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『小なる者が強大な国民となる』

『小なる者が強大な国民となる』

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『小なる者が強大な国民となる』

1 (イ)真の崇拝者の増加の規模について,エホバは何を予告されましたか。(ロ)だれが,またどのようにして,実際にこのことをもたらしましたか。

エホバを崇拝する人たちは長い間,人類の総人口と比べて比較的少数でした。しかし今日,その数は義を愛する人たちにとって胸の躍るような速さで増加しています。その増加の規模についてはエホバがこう予告されました。「小さな者が千となり,小なる者が強大な国民となる。わたし自ら,エホバが,その時に速やかにそれを行なう」。(イザヤ 60:22)この聖句が述べているように,エホバがこのことを実現させてくださるのです。どのようにしてそうなさるのですか。ご自分の僕たちを周囲の国たみとは鋭い対照をなすものにし,心の正直な人たちを強力に引きつける状態をそれら僕たちの間に生じさせることによって,そうなさるのです。

2 (イ)イザヤ 60章1,2節はだれに語りかけられた言葉ですか。(ロ)「エホバの栄光」は,どのような仕方でその女の上に輝くようにされましたか。(ハ)残りの者は,どのように『光を放ち』ましたか。

2 このことはイザヤ 60章1,2節で予告されていましたが,その箇所でエホバはご自分の「女」,つまり忠節な霊の被造物と,霊によって生み出された地上の子らで構成されている,ご自分の組織に語りかけて,こう言っておられます。「女よ,起きよ,光を放て。あなたの光が到来し,あなたの上にエホバの栄光が輝き出たからである。見よ,闇が地を,濃い暗闇が国たみを覆うからである。しかし,あなたの上にはエホバが輝き出て,あなたの上にその栄光が見られるようになる」。このような対照をもたらす根拠となっているのは,1914年におけるイエス・キリストの手中にあるメシアによる王国の誕生です。その時,「エホバの栄光」が,王国を誕生させた,ご自分の天の組織の上に輝き出ました。その組織の中には大いに歓ぶいわれがありました。(啓示 12:1,2,5,10-12)そして,地上では王国の相続人の油そそがれた残りの者が,その喜びにあずかりました。1919年から始まって,それら残りの者は,神の王国を人類にとって唯一の真の希望を与える手だてとして全世界でふれ告げる業に着手するとともに,『光を放ち』ました。―ペテロ第一 2:9。マタイ 5:14-16

3 (イ)特に1914年以来,なぜ『闇が地を覆って』きましたか。(ロ)唯一の真の解決策とは何ですか。

3 これとは対照的に,1914年に世界の国たみは,自国の主権を維持するために戦い,暴力と不安の時代に突入し,この状態から決して回復できませんでした。以来,安定性が失われたため,“科学上の進歩”にもかかわらず,多くの人々は安定した将来を期待できないことに気づかされてきました。確かに,『闇が地を覆って』います。人々はなぜ抜け出す道を見いだせないのですか。なぜなら,諸国民は主権者であられるエホバを退けたからです。精々,少数の支配者は,“神”に対して口先だけの忠誠を述べますが,決して神の名を用いません。支配者たちはあくまで自分で物事を管理する覚悟でいますが,彼らの直面する問題は人間の解決能力の及ばない事柄なのです。(エレミヤ 8:9。詩編 146:3-6)貪欲と腐敗を伴う現在の世は,その「終わりの日」に入りました。そして,この世を待ち受けている滅びを回避できる方法は一つもありません。ただ,神の王国に全き信仰を置く人たちだけが,確信を抱いて将来を待ち望むことができます。心の正直な人たちはこのことを認識するとともに,単に王国について語るだけでなく,自分たちの宣べ伝える事柄と一致した生活をしようと真剣に努力する,エホバの証人と活発に交わるようになっており,その人数は増大しています。

『小さな者が千となる』

4 イザヤ 60章4節の成就として,まず,どんな集める業に注意が向けられましたか。

4 第一次世界大戦が終わった時,王国の相続人たちを集める業は依然として完了していませんでした。天でキリストと共に支配する,予告された14万4,000人を満たすのに必要な,天のエルサレムの「息子たち」や「娘たち」が依然としてもっといました。しかし,エホバはこの業の結末を予告して,こう言われました。「あなたの目を周囲に上げて,見よ! 彼らはみな集められた。彼らはあなたのもとに来た。あなたの息子たちは遠くからやって来る。脇腹に抱えられて世話を受けるあなたの娘たちも」。(イザヤ 60:4)1919年以降の王国をふれ告げる業の結果として,さらに何千人もの人々がエホバに献身し,バプテスマを受け,聖霊によって油そそがれました。しかしイエスは,王国相続人のグループ全体のことをひとまとめにして,ただ「小さな群れ」と言われました。(ルカ 12:32イザヤ 60章22節で予告された事柄が成就するためには,真の崇拝を行なうよう集められる人々が,確かにもっといるようになるはずでした。実際,そのとおりになってきました!

5 イザヤ 55章5節には,さらに増加をもたらすもととなるものが,どのように描写されていますか。

5 それらの人々のことはイザヤ 55章5節で次のように言われています。「見よ,あなたは自分の知らない国民を呼び,あなたを知らなかった国の者たちがまさにあなたのもとに走って来る。あなたの神エホバゆえに,イスラエルの聖なる方のためにである。その方があなたを美しくされるからである」。これは霊的なイスラエル以外のところからの人たちです。それらの人たちは多くの国々から来ますが,すべてが神の王国を忠節に支持する,一致した民となります。それらの人々は,霊的イスラエルの残りの者が当時,聖書に関する自分たちの理解にしたがえば,『知らなかった国民』でしたし,またそれらの人々も以前は神の僕たちを正しく認めてはいませんでした。しかし,良いたよりが宣べ伝えられる結果として,それらの人たちは引きつけられています。なぜなら,彼らはそれら霊的イスラエル人がまことの神を崇拝していることを認め,またただ神の祝福からのみもたらされる霊的な美しさがそれらの人々のうちにあることを識別するからです。

6 王国の音信はどれほど遠くまで伝えられていますか。胸の躍るような,どんな結果がもたらされていますか。

6 王国の音信を宣べ伝えるのを妨げたり,人々の注意をそらして,ほかの事柄を追求させようとしたりするために,サタンがあらゆることを行なってきたにもかかわらず,真理の光は地上の遠く離れた所にさえ引き続き達しています。その結果は,神が昔ご自分の「女」に向かって次のように預言的に言われたとおりになりました。「その時,あなたは見て,必ず光り輝き,あなたの心臓は実際にわなないて広がるであろう。海の富があなたのもとに向かうからである。諸国民の資産もあなたのもとに来る。……そして,[彼らは]エホバの賛美を告げ知らせる」。(イザヤ 60:5,6)そうです,かつては神から遠ざけられていた人類の「海」の一部であった人たちの「大群衆」,つまり諸国民を覆う「濃い暗闇」のために生活を陰気なものにさせられていた人々が,霊的イスラエルと一緒になりました。神の目にとって,それらの人々は確かにあらゆる国民からの貴重なものなのです。

7 増加を予告した言葉遣いによれば,エホバはご自分の目に本当に貴重なものが何かをどのように示しておられますか。

7 エホバはエルサレムのご自分の神殿が再建される時に,預言者ハガイを動かして,次のように伝えさせました。「『わたしはあらゆる国民を激動させる。あらゆる国民のうちの望ましいものが必ず入って来る。わたしはこの家を栄光で満たす』と,万軍のエホバは言われた」。(ハガイ 2:7)諸国民をそのように激動させ,震動させることによって,彼らはついには滅ぼされてしまいますが,しかしそのようなことが起きる前に,「あらゆる国民のうちの望ましいもの」がそれら諸国民の中から集められて,エホバの偉大な霊的な神殿,つまりその世界的な崇拝の家に導き入れられなければなりません。この世がすさまじい音をたてて崩壊する時,彼らはその家で身の安全を得ることになるでしょう。エホバにとって貴重なのは,このような生きた崇拝者たちです。エホバが欲しておられるのは,彼らの物質の富ではありません。(ミカ 6:6-8)それらの人たちがエホバに与え得る,最大の価値のあるものは,彼らの行なう魂を込めた崇拝です。それらの人々はすべて,「エホバの賛美を告げ知らせ」ながら,心からの専心と熱心な奉仕という捧げ物を持ってやって来ます。彼らが姿を現わしたので,天と地の両方にいる神の忠節な僕たちに,何という喜びがもたらされてきたのでしょう。

8 聖書は,王国の地的な相続人となる見込みのある人々がどの程度集められるかを示唆する,どんな事柄を述べていますか。

8 パラダイスの地で命を享受する希望を心に抱く,それらエホバの崇拝者たちは,どれほど大勢いるのでしょうか。聖書は数を決めていません。その数は,エホバの愛ある備えを利用する,あらゆる国民からの,できるだけ多くの人々のために,未知数のままにされています。しかし,どれほどの人々を期待すべきかを示す事柄が,イザヤ 60章8節にあります。雲はその下にある地球をかなり暗くするものですが,この句はそれらの人々のことを,その『雲のように飛んで来る』はととして描写しています。これは短時間に非常に多くの人々が移動することを示しています。エホバの崇拝者たちが,このように大群となって流れ込んで来るので,霊的なイスラエルの「小さな者」が「千となり,小なる者が強大な国民となる」と予告されていましたし,エホバはご自分が「その時に速やかにそれを行なう」であろうと言われたのです。(イザヤ 60:22)このことは,実際に起きてきた事柄と合致しますか。

9 1935年以来,このような増加はどの程度まで起きてきましたか。

9 最初の世界大戦が終わった後,王国について公に証しする業に活発にあずかっていたのは,わずか数千人の人たちだけでした。1935年までにその合計は全世界で6万人を少し下回りました。1941年には王国をふれ告げる人々の人数は10万人台を超えました。1953年までには50万人以上になりました。それから10年後,その人数は100万人を数えました。1984年の初めまでに,265万2,323人に達しました。それらの人々は,神の王国のみが将来に対する真の希望を差し伸べている理由を他の人々に示すために,1日に平均,優に100万時間以上をささげています。エホバの証人として自分たちがエホバのメシアによる王国の臣民であることの証拠を示す人々の人数と比べて,今日の世界のおよそ60か国のそれぞれの人口が,この増大する「国民」よりも数の点で少ないのは,注目に値する事柄です。しかし,この特異な「国民」は世の政治とは全然関係を持たず,まことの神への奉仕に全く専心しています。

10 (イ)どんな状況を考えると,この発展はわたしたちの目に驚嘆すべきものとなりますか。(ロ)さらに多くの人々がなおもやって来ることを何が示唆していますか。

10 これでこの預言は成就の限界に達しましたか。これまですでに起きた事柄は,聖書の描写に十分合致します。それにまた,この業が行なわれてきた状況,つまり克服された障害,それを首尾よく成し遂げるために神の導きがあったことを示す証拠,その業にあずかっている人たちの示した献身の深さなどを考慮すると,それは驚嘆に値する事柄です。また,それが人々の生活にもたらした変化はすばらしいものがあります。しかし,エホバを支持する立場を公に取る人々の増加は止まってはいませんし,また衰えてもいません。最近の何年かにわたって,毎月,平均して優に1万人以上の人々が水のバプテスマを受けるために進み出ており,その合計は毎年上昇してきました。それらすべての人たちは,バプテスマによって表わされる事柄にしたがって生活することにより,「新しい地」に生き残る,頼もしい見込みを持つことができるでしょう。

11 (イ)聖書は,それら幾百万もの人々が,一つの組織の一部となることを,どのように示唆していますか。(ロ)その組織の主要な目的は何ですか。

11 これら幾百万もの人々は,各々自分独自の仕方で神に仕える,単なる独立した聖書研究者ではありません。彼らは素直にエホバの見える組織の一部となっている人たちです。これまでに見てきたとおり,まず王国の相続人たちが「集められ」ました。今や,諸国民から地的な命の希望を抱く,ほかの人々が,『彼らのもとに来て』います。(イザヤ 60:4,5)それらの人々は「一人の羊飼い」であるイエス・キリストのもとで,「一つの群れ」の中で結ばれています。(ヨハネ 10:16)使徒ペテロは真のクリスチャンたちのことを世界的な『仲間の兄弟たち』として描写しましたし,パウロはそれらクリスチャンに,孤立したりせず,「集まり合う」よう促しましたが,神の裁きを執行する日が近づいているのですから,なおのことそうする必要があります。(ペテロ第一 5:9。ヘブライ 10:23-25)そうすれば,それらの人々は,この組織が存在する偉大な目的にあずかるよう,強められ,また備えをすることになります。しかも,その目的とは何ですか。それはエホバのみ名を大いなるものとすることです。―ペテロ第一 2:9。イザヤ 12:4,5

なすべき業

12 (イ)イエスは,わたしたちすべてがあずかっているべき業をどのように示されましたか。(ロ)その業はどれほど重要ですか。それはなぜですか。

12 エホバの組織と交わるようになる人々はすべて,ほどなくして,その組織の中にいる人たちは働く人々であることを悟るようになります。それらの人々はみな,イエス・キリストに見倣ってエホバのみ名の正しさを立証する手だてである,神の王国を活発に宣べ伝える人たちです。イエスご自身も,「わたしは……神の王国の良いたよりを宣明しなければなりません。わたしはそのために遣わされたからです」と言われました。(ルカ 4:43)イエスは,ほかの人たちも神のご意志を行なうことを中心にして生活を築く必要があることを熱心に話されました。イエスはご自分の追随者たちに,ご自身の行なっていた,その同じ業を行なうよう教えられました。わたしたちが生きている,この時代に関して,イエスは,「王国のこの良いたより」が「あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられる」であろうと予告されました。(マタイ 24:14)これは今日,わたしたちのだれもが行なえる最も重要な業です。それはなぜですか。なぜなら,わたしたちはその業によって,全創造物の福祉が依存している,エホバ神の正当な主権を擁護できるからです。その活動に心を込めてあずかることにより,わたしたちはエホバの豊かな過分のご親切に対する感謝の念を表明します。わたしたちはまた,差し迫った大患難を生き残ることを可能にする唯一の方法を活用するよう,仲間の人間を助けます。―テモテ第一 4:15,16と比べてください。

13 (イ)イザヤ 60章17節には,エホバの組織に関してどんな状態が予告されていましたか。(ロ)それを十分に味わうためには,わたしたちは何をしなければなりませんか。(ハ)そうする人たちの前途にはどんな見込みがありますか。

13 それらの人々は,エホバの組織の中に見いだす状況によって,心を温められます。それは,エホバがイザヤを通して,「わたしは平和をあなたの監督たちとして任命し,義をあなたに労働を割り当てる者たちとして任命する」と予告なさったとおりです。(イザヤ 60:17)行き渡るその平和は,単なる理論ではなく,現実,つまり神の聖霊の一つの実なのです。これは,一個人が単に組織と交わりさえすれば,その平和を十分に味わえるという意味ではありません。人は個人的に,「平和に役立つ事柄や互いを築き上げる事柄を追い求め」なければなりません。(ローマ 14:19)つまり,ほかの人たちの不完全さに対処する際,敬虔な知恵を表わし,辛抱強さや自制を働かせている証拠を示し,自分も神に許していただきたいと願うのと全く同様,ほかの人たちをも許すことを学ぶ必要があります。同時に,そうです,『平和を作り出さなければ』なりません。(ヤコブ 3:17,18。ガラテア 5:22,23。コロサイ 3:12-14)そうする人たちは,今やはっきりと姿を現わして,「幸福な神」であられるエホバへの奉仕に専心している「強大な国民」の一部であることに大いなる喜びを見いだします。(テモテ第一 1:11)支配者としてのサタンに服する全世界に対して,エホバが裁きを執行なさる時,保護されるのは,この「国民」の成員なのです。

[研究用の質問]