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終わりに至る神の怒り

終わりに至る神の怒り

32章

終わりに至る神の怒り

1 七つの鉢の中身が最終的に注ぎ出されると,何が起きますか。それらの鉢に関して,今,どんな質問が起きますか。

ヨハネは,七つの鉢の中身を注ぐ使命を帯びたみ使いたちをすでに紹介しました。そして,わたしたちに,「これは最後の者たちである。彼らによって神の怒りは終わりに至るからである」と告げています。(啓示 15:1; 16:1)地上の邪悪な事柄に対するエホバの制裁行為を明らかにする,それらの災厄は,最終的に注ぎ出されなければなりません。それが終わる時,神の裁きは執行されていることでしょう。サタンの世はもはや存在しなくなります! それらの災厄は人類と現在の邪悪な体制の支配者たちにとって何を予示していますか。クリスチャンはどうすれば,滅びに定められたこの世と共に災難に遭わないようにすることができますか。これは大変重要な質問ですから,今その答えを得ておかなくてはなりません。義の勝利を待ち焦がれている人は皆,ヨハネが次に見る事柄に深い関心を抱くことでしょう。

「地」に対するエホバの憤り

2 第一のみ使いが鉢の中から地に注ぎ出す結果,何が生じますか。「地」は何を象徴していますか。

2 第一のみ使いは行動を開始します!「そして,第一の者が出て行って,自分の鉢の中から地に注ぎ出した。すると,害をもたらす悪性のかいようが,野獣の印を持ち,その像を崇拝していた者たちに生じた」。啓示 16:2最初のラッパの音の場合と同様,ここで出てくる「地」は,4,000年余の昔,ニムロデの時代にサタンがこの地上で築き始めた,安定しているように見える政治体制を象徴しています。―啓示 8:7

3 (イ)多くの政府は崇拝に相当することをどのように臣民に要求してきましたか。(ロ)諸国家は神の王国に代わるものとして何を作り出しましたか。それを崇拝する人々はどんな影響を受けますか。

3 終わりの日の今日,崇拝に相当することを臣民に要求し,国家を神,もしくは他のいかなる忠誠心よりも高められなければならないと主張する政府は少なくありません。(テモテ第二 3:1。ルカ 20:25; ヨハネ 19:15と比較してください。)1914年以来,現代の歴史の多くのページを血で染めた総力戦のような戦争で戦うよう,あるいは戦う用意をするよう国家が若い人々を徴兵するのは,普通の事柄となってきました。主の日の期間中,諸国家はまた,神の王国に代わるものとして獣の像,つまり国際連盟,ならびにその後身である国際連合を作り出しました。近年,法王たちがしてきたように,人間の作ったこの機関が平和のための諸国家の唯一の望みであると宣言するのは,何という冒とくでしょう。その機関は神の王国に頑強に反対しています。それを崇拝する人々は,モーセの時代にエホバに反対したエジプト人が文字通りのはれ物やかいようで苦しめられたのと全く同様,霊的に汚れて,かいようができるようになります。―出エジプト記 9:10,11

4 (イ)神の怒りの最初の鉢の中身は何を大いに強調していますか。(ロ)エホバは野獣の印を受ける人々をどのようにみなされますか。

4 この鉢の中身は,人間の前に置かれている選択の機会を大いに強調しています。つまり,世の不興を買うか,エホバの義憤に遭うか,いずれかを選ばねばなりません。人間は野獣の印を受けるよう強制されてきました。それは,「その印,つまり野獣の名もしくはその名の数字を持つ者以外にはだれも売り買いできないようにする」ためです。(啓示 13:16,17)しかし,印を受けるなら,払わねばならない代償があります! エホバは,印を受ける人々を「害をもたらす悪性のかいよう」に冒された者とみなされます。1922年以来,そのような人々は生ける神を退けた者として公に印づけられてきました。彼らの政治的な企ては功を奏さないので,彼らは苦悩しており,霊的に汚れています。彼らが悔い改めない限り,「害をもたらす」この病は末期的なものとなります。というのは,今はエホバの裁きの日だからです。この世の事物の体制の一部になるのと,キリストの側に付いてエホバに仕えることとの間には中立的な立場はありません。―ルカ 11:23。ヤコブ 4:4と比較してください。

海は血のようになる

5 (イ)第二の鉢の中身が注ぎ出されると,何が起きますか。(ロ)エホバは,象徴的な海に住んでいる人たちをどのようにみなしておられますか。

5 今や,神の怒りの第二の鉢の中身を注ぎ出さなければなりません。それは人類にとって何を意味しますか。ヨハネはわたしたちにこう告げます。「また,第二の者がその鉢の中から海に注ぎ出した。すると,それは死人の血のようになり,すべての生きた魂が,しかり,海にあるものが死んだ」。啓示 16:3第二のラッパの音と同様,この鉢は海に,つまりエホバから離反した人類の沸き立つ反抗的な集団に向けられています。(イザヤ 57:20,21。啓示 8:8,9)この「海」はエホバの目には血のようで,生き物が住むのに適していません。そのような訳で,クリスチャンは世のものであってはなりません。(ヨハネ 17:14)神の怒りの第二の鉢の中身を注ぎ出すことは,この海に住んでいる人間がすべてエホバの見地からすれば死んでいることを明らかにしています。人類には共同責任があるゆえに,無実の人間の血を流したゆゆしい罪があります。エホバの怒りの日が到来すると,それらの人々は神の刑執行隊の手にかかって文字通り死ぬでしょう。―啓示 19:17,18。エフェソス 2:1; コロサイ 2:13と比較してください。

彼らに血を与えて飲ませる

6 第三の鉢の中身が注ぎ出されると,何が起きますか。み使いや祭壇から出るどんな言葉が聞こえますか。

6 神の怒りの第三の鉢は第三のラッパの音と同様,淡水の源に影響を及ぼします。「また,第三の者がその鉢の中から川と水のわき出るところとに注ぎ出した。すると,それらは血になった。そしてわたしは,水をつかさどるみ使いがこう言うのを聞いた。『今おられ,かつておられた方,忠節な方,あなたは義にかなっておられます。このような決定を下されたからです。彼らは聖なる者と預言者たちの血を注ぎ出しましたが,あなたは彼らに血を与えて飲ませました。彼らはそうされるに価するのです』。また,わたしは祭壇がこう言うのを聞いた。『そうです,全能者なるエホバ神,あなたの司法上の決定は真実で義にかなっています』」― 啓示 16:4-7

7 「川と水のわき出るところ」は何を表わしていますか。

7 これらの「川と水のわき出るところ」は,人間の行動や決定を導く,政治的,経済的,科学的,教育的,社会的,ならびに宗教的哲学のような,この世に受け入れられる指針や知恵のいわゆる新しい源を表わしています。人々は命を与える真理を命の泉であられるエホバに仰ぐ代わりに,『自分たちのために壊れた水溜めを切り掘って』,『神にとっては愚かなもの[である]この世の知恵』をいわばいっぱい飲みました。―エレミヤ 2:13。コリント第一 1:19; 2:6; 3:19。詩編 36:9

8 人類はどのようにして血の罪を負ってきましたか。

8 このような汚れた「水」は,例えば,種々の戦争で途方もない規模で行なわれてきた流血を助長して,人々に血の罪を負わせるものとなりました。20世紀には戦争で1億人以上の人命が奪われました。特に,世界大戦が二度起きたキリスト教世界の人々は,『罪のない血を流そうと急ぎ』ました。その血には神ご自身の証人たちの血も含まれています。(イザヤ 59:7。エレミヤ 2:34)人類はまた,エホバの義にかなった律法を破って輸血を行ない,膨大な量の血を誤用して血の罪を負ってきました。(創世記 9:3-5。レビ記 17:14。使徒 15:28,29)そのため,輸血によってエイズ,肝炎,その他の病気のまん延を招き,悲惨な結果をすでに刈り取ってきました。違反を犯す者たちが間もなく,「神の怒りの大きなぶどう搾り場」で踏まれて最高刑に処せられる時,すべての血の罪に対する報復が十分に行なわれるでしょう。―啓示 14:19,20

9 第三の鉢の中身を注ぎ出すことには何が関係していますか。

9 モーセの時代にナイル川が血に変えられた時,エジプト人はほかの水の源を捜し求めて,生き続けることができました。(出エジプト記 7:24)しかし霊的な災厄が続いている期間の今日,人々が命を与える水を見いだせる場所はサタンの世にはありません。この第三の鉢の中身を注ぎ出すことには,この世の「川と水のわき出るところ」は血と化しており,その水を飲む人々すべてに霊的な死をもたらすという事実を告げ知らせることが関係しています。人々はエホバに頼らない限り,その不利な裁きを刈り取ります。―エゼキエル 33:11と比較してください。

10 「水をつかさどるみ使い」は何を知らせますか。「祭壇」はどんな証言を付け加えますか。

10 「水をつかさどるみ使い」,すなわちこの鉢の中身を水に注ぐみ使いは,エホバを宇宙的な裁き主としてあがめています。この方の義にかなった決定は絶対的なものです。ですから,その裁きについて,このみ使いは,「彼らはそうされるに価するのです」と述べています。恐らく,このみ使いは自らも現在の邪悪な世の偽りの教えや人生哲学によって何千年にもわたって助長されてきた流血行為や残虐行為の多くを目撃してきたことでしょう。したがって,エホバの司法上の決定が正しいことを知っています。神の「祭壇」さえも大声で語ります。啓示 6章9節と10節では,殉教の死を遂げた人たちの魂は,その祭壇の基のところにあると言われています。ですから,「祭壇」はエホバの決定の公正さと義に関する強力な証言を付け加えています。 * 血をおびただしく流したり,誤用したりしてきた人々が,エホバにより死刑に処せられることを象徴するものとして,強制的に血を飲まされるのは,確かにふさわしいことです。

人を火で焦がす

11 神の怒りの第四の鉢の標的は何ですか。その鉢の中身が注ぎ出されると,何が起きますか。

11 神の怒りの第四の鉢の標的は太陽です。ヨハネはわたしたちにこう告げます。「また,第四の者がその鉢の中から太陽の上に注ぎ出した。すると,太陽には,人を火で焦がすことが許された。そして,人々は激しい熱で焦がされたが,彼らは,これらの災厄に対して権威を持たれる神の名を冒とくし,悔い改めて神に栄光を帰するようにはならなかった」― 啓示 16:8,9

12 この世の「太陽」とは何ですか。この象徴的な太陽は何をすることが許されますか。

12 事物の体制の終結の時である今日,イエスの霊的な兄弟たちは,『その父の王国で太陽のように明るく輝きます』。(マタイ 13:40,43)イエスご自身は「義の太陽」です。(マラキ 4:2)ところが,人間には自分自身の「太陽」があります。つまり,神の王国に反対して輝こうとする支配者たちがいます。第四のラッパの音は,キリスト教世界の天の『太陽や月や星』が実際には光ではなく,闇の源であることをふれ告げました。(啓示 8:12)神の怒りの第四の鉢は今や,世の「太陽」が耐えられないほど熱くなることを示しています。太陽のような指導者として仰がれた者たちは,人類を『焦がし』ます。そうすることが象徴的な太陽に許されるのです。言い換えれば,エホバは人類に対するご自分の火のような裁きの一環として,そうすることを許されるのです。そのように焦がすことは,どのようにして起きましたか。

13 この世の太陽のような支配者たちは,どのような仕方で人類を『焦がして』きましたか。

13 第一次世界大戦後,この世の支配者たちは世界の安全の問題を解決する試みの一環として国際連盟を結成しましたが,それは失敗しました。それで,ファシズムやナチズムのような他の実験的な支配形態が試みられました。共産主義は伸張し続けました。これら諸体制内の太陽のような支配者たちは,人類の宿命を改善するどころか,『人間を激しい熱で焦がし』始めました。スペイン,エチオピア,および満州における局地的な戦いが重なって第二次世界大戦となりました。現代の歴史の記録は,ムッソリーニ,ヒトラー,およびスターリンなどの独裁者が自分たちの多数の同胞を含め,何千万もの人々の死に対して直接または間接的に責任を負うようになったことを示しています。もっと近年では,国際的紛争もしくは内紛のために,ベトナム,カンボジア,イラン,レバノン,およびアイルランドも,またラテンアメリカやアフリカの諸国の人々も「焦がされ」てきました。それに加えて,全人類を焼き滅ぼし得る恐るべき核兵器を有する超大国間の闘争が続いています。終わりの日の今日,人類は確かに焼き焦がす「太陽」,つまり不義の支配者たちにさらされてきました。神の怒りの第四の鉢の中身を注ぎ出すことにより,これらの歴史的な事実が的確に指摘され,神の民はそれを地上の至る所でふれ告げてきました。

14 エホバの証人は,何が人類の諸問題の唯一の解決策であることを一貫して教えてきましたか。人類は全体としてどんな反応を示していますか。

14 エホバの証人は一貫して,神の王国こそ人類の厄介な諸問題の唯一の解決策であることを教えてきました。エホバはその王国を通してご自分のみ名を神聖なものにすることを意図しておられます。(詩編 83:4,17,18。マタイ 6:9,10)ところが,人類は全体として,この解決策に耳を傾けようとはしません。また,その王国を退ける多くの人々は,ちょうどエホバの主権を認めようとしなかったファラオがした通り,神の名を冒とくします。(出エジプト記 1:8-10; 5:2)それら反対者たちはメシアによる王国に少しも関心がないため,圧制的な人間による支配権という彼ら自身のしゃく熱の「太陽」のもとで苦しむことを好みます。

野獣の座

15 (イ)第五の鉢の中身は何の上に注ぎ出されますか。(ロ)「野獣の座」とは何ですか。鉢の中身をその上に注ぎ出すことには何が関係していますか。

15 次のみ使いはその鉢の中身を何の上に注ぎ出しますか。「また,第五の者がその鉢の中から野獣の座の上に注ぎ出した」。啓示 16:10[前半]「野獣」とはサタンの行政上の体制のことです。野獣それ自体文字通りの動物ではないのと同様,それは文字通りの王座を持っていません。しかし,この句が座に言及していることは,野獣が人類に対して王の権威を行使してきたことを示しています。このことは,獣の各々の角に堂々とした王冠が着けられている事実と調和しています。実際,「野獣の座」はそのような権威の基,もしくは源です。 * 聖書は,「龍は自分の力と座と大きな権威をその野獣に与えた」と述べて,野獣の持つ王の権威に関する真相を明らかにしています。(啓示 13:1,2。ヨハネ第一 5:19)ですから,鉢の中身を野獣の座の上に注ぎ出すことには,野獣を支え,その働きを助長する点でサタンが演じてきた,また今なお演じている真の役割を明らかにして告げ知らせることが関係しています。

16 (イ)諸国家は気づいていようがいまいが,だれに仕えていますか。説明してください。(ロ)この世はどのようにサタンの性格を反映していますか。(ハ)野獣の座はいつ覆されますか。

16 サタンと諸国家とのこうした関係はどのようにして維持されていますか。サタンはイエスを誘惑した時,幻の中で世のすべての王国を示し,『その権威すべてとそれらの栄光』を提供しました。しかし,一つの条件がありました。つまり,イエスはまず最初に,サタンの前で一度だけでも崇拝行為をしなければなりませんでした。(ルカ 4:5-7)世の諸政府がそれ以下の代償を払って自分たちの権威を受けるなどと考えられますか。決して考えられません。聖書によれば,サタンはこの事物の体制の神ですから,諸国家は気づいていようがいまいが,サタンに仕えているのです。(コリント第二 4:3,4 * この事情は,狭量な国家主義,憎しみ,および利己心の上に築かれている現在の世の体制の構造のうちに示されています。その体制はサタンの望む仕方で ― 人類を自分の支配下に引き止めておくために組織されています。政府内部の腐敗,権力欲,うそを使う外交術,軍備競争などは,サタンの卑劣な性格を反映しています。この世はサタンの不義の規準に同意して,サタンを自分たちの神としています。あの獣が消滅し,神の女の胤が最終的にまさしくサタンを底知れぬ深みに陥れる時,野獣の座は覆されてしまいます。―創世記 3:15。啓示 19:20,21; 20:1-3

闇と責めさいなむような苦痛

17 (イ)第五の鉢の中身を注ぎ出すことは,野獣の王国を常に包んできた霊的な闇とどのように関係していますか。(ロ)人々は神の怒りの第五の鉢の中身が注ぎ出されることに対してどのように反応しますか。

17 この野獣の王国はその始まり以来,霊的な闇のうちにありました。(マタイ 8:12; エフェソス 6:11,12と比較してください。)第五の鉢は,この闇に関する強烈な公の発表を行なわせます。劇的な仕方で述べさせることさえします。この神の怒りの鉢の中身はまさしく象徴的な野獣の座の上に注ぎ出されるからです。「すると,その王国は暗くなり,彼らは苦痛のあまり自分の舌をかみはじめた。しかし,その苦痛とかいようのために天の神を冒とくし,自分の業を悔い改めなかった」― 啓示 16:10後半,11

18 第五のラッパの音と神の怒りの第五の鉢との間には,どんな類似点がありますか。

18 第五のラッパの音と神の怒りの第五の鉢は厳密には同じものではありません。というのは,ラッパの音はいなごの災厄の先触れとなったからです。しかし,あのいなごの災厄が下されると,太陽や空気が暗くなったことに注目してください。(啓示 9:2-5)それに,出エジプト記 10章14節と15節には,エホバがエジプトを悩ますのに用いられたいなごに関して,こう記されています。「それは極めて重苦しいものであった。以前にそれほどのいなごがこうして現われたことはなく,こうして現われることはその後にもないであろう。そして,それらはその全土の見える表面を覆ってゆき,地は暗くなった」。そうです,闇です! 今日,第五のラッパが鳴り響き,神の怒りの第五の鉢の中身が注ぎ出されてきた結果,世の霊的な闇はあまりにもはっきりと示されてきました。現代のいなごの大群のふれ告げる,刺すような痛みを与える音信は,『光よりむしろ闇を愛してきた』邪悪な者たちに責め苦と苦痛をもたらします。―ヨハネ 3:19

19 啓示 16章10節と11節に調和して,サタンはこの事物の体制の神であることが公に暴露されると,何が起きますか。

19 世の支配者であるサタンは,多くの不幸や苦しみを引き起こしてきました。飢きん,戦争,暴力行為,犯罪,麻薬の乱用,不道徳,性行為感染症,不正,宗教的偽善その他,さらに多くの悪事は,サタンの事物の体制の特徴です。(ガラテア 5:19-21と比較してください。)それにしても,サタンはこの事物の体制の神であることが公に暴露されたため,サタンの規準にしたがって生活する人々は苦しめられ,当惑させられました。とりわけ,キリスト教世界では,「彼らは苦痛のあまり自分の舌をかみはじめ」ました。多くの人々は自分たちの生き方が真理によって暴露されるので憤慨します。中には,それを脅威とみなし,そのような真理を公に知らせる人たちを迫害する者もいます。そのような者たちは神の王国を退け,エホバの聖なるみ名をののしります。彼らは宗教的に病んで,かいようにかかっている状態があらわにされるので,天の神を冒とくします。いえ,彼らは『自分たちの業を悔い改め』ません。ですから,この事物の体制が終わる前に大がかりな改宗が行なわれるとは期待できません。―イザヤ 32:6

ユーフラテス川はかれた

20 第六のラッパの音と第六の鉢の中身が注ぎ出されることは両方ともユーフラテス川とどのように関係していますか。

20 第六のラッパの音は「大川ユーフラテスのところにつながれている四人のみ使い」が放たれることを告げ知らせました。(啓示 9:14)歴史的に言って,バビロンはユーフラテス河畔に位置した大きな都市でした。それで,1919年に象徴的な四人のみ使いが放たれると共に,大いなるバビロンの重大な倒壊が生じました。(啓示 14:8)ですから,神の怒りの第六の鉢がユーフラテス川とも関係していることは,注目に値します。「また,第六の者がその鉢の中から大川ユーフラテスの上に注ぎ出した。すると,その水はかれてしまった。日の昇る方角から来る王たちのために道が備えられるためであった」。啓示 16:12これもまた,大いなるバビロンにとっては悪い知らせです!

21,22 (イ)西暦前539年に,保護の役目をするユーフラテス川の水はバビロンにとってどのようにかれましたか。(ロ)大いなるバビロンは「水」の上に座っていますが,その「水」とは何ですか。その象徴的な水は今でさえどのようにかれかかっていますか。

21 古代バビロンが最盛期を迎えたころ,水量豊かなユーフラテス川の流れはこの都の防衛体制の要の一つでした。西暦前539年にペルシャ人の指導者キュロスがその水を別の水路へ引いた時,川の水はかれました。こうして,「日の昇る方角」(すなわち,東)から来る王たち,ペルシャ人キュロスとメディア人ダリウスがバビロンに入って,これを征服する道が開かれました。その危急の時に臨んで,ユーフラテス川はこの大いなる都を防衛するのに役立ちませんでした。(イザヤ 44:27–45:7。エレミヤ 51:36)同様のことが,偽りの宗教の世界的な制度である現代のバビロンにもまさに起きようとしています。

22 大いなるバビロンは『多くの水の上に座っています』。啓示 17章1節と15節によれば,その水は「もろもろの民と群衆と国民と国語」,つまり同バビロンにより保護者とみなされてきた信奉者の大群を象徴しています。しかし,その「水」はかれようとしています! 以前,大いなるバビロンが大きな影響力を持っていた西欧諸国では,幾千幾百万もの人々が宗教を公然と無視しています。ある国々では,宗教の影響力を一掃しようとする政策が長年にわたって公然と行なわれましたが,それらの国々の一般大衆は宗教のために立ち上がりませんでした。同様に,大いなるバビロンの滅ぼされる時が来る際,しだいに減少しているその信奉者たちは決して保護者とはならないでしょう。(啓示 17:16)大いなるバビロンは何億人もの成員を有していると主張しますが,「日の昇る方角から来る王たち」の前には無防備な状態にあります。

23 (イ)西暦前539年当時の「日の昇る方角」から来る王たちとはだれでしたか。(ロ)主の日の期間中の「日の昇る方角から来る王たち」とはどなたのことですか。そのお二方はどのように大いなるバビロンを滅ぼされますか。

23 それら王たちとはだれのことですか。西暦前539年当時,それらの王は古代の都バビロンを征服するためにエホバにより用いられたメディア人ダリウスとペルシャ人キュロスでした。現代の主の日にも,大いなるバビロンの偽りの宗教制度はやはり人間の支配者たちによって滅ぼされます。しかし,この度もまた,その滅びは神からの裁きによるものです。「日の昇る方角から来る王たち」であられるエホバ神とイエス・キリストは,大いなるバビロンを攻撃して完全に滅ぼすという「考え」を人間の支配者たちの心の中に入れます。(啓示 17:16,17)第六の鉢の中身が注ぎ出されることにより,その裁きはまさに執行されようとしていることが公に告げ知らされます!

24 (イ)最初の六つのエホバの怒りの鉢の中身は,どのようにして公に知らされてきましたか。その結果,どうなりましたか。(ロ)啓示の書は,残っている神の怒りの鉢についてわたしたちに述べる前に,何を明らかにしていますか。

24 これら最初の六つのエホバの怒りの鉢には,人々に物事を真剣に考えさせる音信が収められています。み使いたちに支えられている,神の地上の僕たちは,それらの鉢の中身を世界的な規模で公に知らせる業に忙しく従事してきました。このようにして,十分な警告がサタンの世の体制の様々な区分に属する人々に伝えられており,エホバは個々の人々が義に心を向けて生きつづけるための機会を持てるようにしてこられました。(エゼキエル 33:14-16)それでもなお,もう一つの神の怒りの鉢が残っています。しかし,啓示の書はその鉢についてわたしたちに述べる前に,サタンとその地上の代理人たちがエホバの裁きを公に知らせる業を妨害しようとしていることを明らかにしています。

ハルマゲドンに集められる

25 (イ)ヨハネはかえるのような汚れた「霊感の表現」について,どんなことをわたしたちに告げますか。(ロ)主の日に,かえるのような嫌悪すべき様々な「汚れた霊感の表現」の霊がどのように現われてきましたか。その結果,どうなりましたか。

25 ヨハネはわたしたちにこう告げます。「そしてわたしは,かえるのように見える三つの汚れた霊感の表現が,龍の口から,野獣の口から,偽預言者の口から出るのを見た。それらは実は悪霊の霊感による表現であってしるしを行ない,また人の住む全地の王たちのもとに出て行く。全能者なる神の大いなる日の戦争に彼らを集めるためである」。啓示 16:13,14エホバはモーセの時代に,胸の悪くなるような,かえるの災厄をファラオの治めるエジプトにもたらされました。(出エジプト記 8:5-15)主の日の期間にも,別の源からですが,かえるのような嫌悪すべき霊がやはり現われました。それはサタンの様々な「汚れた霊感の表現」から成っており,明らかに人間の支配者たち,つまり「王たち」すべてをエホバ神に反対させるよう操るために考案された宣伝を象徴しています。サタンはこうして,神の怒りの鉢の中身が注ぎ出されることによって彼らが揺さぶられないようにし,「全能者なる神の大いなる日の戦争」が始まる時,間違いなくサタンの側にしっかりとどまらせるのです。

26 (イ)サタンの宣伝はどんな三つの源から出て来ますか。(ロ)「偽預言者」とは何ですか。どうしてそれが分かりますか。

26 その宣伝は,わたしたちがすでに啓示の書の中で対面してきた,「龍」(サタン)と「野獣」(サタンの地上の政治機構)から出て来ます。それにしても,「偽預言者」とは何でしょうか。これは名ばかりの新参者です。わたしたちは以前,七つの頭のある野獣の前で大いなるしるしを行なった,子羊のような二本の角のある野獣を見ました。人を欺くようなこの生き物は,あの野獣のための預言者のように行動しました。それは野獣の崇拝を助長し,その野獣のために像を立てさせることさえしました。(啓示 13:11-14)子羊のような二本の角のあるこの野獣は,ここで言及されている偽預言者と同じものであるに違いありません。この点を確証するものとして,後の箇所で,「偽預言者」は二本の角のある象徴的な野獣のように,「[七つの頭のある野獣]の前でしるしを行ない,それによって,野獣の印を受けた者とその像に崇拝をささげる者とを惑わした」と記されています。―啓示 19:20

27 (イ)イエス・キリストご自身も,時宜を得たどんな警告をお与えになりますか。(ロ)イエスは地上にいた時,どんな警告をお与えになりましたか。(ハ)使徒パウロはイエスの警告をどのように繰り返しましたか。

27 身の回りにはサタンの宣伝があまりにも多いので,ヨハネの記している次のような言葉は,本当に時宜を得たものです。「見よ,わたしは盗人のように来る。目ざめていて自分の外衣を守り,裸で歩いて自分の恥を人に見られることがないようにする者は幸いである」。啓示 16:15だれが「盗人のように」来ようとしていますか。それは,発表されていない時に,エホバの刑執行者として来られるイエスご自身です。(啓示 3:3。ペテロ第二 3:10)イエスも,まだ地上におられた時,ご自分の到来を盗人のそれになぞらえて,こう言われました。「それゆえ,ずっと見張っていなさい。あなた方は,自分たちの主がどの日に来るかを知らないからです。このゆえに,あなた方も用意のできていることを示しなさい。あなた方の思わぬ時刻に人の子は来るからです」。(マタイ 24:42,44。ルカ 12:37,40)使徒パウロもこの警告を繰り返して,こう述べました。「エホバの日がまさに夜の盗人のように来(ま)す。人々が,『平和だ,安全だ』と言っているその時,突然の滅びが……彼らに突如として臨みます」。そのような「平和だ,安全だ」という偽りの宣言の背後には必ずサタンがいます。―テサロニケ第一 5:2,3

28 世の圧力に抵抗することに関して,イエスはどんな警告をお与えになりましたか。クリスチャンが,自分たちの上に「わなのように」臨むことがないようにと願っている「その日」とは何ですか。

28 イエスは,宣伝で満たされているこの世がクリスチャンに及ぼす圧力についても警告し,こう言われました。「食べ過ぎや飲み過ぎまた生活上の思い煩いなどのためにあなた方の心が押しひしがれ,その日が突然,わなのように急にあなた方に臨むことがないよう,自分自身に注意を払いなさい。……それで,起きることが定まっているこれらのすべての事を逃れ,かつ人の子の前に立つことができるよう,常に祈願をしつつ,いつも目ざめていなさい」。(ルカ 21:34-36)「その日」とは,「全能者なる神の大いなる日」のことです。(啓示 16:14)エホバの主権の正しさが立証される「その日」が近づくにつれて,生活上の思い煩いに対処することは,いよいよ難しくなってきます。クリスチャンは油断することなく,用心深くし,その日が到来する時まで,目ざめていなければなりません。

29,30 (イ)眠っているところを見つけられる者たちが外衣を失って辱められるというイエスの警告は何を意味していますか。(ロ)外衣はその着用者がどんな身分の人であることを証明しますか。(ハ)人はどのようにして自分の象徴的な外衣を失う場合がありますか。その結果,どうなりますか。

29 それにしても,眠っているところを見つけられる者たちが「外衣」を失って辱められるという警告は何を意味していますか。古代イスラエルでは,だれであれ,神殿で見張りの当番をする祭司あるいはレビ人には重い責任がありました。ユダヤ人の注解者たちによれば,だれでもそのような当番をしながら,もし眠っているところを見つけられると,衣をはぎ取られ,それを焼かれて,公に辱められたと言われています。

30 イエスはここで,今日,同様の事柄が起こり得ることを警告しておられます。祭司やレビ人はイエスの油そそがれた兄弟たちを予表していました。(ペテロ第一 2:9)しかし,イエスの警告は,拡大して解釈すれば,大群衆にも当てはまります。ここで言及されている外衣は,その着用者がエホバのクリスチャン証人であることを証明します。(啓示 3:18; 7:14と比較してください。)だれでも,もしサタンの世の圧力に屈して眠り込んだり,無活動状態に陥ったりするならば,多分自分の外衣を失う ― 言い換えれば,クリスチャンとしての身分を明らかに証明するものを失うでしょう。それは恥ずべき状況でしょう。そうなれば,そのような人は完全に失敗する恐れがあります。

31 (イ)啓示 16章16節は,クリスチャンが目ざめていなければならないことをどのように強調していますか。(ロ)中には,ハルマゲドンに関して,どのように推測する宗教指導者たちもいますか。

31 啓示の書の次の節の成就が一層近づくにつれて,クリスチャンが目ざめていることは,いよいよ急を要する事柄となります。「そして,それら[悪霊の霊感による表現]は王たち[地上の王たち,もしくは支配者たち]を,ヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれる場所に集めた」。啓示 16:16ハルマゲドンというこの名称は,聖書中にただ1回しか出てきません。しかし,この名称は人間の想像力をかき立ててきました。世界の指導者たちは核戦争で起こり得るハルマゲドンについて警告してきました。ハルマゲドンはまた,聖書時代の多くの決定的な戦いが行なわれた古代の都市メギドと結び付けられてきました。そのため,中には,地上の最後の決戦がその限定された地域で起きると推測している宗教指導者たちもいます。この点で,それらの人々の考えは真実から遠く外れています。

32,33 (イ)ハルマゲドンという名称は文字通りの場所というよりは,むしろ何を表わしていますか。(ロ)聖書のほかのどんな言葉が「ハルマゲドン」に似ていますか。あるいは,それと関係がありますか。(ハ)第七のみ使いが最後の神の怒りの鉢の中身を注ぎ出すようになるのはいつですか。

32 ハルマゲドンという名称には,「メギドの山」という意味があります。しかし,それは文字通りの場所というよりは,諸国民すべてがエホバ神に反対して集められ,最終的に神により滅ぼされる際の世界情勢を表わしています。それは全地球的な規模に達します。(エレミヤ 25:31-33。ダニエル 2:44)それは「神の怒りの大きなぶどう搾り場」や「決定の低地平原」,もしくは「エホシャファトの低地平原」と同様で,諸国民はそこに集められ,エホバにより処刑されます。(啓示 14:19。ヨエル 3:12,14)それはまた,マゴグのゴグの残忍な軍勢が滅ぼされる「イスラエルの土地」や,北の王が大いなる君ミカエルの手に掛かって「終わりに至る」,「壮大な海と聖なる飾りの山との間」のあの場所とも関係があります。―エゼキエル 38:16-18,22,23。ダニエル 11:45–12:1

33 諸国民がサタンとその地上の代理人たちの考案する不吉な宣伝により巧みに操られて,そのような情勢のもとに置かれると,第七のみ使いが最後の神の怒りの鉢の中身を注ぎ出す時となります。

「事は成った!」

34 第七のみ使いはその鉢の中身を何の上に注ぎ出しますか。どんな宣言が「聖なる所の中から」出されますか。

34 「また,第七の者がその鉢の中から空気の上に注ぎ出した。すると,大きな声が聖なる所の中から,み座から出て,『事は成った!』と言った」― 啓示 16:17

35 (イ)啓示 16章17節の「空気」とは何ですか。(ロ)第七のみ使いはその鉢の中身を空気の上に注ぎ出すことにより,何を表明しますか。

35 「空気」は,災厄を被る最後の生命維持手段です。しかし,これは文字通りの空気ではありません。文字通りの地や海,淡水の源,あるいは太陽がエホバのみ手から裁きを受けるいわれがないのと同様,文字通りの空気にもエホバからの不利な裁きを受けるべき理由は何もありません。むしろ,これはパウロがサタンを「空中[文字通りには,空気]の権威の支配者」と呼んで論じたのと同じ『空気』のことです。(エフェソス 2:2)それは,今日,世の人々が吸っているサタン的な「空気」,つまりサタンの邪悪な事物の体制全体を特徴づけている霊,または一般的な精神的傾向,もしくはエホバの組織外の人々の生活のあらゆる面に浸透しているサタン的な考え方です。ですから,第七のみ使いはその鉢の中身を空気の上に注ぎ出すことにより,サタンとその組織と,エホバの主権を侮ってサタンを支持する人間を動かしているものすべてとに対する神の憤りを表明します。

36 (イ)七つの災厄は何に相当しますか。(ロ)「事は成った!」というエホバの宣言は何を示唆していますか。

36 この災厄とこれ以前の六つの災厄によって,サタンとその体制に対するエホバの裁きがことごとく伝えられます。それらの災厄はサタンとその胤の破滅に関する一種の宣言です。この最後の鉢の中身が注ぎ出される時,エホバご自身が,「事は成った!」とふれ告げられます。それ以上言うべきことは何もありません。神の怒りの鉢の中身がエホバにとって満足と思えるほど公に知らされたなら,それらの音信によってふれ告げられた裁きは猶予されずに執行されます。

37 ヨハネは,神の怒りの第七の鉢の中身が注ぎ出された後に起きる事柄をどのように描写していますか。

37 ヨハネはさらにこう続けます。「また,稲妻と声と雷が生じ,人が地上に現われて以来起きたことのないような大地震が起きた。非常に大規模な地震で,甚だ大きかった。そして,大いなる都市は三つの部分に裂け,諸国民の数々の都市が倒れた。そして,大いなるバビロンは神のみ前で思い出された。それは,神の憤りの怒りのぶどう酒の杯を彼女に与えるためである。また,すべての島は逃げ,山々は見えなくなった。そして,それぞれの重さが一タラントほどもある大きな雹が天から人々の上に降り,人々は雹の災厄のために神を冒とくした。その災厄が異常に大きかったからである」― 啓示 16:18-21

38 (イ)「大地震」,(ロ)「大いなる都市」,つまり大いなるバビロンが「三つの部分」に裂けること,(ハ)「すべての島は逃げ,山々は見えなくなった」こと,そして(ニ)「雹の災厄」は,それぞれ何を象徴していますか。

38 エホバはもう一度,紛れもなく人間に対して行動を起こされますが,このことは「稲妻と声と雷」の合図で知らされます。(啓示 4:5; 8:5と比較してください。)人間はまるで壊滅的な地震によるかのように,かつて一度もなかったような仕方で揺り動かされます。(イザヤ 13:13; ヨエル 3:16と比較してください。)超大型爆弾のような震動で「大いなる都市」,つまり大いなるバビロンは「三つの部分」に裂けます。それは,その崩壊が救いようのない破滅に終わることを象徴しています。同時に,「諸国民の数々の都市」も倒壊します。「すべての島」や「山々」,つまりこの体制の中で極めて恒久的なものと思われる制度や組織もなくなってしまいます。第七の災厄の際,かつてエジプトを苦しめたものよりももっと大きくて,それぞれの重さが一タラントほどもある「大きな雹」が,無残にも人間をしたたか打つことでしょう。 *出エジプト記 9:22-26)水の凝固したものが罰としてこのように降るのは,この事物の体制の終わりがついに来たことを示す合図として,異常なまでに激しい口頭の言葉でエホバの裁きを表明することを表わしているようです! エホバは破壊をもたらす業を行なう際,当然文字通りの雹もお用いになることができます。―ヨブ 38:22,23

39 七つの災厄が注ぎ出されるにもかかわらず,人類の大半はどんな歩みを取りますか。

39 こうして,サタンの世はエホバの義にかなった裁きを受けます。人類の大半は最後まで神を侮り,冒とくします。昔のファラオの場合のように,繰り返し臨む災厄によっても,またそれらの災厄が最後に致命的な最高潮に達しても,彼らの心は和らげられることはありません。(出エジプト記 11:9,10)土壇場になって,心が大規模な変化を遂げることはありません。それらの人々は息を引き取る際,「彼らはわたしがエホバであることを知らなければならなくなる」と言明なさる神をののしるでしょう。(エゼキエル 38:23)それにもかかわらず,全能者なるエホバ神の主権の正しさは立証されるのです。

[脚注]

^ 10節 無生物が証人となる,もしくは証言をする例としては,創世記 4:10; 31:44-53; ヘブライ 12:24と比較してください。

^ 15節 「座」もしくは「王座」という語の同様の用法は,預言的な意味でイエスに語りかけられた次のような言葉の中にも見られます。「神は定めのない時に至るまで,まさに永久にあなたの王座」。(詩編 45:6)エホバはイエスの王としての権威の源,もしくは基です。

^ 38節 もし,ヨハネがギリシャ語のタラントを念頭に置いていたなら,雹の重さはそれぞれ20㌔ほどですから,それは壊滅的な雹のあらしだったでしょう。

[研究用の質問]

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「地に」

ヨハネ級の人たちは次のような声明を出して,「地」に対するエホバの憤りを公に知らせてきました:

「何世紀にもわたって努力した後,様々な政党は,現在の状態に対処して,悲惨な諸問題を解決する力がないことを示してきた。問題を懸命に研究してきた経済学者や政治家たちは,自分たちが何も行なえないことに気づいている」―「現存する万民は決して死することなし」,1920年,61ページ(英文)。

「今日,地上には,世界の人々のうち,どれほどであれ,適当な割合の人々をさえ満足させる政府は一つもない。諸国家の多くは独裁者によって支配されている。世界全体は事実上,破産している」―「望ましい政府」,1924年,5ページ(英文)。

「この事物の体制を終わらせることは……この世から悪を除き,平和と義が栄えるよう道を開く唯一つの方法です」―「御国のこの良いたより」(英文),1955年,25ページ。

「現在の世を特徴づけているのは,神とそのご意志に対する罪や不義や反抗の増加です。……それを改革するすべはありません。ですから,この体制は消え去らなければならないのです」―「ものみの塔」誌,1982年2月15日号,6ページ。

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「海に」

エホバから離反した不敬虔な人類の動いてやまない反抗的な「海」に対する神の憤りをふれ告げるヨハネ級の人たちが,長年にわたって発表してきた声明のほんの二,三の例を次に掲げます:

「どんな国家の歴史でも,それは様々な階級間の闘争の歴史であることを示している。それは多勢に対する少数者の闘争の歴史である。……そのような闘争は,多くの革命,多大の苦渋,ならびに大量の流血を招いた」―「政府」,1928年,244ページ(英文)。

新しい世では,「悪魔に使われた象徴的な野獣は昔,象徴的な『海』から上ってきましたが,その『海』,つまり動いてやまない反抗的で不敬虔な人々から成る『海』は消滅します」―「ものみの塔」誌,1967年12月1日号,727ページ。

「現在の人間社会は霊的に病んで病気になっています。わたしたちはだれもそれを救うことはできません。神のことばが示すとおり,その病気は死に至るものだからです」―「真の平和と安全 ― どこから得られるか」,1973年,128ページ。

[224ページの囲み記事]

「川と水のわき出るところとに」

第三の災厄は次のような声明によって,「川と水のわき出るところ」を暴露しました:

「[キリストの]教理を説く教師であると称する僧職者は,戦争を正当化し,聖なるものとした。彼らは自分たちの肖像や彫像が血まみれの戦士のそれと並べて飾られるのを好んでいる」―「ものみの塔」誌,1924年9月15日号,275ページ(英文)。

「心霊論[心霊術]は重大な虚偽,つまり死後の生存および人間の魂の不滅といううそに基づいています」―「聖書は『死後の生存』について何と述べていますか」,1955年,51ページ(英文)。

「人間の哲学,政治理論家,労働組合組織者,経済問題顧問,および宗教上の伝統の唱道者たちは,人々に生気を与えて,真にさわやかにするものとはなりませんでした。……そのような水を飲む人々は,血の神聖さに関する創造者の律法を破り,宗教上の迫害をさえ行なうようになりました」― 1963年に開かれた「永遠の福音」国際大会で採択された決議文より。

「人間自身に期待できるのは,科学による救いではなく,人類の滅亡のみです。……世の心理学者や精神病医すべてをもってしても,人間の考え方を変化させることができるなどと期待すべくもありません。……わたしたちは,この地球を安全な住みかにするために……組織される何らかの国際警察軍に頼るわけにもゆきません」―「王国という方法による人類の救い」,1970年,5ページ(英文)。

[225ページの囲み記事]

「太陽の上に」

人間の支配権という「太陽」が主の日の期間中,人間を『焦がして』きましたが,ヨハネ級の人たちは次のような声明を出して,現に起きている事柄に注意を引いてきました:

「今日,ヒトラーとムッソリーニは専制的な独裁者として,全世界の平和を脅かしており,彼らはローマ・カトリック教階制から全面的な支持を得て,自由を破壊しようとしています」―「全体主義か自由か」,1939年,12ページ(英文)。

「歴史全体を通して,人間の独裁者は,『支配せよ,さもなければ破滅させよ!』という政策を取ってきました。しかし今や,神により任じられた王イエス・キリストは,『支配を受けなさい,さもなければ破滅を被りなさい』という規定を全地に適用されます」―「すべての国の民が神の王国のもとで結ばれる時」,1961年,23ページ(英文)。

「1945年以来,世界中で約150の戦争が行なわれ,2,500万を超える人々の命が奪われてきました」―「ものみの塔」誌,1980年4月15日号,7ページ。

「世界中の国々は……国際的責任や行動の規則をほとんど意に介しません。目的を達成するためには,虐殺,暗殺,ハイジャック,爆破その他,自分たちが必要だと思えばどんな手段を用いようとそれは全く正しいことだと考える国々もあります。……国々はいつまで互いのそうした無分別で無責任な行為を我慢するでしょうか」―「ものみの塔」誌,1985年2月15日号,4ページ。

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「野獣の座の上に」

エホバの証人は野獣の座の正体をあばき,次のような声明を出して,その座がエホバにより非とされていることを一般に知らせてきました:

「諸国家の支配者や政治指導者たちは,悪意のある超人間的な勢力の影響を受けており,その勢力はハルマゲドンにおける決定的な戦闘に向かう自殺的な行進に彼らをいやおうなく駆り立てています」―「ハルマゲドンの後 ― 神の新しい世」,1953年,8ページ(英文)。

「非神権的な人間の政府という『野獣』は,その力と権威と座を龍から得ました。ですから,『野獣』はその政治路線,つまり龍の政策に従わなければなりません」―「ハルマゲドンの後 ― 神の新しい世」,1953年,15ページ(英文)。

「異邦諸国民は,自らを……神の主要な敵対者である悪魔サタンの側に置くよりほかはありません」― 1973年に開かれた「神の勝利」国際大会で採択された決議文より。

[229ページの囲み記事]

「その水はかれてしまった」

今でさえ,バビロン的な宗教に対する支持は多くの場所で,いわばかれようとしています。このことは,「日の昇る方角から来る王たち」が攻撃を行なう際に起きる事柄を示唆しています。

「ある全国調査によれば,[タイ]の首都圏に住む人々で,全然,仏教寺院に行かず,説教を聴こうともしない人が75%に達する一方,寺院を訪れる田舎の人々は着実に減少して,約50%になった」― バンコク・ポスト紙,1987年9月7日付,4ページ。

「2,000年ほど前に,[中国]大陸で興された道教は魔力を失ってきた。……彼らとその前任者たちが大勢の崇拝者たちを得るために利用した魔術的な仕掛けが失われたため,祭司たちには後継者がおらず,本土の組織化された宗教としての道教は,事実上絶滅の危機に直面している」― アトランタ・ジャーナル・アンド・コンスティテューション誌,1982年9月12日号,36ページ-A。

「日本は……世界でも外人宣教師が最も多く集中している国の一つで,宣教師は5,200人近くいるが……クリスチャンは人口の1%にも満たない。……1950年代以来,この国で働いているフランシスコ会の一司祭は……『日本における外人宣教師の時代は終わった』と考えている」― ウォールストリート・ジャーナル紙,1986年7月9日付,1ページ。

英国では,過去30年間に,「英国国教会の1万6,000の教会堂のうち,ほぼ2,000の教会が使われなくなったため閉鎖された。出席者数は低下し,キリスト教を奉ずると称する国の中で出席者の最も少ない国の一つになった。……『今や,英国はキリスト教国とは言えない』と,[ダーラムの主教]は語った」。―ニューヨーク・タイムズ紙,1987年5月11日付,A4ページ。

「本日,何時間にもわたる激論の末,ギリシャ正教会の所有する莫大な財産を社会主義政府が引き継ぐことを可能にする法律が[ギリシャの]議会で可決された。……加えて,その法律によれば,ホテル,大理石採掘場,事務所用ビルを含め,高く評価されている教会の投資物件を管理する責任のある教会の評議会や委員会は聖職者以外の役員により監督されることになった」― ニューヨーク・タイムズ紙,1987年4月4日付,3ページ。

[222ページの図版]

最初の四つの神の怒りの鉢は,最初の四つのラッパの音が引き起こすのと同様の災厄をもたらします

[226ページの図版]

第五の鉢は,野獣の座とはサタンが野獣に与えた権威であることを暴露します

[231ページの図版]

地の支配者たちは悪霊の宣伝に動かされて,エホバの裁きが彼らの上に注がれる,焦点となる情勢,つまりハルマゲドンに集められます

[233ページの図版]

サタンにより汚染された「空気」に動かされる人々には,エホバの義にかなった裁きが必ず執行されます