて養われるところである」― 啓示 12:13,14

23 この幻の中では,6節で提起されている考えが取り上げられています。その節は,女がその子を生んだ後,龍から離れて荒野に逃げることを述べています。しかし,龍はどのようにして女を迫害できるのだろうかという疑問が生じるかもしれません。というのは,彼女は天にいますが,龍は今では地に投げ落とされているからです。では,女がこの地上に子供たち,つまり彼女の胤を持っていることを思い起こしてください。この幻は後の箇所で,サタンが女の胤を迫害することにより彼女に対して激怒を表わすことを告げています。(啓示 12:17)この地上で女の胤に生じる事柄は,女自身に生じる事柄とみなせるでしょう。(マタイ 25:40)それに,この地上で増加してゆく,その胤の仲間の人たちも,その迫害に遭っています。

新しい国民

24 聖書研究者たちはエジプトから救い出されたイスラエル人と同様,どんな経験をしましたか。

24 第一次世界大戦が行なわれていた間,イエスの兄弟たちは忠実に,できる限り証しの業を続けました。しかも,サタンとその凶暴な支持者たちからの激しい反対にもかかわらず,そうしたのです。しかし,聖書研究者たちの公の証しの業はついに事実上阻止されました。(啓示 11:7-10)その時,彼らは,やはりエジプトの大きな圧力に耐えたイスラエル人の場合とよく似た経験をしました。エホバがイスラエル人を,あたかも鷲の翼に乗せて,シナイの荒野の安全な所に素早く連れ出されたのは,その時のことでした。(出エジプト記 19:1-4)同様に,1918年から1919年に起きた辛い迫害の後,エホバはご自分の女を代表するご自身の証人たちを救い出し,イスラエル人にとって安全な所だった砂漠のように安全な霊的な状態に導き入れられました。それは彼らの祈りに対する答えとして生じました。―詩編 55:6-9

25 (イ)エホバはイスラエル人を荒野で一国民として生み出したのと同様,1919年に何を生み出されましたか。(ロ)この国民はどんな人たちで構成されていますか。彼らは何に導き入れられましたか。

25 エホバはイスラエル人を荒野で一国民として生み出し,霊的にも身体的にも必要なものを彼らに備えられました。同様に,エホバは1919年に女の胤を霊的な国民として生み出し始められました。この国民を1914年以来,天で支配を行なってきたメシアによる王国と混同してはなりません。この新しい国民は,1919年に輝かしい霊的な地所に導き入れられた,地上の油そそがれた証人たちの残りの者で構成されています。それらの人たちは,今や「時に応じてその定めの食糧」を備えられたので,前途に控えていた業を行なうよう強められました。―ルカ 12:42。イザヤ 66:8

26 (イ)啓示 12章6節と14節で指摘されているのは,どれほどの長さの期間ですか。(ロ)その三時半の期間にはどんな目的がありましたか。それはいつ始まり,いつ終了しましたか。

26 神の女の胤のための休息期間はいつまで続きましたか。啓示 12章6節は,それが1,260日であると述べています。啓示 12章14節はその期間を一時と二時と半時と呼んでいます。言い換えれば,三時半です。実際,この両方の表現は,北半球では1919年の春から1922年の秋までの3年半を意味しています。これは回復されたヨハネ級の人たちを元気づけて立ち直らせ,再組織させる期間でした。

27 (イ)ヨハネの報告によれば,龍は1922年以後,何をしましたか。(ロ)サタンが証人たちに対して迫害の洪水を吐き出した目的は何でしたか。

27 龍はあきらめませんでした! こう記されています。「それから,蛇は口から川のような水を女の後ろに吐き出した。彼女をその川によっておぼれさせるためである」。啓示 12:15「川のような水」,もしくは「[大]水の洪水」(「新英訳聖書」)は何を意味していますか。古代のダビデ王は自分に反対した邪悪な者たちのことを「どうしようもない者たちの鉄砲水」[「無用な者たちの奔流」,ヤング訳]と述べました。(詩編 18:4,5,16,17)同様に,サタンが今や放つのは,無用な,もしくは「どうしようもない者たち」による迫害です。1922年以後,サタンは証人たちに対して迫害の洪水を吐き出しました。(マタイ 24:9-13)その迫害には身体的暴行,『布告によって難儀を仕組む』こと,投獄,および絞首刑,銃殺刑,斬首刑さえ含まれました。(詩編 94:20)神の天の女に直接近づくことを許されなくなった,卑しめられたサタンは憤りに燃えて,地上に残っている彼女の胤を攻撃し,直接,もしくは忠誠を破らせて神の恵みを失わせることにより彼らを滅ぼそうとしました。しかし,彼らの決意は,「わたしは息絶えるまで,自分の忠誠を自分から奪い去らない!」と語ったヨブの決意と同様であることが証明されました。―ヨブ 27:5

28 第二次世界大戦中に迫害の洪水はどのように頂点に達しましたか。

28 この猛烈な迫害の洪水の威力は第二次世界大戦中に最高点に達しました。ヨーロッパではおよそ1万2,000人の証人たちがナチの強制収容所と刑務所に監禁され,約2,000人が死にました。イタリア,日本,朝鮮,および台湾を支配した軍司令官たちのもとで,忠実な証人たちは同様の残忍な仕打ちを受けました。いわゆる民主主義の国々でさえ,証人たちはカトリック・アクションの運動員のグループに襲われ,タールを塗り付けられ,鳥の羽毛をくっつけられて,町から追い出されました。クリスチャンの大会は解散させられ,子供たちは放校されました。

29 (イ)ヨハネは,救援が予期しない所からもたらされることをどのように述べていますか。(ロ)『地は女の救助にまわった』というのはどういうわけですか。(ハ)龍は何をし続けていますか。

29 救援は予期しない所からもたらされました。「しかし地が女の救助にまわり,地は口を開いて,龍が自分の口から吐き出した川を呑み込んだ。それで龍は女に向かって憤り,彼女の胤のうちの残っている者たち,すなわち,神のおきてを守り行ない,イエスについての証しの業を持つ者たちと戦うために出て行った」。啓示 12:16,17「地」― サタン自身の事物の体制内の諸要素 ― は「川」,もしくは「洪水」を呑み込み始めました。1940年代中,証人たちは米国最高裁判所で,また信教の自由を擁護した他の幾つかの国の政治権力者から一連の有利な判決を得ました。最後に,連合国がナチおよびファシストの圧倒的な破壊力をいわば呑み込み,残忍な独裁支配者のもとで苦しんでいた証人たちは救助されました。迫害は全く終わった訳ではありません。というのは,龍の憤りは今日まで続いてきましたし,龍は「イエスについての証しの業を持つ」人たちに対する戦いをなお続けているからです。忠節な証人たちがいまだに投獄されている国は少なくありませんし,中には今なお忠誠のゆえに死ぬ人もいます。しかし,そのような国々の中の幾つかの国では,当局が時々圧力を緩和させ,証人たちはより大きな自由を享受する場合もあります。 * こうして,預言を成就するものとして,地は引き続き迫害の川を呑み込んでいます。

30 (イ)地は十分に救援を行なってきたので,何が生じ得るようになりましたか。(ロ)神の民の忠誠は何をもたらしますか。

30 このようにして,地は十分に救援を行なってきたので,神の業は235ほどの国や地域に広がり,良いたよりを宣べ伝える600万人以上の忠実な奉仕者を生み出すことができました。女の胤のうちの残っている者たちと共に,新しい信者の国際的な大群衆は,世から離れること,清い道徳,兄弟たちを愛することなどに関する神のおきてを守り行ない,メシアによる王国について証言しています。これらの人たちの忠誠はサタンの非難がましい挑戦に対する答えとなっているため,サタンとその事物の体制の終わりを告げる鐘の音が響いています。―箴言 27:11

[脚注]

^ 5節 肉のイスラエルの12部族,12使徒,霊的なイスラエルの12部族,ならびに12の門,12人のみ使い,および新しいエルサレムの12の土台石と比較してください。―啓示 21:12-14

^ 15節 しかし,啓示 12章9節が「大いなる龍(と)……その使いたち」について述べていることに注目してください。ですから,悪魔は自分自身を偽者の神に仕立てているだけでなく,またみ使いの頭になろうとしています。しかし,聖書は決してその称号をサタンに与えてはいません。

^ 29節 幾つかの国の最高裁判所はエホバの証人を救助することを許しました。そのような判決の幾つかは92ページの囲み記事の中に引用されています。

[研究用の質問]

[185ページの囲み記事]

『地は口を開いた』

サタンの迫害の鉄砲水は多くの国々で,油そそがれたクリスチャンとその仲間たちに対して放たれてきました。ところが,しばしば,サタン自身の事物の体制内の状況が進展した結果,その鉄砲水は呑み込まれました。

米国で洪水のように起きた暴徒による襲撃や投獄事件は,大方,1940年代に最高裁判所の下した有利な判決により,いわば呑み込まれました。

1945年,連合国は第二次世界大戦で勝利を収めた結果,ドイツや日本が支配した国々での猛烈な迫害は終わりました。

ドミニカ共和国のエホバの証人は禁令を課せられた時,投獄されたり,むち打たれたり,ライフル銃の台じりで打たれたりしました。1960年,独裁者ラファエル・トルヒーヨとローマ・カトリック教会とが衝突した結果,エホバの証人に対する禁令が解除されることになりました。

ナイジェリアの内戦中,証人たちは射殺,焼き打ち,強姦,殴打,拷問,および殺害に遭いましたが,1970年に政府軍がそういう仕打ちの行なわれていた,分離した州を制圧した時,そのような事態は終わりました。

スペインでは,クリスチャンは家を襲われ,神について語ったり,クリスチャンの集会に出席したりした“かど”で罰金を課せられたり,投獄されたりしました。カトリック以外の宗教に対する政府の方針が変わった結果としてエホバの証人の法的登録が可能になった1970年に,その迫害はついに終わりました。

ポルトガルでは,正当な理由もなく,何百軒もの家が捜索され,証人たちは傷つけられたり,投獄されたり,聖書を没収されたりしました。1974年に軍事革命が起きたために政府が代わり,集会の自由を認める法律が可決された結果,恐怖政治は『呑み込まれ』ました。

アルゼンチンの軍事政府のもとで,エホバの証人の子供たちは放校され,証人たちは良いたよりを宣べ伝えたために国内の至る所で逮捕されました。当時の政府がエホバの証人の協会を法的に認可した1984年に,この迫害はついに終わりました。

[183ページの図表]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

1914年 王国の誕生

1919年 新しい国民の誕生

1919年-1922年 立ち直らせる期間

1922年- 迫害の洪水

[182ページの図版]

地は災い