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非常に大きな隔たり ― 進化論はそれを埋めることができるか

非常に大きな隔たり ― 進化論はそれを埋めることができるか

第6章

非常に大きな隔たり ― 進化論はそれを埋めることができるか

1 化石の記録に見られる隔たりについてどんなことが注目されていますか。

 化石は,人間が登場するずっと以前に存在していた多様な生物について明確な証拠を示しています。しかしそれは,生命がどのように始まり,その後新しい種類のものがどのようにして生じたかに関して,期待された,進化論的見解の裏付けとなるようなものは提出していません。生物学上の隔たりを埋める過渡的な化石が欠如していることについて注解しつつ,フランシス・ヒッチングはこう述べています。「不思議なのは,化石の隔たりには一種の一貫性があることだ。すなわち,すべての重要な箇所で化石はいつでも欠けているのである」。1

2 魚類の化石はそのような隔たりをどのように例示していますか。

2 ヒッチングが重要な箇所と言うのは,動物の主要なグループ相互の間の隔たりのことです。その一例として,魚類は無脊椎動物,すなわち背骨を持たない生き物から進化してきた,とみなされています。ですが,ヒッチングはこう述べています。「魚類は化石の記録の中へにわかに飛び込んできており,どこから来たとも思えない。すなわち,不可思議に,突然に,しかも十分に形態を整えてである」。2 動物学者のN・J・ベリルは,魚類がどのように登場したかという自分の進化論的な説明について注解し,「ある意味で,この記述は空想科学である」と述べました。3

3 進化論は動物界の大グループの登場についてどのように説明していますか。

3 魚類は両生類となり,ある種の両生類は爬虫類となり,爬虫類から哺乳類と鳥類が出,最後に,ある種の哺乳類が人間になったと,進化論は推定しています。前の章では,化石の記録がこのような主張を裏付けてはいないことを調べました。この章では,想定されている移行の段階がどれほど大きなものであるかに注意を向けましょう。読んでゆかれる際,そのような変化が,方向付けのない偶然の作用で自然発生的に生じてゆく可能性について考えてください。

魚類と両生類との間の大きな隔たり

4,5 魚類と両生類との間の大きな相違としてどんな点がありますか。

4 魚類を無脊椎動物からはっきり区別させているものは背骨です。魚類が両生類,つまり水中でも陸上でも生活できる生き物になったとすれば,その背骨は大きな変化を経なければならなかったでしょう。骨盤が加えられなければなりませんでしたが,魚類の化石で,両生類の骨盤がどのように発達したかを示しているものは知られていません。カエルやヒキガエルなど,ある種の両生類の場合には,背骨全体が見分けのつかないほどに変様しなければなりませんでした。また,頭がい骨も異なっています。さらに,両生類の体を形成するためには,魚類のひれが,手首,足首,指を備え,関節によって接続する四肢にまで進化し,それに伴って筋肉や神経の大々的な改造が求められました。えらは肺に変わらねばなりませんでした。魚類の場合,血液は二つの部分に分かれた心臓によって送り出されていますが,両生類では三つの部分に分かれた心臓によっています。

5 魚類と両生類との間の隔たりを埋めるためには,聴覚も根本的な変化を経なければならなかったでしょう。一般的に言って,魚類は体で音を受け止めるのに対し,たいていのカエルまたヒキガエルは鼓膜を持っています。舌も変化しなければなりませんでした。魚類で伸び縮みする舌を持つものはありませんが,ヒキガエルなどの両生類はそれを持っています。両生類の目はまばたきをする能力を付け加えられています。その目は皮膜を持っており,眼球上をすべらせてそれをぬぐうことができるのです。

6 どんな生き物が魚類と両生類との間を結び付けるものと考えられてきましたか。しかし,どうしてそうではありませんか。

6 両生類を魚類の何らかの祖先と結び付けようとして精力的な努力がなされてきましたが,それは成功していません。その候補として肺魚が好んで取り上げられていました。肺魚はえらのほかに浮き袋を備えていて,一時的に水の外に出る間それを呼吸のためにも用いることができるからです。「魚類」と題する本はこう述べています。「これらは,陸上で生活する脊椎動物へと進んだ両生類と何らかの直接的な関連があるのではないか,と考えたい気持ちになる。しかし,実際にはそうではない。それらは全く別のグループである」。4 デイビッド・アテンバラは肺魚とシーラカンスを共にこの点では欠格とし,「それらの頭の骨は最初の化石両生類の骨とは非常に異なっており,一方が他方から出たとすることはできない」と述べています。5

両生類と爬虫類との間の大きな隔たり

7 両生類から爬虫類への過程で特に説明の難しい問題の一つは何ですか。

7 両生類と爬虫類との間の隔たりを埋めようとすることはほかの幾つもの難しい問題を作り出します。特に難しいのは殻のある卵の始まりです。爬虫類より前の生き物はゼリー状の柔らかい卵を水の中に産み,卵はそこで,つまり体の外で受精します。爬虫類は陸生であり,卵を陸の上で産みますが,その中にある成長過程の胚はやはり水分の多い環境の中に置かれねばなりません。殻で包まれた卵がその答えでした。しかしこのためには,受精の過程にも大きな変化が求められました。体内での受精,卵が殻で包まれる前の受精が必要です。これがなされるためには,新しい生殖器官,新しい交尾の方法,そして新しい本能が伴わなければなりません。これらすべては両生類と爬虫類との間の非常に大きな隔たりとなっています。

8,9 殻のある卵にはほかのどんな特色が必要ですか。

8 卵を殻で包むということは,その爬虫類の成育を可能にし,最後にはそれが殻の中から出られるようにするために,注目すべき変化をほかに幾つも必要としました。例えば,殻の中では種々の皮膜や袋が必要です。その一つは羊膜で,胚がその中で成長してゆくための液体を入れています。「爬虫類」という本は,尿膜と呼ばれる別の皮膜についてこう描写しています。「尿膜は胚の排出物を受け取って溜め,ぼうこうのような役目を果たしている。それには血管もあって,殻を通って入って来る酸素をとらえて,それを胚に送り込む」。6

9 進化論は,ここに関係してくるほかの複雑な相違についても説明を提出していません。魚類や両生類の卵の中の胚は,自分の排出物を水に溶け込む尿素の形で周囲の水の中に出します。しかし,殻で包まれた,爬虫類の卵の中に尿素がたまれば,それは胚そのものを殺してしまうでしょう。そのため,殻で覆われた卵の中では,きわだった化学変化がなされています。つまり,排出物は水に溶けにくい尿酸として尿膜の中に溜められます。また,次のことも考えてください。卵黄は成長してゆく爬虫類の胚のための食物となり,殻から出る前に胚が十分に成育できるようになっています。この点も,成体とは違った形で卵から出る両生類の場合と異なっています。そして,殻から出るために,胚は卵歯と呼ばれる独特のものを持ちます。それを使って,自分を閉じ込めている殻を突き破るのです。

10 一進化論者はどんな嘆きのことばを述べましたか。

10 両生類と爬虫類との間の隔たりを埋めるためにはほかにも多くのことが求められますが,ここに挙げた例は,方向付けのない偶然の作用だけでは,その広い隔たりを埋めるに必要な多くの複雑な変化すべての説明とはなりえないことを示しています。進化論者のアーチ・カーが次の嘆きのことばを述べたのも不思議ではありません。「化石の記録による脊椎動物の歴史で失望させられる点の一つは,爬虫類のごく初期の進化,殻のある卵が発達していたころのことがほとんど何も示されていないことである」。7

爬虫類と鳥類との間の大きな隔たり

11,12 爬虫類と鳥類との間の大きな相違は何ですか。ある人々はこのなぞをどのようにして解こうとしていますか。

11 爬虫類は変温動物です。つまり,その体温は外界の温度に応じて高くなったり低くなったりします。他方,鳥類は定温動物です。その体は,外界の温度の変化にかかわりなくほぼ一定の体温を保ちます。定温動物の鳥類がどのようにして変温動物の爬虫類から生じたかというなぞを解くために,ある種の恐竜類(それは爬虫類であった)は定温性であった,と唱える進化論者たちもいます。しかし,「恐竜類は他のすべての爬虫類動物と同じく変温動物であった」8 と,ロバート・ジャストローは述べており,これが依然として一般的な見方です。

12 フランスの進化論者レコムテ・ド・ヌーイは,定温性の鳥類が変温性の爬虫類から生じたという考えについて,「これは今日,進化論の最大の難題の一つとなっている」と述べました。彼はまた,鳥類は「不満足なことながら,絶対的な創造の特色をことごとく」9 備えていることを認めていました。不満足というのは,進化論にとってです。

13 鳥類は卵を抱いてふ化させるためにどんな特色を備えていますか。

13 爬虫類も鳥類も共に卵を産みますが,その卵を抱いてふ化させなければならないのは鳥類だけです。鳥類はそのように設計されています。鳥の中には,その胸部に卵を抱くための特別の場所を備えたものが多くいます。それは,羽毛が少しもなく,血管が網の目状になっていて,卵にぬくもりを与えることができるようになっている部分です。このような抱卵斑を持っていないで,自分の胸部から羽を抜き取る鳥もいます。また,鳥類が卵を抱いてふ化させるようになったのが進化によるのであるとすれば,そのために種々の新しい本能が進化によって生じてこなければなりません。巣を作り,卵を抱いて温め,ひなにえさを与えようとする本能であり,それは,技術と労苦が求められ,あえて身を危険にさらすことが求められる,いたって無私,また愛他的で思いやり深い行動です。このすべては爬虫類と鳥類との間の広い隔たりを物語っています。しかし,まだ多くのことがあります。

14 羽毛のどんな入り組んだ仕組みについて考えると,それが爬虫類のうろこから生じたとは考えにくくなりますか。

14 羽毛は鳥類独特のものです。爬虫類のうろこがたまたまこのように驚くべき構成に変わった,と想定されています。羽毛の軸からは羽枝が列をなして出ています。一本一本の羽枝には数多くの小羽枝が付いており,それぞれの小羽枝には幾百本もの細毛と小鉤が付いています。ハトの羽毛一本を顕微鏡で調べてみたところ,それには「数十万本の小羽枝と数百万本の細毛や小鉤の付いている」10 ことが分かりました。それらの鉤によって羽毛のすべての部分は一つにつなぎ合わされて,平らな面,すなわち羽板を成しています。翼型として鳥の羽に勝るものはなく,絶縁体としてそれに匹敵する物質はほとんどありません。白鳥ぐらいの大きさの鳥には約2万5,000本もの羽毛があります。

15 鳥は自分の羽毛をどのようにして手入れしますか。

15 これらの羽毛の羽枝がばらばらになると,鳥はくしを当てるようにしてそれをくちばしで整えます。くちばしは羽枝をはさんで力を当ててゆき,それによって細毛の鉤はファスナーの歯のようにしてつながり合います。多くの鳥は尾の基部に脂肪の分泌腺を持っていて,そこから脂肪分を取って一本一本の羽毛を整えます。脂肪の腺を持たない鳥の中には,その代わりに,先端部が細かくほぐれた特殊な羽毛を備えていて,そこから滑石の粉末のような微粉を出して羽毛を整えるものもいます。そして,羽毛は普通,年に一度生えかわって新しくなります。

16 一進化論者は羽毛の起源についてどのように述べていますか。

16 羽毛に関するこれらすべてのことを念頭に置き,その発達について説明しようとする次のむしろ驚くような努力について考えてみてください。「このような驚嘆すべき構造はどのようにして進化したのだろうか。羽毛をうろこの変様したものと見るのにそれほど無理な想像はいらない。それは,根本的には爬虫類のうろこ,すなわち,やや長めで,ぴったりとは付いていないうろこであり,その外側の端がほぐれて広がってゆき,やがてそれが,今日見られるような高度に複雑な構造にまで進化したのである」。11 このような説明は真に科学的なものと言えるでしょうか。それとも,むしろ空想科学の読み物のように思えますか。

17 鳥類の骨は爬虫類の骨とどのように異なっていますか。

17 さらに,飛行のための鳥の体の設計についても考えてください。鳥類の骨は,爬虫類の,中まで固く詰まった骨とは異なり,細くて中空になっています。それでも,飛行のためには強度が必要ですから,鳥の骨の中側には,飛行機の翼の内側の支柱に似たすじかいがあります。骨のこのような設計は別の目的にもかなっています。鳥類だけが持つもう一つの驚くべき特色,つまりその特異な呼吸組織の説明になるのです。

18 どんな構造によって鳥は長時間飛んでも体が熱くならないようになっていますか。

18 筋力の強い翼は数時間,時には数日の飛行のあいだ羽ばたきつづけて相当量の熱を発します。しかし,体温を下げるための汗腺を持たない鳥類がこの難問をうまく処理しています ―“空冷式のエンジン”を備えているのです。つながり合った気嚢が体のほとんどすべての重要な部分,中空の骨の中にさえ達していて,体温は空気のこの体内循環によって放出されます。また,これらの気嚢によって,鳥類は空気中の酸素を他のどんな脊椎動物よりもずっと効率的に吸い取っています。これはどのようにしてなされるのでしょうか。

19 鳥が希薄な空気を呼吸していられるのはなぜですか。

19 爬虫類や哺乳類の場合,その肺は,交互に中を満たしたりからにしたりするふいごのようにして空気を出し入れしています。しかし鳥類の場合には,吸い込む時にも吐き出す時にも,新鮮な空気が終始肺の中を流れています。簡単に言うと,そのシステムは次のとおりです。鳥が吸い込む時,空気は幾つかの気嚢にまず入ります。これらの気嚢はふいごの役をして,その空気を肺の中に送り込みます。空気は肺からさらに他の幾つかの気嚢に入り,それらがやがて空気を吐き出します。つまり,肺の中には新鮮な空気が終始一方向に流れていて,水がスポンジの中を流れるのに似ています。肺の毛細血管の中の血液はそれとは逆の方向に流れています。鳥類の呼吸組織を特異なものにしているのは,空気と血液とのこの逆向きの流れです。これによって鳥類は,6,000㍍を超える高さで幾日間も続けて飛び,高い所の希薄な空気を吸いながら数千キロもの渡りをするのです。

20 ほかのどんな特色が鳥類と爬虫類との間の隔たりをさらに広げていますか。

20 他の様々の特色も,鳥類と爬虫類との間の大きな隔たりをさらに広くしています。その一つは視力です。ワシからアメリカムシクイまでを見ると,そこには望遠鏡のような目があり,また拡大鏡に似た目があります。鳥類は他のどんな生物よりも多くの感覚細胞をその目に持っています。また,鳥類の足も異なっています。止まり木にとまる時,その腱は自動的に足指を枝の回りに固定させます。そして,爬虫類が5本の指を持つのに対し,鳥類の足指は4本だけです。さらに,鳥類は声帯を持たず,代わりに鳴管と呼ばれるものを持っていて,その部分からナイチンゲール(欧州産の夜鳴き鳥)やマネシツグミ(北米産の物まね鳥)の調子の良い鳴き声が出てきます。そして,爬虫類が三つの部分に分かれた心臓を持っているのに対し,鳥類の心臓は四つの部分に分かれている点についても考えてください。くちばしも鳥類を爬虫類と異ならせています。木の実を割るのに適したくちばし,泥水の中から食べ物をこし取るくちばし,木をたたいて穴をあけるくちばし,上下が交差していて松笠を開くことのできるくちばしなど,その変化はほとんど無限に見えます。ところが,このような,それぞれに特殊な設計を持つくちばしが,爬虫類の鼻から偶然に進化してきたと言われているのです。そのような説明をあなたは信頼できるものと思われますか。

21 アルカエオプテリクスは爬虫類と鳥類との間をつなぐものとしてはどんな点で失格しますか。

21 かつて進化論者たちは,アルカエオプテリクス(「古代の翼」または「古代の鳥」という意味;始祖鳥)が爬虫類と鳥類との間をつなぐものであると信じていました。しかし今ではそのようには信じていない人々が多くいます。化石化したその死体は,飛ぶことのできる,空気力学的に設計された翼という点で,完全に形態の整っていることを示しています。その翼と脚部の骨は細くて,空どうになっています。その,爬虫類的な特色とみなされているものは,今日の鳥類にも見られます。またそれは,時代的に鳥類より古いわけではありません。アルカエオプテリクスと同じ時期の岩石の中に他の鳥類の化石が見いだされているからです。12

爬虫類と哺乳類との間の大きな隔たり

22 爬虫類と哺乳類との間の相違は“哺乳”という名称そのものによってどのように示されていますか。

22 種々の大きな相違が爬虫類と哺乳類との間にも広くて大きな隔たりを作っています。“哺乳”という名称そのものが一つの大きな相違を明示しています。すなわち,生きた形で生まれる子どもに乳を与えるための乳腺の存在です。テオドシウス・ドブジャンスキーは,これらの乳腺は「汗腺が変化してできたものかもしれない」としています。13 しかし,爬虫類は汗腺を持ってさえいません。さらに,汗腺は老廃物を出すのであって,滋養物を分泌するところではありません。また,爬虫類の子どもと違い,哺乳類の子どもは,自分の母親から乳を吸うための本能と筋肉とを備えています。

23,24 哺乳類は爬虫類にないほかのどんな特色を備えていますか。

23 哺乳類は爬虫類には見られないさらにほかの特色を備えています。哺乳類動物の母親は,生まれる前の子どもを養って成長させるための,高度に複雑化した胎盤を持っています。爬虫類にそれはありません。爬虫類に横隔膜はありませんが,哺乳類は胸腔と腹腔とを隔てる横隔膜を持っています。哺乳類の耳の中にあるコルティ器官は爬虫類の耳の中には見られません。この小さいながら複雑な器官は2万個の柱状体と3万本の神経終末を備えています。哺乳類は体温を一定に保ちますが,爬虫類はこれを行ないません。

24 また,哺乳類は耳の中に3個の骨を持っているのに対し,爬虫類は一つしか持っていません。これら「余分の」二つはどこから来たのでしょうか。進化論はそれをこのように説明しようとしています: 爬虫類は下あごに少なくとも四つの骨を持っているのに対し,哺乳類は一つしか持っていない;だから,爬虫類が哺乳類になった時,骨の組み替えがあったに違いない;爬虫類の下あごの骨の幾つかが哺乳類の中耳に移ってそこの骨は三つになり,その過程で哺乳類の下あごにはただ一つの骨が残った。しかし,このような推論に伴う難問は,それを裏付ける化石の証拠は何もない,という点です。それはただ希望的な憶測にすぎません。

25 爬虫類と哺乳類との間にはさらにどんな相違がありますか。

25 骨に関連したもう一つの難問があります。爬虫類の脚部は体の横側に付いていて,腹部は地面に接するか,あるいは地面の近くに位置しています。しかし,哺乳類の場合,その脚部は体の下側にあって,体を地面から離れた位置に持ち上げています。この相違についてドブジャンスキーはこう注解しました。「この変化は小さな事に思えるかもしれないが,骨格と筋肉系の大幅な変化を必要とした」。ドブジャンスキーは爬虫類と哺乳類との間の別の大きな相違についてもこのように認めました。「哺乳類は非常に精巧な歯を作り上げた。爬虫類のへらに似た簡単な歯とは異なり,哺乳類には,食物をはさんだり,つかんだり,突き刺したり,断ち切ったり,打ち砕いたり,すりつぶしたりするのに適応した様々な形の歯がある」。14

26 進化論にしたがえば,老廃物の排出に関してどんな逆の事が起きなければなりませんか。

26 最後にもう一つの点ですが,想定されている両生類から爬虫類への進化の際,排出される老廃物は尿素から尿酸に変化した,という点が注目されました。しかし,爬虫類が哺乳類になった時にはその逆のことが起きました。哺乳類は両生類の方式に戻り,老廃物を尿素として排出します。事実上,進化が逆行したのであり,理論的には起こらないとされている事柄です。

すべての中で最大の隔たり

27 一進化論者はどんなことを「悲劇的な誤り」としましたか。

27 生体的な特徴で言えば,人間は哺乳類の一般的定義にかなっています。しかし,一進化論者はこう述べました。「人間を『単なる動物』と見るほど悲劇的な誤りはない。人間は特異な存在である。人間は,ことば,伝統,文化,また成長と親による世話のための期間が非常に長いことなど,多くの特性において他のすべての動物と異なっている」。15

28 人間の脳は人間と動物をどのように異ならせていますか。

28 人間を地上の他のすべての生き物と大きく異ならせているものはその脳です。人間の脳の約1,000億個の神経単位<ニューロン>に蓄えられる情報の量は2,000万巻もの書物を満たすほどのものとなるでしょう。抽象的思考と言語の能力は人間をいかなる動物とも大きく異ならせており,また蓄積する知識を記録する能力は人間の最も注目すべき特性の一つです。こうした知識を用いることによって人間は地上の他の生物をはるかにしのぐようになり,月に行って戻って来ることまで成し遂げました。確かに,一科学者が述べたとおり,人間の脳は「異なっており,既知の宇宙のいかなるものと比べても計り知れないほど複雑化して」います。16

29 どんな事実は人間と動物との間の隔たりの最大のものとなっていますか。

29 人間と動物との間の隔たりをとりわけ大きくしている別の特色は,人間の持つ道徳的また霊的な価値観であり,それは愛,公正,知恵,力,憐れみなどの特質から来ています。このことは,人間は『神の像,また神と似た様に』造られたと述べる創世記のことばの中にも示唆されています。そして,これが,人間と動物との間のあらゆる隔たりの中で最大の点です。―創世記 1:26

30 化石の記録は実際には何と述べていますか。

30 こうして,生物の主要な部門と部門との間には非常に大きな相違が存在します。多くの新しい構造,あらかじめ組み込まれた種々の本能や特性がそれらを相互に隔てています。それらが方向付けのない偶然の出来事によって生じてきた,と考えるのは道理にかなったことでしょうか。既に見たとおり,化石の証拠はそのような見方を裏付けてはいません。それらの隔たりを埋める化石は見いだされません。ホイルとウィックラマシンゲの次のことばのとおりです。「中間的形態のものは化石の記録の中に欠けている。わたしたちは今その理由を理解できる。中間的形態のものは元々存在しなかったのである」。17 聞くために開かれた耳を持つ人々に対して,化石の記録は,「特別の創造が行なわれた」と告げているのです。

[研究用の質問]

[72ページの拡大文]

魚類の化石で,両生類の骨盤がどのように発達したかを示しているものはない

[81ページの拡大文]

「人間を『単なる動物』と見るほど悲劇的な誤りはない」

[73ページの囲み記事/図版]

生物の主要なグループ相互の間をつなぐ鎖環はない。一科学者はこう述べた。「すべての重要な箇所で化石はいつでも欠けている」

[図版]

それぞれ「その種類にしたがって」繁殖する

魚類

両生類

爬虫類

鳥類

哺乳類

人間

[76ページの囲み記事/図版]

進化論者たちは言う: 「羽毛を[爬虫類の]うろこの変様したものと見るのにそれほど無理な想像はいらない」。事実はそうではない

[図版]

オウム

フウチョウ

クジャク

[図]

羽軸

羽枝

細毛

小羽枝

[71ページの図版]

「魚類は化石の記録の中へにわかに飛び込んできており,どこから来たとも思えない」

[72ページの図版]

魚類の背骨とカエルの背骨は非常に異なっている

[75ページの図版]

鳥類は「不満足なことながら,絶対的な創造の特色をことごとく」備えている

[78ページの図版]

ワシの目は望遠鏡のように機能し,アメリカムシクイの目は拡大鏡のような作用をする

[79ページの図版]

アルカエオプテリクスは,爬虫類と鳥類との間をつなぐ鎖環ではない

[80ページの図版]

哺乳類の子どもは,親と同じ形で生まれ,母親から乳を得る

[82ページの図版]

「中間的形態のものは化石の記録の中に欠けている。……中間的形態のものは元々存在しなかったのである」

魚類

両生類

爬虫類

鳥類

哺乳類

人間

[74ページの図版/図]

両生類のゼリー状の卵に殻はない

爬虫類の卵には保護の殻がある

[図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

殻で包まれた卵の断面

卵白

漿膜

卵黄

羊膜

尿膜

気室

卵膜