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「だれに対してもすべてのもの」となられる,「平和の君」の神

「だれに対してもすべてのもの」となられる,「平和の君」の神

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「だれに対してもすべてのもの」となられる,「平和の君」の神

1 イエス・キリストは天と地の他のすべての被造物のためにどんな点で模範を残されましたか。

「平和の君」は,復活させられて間もなく,その弟子たちの一人に,「わたしは,わたしの父またあなた方の父のもとへ,わたしの神またあなた方の神のもとへ上る」と言われました。(ヨハネ 20:17)この方はそのように述べて,ご自分の天の父がご自分の神,つまりご自分が崇拝する唯一の神であることを認められました。こうして,その崇拝の点で,全天全地の他のすべての被造物のための模範を残されました。

2,3 (イ)コリント第一 15章24-26,28節は,イエスが特別な仕方でみ父に服されることをどのように描写していますか。(ロ)それはどんなすばらしい結果をもたらしますか。

2 「平和の君」は,全宇宙の理想的な主権者であられる方に特別な仕方で忠節に服される時,完全にされた人類にとって何とすばらしい模範となられるのでしょう。このことは,人類に対するその方の千年統治の終わりに比類のない仕方で明らかにされるでしょう。そして,その時までに平和と安全と調和とを全地に回復しておられることでしょう。それは,誤ることのない預言の中で,次のように保証されています。

3 「次いで終わりとなります。その時,彼は王国を自分の神また父に渡します。その時,彼はあらゆる政府,またあらゆる権威と力を無に帰せしめています。神がすべての敵を彼の足の下に置くまで,彼は王として支配しなければならないのです。最後の敵として,死が無に帰せしめられます。しかし,すべてのものが彼に服させられたその時には,み子自身も,すべてのものを自分に服させた方に自ら服し,こうして,神がだれに対してもすべてのものとなるようにするのです」。(コリント第一 15:24-26,28)または,詳訳聖書(英文)によれば,28節の後半は次のように訳されています。「それは,神がすべてにおいてすべてとなられるため,すなわちすべての者に対してすべてのもの,最高のもの,内在し,また支配する命の要因となられるためです」。

4 (イ)地上の住民は,自分たちの養父であられるこの方の王としての模範に,どのようにこたえ応じますか。(ロ)その時,服従はどんな新たな面を帯びるようになりますか。

4 「平和の君」が千年統治の終わりに王国を神に引き渡される時,地上の住民は,自分たちの養父であられるこの方のその行為について気づかされるでしょう。彼らも同様に,王として模範を示されるこの方と共に,新たな面で至高の神に服します。そのとき初めて,愛の気持ちから直接エホバに服従します。そうです,全き誠実さと真実とをもってエホバを崇拝し,祈る時でさえ,イエスの祭司としての奉仕はもはや必要ではなくなるのです。

5 イエス・キリストの14万4,000人の仲間の王たちは,どんな態度を取りますか。

5 このようにして,至高の神は再び,天でも地上でもご自身を代表する王を持たずに,全宇宙の王となられます。その後,イエス・キリストが地から請け戻された14万4,000人の仲間の王たちもまた,最高の王なる支配者の前でひざをかがめ,そのような付け加えられた意味でこの方が宇宙の主権者であられることを認めるでしょう。

全人類に臨む最後の試み

6 (イ)イエスの千年にわたる支配期間中に,不従順な人間はどうなりますか。(ロ)イエスが天のみ父に引き渡されるのはどんな状態の人々ですか。

6 イエス・キリストはエホバが最高の審判者であることを認めておられるので,千年にわたるその支配期間中に成し遂げる業に,必要不可欠な神の是認が表明されることを望まれます。その支配期間中に義の要求に従おうとせず,王に対して不従順を示す人々は,滅ぼされてしまいます。ですから,イエス・キリストが最終審判者エホバ神に引き渡されるのは,人間としての完全性に達した従順な人たちです。

7 (イ)イエスが王国を返された後,何が徹底的に試みられますか。(ロ)完全にされた人類は,どのようにしてその試みを受けますか。

7 その時点で,宇宙主権者エホバ神に関して人間の抱く専心の念は,永続する性格のものかどうかが試される時となります。ヨブの場合と同様,人間はただ,自分たちのために神がしてくださったすべての良い事柄のゆえに神を愛し,神を崇拝しますか,それとも,ほかならぬ神ご自身の本性のゆえに,つまり宇宙の正当な主権者であられるがゆえに神を愛しますか,ということが問題になります。(ヨブ 1:8-11)しかし,完全にされた人類は,どのようにして心からの忠誠を試みられるのでしょうか。悪魔サタンとその悪霊たちが,千年間拘束されていた底知れぬ深みから「しばらくのあいだ」解き放たれるというのが聖書の答えです。(啓示 20:3)回復された人類を悪魔に試みさせることにより,完全にされた人類の一人一人を神に対する忠誠に関して完全な意味で吟味することができます。―ヨブ 1:12と比較してください。

8 (イ)サタンとその悪霊たちは底知れぬ深みから解き放たれるや,何をしようとしますか。(ロ)悪魔とその悪霊たちに惑わされるままになる人たちは,どんな行動を取るようになりますか。

8 それより七千年前に,悪魔サタンは完全なアダムとエバを誘って,自己本位の行動を取らせ,罪を犯させることができました。サタンと悪霊たちが底知れぬ深みから解き放たれた後,どんな手段で誘惑するのをエホバが許されるのか,聖書は何も述べていません。しかし,利己心や神からの独立を求める欲求に対する訴えがなされるに違いありません。悪魔は依然としてエホバの主権に反抗する者ですから,やはり人間の中のある人々を反抗者にしようとするでしょう。それら解き放たれる悪霊の勢力がどの程度成功するかは,正確に述べられていませんが,大勢の群衆という印象を与えるに足るほど多数の人間が反抗者となるでしょう。その時,だれにせよ,完全にされた人間の側の罪は,それと分かっていてなされるのですから,意識的な故意の罪となります。それは,唯一まことの生ける神の崇拝から離れて,悪魔サタンを支持することを示唆するものとなります。(啓示 20:7,8)ですから,そのような反逆者たちの場合,エホバは「だれに対してもすべてのもの」となられる訳ではありません。

9 (イ)エホバ神に対して忠誠を守らない人たちはどうなりますか。(ロ)目に見えない領域からも反抗者はすべて,どのようにして除去されますか。(ハ)その時,どんなすばらしい状態が,天と地のあらゆる場所に行き渡りますか。

9 しかし,忠節な人たちは,国家主義的な考えを持つ,惑わされた者たちの主張や圧力に屈したりはしません。忠節な人たちはちゅうちょすることなく,自分たちの場合にはエホバが「だれに対してもすべてのもの」となられることを望みます。エホバの主権は,公正そのもののためにも,厳格に行使されなければなりません。したがって,サタンの影響を受けた地上の反抗者たちはすべて,永久にぬぐい去られなければなりません。それは,まさにいい厄介払いです! また,目に見えない被造物の領域からも反抗者はすべて除かれなければなりません。それで,宇宙の浄化を完成するために,悪魔サタンとその悪霊の大群はすべて完全に滅ぼされ,消滅してしまいます。こうして,天と地は罪のあらゆる痕跡から清められるでしょう。(啓示 20:9,10)エホバの神聖さはあらゆる場所に行き渡るでしょう。(ゼカリヤ 14:20と比較してください。)至高の神の聖なるみ名は天でも地上でも聖なるものとされるでしょう。天と地に住むすべての者はその方の最高の意志を喜びのうちに行なうでしょう。

10 地球はどんな点で,他の惑星の決して享受できない特色を帯びる所となりますか。

10 地球は今後いつまでも生き物の住む唯一の惑星であるわけではないとしても,この地球は,果てしない全宇宙空間の他のどんな惑星も享受できない特色を帯びることでしょう。エホバがご自分の宇宙主権の正当性を疑問の余地なく立証し,永遠の宇宙的な判例を確立された所となるでしょう。地球は,万軍のエホバが「全能者なる神の大いなる日の戦争」を戦われた唯一の惑星となるでしょう。それは,神がご自分の最愛のみ子を遣わし,そのみ子が人間となって死んでその住民を罪と死から回復させるよう取り計らわれた唯一の惑星となるでしょう。それはまた,エホバがその住民から14万4,000人を取って,「実に,神の相続人……キリストと共同の相続人」とされた唯一の惑星となるでしょう。―ローマ 8:17

セラフ,ケルブ,およびみ使いたち

11,12 (イ)イザヤは幻の中でどんな霊の生き物を見ましたか。(ロ)それらの生き物は,わたしたち人間にどんな関心を抱いていますか。

11 天界と地球の全創造物の輝かしい根源者であられる神は,14万4,000人のキリストと共同の相続人だけでなく,天の領域の他の者たちに対しても「すべてのもの」となられます。イザヤ 6章を読むと,天の法廷の様子をかいま見ることができます。こう記されています。「しかしながら……わたしはエホバを見た。高大で,高く上げられた王座に座しておられ,そのすそは神殿に満ちていた。セラフたちがその上の方に立っていた。各々六つの翼を持っていた。二つで顔を覆い,二つで足を覆い,二つで飛び回るのであった。そして,この者がかの者に呼びかけて言った,『聖なるかな,聖なるかな,聖なるかな,万軍のエホバ。全地に満ちるものはその栄光である』」― イザヤ 6:1-3

12 輝かしいセラフたちが傍らで仕えている,天の王座に座す,全宇宙の最も聖なる方を見たイザヤは,何と恵まれた人だったのでしょう。それは,それらセラフたちの占める,たいへん恵まれた地位を示す,何という畏怖の念を起こさせる幻だったのでしょう。というのは,セラフたちがその方が聖なる方であられることを強調して,そのことを三度唱えて証しし,その神聖さを称賛したように,その方は全く聖なる方であられるからです! セラフたちは,神が聖なる方であられるように,エホバの崇拝者たちが聖なる者であるよう助けることに関心を抱いています。―イザヤ 6:5-7

13 (イ)聖書は,ほかのどんな霊の生き物がいることを明らかにしていますか。(ロ)エホバはそれらの生き物に関連してどのように描写されていますか。

13 この地上にはエホバ神の力のほどを示す,様々の生き物がいるように,霊の領域にもやはり別の種類の生き物がいます。聖書は,それが非常に速く飛べるに違いない輝かしいケルブたちであることを明らかにしています。(詩編 18:10。ヘブライ 9:4,5と比較してください。)創世記 3章24節の示すところによれば,アダムとエバが禁じられた木の実の幾らかを食べて,天の聖なる神に対して罪を犯した後,創造者は楽しみの楽園<パラダイス>に戻る道の東に,「自ら回転しつづける剣の燃える刃」と共にケルブたちを配置されました。エホバは「ケルブたちの上に座しておられる」と言われています。(詩編 99:1。イザヤ 37:16)ですから,神はケルブたちの上で王位に就いておられることが示されています。

14 (イ)ほかのどんな霊の生き物を見過ごしてはなりませんか。(ロ)どれほど多くのみ使いたちがいますか。

14 たいへんな数の霊の生き物の中で見過ごしてならないのは,み使いたちです。何億ものみ使いたちがいます。(ダニエル 7:9,10)その中には,地上のエホバの崇拝者たちのために仕えるよう割り当てられているみ使いたちもいます。イエスは,エホバの崇拝者たちをだれ一人つまずかせてはならないと警告なさいましたが,それは,『天にいる彼らのみ使いたちが,天におられるわたしの父のみ顔を常に見守っている』からです。(マタイ 18:10。ヘブライ 1:14)イエスが荒野で40日間断食をなさり,悪魔が行なった3回の重大な誘惑に抵抗して勝利を得られた後,飢えて,やせ衰えられたイエスの身体的な必要を顧みて仕えたことは,み使いたちにとって何という特権だったのでしょう。―マタイ 4:11

15,16 (イ)天と地に見られるようになる家族のような一致について述べなさい。(ロ)その試みを首尾よく通過する,完全にされた人間には,エホバからどんな報いが与えられますか。(ハ)エホバはご自分の最初の目的が達成されるのを,どのような気持ちでご覧になるでしょうか。

15 上なる天の領域に住む,輝かしい霊者たちは,互いに兄弟たちとなる一方,この地上では,完全にされた人類家族が互いに兄弟姉妹となります。それら完全にされた人間は,エホバ神のみ手で創造されたばかりのアダムとエバが,創造者の『像と似た様』であったほどのすばらしい度合いで,神の像と似た様を反映することでしょう。(創世記 1:26,27)そして,完全にされた人類は最後の試みを通過した後,永久に生きる権利を与えられ,愛をもって「神の子供」として養子にされ,輝かしい自由を享受し,天と地のエホバの一致した家族の一部となるでしょう。―ローマ 8:21

16 エホバ神はご自分の最初の目的が達成されるのを,すなわち,すべてのもの,すべての被造物を最初期の決定どおり,愛に基づく破れることのない,ご自分との一致した状態に導く類例のない偉業を,どんなにか大きな満足と歓喜とを抱いて,ご覧になることでしょう。

17 以上の事柄すべてを考慮に入れるなら,一体だれが詩編作者の言葉と調和して,何をせざるを得ないでしょうか。

17 以上の事柄すべてを考慮に入れるなら,一体だれが,目的をお立てになるこのすばらしい神をたたえずにおられるでしょうか。詩編作者は次のように述べていますが,超人間的な生き物に不当に語りかけているわけではありません。「エホバをほめたたえよ,その使いたちよ。強大な力を持ち,神の言葉の声に聴き従うことによって,そのみ言葉を行なう者たちよ。エホバをほめたたえよ,そのすべての軍勢よ。そのご意志を行なって,神に仕える者たちよ」― 詩編 103:20,21

18 詩編作者は詩編の書をどのように結んでいますか。

18 霊感を受けた,意気盛んな詩編作者は,詩編の書を次のような勧めの言葉で結んでいます。「あなた方はヤハを賛美せよ! その聖なる場所で神を賛美せよ。そのみ力の大空で神を賛美せよ。その力強いみ業のゆえに神を賛美せよ。その満ちあふれる偉大さにしたがって神を賛美せよ。角笛を吹き鳴らして神を賛美せよ。弦楽器とたて琴をもって神を賛美せよ。タンバリンと輪舞をもって神を賛美せよ。弦と管をもって神を賛美せよ。美しい響きのシンバルをもって神を賛美せよ。鳴り響くシンバルをもって神を賛美せよ。すべて息あるもの ― それはヤハを賛美せよ。あなた方はヤハを賛美せよ!」―詩編 150:1-6

19 (イ)その時,宇宙はどんなきずなで結ばれますか。(ロ)実際,理知ある被造物はすべて,何と言うでしょうか。

19 全宇宙はついに,永遠に持続する完全なきずなで,つまり天のみ父の唯一の崇拝のきずなで結ばれるでしょう。なぜなら,その子供たちは何よりもみ父を愛し,み父をあがめるからです。そうです,その時,理知ある被造物はすべて,実際,セラフたちが言ったように,「聖なるかな,聖なるかな,聖なるかな,万軍のエホバ。全地に満ちるものはその栄光である」と言うでしょう。その時,「平和の君」の神は確かに,永久に限りなく,「だれに対してもすべてのもの」となられるでしょう。

[研究用の質問]

[188,189ページの図版]

全宇宙は,平和裏になされる宇宙の主権者の崇拝において結び合わされます