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すばらしい本

すばらしい本

その晩サリは,仕事から帰って来た夫のタムに,エルナから聞いたことを全部話しました。タムは,興味を引かれましたが,少し懐疑的でした。安心できる幸せな生活への道について,様々な意見を聞いたことがあったからです。でも,ともかくマオンと話してみようと思い,次の土曜日,会いに行きました。

「それは聖書っていう本なんだよ」とマオンは言います。「僕も読んでいるんだけど,内容が正確で,信頼できるんだ」。

タムは疑問をぶつけてみました。「世界のどこを見ても貧しさや苦しみがあるよね。正しい道を教えるって言う宗教や哲学はたくさんあるけど,戦争とか,政治の腐敗,人種差別,貧困とかいった問題は全然解決できていない。聖書も結局,そういうのと変わらないんじゃないかな」。

すると,マオンは聖書の言葉を見せてくれました。「人が人を支配してこれに害を及ぼした」という言葉と,「自分の歩みを導くことさえ,歩んでいるその人に属しているのではありません」という言葉です。まったくそのとおりだ,とタムは思いました。この国でも,ほかの国でも,それが現実です。

聖書が信頼できる理由はほかにもたくさんある,とマオンは説明します。「うちのエルナが君の奥さんに,日常生活に役立つ聖書のアドバイスを見せたと思うけど,聖書が教えているのはそういうことだけじゃないんだ。人類の直面している様々な問題の根本原因も指摘しているんだよ。それにね,聖書は科学的にも正確なんだ」。

タムは半信半疑です。「聖書みたいな大昔の本が現代の問題について述べているとか,科学的に正確だとか,それって本当なのかな」。いったい,だれがこの本を書いたのでしょうか。

「聖書は一人の人が書いた本じゃないんだよ。実際には40人以上の人たちが書いた66冊の小さな本を集めたものでね,1,600年ほどかけて,今から1,900年ぐらい前に書き終えられたんだ。その人たちは,科学的な知識はわずかしかなかったのに,何千年も後になって明らかになったような事実も書いているんだよ。例えば,地球が『無の上に掛かっている』とか,丸い形をしているとかいったこと。こういう事実は,当時まだ知られてなくて,比較的最近になってようやく科学者が解明したことだよね」。

「へー,そうなんだ」とタムが言うと,マオンは別の点も話します。

「昔,バビロンという大きな都が征服されたんだけど,200年も前に聖書はそれを予告していたんだ。バビロンがどんなふうに征服されるかってこともね。でも,もっとすごいことに,征服者である王の名前を,彼が生まれるよりもずっと前に預言していたんだ。聖書には,何百もの預言が収められているんだよ」。

タムが考え込んでいると,もっと驚くようなことをマオンは言います。「今の世界を悩ませているいろんな問題を,聖書は1,900年も前に予告していたんだ」。そして,次のような聖書の言葉を見せてくれました。

  • 聖書は現代の問題を予告していた

    「このことを知っておきなさい。すなわち,終わりの日には,対処しにくい危機の時代が来ます。というのは,人々は自分を愛する者,金を愛する者,うぬぼれる者,ごう慢な者,冒とくする者,親に不従順な者,感謝しない者,忠節でない者,自然の情愛を持たない者,容易に合意しない者,中傷する者,自制心のない者,粗暴な者,善良さを愛さない者,裏切る者,片意地な者,誇りのために思い上がる者,神を愛するより快楽を愛する者,敬虔な専心という形を取りながらその力において実質のない者となるからです」。

マオンの説明によると,戦争や病気,食糧不足,地震,犯罪といった問題が世界を苦しめるということも,聖書は預言していました。

自分たち夫婦の経験している問題がはるか昔に聖書で予告されていたことを知って,タムは驚きました。

「聖書って本当にすごい本なんだね」。