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「新しい天と新しい地」はどのようにして始まりますか

「新しい天と新しい地」はどのようにして始まりますか

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「新しい天と新しい地」はどのようにして始まりますか

1 (イ)聖書では,何がしばしば「天」と呼ばれていますか。(ロ)ある章句では,「地」は何を意味していますか。

天のことを話すと,宇宙空間や月や星のことを考える人は少なくありません。聖書はまた,「天」を支配権と関連づけています。(使徒 7:49)「天」という表現は,宇宙の主権者であられる神ご自身を指して用いられる場合もあります。(ダニエル 4:26。マタイ 4:17)人間の政府さえも「天」と呼ばれる場合があります。なぜなら,それは臣民よりも高い立場にあるからです。(ペテロ第二 3:7)同様に,「地」は多くの場合,地球を意味しますが,それはまた,人類の社会を指す場合もあります。(創世記 11:1。詩編 96:1)このことを知っておけば,「新しい天と新しい地」に関する魅惑的な約束の重要な意義を認識するのに役立ちます。その約束の幾つかは,古代イスラエルの時代に最初の成就を見ました。

『わたしが創造しているものを喜べ』

2 エホバはなぜイスラエルが流刑にされるのを許されましたか。しかし,何を予告されましたか。

2 イスラエル国民は神との契約に入っており,神に従うことに厳粛に同意していました。しかし,彼らは不忠節になりました。そのために,エホバは,保護を差し控え,エルサレムを滅ぼされるままにし,その民がバビロンに流刑にされることを知らせました。(イザヤ 1:2-4; 39:5-7)しかし,エホバはまた,憐れみ深いことに,悔い改めた残りの者たちの回復を予告されました。―イザヤ 43:14,15; 48:20

3 イザヤ 65章17節の約束は,何を意味するものでしたか。

3 それは確かな事柄なので,エホバはその後代の回復について,それがあたかもすでに起きているかのように語り,こう言われました。「いまわたしは新しい天と新しい地を創造している……以前のことは思い出されることも,心の中に上ることもない。しかし,あなた方はわたしが創造しているものに永久に歓喜し,それを喜べ。いまわたしは,エルサレムを喜びのいわれ,その民を歓喜のいわれとして創造しているからである」。(イザヤ 65:17,18)これはそれら悔い改めたイスラエル人が救出されることを意味していました。

4 (イ)予告された救出はいつもたらされましたか。(ロ)その当時の「新しい天」と「新しい地」とは何でしたか。

4 このようなことは人間の見地からは不可能と思えましたが,強力なバビロンは西暦前539年にメディア人とペルシャ人の手に落ちました。ユダヤ人は新しい政府,つまり「新しい天」の支配を受けました。キュロス大王はその「新しい天」で際立った役割を果たしました。キュロスはユダヤ人の宗教に改宗しませんでしたが,権威を持つことをエホバから許されてそれを行使したこと,またエルサレムの神殿を再建させるようエホバから任命されたことを認めました。(歴代第二 36:23。イザヤ 44:28を参照してください。)西暦前537年にエルサレムに戻った総督ゼルバベルと大祭司エシュアもまた,その政治上の「新しい天」で際立った仕方で仕え,回復させられたユダヤ人の残りの者は「新しい地」,つまりその地に清い崇拝を再び確立した,清められた社会を構成しました。―エズラ 5:1,2

5,6 (イ)彼らが本当に変化した民であることを示す証拠となるのは,どんな事柄でしたか。(ロ)エホバから戒められた時,彼らの反応は,流刑にされる以前のそれとどのように異なっていましたか。

5 自分たちが思いと心の両面で変化した民であることを示す証拠として,彼らは清い崇拝の関心事を生活の中で第一にし,本当にエホバの主権を尊び,そしてその預言者たちに聴き従う必要がありました。このことと一致して,彼らがユダに着いた時に最初に行なった事柄の一つは,『イスラエルの神の祭壇を築いて』,犠牲をささげることでした。―エズラ 3:1-6

6 物質主義に流れる傾向と人間に対する恐れのために,神殿の建設を完了することが妨げられた時,エホバはご自分の預言者を用いて民を戒められ,彼らはその戒めに留意しました。(ハガイ 1:2,7,8,12; 2:4,5)後に,結婚に関する律法の要求に従わなかった重大な怠慢が指摘された時,人々は自分たちの道を正しました。(エズラ 10:10-12)彼らは,比ゆ的に言って見えない目や,神の言葉の聞こえない耳を持つ代わりに,霊的ないやしを経験し,エホバのご意志と調和して自分たちの能力を用いました。(イザヤ 6:9,10と35:5,6を比べてください。)その結果,神はイザヤ 65章20節から25節にある約束に従って彼らを繁栄させました。

7 イザヤの預言には,さらに後代の成就がありますが,どうしてそれが分かりますか。

7 しかし,「新しい天と新しい地」に関する預言の成就は,それですべてでしたか。決してそうではありません。クリスチャンの使徒ペテロは,1世紀のクリスチャンがさらに後代の成就を切に待ち望んでいたことを述べています。(ペテロ第二 3:13)彼らが待ち望んでいた事柄は,今やわたしたちの眼前で展開しています。どのようにしてですか。それは,大いなるキュロス,つまり栄光を受けられたイエス・キリストの即位にかかわる出来事と関連して生じています。

8 (イ)エホバはいつこの「新しい天」を存在させましたか。これはその預言の最初の成就とどのように比べられますか。(ロ)その「新しい天」の成員は,どのように漸進的に増大してきましたか。

8 すでに見てきたとおり,エホバ神がご自分のみ子に権威を授けて,敵のただ中で支配を始めさせたのは,1914年のことでした。その時,待望久しい「新しい天」が存在するようになりました。そのとき起きた事柄は,古代イスラエルの救出と関連づけられている出来事よりもはるかに重要な意義を持っていました。(詩編 110:2。ダニエル 7:13,14)1914年に生み出されたその政府は実際,天そのものから支配しており,神は全地を治める権威をその政府にお与えになりました。その後,霊によって油そそがれた,キリストの(すでに亡くなった)追随者たちが,自分たちの主と共に天で王ならびに祭司となるために,復活させられるにつれ,この政府は拡張を見るようになりました。その王国級のほかの成員で,自分たちの地上での生活を終えた人々もまた,その「新しい天」の増大する成員に加えられてきました。(テサロニケ第一 4:14-17。啓示 14:13)キリストの共同相続人の確かに大多数の人々は今,その天の王国で活動しています。こうしてキリストと一緒になった,霊によって生まれたクリスチャンは,エホバが,「いまわたしは,エルサレムを喜びのいわれ,その民を歓喜のいわれとして創造している」と言われた,新しいエルサレムを構成しています。―イザヤ 65:18

9 エホバは1919年に,まさしくこの地上で,どんな「歓喜のいわれ」を作り出されましたか。

9 エホバは天だけではなく,地上においても「歓喜のいわれ」を作り出されました。王国相続人の残りの者は依然として地上の舞台にいます。第一次世界大戦中,キリスト教世界の僧職者は戦時下の病的な興奮状態に乗じて,それら聖書研究者たちを偽って告発し,その統治体の幾人かの成員に長期間の禁固刑を科させました。しかし,彼らは1919年に解放され,大いなるバビロンの扇動によってもたらされた捕らわれから実際に解き放たれました。彼らは背後から自分たちを支えるエホバの霊に助けられて,清い崇拝と神の王国の関心事に全く専心した民として組織を建て直しました。

10 (イ)これらの霊的イスラエル人の期待は,西暦前537年に帰還したユダヤ人のそれとはどのように異なっていましたか。(ロ)エホバは,なすべきどんな仕事を彼らにお与えになりましたか。(ハ)彼らがなお地上にいる間,エホバは彼らをどのように豊かに祝福してこられましたか。参照されている聖句は,彼らが享受している状態をどのように描写していますか。

10 しかし,彼らの希望や期待は,西暦前537年に自分たちの故国に帰ったユダヤ人のそれとは異なっていました。霊的イスラエルの成員は,自分たちのために「天に取って置かれている」相続財産を楽しみにしていました。(ペテロ第一 1:3-5)しかし,彼らが実際にその報いを受ける前に,エホバは彼らのなすべき仕事を持っておられました。このことに関して,エホバは次のような預言的な言葉を述べられました。「わたしはわたしの言葉をあなたの口に置き,わたしの手の陰で必ずあなたを覆うであろう。それは,天を植え,地の基を据え,シオンに向かって『あなたはわたしの民である』と言うためである」。(イザヤ 51:16)エホバはその「言葉」,つまり音信を,全地でふれ告げさせるために,ご自分の僕たちの口に置かれました。彼らは,神がその「新しい天」をたいへんしっかりと据えられたので,人間も悪霊もそれを根こぎにし得ないことを,確信を抱いて知らせ始めました。エホバが天のシオンの代表者たちを取り扱われた仕方は,彼らがその民であることを疑う余地なく明らかにするものとなりました。この世の霊的にも,また道徳的にも荒廃した状態とは対照的に,霊的イスラエルの占めている「地」,つまり彼らの活動分野は,霊的な価値と活動が栄える所となりました。それは霊的パラダイスです!(イザヤ 32:1-4; 35:1-7; 65:13,14。詩編 85:1,8-13)しかし,イザヤ 65章17節で予告された「新しい地」についてはどうですか。

「新しい地」のための準備

11 (イ)エホバは,「新しい地」の成員となる見込みのある人々を,特にいつから整えてこられましたか。(ロ)彼らは古代バビロンを去った,どんな人々によって予表されていましたか。

11 特に1935年以降のことですが,エホバは,楽園の地におけるとこしえの命に関する期待を抱く人々の大群衆を集めるための時が到来したことを霊的イスラエルの成員に理解させました。王国相続人の「小さな群れ」と比べて,それらの人々はまさしく大群衆となりました。(啓示 7:9,10)それらの人たちもまた,霊的パラダイスに入れられました。これらの人々は,西暦前537年にユダヤ人と共にバビロンを去った,イスラエル人ではない人たちと,その後に同様にバビロンを去った人々によって予表されていました。(エズラ 2:58,64,65; 8:17,20)地的な希望を抱く,現代のエホバの証人のこの大群衆はすべて,「新しい地」の成員となる見込みを持つ人々です。

12 人々は「新しい地」のふさわしい基となれるよう,今どのように整えられていますか。

12 大患難を生き残り,前途に完全な人間の命を得る見込みのあるそれらの人々は,まさしくその「新しい地」の基を構成し,その最初の成員となります。その基が堅固であることは重要なことです。ですから,彼らは現に今,エホバの道を徹底的に教え悟されているのです。それらの人々は宇宙主権の論争に関する心からの認識を持てるように助けられています。そして,『心をつくしてエホバに依り頼み,自分の理解に頼らない』ことがどんなに肝要なことかを学んでいます。(箴言 3:5,6)彼らは「王国のこの良いたより」を宣べ伝える業に今十分にあずかって,自分が神の王国の熱心で忠節な支持者であることを証明する機会を持っています。(マタイ 24:14)そして,あらゆる国民,言語および人種の中から来る人々が愛ある兄弟関係を保って一緒に働く,一つの全地球的な社会の一部であることが何を意味するかを体験しています。(ヨハネ 13:35。使徒 10:34,35)あなたもこの教育計画から十分の益を得られるよう,個人的に力を注いでおられますか。そうする人々すべてにとって,その前途には驚嘆すべき見込みがあります。

「新しい地」は現実の事柄となる

13 来たるべき「新しい地」は,エホバの約束の成就の点で,西暦前537年に起きた事よりも,どのようにはるかに壮大な事柄となりますか。

13 「新しい地」を存在させるというエホバの約束の最終的な完全な成就は,西暦前537年当時に起きた事よりもはるかに壮大な事柄となります。「新しい地」を構成する人たちは,単に大いなるバビロンから解放された人々であるというだけのことではなく,偽りの宗教のあの世界帝国全体が永久に滅ぼされてしまうのです。(啓示 18:21)義にかなったこの人間の世界 ―「新しい地」― は,イザヤの預言の最初の成就の場合がそうであったように,エホバをそしり,その僕たちを迫害する諸国家によって取り囲まれることはありません。人間の政府はすべて,エホバの主権に服従することを拒んだために,打ち砕かれて存在しなくなり,現在の邪悪な人間の社会はこの地上から完全に絶やされてしまいます。(ダニエル 2:44。箴言 2:21,22)神の義の新秩序が始まる時,この惑星の地球に住むのは,エホバを敬い,その道に無上の喜びを見いだす人々だけです。―詩編 37:4,9

14 (イ)ペテロ第二 3章13節と啓示 21章1節はいつ成就しますか。(ロ)その時,「新しい天」が機能を果たす環境は,どんな点で異なりますか。(ハ)「新しい地」には,だれが含まれますか。

14 使徒ペテロは霊感を受けて記した第二の手紙の中で,その輝かしい時代に注意を向けさせました。(ペテロ第二 3:13)使徒ヨハネは胸の躍るような,その同じ見込みを指し示して,自分に与えられた啓示について詳しく伝え,「わたしは,新しい天と新しい地を見た。以前の天と以前の地は過ぎ去っており,海はもはやない」と述べました。(啓示 21:1)大患難が過ぎて,サタンとその悪霊たちが底知れぬ深みに入れられると,新しい時代が始まります。サタンとその悪霊たちの卑劣な影響力はなくなってしまいます。サタンの事物の全体制は滅び去ってしまいます。それで,「新しい天」はエホバの主権を無視する政府からの干渉を何ら受けることなく,被造物に対するエホバの愛ある目的を遂行してゆきます。その「新しい天」のもとには,本当に「新しい地」があります。それは,美と豊かさと幸福と平和の宿る全地球的な楽園で,終わりのない命を受ける,貴重な見込みを神から差し伸べられる,「大群衆」で構成されるのです。死んだ人間がよみがえらされる神のご予定の時が来ると,それらの人々も,義の宿る,その「新しい地」の一部となる機会を持つことになります。―啓示 20:12,13

15 啓示 21章3,4節の約束は,あなたにとってどうして重要な事柄ですか。

15 神がその時の人類のために備えておられる事柄に関して,使徒ヨハネは天からの次のような発表を聞きました。「見よ! 神の天幕が人と共にあり,神は彼らと共に住み,彼らはその民となるであろう。そして神みずから彼らと共におられるであろう。また神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。(啓示 21:3,4)それは何と気分を浮き立たせるような生活なのでしょう。

16 (イ)イザヤ 11章6-9節,(ロ)イザヤ 35章1-7節,(ハ)イザヤ 65章20-25節の約束は,わたしたちの心の中に,将来に関するどんな期待を呼び起こしますか。(ニ)だれがこのような喜ばしい見込みをわたしたちのために可能にしてくださいますか。

16 エデンに存在した状態や,イエスが行なわれた奇跡は,その「新しい地」の生活がどのようなものかを示す,楽しい予告編となっています。そのうえ,イザヤ 11章6節から9節や35章1節から7節および65章20節から25節にある預言の特色は,その時,物理的な成就を見,従順な人類にとって大いなる祝福となるでしょう。すべての点でパラダイスとなった地球で,肉体的また精神的な完全さと共に,霊的な健康と繁栄という,本当に必要な状態を享受できる時,その生活は何と人をさわやかにさせることでしょう。わたしたちの前途にはこのような驚嘆すべき見込みがあるのですから,そのすべての偉大な創造者であられるエホバに感謝の声を上げずにいることなど,どうしてできるでしょう。

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