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だれもがアドバイスを必要としている

だれもがアドバイスを必要としている

タムは不安でした。 * 心配の種が山ほどあります。家族を養うための安定した仕事を探していますが,なかなか見つかりません。子どもたちに良い教育を受けさせたい,幸せな人生を送ってほしいと願っていますが,とても無理なようです。せめて健康で働き続けたいと思います。食費と家賃は稼がなければなりません。自分の身に何かあったら家族はどうなるのかと,不安です。

妻のサリも不安です。最近,夫婦の間がぎくしゃくしています。夫はいつも疲れきって仕事から帰って来ます。子どものしつけを手伝ってほしいのに,夫には時間がありません。つい夫と言い争ってしまい,悲しくなります。そんな親の姿は子どもに見せたくありません。もし子どもが重い病気になったら,治療費はどうしたらよいのでしょう。考えるだけで気が重くなります。

近所の雰囲気もずいぶん変わりました。忙しさのせいで,みんな助け合いの気持ちを失ってしまったようです。友人や親戚も同じような問題を抱え,将来に不安を感じています。安らかな気持ちの人などいないように思えます。こういう問題を全部解決できたらどんなにいいだろう,そうすれば幸せに暮らせるのに,とサリはよく考えます。夫婦二人とも一生懸命に努力していますが,すべては手の届かないところにあるように感じられます。

ある日,二人は自分たちの不安について話し合いました。

「ねえ,サリ,安心できる幸せな生活への道があればいいなあって思わない?」

「わたしもそう思ってたの。すべての問題を解決する方法,道みたいなものが見つかったらいいのにって」。

「でも,宗教や人生哲学はたくさんあって,どれが幸せに行き着く道なのか分からないよね。全部調べるわけにはいかないし。それに,どれも問題を解決するとは言うけど,実際には解決できていないから,試してみても無駄なんだろうね」。

サリも同感です。でも,家族のために何かを見つけたい,何か方法があるはずだ,と思いました。

あなたも,この二人と同じような不安を感じておられるかもしれません。二人の直面している問題は,世界中の人々に共通の問題と言えるでしょう。人はだれしも,健康を,そして心の安らぎや家族の幸せを願っています。しかし,そうした願いはかなうのでしょうか。安らぎと幸せに至る道を見つけることができますか。

^ 2節 この話には,タムとサリという夫婦と,もう一組の夫婦が登場します。