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目に見えない霊たち ― 人を助けるものですか,それとも害をもたらすものですか

目に見えない霊たち ― 人を助けるものですか,それとも害をもたらすものですか

目に見えない霊たち ― 人を助けるものですか,それとも害をもたらすものですか

1,2 (イ)落雷などによって起きる災いをある人たちはどのように考えますか。(ロ)多くの人は死者に関してどんなことを信じていますか。

暗雲が立ちこめ,雷鳴がとどろき,大粒の雨がたたきつけるように降って来ました。小さな家の中には家族七人が集まり,先祖が自分たちを守ってくれるようにと願っています。突然,すさまじい音とともに雷が落ち,その家は火事になります。命が助かったのは家族のうちわずか二人だけでした。その二人は現在,「自分たちの家があった村はのろわれていて,呪術師が一家全員を殺そうとしているのだと考え村にとどまることを恐れて」います。

2 これは1977年1月28日付のタイムズ・オブ・スワジランド紙に報道されたものです。この家族は雲の中に電気が発生すると稲光が起こることはたぶん知っていたでしょう。ところが同報道によれば,その家族はまた,敵が目に見えない霊たちを用いて特定の場所に落雷させ得ること,そして必要なときには先祖が守ってくれることを信じていました。

3 多くの人は,事故,病気その他の問題の原因が何であると信じていますか。

3 さてアフリカのある都市の占い師つまり“まじない師”の家をのぞいてみましょう。そこには病気の幼児をかかえた母親がいます。その子供が熱を出しおなかの具合を悪くしたとき母親はさっそく子供を町の病院へ連れて行きました。何週間も通院し,病院で処方された薬を飲ませても子供の病状は一向によくなりません。がっかりした母親は子供の病気が治ることを願いながらこのまじない師のもとに来ました。ここにいるのはその母親だけではありません。一人の青年は就職問題を解決するためにある“魔力”を求めてやって来ました。長旅の支度をしている一人の年配の男の人は旅に持っていく“お守り”をもらったところです。この人たちはむろん,病気の原因は細菌に,失業の原因は経済不況に,交通事故の原因は飲酒運転や欠陥車にあることを知っています。しかし同時に,目に見えない霊たちがそうした災厄を引き起こしたり,それから守ってくれたりすること,そしてまじない師は目に見えない霊たちから力を受けていることをも信じています。

4,5 世界各地の大勢の人の生活の中で心霊術はなぜ,またどのように非常に大きな役割を果たしていますか。

4 アフリカ,太平洋の多くの島々,アジア,南米の一部その他世界の方々で大勢の人が同様の事柄を信じています。それらの人は,有益なことにしろ有害なことにしろそのような目に見えない霊たちが自分たちに行なう事柄を気にしながら毎日生活しています。死とは生命の終わりではなく,霊が肉体から解放されることであると信じています。その人たちにとって死は,霊が次の生命つまり“霊界”へ移る瞬間にすぎません。

5 このようなことは田舎つまり部族共同社会の人々や教育のない人々だけではなく,大都市に住む多くの教育のある人々の間でも信じられています。伝統的な部族宗教の帰依者とともに,キリスト教世界の諸教会と回教の諸宗派の多くの信者は,人生のさまざまな出来事が目に見えない霊たちに支配されている「つまりそれに関係していると信じています。そして家族のだれかが重病にかかるとか急死するとかいった不幸に遭うと占い師やまじない師に相談します。占い師は先祖の霊を怒らせたかどうか,敵からのろいをかけられているかどうかを質問者に告げる手段として“魔法の骨”を投げたり,そのほかの方法を用いたりします。身に着ける魔よけや保護となる薬を与えることもあります。目に見えない霊たちをなだめるためにやぎや羊やにわとりがほふられることも珍しくありません。

6 非常に多くの人が霊媒に相談する理由をいくつかあげなさい。

6 世界中の人々はさまざまなことを霊媒やまじない師に相談します。例えば,家内安全,生まれた子供の保護,不妊の解消や流産の防止,どろぼうの発見,友だちを作ること,恋愛や商売の成功,狩猟,学校の試験,はてはスポーツで良い成績を収めることなどです。フットボールのチームは勝てるようにまじない師を雇っています。失業してまじない師に相談すると,次の雇用者との面接のときにまゆ毛にぬる薬とか舌の下に入れる根とかをくれます。農業地帯では種まきのときや雨ごいのときに特別な儀式が行なわれます。多くの人々の間では,人が死ぬと部族もしくは地域がこぞって独自の儀式やしきたりを守ります。しかし,どんな場合であれそうするのはほとんど例外なく,目に見えない霊たちの怒りをなだめるか,その助けを求めるかするためです。関連が必ずしもはっきりしているわけではありませんが,子供の誕生,割礼,入会式,結婚,狩猟,畜産,土地の所有,死などにまつわる数々の伝統的な儀式と慣行は,直接間接に悪霊崇拝と結び付いています。

7 今どんな疑問が生じますか。人間の答えだけではどうして不十分ですか。

7 超人間的な力を持つ目に見えない霊たちは実際に存在するのでしょうか。その存在を示す確かな証拠があります。ではそれら目に見えない霊たちと交信しようとしたり助けを求めたりすることはわたしたちの益になるでしょうか,それとも害になるでしょうか。目に見えない霊たちとは先祖の霊ですか。例えば,死んだ親族が生きている人を実際に助けたり保護したり助言したりできるでしょうか。もし目に見えない霊たちの助けを求めることが有益なら,悪霊崇拝に深く関係している人々の間で貪欲,欺き,不道徳そして殺人さえ見られることがしばしば報じられるのはなぜでしょうか。非常に多くの異なる,しかも互いに矛盾した考えや慣行や見解が存在するのはなぜでしょうか。正しい答えをどこに求めたらよいのでしょうか。

正しい答えをどのように見いだせるか

8 創造者は“手紙”を集めたどんなものを備えられましたか。それはなぜですか。

8 霊の勢力についての見方がどんなものであれ,多くの人々は,あらゆる生命の源,とこしえの創造者なる方が存在するに違いないと考えます。最初の生命の授与者であられるその方は,全人類の偉大な父と言われるにふさわしい方です。では次のことを考えてください。あなたが一家の父親で,子供たちから遠く離れていなければならないとしたら,子供たちに時折手紙を書こうとしないでしょうか。良い父親はそうします。そして子供たちに自分の近況を知らせたり,愛ある助言を与えたりします。人類は創造者でありみ父である方からそうした手紙をもらっているでしょうか。確かにもらっています。“66通の手紙”を集めたもの,すなわち創造者が霊感を与えて書かせた書物があります。それにはわたしたちすべてにとって重要な情報と助言が収められています。霊感を受けた書物を集大成したもの,それは聖書です。

9 聖書が一人種または一国民のための本でないことはどんなことからわかりますか。

9 聖書は西欧の人々によってではなく,中東すなわちアジアの人々によって書かれました。しかし聖書はあらゆる土地のすべての人のための本です。聖書は地理的に,人種的に,あるいは黄,黒,茶,白といった皮膚の色で人々を差別してはいません。聖書には霊感を受けた使徒ペテロの次の言葉が出ています。「わたしは,神が不公平なかたではなく,どの国民でも,神を恐れ,義を行なう人は神に受け入れられるのだということがはっきりわかります」― 使徒 10:34,35

10 聖書はどんな点ではっきり異なる,比類のない本ですか。

10 今までに書かれた無数の書物の中で,聖書ほど人類史を古くまでさかのぼる本はほかに見当たりません。3,500年ほど前(西暦前1513年)からモーセを初めとしておよそ40人の人々により書き記されましたが,それにもかかわらず66冊からなる聖書全巻には驚くべき調和が見られます。聖書全巻もしくはその一部は1,600以上の言語で幾十億冊も配布されています。事実,印刷されて本になっているのは聖書だけ,という言語もいくつかあります。さらに重要なこととして,人間の起源,人間が現在抱えている問題の存在理由,人間の将来についてはっきり説明している本は世界中で聖書だけです。聖書は確かに比類のない本です。

11 創造者のお名前は何ですか。創造者の特質をいくつかあげなさい。

11 聖書はエホバという天地の創造者のお名前を明らかにしています。その名前にはヘブライ語で「彼はならせる」という意味があります。その方について詩篇 83篇18節(新)はこう述べています。「それにより人々が知るようになるためです,その名をエホバという,ただあなたのみが,全地を治める至高者であることを」。エホバは「偽ることのできない」神である,とテトス 1章2節は述べています。ですからエホバは信頼できる方です。エホバはうそをつくことも,欺くことも,だますこともなさいません。また,詩篇 86篇15節(新)はエホバについてこう述べています。「しかしあなたは,ああエホバよ,あわれみと慈しみの深い神,怒ること遅く,愛の親切と真実に満ちあふれています」。どうしてそのことを確信できますか。その方の本,聖書が真理の本であるとどうして確信できるでしょうか。

聖書預言の真実さが証明される

12 (イ)聖書の内容が真実であるということを示すどんな証拠がありますか。(ロ)イエス・キリストに関する預言で,それが書かれてから数百年後に成就した預言をいくつかあげなさい。

12 すでに成就した預言が幾百も聖書中に収められていることは聖書が真実であることの強力な証拠となっています。預言とは将来起こる事柄を予告することです。例えば,熟達した教え手であられたイエス・キリストに関する預言は数多くあります。それらすべてはイエスが生まれる幾百年も前に預言されたものですが,一つ残らず真実であることが証明されています。預言者イザヤはイエスが処女から生まれることを予告しました。(イザヤ 7:14)700年余り後にその預言は成就しました。(マタイ 1:23ミカ書 5章2節はイエスがベツレヘムで生まれることを予告しました。ゼカリヤ書 11章12節はイエスが銀30枚で裏切られると告げました。詩篇 22篇16節から18節の預言によれば,イエスの両手両足は傷つけられ,その衣服はくじ引きにされることになっていました。苦しみの杭の上でイエスが苦痛のあまり叫ぶ言葉さえ詩篇 22篇1節で予告されていました。これらすべての預言や他の多くの預言は,目撃証人の記録が示すとおり成就しました。―マタイ 2:1-6; 26:14,15。ヨハネ 20:25。マタイ 27:35,46

13 古代の預言で今日成就しているものをあげなさい。

13 これは聖書が真理の本であることの強力な証拠とならないでしょうか。しかし,ある方は「それはそうですが,それらはみな大昔に起きたことです」と言われるかもしれません。確かにそのとおりです。しかし今日でさえわたしたちの目の前で多くの聖書預言が成就しているのです。1914年以来広範囲に及ぶ食糧不足や病気とともに人類史上最大規模の戦争や殺りくがありましたが,それは啓示 6章1節から8節に象徴的な言葉で描かれているとおりです。多くの世界指導者は人類の間で着実に増えている無数の問題を解決する方法がわからないことを認めています。こうした事柄は大きな不安の原因となります。聖書は正に次のように予告しています。「逃げ道を知らない諸国民の苦もん……人びとは,人の住む地に臨もうとする事がらへの恐れと予想から気を失います」― ルカ 21:25,26。テモテ第二 3:1-5もお読みください。 *

14 聖書はわたしたちのどんな疑問に真実の答えを与えていますか。

14 では目に見えない霊たちについて聖書は何と述べていますか。その者たちは何者で,どこからやって来ましたか。人間を助けたり害したりするその者たちの能力については何と言えるでしょうか。そして正常な人間ならだれしも願う幸福で平和で安全な生活を楽しむために何をする必要があるでしょうか。

霊の領域に住んでいるのはだれか

15,16 (イ)エホバ神のほかにも霊者がいますか。(ロ)霊者にしろ人間にしろ,すべての生存者はだれから命を受けていますか。

15 聖書は,地上に住む人間以外にも知性を持つ生物が宇宙に存在することを示しています。そして,地球の大気を呼吸し水を飲み食物を食べて生きる生物の肉の領域があるのと同様に,生命を支える地上の糧に依存しない霊の領域もあることを明らかにしています。また聖書によれば,その霊の領域の主要な方は創造者ご自身つまりエホバ神です。その方についてイエスは「神は霊であられるので,神を崇拝する者も霊と真理をもって崇拝しなければならない」と言われました。―ヨハネ 4:24

16 地上には現在およそ40億人の人が住んでいます。聖書によれば,霊の領域には創造者のほかに,み使いと呼ばれる億を数える霊たちがいます。(ダニエル 7:9,10。啓示 5:11)それらすべてのみ使いは天地の創造者から生命を与えられ,最初の人間が創造されるはるか以前に存在するようになりました。まさに啓示 4章11節の言葉のとおりです。「エホバ,わたしたちの神よ,あなたは栄光と誉れと力を受けるにふさわしいかたです。あなたはすべてのものを創造し,あなたのご意志によってすべてのものは存在し,創造されたからです」。人間であろうと霊者であろうと,創造者であられるエホバ神に命を負っていない者は一人もいません。

17 (イ)神に最初に反逆したのはだれですか。(ロ)ほかにだれがその者の反逆に加わりましたか。

17 聖書の歴史的な記録によれば,神が息子と娘ともいうべき最初の人間男女をエデンで創造された後,虚栄心と野心にかられたある強力なみ使いが神に反逆しました。その者は欺まんを用い利己心に訴えて最初の人間男女を反逆に加わらせることに成功しました。そのみ使いは創造者であるエホバの敵となったのでサタンと呼ばれています。それはヘブライ語で“反抗者”もしくは“敵対者”という意味です。(創世 3:1-13。啓示 12:9)後にサタンは神の他の天的な子たちつまりみ使いたちをいざなって同様の反逆の道をたどらせました。

18 (イ)それら霊の被造物はいつ反逆しましたか。(ロ)その者たちはどうして神の奉仕を離れましたか。

18 使徒ペテロはそれらの霊者たちのことを「ノアの日に神がしんぼうして待っておられた時に不従順であった者たち」と述べています。(ペテロ第一 3:19,20)聖書が述べる歴史によれば,彼らの反逆には性の魅力が関係していました。性の魅力に引かれたそれら霊の子たちは,地上にやって来て人間の形を取り,こうして神から割り当てられた奉仕の立場を離れたのです。洪水前のノアの時代について創世記 6章2節(新)にはこう書かれています。「その時,真の神の子たちが,人の娘たちに,それらが器量の良いのに目を留めるようになった。そして彼らは,自分たちのために妻を,すべて自分の選ぶ者をめとるようになった」。

19 大洪水が来たとき,それら反逆したみ使いたちはどうなりましたか。

19 エホバ神はそのことがいつまでも続くことを許されませんでした。世界的な洪水を引き起こして堕落した人類をぬぐい去り,ご自分の忠実なしもべたちだけを生き残らせました。したがって不従順な霊の子たちは非物質化する,つまり人間の形を捨てて霊の領域にもどらねばなりませんでした。その後彼らは悪霊もしくは邪悪な霊たちと言われています。神はその者たちが再び人間の形を取るのを許さず,彼らをいやしめられ有罪宣告を受けた状態にとどめられましたが,そのことをユダ書の6節はこう述べています。「自分本来の立場を保たず,そのあるべき居どころを捨てた使いたちを,神は大いなる日の裁きのために,とこしえのなわめをもって濃密なやみのもとに留め置いておられます」。

20 (イ)この世の「神」とはだれですか。(ロ)その者はどれほど大きな権力を持っていますか。

20 その時以来,邪悪な霊たちつまり悪霊の助けもあって,サタンはこの世とこの世の腐敗した体制の「神」となってきました。そのことに驚かれるかもしれません。しかしヨハネ 14章30節コリント第二 4章4節をお読みください。神の言葉が「世の支配者」とか「この事物の体制の神」と言っているのはエホバ神のことではなくサタン悪魔のことであることがおわかりになるでしょう。使徒ヨハネは『全世界は邪悪な者の配下にある』と書き,サタンが「人の住む全地を惑わしている」と述べています。―ヨハネ第一 5:19。啓示 12:9

21 神の言葉の正確な知識はどれほど大切ですか。

21 ですから聖書は,み使いたちのような良い霊たちだけでなく悪霊すなわち悪い霊たちもいることを教えています。こうした事実を知ることは非常に大切です。なぜならそれは,わたしたちおよび日常生活の出来事と,目に見えない霊たちとの関係を理解するためのとびらを開くかぎだからです。神の言葉の正確な知識が,以下に述べる幾つかの重要な問いの答えを見いだすうえでどのように役立つかを調べましょう。

霊界からの音信はどこから来るか

22 ブラジルの一少女は霊界からの音信を聞いてどんな経験をしましたか。

22 世界の様々な土地で多くの人は霊界から音信があると信じています。ブラジルの一少女は,そうした音信を受け取ったと言う多くの人々の典型的な例です。ある日その少女は“声”を聞くようになりました。少女は霊媒に助けを求めました。それから数年の間,突然目の前に黒い人影を見てこうこつ状態に陥ることがしばしばありました。そのこうこつ状態で少女は病気の治療法を指示し,超人間的な力の攻撃を受けている人を救うための手段を講じました。

23 (イ)ある人は自分の病気をどのように治そうとしますか。(ロ)それらの音信の源は何であるとその人々は信じていますか。

23 多くの場合病気の人は病を治す物をもらうために霊媒,まじない師あるいは心霊治療師のところへ行きます。霊媒はその人に,家に帰って翌朝もう一度来るようにと告げます。その晩,病人は夢の中でお告げを受け,どんな植物の根が病気に効くか,その根はどこにあるかを教えられます。そのお告げは死んでいる親族,たぶん病人が夢の中で実際に会っているらしいその人の祖母からのものとされています。

24 人々は死者に関してどんな様々な考えを持っていますか。

24 そうした音信を信じる人はまた先祖が霊界で生きていて,地上で生きている人々を助けたり害したりできると信じています。キリスト教世界の教会員は,ふつう,人が死ぬといわゆる不滅の魂は天国か地獄に行くと信じています。あるいはローマ・カトリックの信者であれば,魂は天国へ行く前に煉獄と呼ばれるところへ行くことがあると信じています。死は終わりで死後に生命は存在しないと信じる人々も少数ながらいます。死者に関する人間のさまざまな考えは明らかに矛盾しています。では,あらゆる生命を創造された全能の霊者であられるエホバ神がその点についてなんと述べておられるかを考慮してみてはどうでしょうか。

魂は不滅か

25 どうすれば「神の真実さが知られるように」することができますか。(テモテ第二 3章16節もご覧ください)

25 魂は不滅であって決して死なないという広く一般に信じられている事柄をまず調べてみましょう。あなたもそのことを信じておられますか。どのようにしてそのことを確かめられますか。魂を創造された方は知っておられるに違いありません。その方は霊の領域に住まわれる,全能の霊者,エホバ神だからです。聖書は「すべての人が偽り者であったとしても,神の真実さが知られるように」と述べています。(ローマ 3:4)あなたは人間の言葉よりも神の言葉を進んで受け入れるでしょうか。聖書は何を明らかにしていますか。

26 (イ)“不滅の魂”という表現は聖書中に何回出ていますか。(ロ)人間以外にどんな生き物は魂と呼ばれていますか。

26 聖書を最初から最後まで読むと,聖書が魂について述べている事柄が大勢の人々の信じている事柄とずいぶん異なっていることを知って驚かれるでしょう。まず第一に,“不滅の魂”という表現は聖書のどこを見ても,一度も出て来ません。一方,いろいろな箇所で魚や鳥や動物がいずれも「魂」と言われていることに気づかれるでしょう。―創世 1:20,21,24,30。民数 31:28,新。

27 魂が滅ぼされることはありますか。エゼキエル 18章4節と20節はそのことをどのように示していますか。

27 民数紀略 23章10節,ルカ 6章9節,使徒 3章23節その他多くの聖句に「魂」が『滅び』得ると書かれているのを知れば,なおさら驚かれるでしょう。エゼキエルの預言の中でエホバ神は,「罪を犯している魂 ― そのものは死ぬ」とはっきり語っておられます。(エゼキエル 18:4,20,新)魂は死ぬ以上,不滅であるはずがありません。

28 (イ)聖書は不滅性について何と述べていますか。(ロ)どんな一般の考えは聖書による裏づけがありませんか。

28 大抵の人は人間が生まれつき不滅性を持っていると考えていますが,聖書の教えはそのようなものではありません。エホバ神の全被造物の中で復活したイエス・キリストだけが『ただひとり不滅性を持たれる』と述べています。(テモテ第一 6:16)また,コリント第一 15章50節から54節によれば,エホバへの忠実さの報いとして神のあるしもべたちは不滅性を与えられます。ですから,どの人も不滅の魂を持って生まれるという一般の考えを裏づけている箇所は神の言葉の中に一つもありません。ではわたしたちは創造者の言葉と人間の言葉のどちらに信頼を置きますか。全能の霊者であられるエホバ神こそわたしたちの信頼を受けるに値する方です。人間は偽りを言うことがありますが,真理の神はそのようなことがありません。

人は死ぬとどうなるか

29 記録に残っている最初のうそはどのようなものでしたか。だれがそのうそをつきましたか。

29 わたしたちの先祖は死んでどうなったのでしょうか。わたしたちは死ぬとどうなりますか。わたしたちの最初の先祖つまり最初の人間男女であるアダムとエバはどうなったか調べてみましょう。二人は完全だったので,神に従順であるかぎり永遠に生きられたはずです。しかし神は,不従順になるなら悲惨な結果になることを二人に警告して,「あなたは必ず死ぬ」と言われました。(創世 2:17,新)その後,大敵対者で欺まん者のサタンがエバに近づき,記録に残る最初のうそをつきました。エバを欺き,エバと夫のアダムを共に神から引き離そうとして,サタンはへびを代弁者に使い,「あなたがたは決して死にません」と言いました。―創世 3:4,新。

30 最初の人間夫婦は死んでどうなりましたか。

30 神とサタンとどちらが正しかったでしょうか。アダムが今なお地上のどこかで生きているのを見ることができるでしょうか。むろんそのようなことはありません。神の言葉どおりアダムは死にました。(創世 5:5)最初の人間男女が死んだとき,神が二人にはっきりと告げておられたとおりのことが起きました。こう告げられたのです。『あなたは地面に戻るであろう。あなたはそれから取られたからである。あなたは塵だから塵に戻る』。(創世 3:19,新)神は二人が天国または地獄,あるいは霊界へ行くなどとはひとことも言われませんでした。

31 聖書は死者の状態について何と述べていますか。

31 死者の本当の状態に関し,神の言葉は『死者は,何事に関しても全く意識がない』と述べています。(伝道 9:5,新)死者は生きている人に愛情とか憎しみを表わせるでしょうか。この点についても聖書は次のように答えています。『彼らの愛も憎しみもねたみもすでに滅びてしまっている……シェオール[墓を意味するヘブライ語で死者が行く場所]には,業も企ても知識も知恵もないからである』。(伝道 9:6,10,新)詩篇 146篇4節(新)はそのことを確証し,人間は「自らの地に帰る。その日に彼のもろもろの考えは滅びるのである」と述べています。さらに詩篇 115篇17節(新)も「死者その者たちは,ヤハ[エホバ]を賛美しない。また,沈黙に下って行く者も」と述べています。

32 (イ)聖書は死を何になぞらえていますか。(ロ)死者は生きている人を助けたり,あるいは害したりすることができますか。

32 ですから,聖書の中で死の状態が眠りにたとえられている場合が少なくありません。使徒 13章36節はダビデ王が死んだことを『眠りについた』と述べています。テサロニケ第一 4章13,14節は死んでいるクリスチャンのことを「眠っている者たち」と呼んでいます。死んだラザロを復活させるために出かける際,イエスもラザロに関して同様の表現をお用いになり,「わたしは彼を眠りから覚ましにそこへ行きます」と言われました。(ヨハネ 11:11-14。ダニエル 12:13)したがって死者を恐れたり死者の怒りをなだめようとしたり,どうにかして死者の好意を得ようとしたりする必要が全くない理由がおわかりでしょう。神の言葉の示すところによると,死者は死んでいて無意識であり口をきくことはなく,生きている人と交信したり感情や行ないを表現したりすることはできません。死者は生きている人を助けることも害することもできないのです。

復活

33 (イ)ラザロは驚くべきどんな経験をしましたか。(ロ)ラザロは四日間どこにいましたか。

33 ラザロのその驚くべき経験をよく考えてみてください。イエスがラザロの家に着いたときには,死後四日もたっていました。(ヨハネ 11:39)その体はすでに腐り始めていました。それでイエスはいかなるまじない師や信仰治療師もできないことをなさいました。イエスは『大声で叫ばれました,「ラザロよ,さあ,出て来なさい!」死んでいた人は出て来たのです』。(ヨハネ 11:43,44)ラザロはどこから出て来たのでしょうか。“幽霊の世界”からですか。そうではありません。死の眠りにつき無意識の状態で四日間横たえられていた墓の中から出て来たのです。

34 マルコ 5章42節には他のどんな奇跡が記録されていますか。少女の両親はそれをどのように感じましたか。

34 別の折にイエスは12歳の少女を死からよみがえらせました。そのことが起きたとき少女の両親はどんなにか喜んだことでしょう。マルコ 5章42節の記録には「彼らは,狂喜のあまり我を忘れるほどになった」とあります。冷たいむくろになった娘を見,それから間もなく生き返って元気になった娘を抱いたのですから,それは驚嘆すべき経験でした。霊媒もしくはまじない師を通して死んだ愛する人からのものと思われる音信を受け取るよりもそのほうがはるかに勝っていることは言うまでもありません。

35 (イ)一千年の平和な統治期間中にイエスはどんなことを大規模に行なわれますか。(ロ)パウロはそのことをどのように確証していますか。

35 しかしこの事からわたしたちすべてはすばらしい事柄を学べます。イエスが地上におられた際に死者の復活に関して行なわれたことは,今や間近い一千年にわたる平和な統治期間中にイエスが大々的に行なわれる事柄を小規模に表わしていたにすぎないのです。イエスご自身,「記念の墓の中にいる者がみな,彼の声を聞いて出て来る時が来ようとしている」と言われました。(ヨハネ 5:28)そのすばらしい時を描写して啓示 20章13節はこう述べています。「そして,海はその中の死者を出し,死とハデス[墓]もその中の死者を出し,彼らはそれぞれ自分の行ないにしたがって裁かれた」。使徒パウロは次のように言いました。「わたしは神に対して希望を持っています……義者と不義者との復活があるということです」― 使徒 24:15

36 復活に関するすばらしい約束から死者の状態について何がわかりますか。

36 さて,あなたご自身で次の質問に対する答えを考えてみてください。復活に関するこのようなはっきりとした希望は,死者が生きているという考えの間違いを証明してはいないでしょうか。死者が生きていて天国かどこかの霊界にいるなら,復活にはどんな目的があるのでしょうか。復活する必要はないでしょう。神の言葉から明らかなどおり『死とは,霊が次の生命へ移る瞬間にすぎない』という考えはまったくの誤りです。聖書がはっきりと教えているとおり,死者は実際に死んでいて無意識であり,神の新秩序における復活によって目ざめさせられる時まで眠っているのです。

37 ここでどんな質問に答える必要がありますか。

37 しかし,『もしそれが本当なら,これまでに霊が見える様で現われたとか音信があったとかいう話をどう説明できるのか』と言う方があるかもしれません。今日でも世界中の実に多くの人々は霊媒,まじない師,夢その他の方法で霊界との接触を経験しています。死者は無意識で生きている人と交信できない以上,そうした音信はだれから来るのでしょうか。

霊界からの音信の真の源

38 (イ)霊界にはだれが住んでいますか。(ロ)今日神はどのようにわたしたちに意思を伝達されますか。

38 だれが霊界に住んでいるかということはすでに学びました。全能の霊者であるエホバ神とその忠実なみ使いたちのほかに,神の敵対者であるサタンと不忠実なみ使いつまり悪霊からなるサタンの軍勢がいます。神が音信を伝える方法やわたしたちに意思を伝達する方法はすでに学びました。神が昔の忠実な人々に伝達され,わたしたちの導きとして今日まで保存された霊感による言葉,聖書を通して神の音信は伝えられるのです。

39 (イ)死者から来ているように見える音信の真の源は何ですか。(ロ)「偽りの父」とはだれですか。

39 ではそれ以外の音信はどこから来るのでしょうか。死んでいる先祖から来るのでなく,神の敵対者とその悪霊たちから来ると言えないでしょうか。それら邪悪なみ使いたちが死者を装う,つまり死者のふりをして人々をだますのは難しいことと思われますか。サタンは死に関して最初の人間夫婦をだまそうとしたのですから,サタンが邪悪なみ使いたちに死者を装わせたのは自分の偽りの教えを裏付けようとする巧妙な方法とは言えないでしょうか。そのとおりです。聖書がサタンを「偽り者であり,偽りの父」と呼んでいることを思えばなおさらそうです。―ヨハネ 8:44

40 (イ)コリント第二 11章14節と15節からどんな結論を引き出せますか。(ロ)テモテ第一 4章1節によれば,欺まん行為の主謀者はだれですか。

40 「では,霊媒やまじない師によって病気がいやされる場合のように,それらの音信の中には良いものや助けになるものがあるのはなぜか」と言われるかもしれません。神は使徒パウロに霊感を与え,その質問に対する非常に簡潔な答えをこう述べさせておられます。「そのことで驚くことは何もありません。サタンも光の天使に偽装するからです。したがって,彼の手先たちが良い代理人に偽装するのは簡単なことです」。(コリント第二 11:14,15,新英訳聖書)人々をいっそう容易に欺き誤導するため悪霊がしばしば人助けの役を演じることは明らかです。パウロはそのような欺まん行為についてさらに警告し次のように語っています。『ある者たちは信仰から離れ去り,人を惑わす霊感のことばや悪霊の教えに気を奪われるようになります』― テモテ第一 4:1

41 霊界からの音信が良い源から発せられているなら,どんなことを期待できますか。

41 霊たちからの音信が本当に良い源から出たのであれば,そのすべては良いものではないでしょうか。キリスト・イエスはこう語られました。「あなたがたは木をりっぱにしてその実もりっぱにするか,あるいは木を腐らせてその実も腐らせるかのいずれかにしなさい。木はその実によって知られるのです」。(マタイ 12:33)霊たちとの交信に関連してしばしば見られるのはどんな「実」でしょうか。

42 (イ)リスボンの一未亡人の経験は,霊界からの音信の源を知る必要のあることをどのように例証していますか。(ロ)偉大なる霊者であられるエホバ神は脅迫して人々を支配されますか。

42 ポルトガルのリスボンに住む一未亡人の例を考えてみましょう。その婦人は目に見えない霊たちとの交信に関する本を読み,フランス語で著述する方法を教えてくれる声を聞くようになりました。婦人はそれを喜び,その音信を受け続けました。ところがその後,婦人は夜中に部屋で恐ろしい音を聞くようになりました。また目に見えない力が自分を階段から突き落とそうとするのを感じることさえありました。初め良さそうに見えたものが今度は恐怖のもとになりました。あなたも,同様の経験をした人々のことをきっと聞いたことがおありでしょう。必死に助けを求めねばならないほど問題が深刻化した経験を聞いたことがおありかもしれません。ところで偉大な霊者であるエホバ神は人々をそのように扱われるでしょうか。神は愛であられ,わたしたちが神を愛することを望んでおられる,と聖書は述べています。(ヨハネ第一 4:8)またヨハネ第一 4章18節にはこう書かれています。「愛には恐れがなく,完全な愛は恐れを外に追いやります。……恐れのもとにある者は愛の点で完全にされていません」。そのわけで,わたしたちははばかりのない言葉をもってエホバ神に近づくことができるのです。

43 他の人々に対してどのような態度を取るべきであるとエホバはわたしたちに教えておられますか。そのことからどんな疑問が起きますか。

43 偉大な霊者であるわたしたちの創造者は愛であられるゆえに,わたしたちにとって最善の益になることを心に留めておられます。そして無私の気持ちを持つこと,ご自分がわたしたちに示してくださったのと同様の愛を他の人々に示すことを教えておられます。しかし心霊術を行なう人々にしばしば見られるのはどんなことですか。

金銭に対する愛

44 イエスとその弟子たちが示した精神とは反対に,まじない師や霊媒は金銭への愛をどのように表わしますか。

44 まじない師とか霊媒が無料で人々の相談に乗るという話はあまり聞かないのではないでしょうか。イエスはご自分の弟子たちに「あなたがたはただで受けたのです,ただで与えなさい」と言われました。(マタイ 10:7,8)心霊術者はそのようにしていますか。アフリカ南部のある国でまじない師もしくは信仰治療師は,ある家に呼ばれると,灰,薬草そして水の混合物をその家の周囲にふりかけます。また入口の戸に十字記号を幾つか記すこともあり,混合物を家族に“接種”することさえあります。親切な気持ちからそのことは無料で行なわれるでしょうか。いいえ,それどころか,目に見えない霊たちの危害から守るとされるそうした事柄を行なったことに対して,まじない師はその家の主人の三,四週間分の賃金に相当する多額の代金を要求します。

45 より多くのお金を得るため,ある地域のまじない師たちはそのほかにどんな手を使いますか。

45 別の地域ではまじない師はある物体を取ってそれに魔術をかける神秘的な儀式をします。その後,だれかが拾うようにそれをわざと歩道に置きます。それを拾った人はたいてい害を受けることを恐れ,まじない師のところへ助けを求めに行きます。しかし助けてもらうには代金を払わねばならないので,まじない師の手にはお金が入ることになります。このようなやり方は正しいと思われますか。

46 フィリピでパウロはどうなりましたか。それはどうしてですか。

46 聖書時代にも心霊術に関係していた者たちは同じ様に貪欲な精神を示しました。フィリピの町にいたとき,使徒パウロは「悪霊につかれた」下女に絶えず悩まされました。ついにパウロが「彼女から出るよう」悪霊に命じると,その霊は下女から離れました。パウロは代金を要求したり受け取ったりすることなく全く無料でそれを行ないました。しかし下女の主人たちは喜ぶどころか腹を立ててパウロを牢屋に入れてしまいました。なぜそうしたのでしょうか。聖書の述べるところによると,下女は占いをして主人たちに「多くの利得」をもたらしていたからです。―使徒 16:16-24

性の不道徳

47,48 どんな不潔な行為は邪悪な霊たちと関係がありますか。

47 エホバの霊の子たちのある者が,性的な魅力に引かれたために神への奉仕を捨て,その結果反逆者になったことはすでに学びました。今日,目に見えない霊たちの崇拝に性の不道徳が関係してはいないでしょうか。土地によっては次のような経験を聞くことは珍しくありません。女性が,寝ていると目に見えない何者かの存在を感じ,その者と性関係を持っているかのように性的に興奮させられるという経験です。

48 世界の他の土地では不妊の女性が,子供を産めるようになるために霊媒を通して目に見えない霊たちに助けを求める場合が少なくありません。ところがその“いやし”の一部としてそうした女性たちが“治療師”と性関係を持つよう要求されることがあります。

49 性の不道徳は大洪水の前に何をもたらしましたか。それは今日何をもたらしますか。

49 あなたはそのようなことが益となり,家族や社会に幸福をもたらすうえで貢献すると思われますか。聖書によれば,洪水前に霊の子たちが反逆して性の不道徳に陥ると,『地は暴虐で満ちるようになりました』。(創世 6:1-11,新)今日でも性の不道徳は口論やけんか,果ては流血騒ぎの原因になりかねません。

殺人と残酷な行為

50 エホバは殺人をどう思われますか。

50 わたしたちはだれしも,殺人者の手にかかって命を失いたいとは思いません。聖書はエホバ神が殺人者を憎まれると教えています。神から与えられた十戒の一つには「殺人をしてはならない」と書いてあります。(出エジプト 20:13,新)心霊術や先祖崇拝の慣行はこの点でどうでしょうか。次の事実を考えてみてください。

51-54 心霊術に関係している殺人の例をあげなさい。

51 どの国でも儀式の一部として人を殺したり人をいけにえにしたりすることは法律で禁じられています。ところがある国々では先祖崇拝者やまじない師の間でそうした残酷な慣行が依然として行なわれています。例えばガーナでは高位のしゅう長が死ぬと,儀式の一部として秘密裏に殺された人々の頭がい骨をその死体といっしょに埋葬する習慣があります。最近では1974年にガーナで最高の権威を持っていたしゅう長の死に関連して二人の人が儀式的な殺人を犯した罪に問われました。そうした慣行は違法であるにもかかわらず,犠牲者の魂がしゅう長のお供をして“幽霊の世界”でしゅう長の身の回りの世話をするという,偽りの教えに基づく信仰ゆえに依然として行なわれているのです。

52 リベリアのリベリアン・エイジ紙は1977年8月9日付で,「儀式上の殺人,調査続く ― 11人の一味を殺人罪で告発」という見出しを掲げました。その記事によれば高官数名を含む11人の男が儀式として一人の男を殺し,残酷にも目,耳,鼻,睾丸,舌を切り取ったかどで告発されました。切り取られたそれらの物は,殺人の罪に問われた者たちにもっと高い地位を得させる“呪物”になるはずだったと伝えられています。

53 ボツワナからは1977年6月8日付で次のようなニュースが報道されています。「一“伝統的医師”[霊媒]は,かつてのボツワナの政治家から,魔法で殺してほしい人物18名のリストを受け取ったことがあると今日証言した」。

54 さらに恐ろしいのは,若者や子供たちが犠牲になっているという事実です。ナイジェリアからはこのような報告が寄せられています。

「今多くのナイジェリア人は,金銭に対する崇拝にかられて,造幣神社でほふるための若者を誘かいするというような野蛮な行為をしている。

「ナイジェリアのまじない師の中に人間の頭を金に変えることのできる者がいるかどうかということは未解決の問題だが,その目的でナイジェリアの子供たちが誘かいされていることは歴然とした事実である」― 1976年12月31日付のデイリー・タイムズ紙。

55 心霊術には“良い”面がある,とある人は言うかもしれませんが,事実は何を示していますか。

55 あなたが正しい事柄を愛される方であれば,上記のような行為について聞くときそれによる苦しみを遺憾に思うだけでなく嫌悪感を抱かれるに違いありません。もちろん,心霊術にも良い面があるという主張をたびたび聞いておられるでしょう。例えば,大抵のまじない師は良い目的のためだけに魔法や呪物を用いるし,“まじないをかける”と唱えます。しかし彼らをよく観察している人ならだれでも,まじない師たちは他の人をのろうためにほとんどためらいなくその同じものを用いているのを認めないわけにはいきません。しかもその代償として金品を受け取る場合が少なくないのです。

56,57 (イ)このことを注意深く考慮しなければならないのはなぜですか。(ロ)このことに関する真理はどこで得られますか。

56 このことは十分考慮する必要があります。一見良さそうに見える物質化現象や音信や夢のことを耳にされるかもしれませんが,霊感による神の言葉は,サタンと悪霊たちが「あらゆる強力な業と偽りのしるしと異兆を伴い,また,滅びゆく者たちに対するあらゆる不義の欺きを伴って」働いていると警告しています。―テサロニケ第二 2:9,10

57 ではこうした事柄を念頭に置いて,霊媒と魔法を行なう司祭もしくはまじない師に関して神の言葉の述べる事柄を調べてみましょう。

霊媒と占い師に関して聖書が教えている事柄

58 (イ)遠い昔,どんな国で心霊術が広く行なわれていましたか。(ロ)イスラエル人がカナンを征服したとき,カナンはどんな状態でしたか。(ハ)エホバはそれ以前に心霊術に関してイスラエルにどんな命令を与えておられましたか。

58 聖書によれば何千年もの昔,エジプト,バビロン,カナンといった土地では霊の崇拝と魔法が一般に行なわれていました。(出エジプト 7:10-12。申命 18:14。イザヤ 47:1,12,13)ですからエホバ神によってエジプトの奴隷状態から解放され,カナンの土地へ導き入れられたイスラエル国民がそこで心霊術にふけっている人々を見たのも不思議ではありません。エホバ神はご自分のしもべたちにどんな命令をお与えになりましたか。ご自分にのみ崇拝をささげるべきことをはっきりお命じになりました。わたしたちはそれがなぜ正しいかがわかります。エホバは命の授与者なる全能の霊者であられるゆえに,天と地の真の神として崇拝されるにふさわしい唯一の方だからです。(出エジプト 20:3-6)神にささげるべき崇拝を目に見えない他の霊もしくは霊たちにささげるのは,創造者に対してはなはだしい不敬を示すことになります。その理由で神はイスラエル人にこう警告されました。「あなたは霊媒に頼ってはいけない。また,職業的予告者に相談してはいけない。それらの者によって汚されないためである」― レビ 19:31,新。

59 エホバの律法は心霊術を行なう者たちに対してどんな罰を規定していましたか。

59 イスラエル人が神によって禁じられていることを無視してそのような悪霊の崇拝を行なうなら,神の祝福ばかりか命をも失うことになると,エホバは警告されました。エホバはこのように語られました。「霊媒および職業的予告者に頼ってそれらの者と不道徳な交わりをした魂は,わたしは必ず自分の顔をその魂に敵して向け,その者をその民の中から断つ。また,男か女で,その内に霊媒的な霊や予言の霊がある者,その者たちは必ず死に処せられるべきである」― レビ 20:6,27,新。

60,61 (イ)したがってエホバは心霊術をどのように思っておられますか。(ロ)土地により,心霊術はどんな形で行なわれていますか。

60 後に神は,魔術や占いなど,目に見えない霊たちの崇拝と関係のある不従順な慣行を憎むことをさらに強調されました。預言者モーセを通してこう語っておられます。「あなたの神エホバの与えてくださる土地に入った時,あなたはそれら諸国民のなす嫌悪すべき事柄を習い行なってはなりません。あなたの中に,自分の息子あるいは娘に火の中を通らせる者,占いを用いる者,魔術を習わしにする者,吉凶の徴を求める者や呪術をなす者,あるいは,まじないで他の人を縛る者,霊媒に相談する者,職業的予告者,死者に問う者がいるべきではありません。すべてこうした事を行なう者はエホバにとって嫌悪すべきものです」― 申命 18:9-12,新。

61 これは非常に明りょうな言葉ではありませんか。そして,全能の神が霊媒や占い,またそれらの者たちの行なう目に見えない霊たちに対する崇拝をどう感じておられるかをはっきり教えていないでしょうか。霊感によるみ言葉によればエホバ神は,それがどんな形を取り,また世界のどこで行なわれているかにかかわりなくそうした慣行のすべてを憎まれます。わたしたちがそのような慣行に必ず伴う害をこうむらないため,神は愛の気持ちからこうした警告を与えてくださったのです。

62 イエスと使徒たちは邪悪な霊たちに関してどんな経験をしましたか。

62 イエス・キリストは地上におられたとき,神の敵対者であるサタンと彼にくみして反逆した霊たちから反対されました。サタンがイエスに,権力と栄光の代償として自分に崇拝行為をさせようとしたとき,イエスは次のようにお答えになりました。「サタンよ,離れ去れ!『あなたの神エホバをあなたは崇拝しなければならず,彼だけに神聖な奉仕をささげなければならない』と[聖書の申命記 5章9節,6章13節に]書いてあるのです」。(マタイ 4:8-10)イエスとその使徒たちも多くの機会に,邪悪な霊たちつまり悪霊たちに悩まされていた人々からそれらの者を追い出しました。―マルコ 1:39; 3:14,15

63 心霊術を行なうクリスチャンはどうなりますか。

63 イエスは,全能の霊者であられるエホバ神のみを崇拝し,そのみ言葉である聖書を信じるよう弟子たちに教えました。(ヨハネ 4:23,24; 17:6,17)イエスの弟子たちは心霊術とその慣行に対して天のみ父エホバと同様の見方をしました。使徒パウロは神の霊感を受けて仲間の崇拝者たちにこう書き送りました。「さて,肉の業は明らかです。それは,淫行,汚れ,不品行,偶像礼拝,心霊術の行ない……です。……わたしはあなたがたに……警告しておきます。そのような事がらをならわしにする者が神の王国を受け継ぐことはありません」。(ガラテア 5:19-21)あらゆる生命の創造者であり源であられる方は,ご自分に帰されるべき崇拝を,み言葉に反して目に見えない霊たちにささげる者たちに永遠の生命を与えることはできませんし,またそうされることもありません。啓示の書の預言によれば,悔い改めることなく引き続き「心霊術を行なう者」たちは「第二の死」に下って行きますが,それは復活のない永遠の滅びを意味します。―啓示 21:8; 22:15

64 (イ)聖書は心霊術をどのように分類していますか。(ガラテア 5章19節と20節をご覧ください。)(ロ)どんな種類の霊たちは,自分に対する献身と奉仕を人々にささげさせていますか。

64 そうです,聖書は心霊術を淫行や汚れと共に「肉の業」の一つに挙げています。わたしたちは心霊術が確かに不潔で有害なものであるという証拠を数多く見てきました。心霊術はわたしたちの崇拝と献身が,それを受けるにふさわしい方エホバ神に帰せられないようにします。ですから,自分が人から献身と奉仕を受けるのをよしとする目に見えない霊たちは良い霊たちではなく,邪悪な霊たち,悪霊に違いありません。使徒ヨハネは一人のみ使いの助けを受けて聖書の一部を書き記しました。しかし,ヨハネがそのみ使いの前にひれ伏して彼を崇拝しようとしたとき,忠実なみ使いは,「気をつけなさい! そうしてはなりません! わたしは,あなた,また,イエスについての証しの業を持つあなたの兄弟たちの仲間の奴隷にすぎません。神を崇拝しなさい」と言いました。―啓示 19:10

65 占い,予言者,あるいは霊媒と協力するのはどんな種類の霊ですか。

65 霊媒,占い,易者,あるいは死人と交信する者を神は嫌悪しておられる,と神の言葉は示していますから,そうした者たちと協力する目に見えない霊たちもやはり邪悪な霊たち,悪霊に違いありません。そのような源から得られた音信は真の神,全能なる霊者からのものでは決してなく,またその方の是認を受けているものでもありません。

66 真理を得るために,また将来に対する確かな希望を得るためにだれに頼るべきである,とイザヤは教えましたか。

66 ですから神は預言者イザヤを通してイスラエル人に次のような警告の言葉を語られました。「また彼らがあなたがたに,『霊媒または,さえずったり低い声でものを言ったりする,予言の霊を持つ者たちに問い合わせよ』,と言うようなことがあるなら,いかなる民もその神に問い合わすべきではないだろうか。生きている人たちのために死人に問い合わせるようなことがあってよいだろうか」。(イザヤ 8:19,新)真理を知り,将来に対して確かな希望を持ちたいと思うなら,死者や霊媒にではなく,あらゆる生命の創造者で,生きておられる神に頼らねばなりません。

67 (イ)パウロは一人の呪術者に何と言いましたか。(ロ)そのような汚れた行為に関係することに対して,エホバはどんな諭しを与えておられますか。

67 心霊術の行ないをする者たちが神の言葉の音信にいつも反対するのはそのためです。西暦一世紀当時,キプロス島に呪術者がいて,使徒パウロが伝える良いたよりの音信を人々に聞かせまいとしました。パウロはその呪術者に,「ああ,あらゆる詐欺とあらゆる悪事に満ちた者,悪魔の子,すべて義にかなったことの敵よ,エホバの正しい道をゆがめてやめないのか」と言いました。(使徒 13:9,10)神の正しい道をゆがめ,ねじまげている者たちの仲間になる代わりに,神の言葉に反する行為である汚れた霊の崇拝から完全に離れたいと願うべきです。全能の霊者であられる方からは次のような命令が出されています。「『それゆえ,彼らの中から出て,離れよ』とエホバは言われる。『そして汚れた物に触れるのをやめよ』」― コリント第二 6:17

68 ある形の心霊術に関係してきた人々についてどんな疑問が生じますか。

68 そうするのが非常に難しい状況に置かれている人もいることでしょう。その人は,ほかの多くの人々と同様,生涯ずっと先祖崇拝とか心霊術に関係のある他の崇拝を行なってきたかもしれません。また,親族とか土地の大多数の人がそうした崇拝に関係のある伝統に依然として従い,特定の木,岩,川,山あるいは他の場所を霊たちの住みかであると考えているかもしれません。ではどうすれば,そうした目に見えない霊たちの崇拝から離れて,全能の霊者なるエホバ神の恵みや保護や祝福を得ることができるでしょうか。

邪悪な霊たちの力からのがれる

69-71 ブラジルの一少女はどのようにして邪悪な霊たちから自由になりましたか。

69 いったん邪悪な霊たちの支配や影響を受けるようになると,それから自由になるのは容易なことではありません。しかしエホバ神の助けがあるなら,それは可能であり,実際大勢の人々は自由にされてきました。霊の影響を受けるようになり,人々に治療法を指示していたブラジルの一少女の例は励ましとなります。(22節をご覧ください。)何年かのち,ある晩寝ているときにその少女は何かの力が自分をベッドから引っぱり降ろすのを感じました。少女は眠ったまま歩いて外に出て,水かさのある近くのみぞまで行きました。そのとき少女はつまずいて目を覚ましました。その出来事から少女は非常に不安になり,関係していた目に見えない霊たちの支配からのがれたいと思いました。それで何をしたでしょうか。

70 最初にしたのは,神に救いを祈り求めることでした。翌朝だれかが玄関のドアをノックしました。少女は,「悪魔が待ち伏せしている」からドアを開けないようにと言う“声”を聞きました。しかし少女は思い切ってドアを開けました。訪問者は悪魔ではなくて一人の若い男の人でした。少女はその人から「ものみの塔」という聖書雑誌を一部求めました。その雑誌には邪悪な霊たちに関する記事が載っていたので,少女はそれが自分の真剣な祈りの答えに違いないと思いました。

71 少女は聖書を学びそれを適用して生活を変化させるようになりました。学ぶだけではなく神のご意志を行なうようになったのです。そして次第に悪魔の支配から自由になりました。イエスがお教えになった『あなたがたは真理を知り,真理はあなたがたを自由にする』という優れた教訓を身をもって経験したことは,少女にとって非常に大きな喜びでした。―ヨハネ 8:32

72 リスボンの一未亡人は邪悪な霊たちから逃れるために何をしましたか。

72 先にふれたリスボンの未亡人の場合も同じような経験をしました。(42節をご覧ください。)その婦人は,目に見えない霊たちとの交信によって非常に悩まされ,恐怖をさえ感じるようになっていました。その後まもなくして,エホバの証人に出会いいっしょに聖書を学び始めました。そして死者のほんとうの状態,復活の希望,神の王国の栄光ある良いたよりに関して聖書が教えている事柄を学びました。全世界の他の大勢の人々と同様に自分も悪霊にだまされていたことを知ったとき,その婦人は全能の霊者であられるエホバ神に信仰を置き,誤導する霊たちとの関係を一切断ち切りました。

73 心霊術に直接関係していなくても大勢の人は,なぜそれに関する真実を知る必要がありますか。

73 そうです。世界中で実に大勢の人々が霊界に関する真理に目を開けてきました。しかしそのすべてが必ずしも,先に述べた人々のような際立った経験というわけではありません。多くの人々は霊媒ではありませんし,目に見えない霊たちの“声”を直接聞いたこともありません。しかし,それでも『やみから光に,またサタンの権威から神に転じる』ことは必要です。(使徒 26:18)なぜかといえば,人々は,吉凶,“凶眼”,禁忌,お守り,儀式など,真の神,天地のあらゆる権威を持つ創造者以外の霊たちの崇拝と結びついている事柄を非常に気にしながら暮らしているからです。

74 多くの人はくもの巣のようにからみつくどんなものから自由になる必要がありますか。

74 はえその他の生き物にからみついてとりこにするくもの巣のように,家族や部族のしきたりや儀式は多くの人を恐れのとりこにします。そうしたしきたりをことごとく守らなければ先祖の助けを受けられないのではないか,あるいは目に見えない他の霊たちから危害を加えられるのではないか,と人々は心配します。子供が生まれないかもしれない,子供が死ぬのではないか,家畜が病気になって死ぬのではないか,畑に収穫がないのではないか,商売がうまくいかないのではないか,などと心配します。

75 人々は助けを得るためにだれに頼らねばなりませんか。

75 神の言葉の真理だけがそうした人々を自由にすることができます。み言葉の内容を学ぶことによって,霊媒とかまじない師とぐるになっている目に見えない霊たちの存在すること,しかしそれら霊たちの力は真の神の力と比べるなら無に等しいことを悟るようになります。神の助けが他のいかなる源からの助けよりもはるかに価値があることを知るようになった人は次のことを悟ります。すなわち,霊媒,まじない師,あるいは目に見えない霊たちがどんな危害を加えると脅したとしても,命の唯一の源であられる方の恵みと祝福を失うことのほうがはるかに有害な結果になるということです。―マタイ 10:28

76 (イ)悪霊崇拝の束縛から自由になる最初の段階はなんですか。(ロ)今どんな疑問が生じますか。

76 ですから真の神とその目的を知ることは,そうした奴隷状態から解放される第一歩です。神の言葉を調べるなら,死者の真の状態すなわち死者は死の眠りについていて無意識であり,愛や憎しみを表わすことができず,人を助けたり害したりすることもできないということを学びます。また霊界に実際に住んでいるのはだれかということや,神の霊の子たちが大勢反逆したことを理解します。しかし神はなぜ,それら反逆的な霊たちが今日まで存在するのを許してこられたのでしょうか。

77 サタンと悪霊たちは神に反逆したとき神の力に挑戦したのですか。

77 それは反逆が神への挑戦であったからです。サタンと悪霊たちは神の全能の力に挑戦しているのではありません。神が自分たちよりも強く,自分たちを滅ぼす力を持っていることを知っているからです。聖書のヤコブ書 2章19節には,「あなたは,ただひとりの神がおられることを信じているというのですね。なるほどそれはりっぱです。ですが,悪霊たちも信じておののいているのです」とあります。エホバが悪霊たちを滅ぼす目的を宣言しておられるので彼らはおののいているのです。イエス・キリストが神の代理としてある人々を悪霊の影響から自由にしようとしたとき,悪霊たちは『定められた時の前にわたしたちを滅ぼそうとして』やって来たのかと絶叫しました。(マタイ 8:29。マルコ 1:24)ですから反逆的な霊の子たちは,全能の神の力に挑戦しても勝ち目がないことを知っています。

78 (イ)サタンは何に挑戦しましたか。(ロ)ほかにどんな問題が生じましたか。聖書にはその事に関するどんな例が載っていますか。

78 サタンが行なったのは,全被造物に対する神の支配権の正当性への挑戦でした。エバに語ったサタンの言葉は,神が実は被造物の最善の益を心に留めている愛のあるみ父ではないということを人々に信じ込ませようとしていることを示しています。最初の人間夫婦がその反逆に加わったことからさらにもう一つの疑問が起こりました。それは,神の他の被造物すべても神に背を向けてほかのだれかに信頼を置くよう誘われ得るだろうかという疑問でした。例えば神のしもべヨブの場合にその問題がありました。ヨブは物事が順調に運んでいるときにだけエホバ神に仕えるのであって,困難な時期を経験し苦しみを耐えねばならなくなれば神に信仰を置くのをやめて神から離反する,とサタンは主張しました。―ヨブ 1:7-12; 2:4,5

79 (イ)それらの問題を完全に解決するには何が必要でしょうか。(ロ)サタンに残された時はどうなっていますか。

79 この挑戦に答え,これらの問題を疑問の余地なくはっきりと解決するには時間が必要でした。それで最初の人間夫婦が反逆者になっても,エホバ神は二人がしばらくの間生き続けて子供をもうけることを許されました。(創世 3:14-19)そしてサタンとその悪霊たちが大論争における自分たちの側を証明しようとするのを許されました。また人類が,至高の神に信仰を置くか,それとも利己的な理由で神から離反するかという試みを受けるのを許されました。挑戦が初めてエデンでなされたときから約6,000年経過したことは確かです。しかし聖書は,永遠の神にとって「千年は一日のよう」であると述べています。(ペテロ第二 3:8)したがってこれまでの6,000年は神にとってほんの6日にすぎません。神の言葉によれば,時間は尽きようとしており,今やサタンは,神が反逆者を一掃する処置を取られるまでの残された「時の短いことを知り,大きな怒りをいだいて」います。―詩 90:2,4。啓示 12:12

十分の信仰を持っていま行動する

80 助けをエホバに求めるとき,なぜ確信が持てますか。

80 神の忍耐,辛抱強さおよびあわれみにより,わたしたち各人はどちらの側に立つか,だれに信頼を置くかということを証明する機会を与えられています。目に見えない霊たちの奴隷の状態から自由になり,人々をそうした奴隷状態に陥れ,くもの巣のようにからみつく伝統や儀式から自由になりたいと望む人は,「憐れみと慈しみに富み……愛の親切と真実とに満ちる」エホバにちゅうちょすることなくいま助けをあおいでください。(出エジプト 34:6,新)神の使者イエス・キリストはご自分の追随者たちに「わたしたちを……邪悪な者から救い出してください」と祈るように教えました。(マタイ 6:13)エホバが純粋な心から発した祈りを聞かれることは確かです。『エホバの目は義人の上にあり,その耳は彼らの願いに向けられます』。―ペテロ第一 3:12。箴 15:29,新。

81 心霊術から自由になるために,あなたはどんな行動を取らねばなりませんか。なぜですか。

81 誠実な人であれば,自分の願いに調和した行動を取ることによって神に対する願いを実りのあるものとするでしょう。このことは心霊術とかかわりのある伝統と儀式に関して何を意味するでしょうか。霊感を受けた使徒パウロは,「わたしは,あなたがたが悪霊と分け合う者となることを望まないのです。あなたがたは……『エホバの食卓』と悪霊の食卓に同時にあずかることはできないのです」と書いています。(コリント第一 10:20,21)エホバ神と悪霊たちは敵対関係にあるのですから,わたしたちは神を崇拝するか悪霊を崇拝するかどちらか一方を選ばねばなりません。エホバとの交友関係を得,その保護を受けたいなら,どんな形にしろ心霊術とのかかわりや交わりを一切断ち切らねばなりません。それには心霊術と関係のあるすべての物品を処分することも含まれます。そのような物品はわたしたちを悪霊の影響下に巻き込んでしまいます。それらを除去したり破棄したりすることは,悪霊の影響を打破するための重要な第一歩です。

82 偶像のような物品を恐れるべきでないことを,神の言葉はどのように教えていますか。

82 その場合にも,そうした処置を取るのに必要な勇気を得るうえで神の言葉は大きな助けになります。ある人々は心霊術と関係のある物品には魔力があるとか,不思議な力を持っているとか考えるかもしれませんが,神の言葉はそうした物品を恐れてはならない理由を教えています。エホバ神は預言者エレミヤを通して次のような励ましの言葉をお与えになりました。「諸国民の道に陥ってはならない……諸国民の刻んだ像はまやかしだからだ。それは,森から切り出された材木を,職人がのみで刻んだものにすぎない。職人はそれを銀や金で飾り,金づちや釘でそれらをしっかり留めて,ばらばらに落ちないようにする。それはきゅうり畑のかかし同様,ものが言えない。それは歩くことができないので,運んでもらわねばならない。それを恐れてはならない。それは何の害ももたらすことはできず,善を行なう力もない」。(エレミヤ 10:2-5,新英訳聖書)幼い子供は畑に立っているかかしをこわがることがありますが,大人はその正体を知っています。それで,人間が作って神聖視している偶像はかかし同様に話すことも歩くことも人を助けることも害をもたらすこともできない,と神の言葉は教えています。

83 人間の手で作ったものを崇拝することが非理性的であることを聖書はどのように示していますか。

83 聖書は,人間によって作られた物に超人間的な力があると考えることがいかに非理性的であるかを示しています。例えば霊感を受けたイザヤの預言は,森から一本の大木を切り出した人のことを述べています。彼はその大木の一部でたき火をしパンを焼き,残りで偶像を作って「身を屈め,それに向かって祈り,こう言(います。)『わたしを救い出してください。あなたはわたしの神なのですから』」。エホバ神はそのような人々について次のように語っておられます。「彼らは知るようになっておらず,理解してもいない。彼らの目は見えないように,彼らの心は洞察力を持つことのないように塗りつけられたからである。だれも自分の心に思い起こさず,知識も理解も持たず,またこう言いもしない。『その半分をわたしは燃やして火とし,その炭の上でわたしはパンを焼きもした。わたしは肉を焼いて食べる。しかしその残りをわたしはただの忌むべき物に作るであろうか。乾き切った木材にわたしはひれ伏すであろうか』。彼は灰を食しているのである。……そして彼は自分の魂を救い出さず,また,『わたしの右手に偽りはないのか』と言いもしない」― イザヤ 44:14-20,新。

84 (イ)木片や布切れ,あるいはひもがわたしたちを助けたり,あるいは害したりすることがあり得ますか。(ロ)わたしたちにほんとうに害になるのは何ですか。

84 人間がどれほど手を加えたとしても木はあくまでも木でしかありません。ですから木製の像は他のすべての木片と同様焼却したりして処分することができます。そして像はそうされないように自らを守ることができません。布,ひも,泥,石,種,あるいは,人間が心霊術の崇拝の対象物として用いる他のいかなる物品についても同じことが言えます。そうした物はどれも何らかの方法で処分してしまうことができます。それらの物が自らを保護できないのであれば,他のものを保護できるはずがありません。しかしそのような物を信じ,そのため人を惑わす汚れた霊である悪霊たちの思い通りに,偽りでまやかしの物品のとりこになるなら,確かに害が及びます。神の言葉はそのような誤った考えから自由になる道を示しています。

85 エフェソスのあるクリスチャンたちは何をしましたか。

85 聖書には,多大の損失となったにもかかわらず,信仰と勇気とをもって心霊術に関係のある持ち物を焼却してしまった人々のことが出ています。エフェソスの町で使徒パウロが行なった真の神に関する証言について述べた後,使徒たちの活動はこう記しています。「魔術を行なっていたかなり大ぜいの者が自分たちの本を持って来て集め,みんなの前で燃やした。そして,それらの値を数えてみると,合わせて銀五万枚になることがわかった」。(19:19)それが一財産だったことを考えてみてください。しかし,その人々にとって全能の神の是認を得,悪霊の影響から解放されることは,そのお金で得られるものよりもはるかに有意義なことでした。

86 (イ)その経験はどんな結果を見ましたか。(ロ)今日大勢の人々の間でどのように同様の結果が見られますか。

86 あなたも家の内外を見回し,悪霊崇拝に関係のあるものを取り除いて同様の信仰を表わし,その模範に見倣っているかどうか自問してみるのはいかがでしょうか。「このようにして,エホバのことばは力強く伸張し,また行き渡っていった」とあるとおり,エフェソスにおけるその出来事は非常に励ましとなる結果を生みました。(使徒 19:20)今日でも心霊術から真の神とその崇拝に転向した大勢の人々も同様の結果を得ています。それらの人々は神の言葉の真理の力に動かされて,心霊術に関係した本,お守り,物神,腕輪,“お守り”のひも,衣服など一切の物品を集めて処分してしまいました。

87 南アフリカの一女性は何をしましたか。それはどんな結果になりましたか。

87 一例として,霊媒だった南アフリカの一女性は,聖書研究の援助をするというエホバの証人の申し出を受け入れました。一世紀の誠実な人々が心霊術に関する本を焼いたという前述の記録を二人で聖書から読んだとき,その女性は自分も同じようにすべきかどうか尋ねました。証人はそうするなら神の恵みが得られることを話し,二人はそれを実行する日取りを決めました。その日証人が到着したときには,その女性は宗教上の衣服や心霊術に使う物品やろうをすでに用意していました。二人は火を起こしてそれらを全部焼いてしまいました。その結果はというと,彼女は悪霊の影響から解放され,他の人々が真の神に信頼を置くのを助けるというすばらしい特権を楽しんでいます。

88 同じ地域のある男の人はどのようにして悪霊崇拝から自由になりましたか。

88 さらに同様の例があります。その女性と同じ地域に住む一人の男性は,有名なまじない師から訓練を受けるようになり,目ざましく進歩してその心霊術教師の主だった助手になりました。ところがその教師の妻がエホバの証人と聖書を学び始めたのです。ある日その助手が研究の場に同席しました。神は血を飲んだり食べたりすることを禁じておられるということを示す聖句が話し合われました。(レビ 17:10-14。申命 12:23,24。使徒 15:20,29)助手はそのことに深い感銘を受けました。彼は“呪術”と魔法の課程を“卒業”しようとしているところで,“卒業”式には血を飲む予定になっていることを知っていました。その人はどんな決定をしたでしょうか。神に反対する目に見えない霊たちのきげんを取ろうとするよりも,あらゆる生命の源であられるエホバを喜ばせたいと思いました。それでただちに心霊術を行なうのをやめ,エホバの証人と聖書を学び続けて,今では目に見えない利己的な霊たちの束縛から解放されたことを喜んでいます。

89 目に見えない霊たちに勝つにはどんな重要な行動を取らねばなりませんか。

89 そうした目に見えない霊たちから自由になるには,エホバ神の助けを祈ること,しかも『たゆまず祈る』ことが肝心です。(ローマ 12:12)神の言葉によれば,心霊術のならわしをやめるだけでなく,目に見えない霊たちの崇拝と関係を保たせる心霊術の物品を取り除くことも非常に大切です。さらに,勝利とそれに伴う自由を得るためには,他の人々からの援助を進んで受けなければなりません。そうすれば自分一人で霊的な敵たちに立ち向かわずにすみます。

真の神のしもべたちと交わる

90 神の民と交わるのはなぜ大切ですか。

90 他の人々と集まって愛と信仰を励まし合うように,と聖書は勧めています。(ヘブライ 10:24,25)あなたはだれと集まり合えるでしょうか。キリスト教世界の教会の会員たちは聖書を信じていると唱えていながら,世界各地の霊媒とまじない師に大いに頼っている場合が少なくありません。しかしエホバの証人は異なる道を取っています。エホバの証人は,神の言葉の教えに逆らう目に見えない霊たちの支配下に引き入れるもの一切から完全に離れています。そして人が聖書を学び,自由を得させる真理を学ぶのを助けることを喜びとしています。しかも,イエスおよびイエスの弟子たちと同様,それを無償で行ないます。エホバの証人はそうした無償の研究を通して,ご自分の疑問に対する答えを見いだされるよう喜んであなたを援助します。

91,92 エホバの証人の集会に出席すればどんな益がありますか。

91 エホバの証人はさらに,霊感を受けて書かれた神の言葉をグループで研究するために定期的に集まります。それらの集会もやはり無償であり,寄付が集められることはありません。使徒パウロが「わたしたちのする格闘は,……天の場所にある邪悪な霊の勢力に対するもの」と述べている戦いを行なっていくうえで,それらの集会に出席することは非常な助けになります。同使徒は続けて,「完全にそろった,神からのよろいを着けなさい」そして「真理を帯として腰に巻き,義の胸当てを着け……しっかりと立ちなさい。……信仰の大盾を取り……救いのかぶと,それに霊の剣,すなわち神のことばを受けとりなさい」と,わたしたちすべてに勧めています。―エフェソス 6:12-17

92 その霊的なよろいの上手な着け方や「霊の剣」の巧みな使い方を知るには時間がかかるかもしれません。しかし,霊的な戦いで勝利を収めた,また勝利を収めつつある人々と交わるなら,あなたが進歩するうえで大きな助けになります。宇宙の創造者で支配者であられるエホバ神の目的についてさらに学び,神の律法と義のご要求に見られる知恵を知るなら,あなたの信仰は強くなります。そして,楽園の地上で生きるというすばらしい希望を得ます。そこでは地上の柔和な人々が,キリスト・イエスによる神の王国のもとで病気や苦しみを経験することなく永遠の命を享受します。どうすればあなたも生きながらえて神が『彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださる』時を,見る人々の一人になれるか,ということを学ばれるでしょう。―啓示 21:4。詩 37:10,11。マタイ 5:5

93 どんな人格上の変化が求められますか。

93 目に見えない利己的な霊たちの支配を受けないようにするためには,『あなたがたの以前の生き方にかなう古い人格を捨て去り』,『神のご意志にそいつつ真の義と忠節のうちに創造された新しい人格を着けなさい』という聖書の助言に従う必要があります。(エフェソス 4:22-24)わたしたちの以前の生き方は,神のご意志にではなく,自分が住んでいる地域の,人間の伝統と習慣に支配されていました。死者は生きている人を助けたり害をもたらしたりするという,悪霊の偽りの言葉に少しでもかかわりのあるものを一切避けているかどうか自分の行ないを調べてみる必要があります。―コリント第二 13:5

信仰の戦いをりっぱに戦い続けなさい

94 いったん悪霊崇拝から自由になったなら,その状態にとどまるために何が必要ですか。

94 悪霊崇拝の束縛からいったんのがれたら,再びそれに関係しないようけん命に戦わねばなりません。「終わりまで耐え忍んだ人が救われる者です」とイエスは言われました。(マタイ 24:13)わたしたちから神の祝福を奪う,くもの巣のようにまつわりつく伝統と悪霊崇拝の慣行に引きもどされないように日々抵抗する必要があります。

95 サタンはわたしたちを弱めるためにどんな方法をよく用いますか。

95 サタンと悪霊たちは,わたしたちを弱めようとして種々様々な方法を使います。親族や友人を使って反対させるかもしれません。イエスが「人の敵は自分の家の者たちでしょう」と述べられているとおり,それは珍しいことではありません。(マタイ 10:36)他の人が何を言おうと,何を行なおうと神への愛を証明し,神の戒めに忠実であるために悪霊崇拝のあらゆる慣行から離れていることを願うなら,直面し得る多くの試みの幾つかをいま調べてみるのは良いことでしょう。―ヨハネ第一 5:3。コロサイ 2:8

だれかが死んだとき

96,97 (イ)葬式のどんな習慣は悪霊崇拝と密接な関係がありますか。(ロ)クリスチャンは葬式に対してどんな見方をしますか。

96 アフリカの各地では人が死ぬと通夜をするのが普通です。親族と友人は亡くなった人の家か本家に集まり,泣いたり,歌ったり,太鼓をたたいたり,酒を飲んだり,土地の習慣に従って様々な事柄を行ないます。時には亡くなった人の体を洗い,その人の一番上等の服を着せて“安置”することがあります。友人や親族は亡くなった人が埋葬される前に最後のお別れをするため列になってベッドのそばを通ります。

97 友人や親族と死別して悲しむのは自然なことです。イエスは友人ラザロの死を深く悲しまれ,涙をさえ流されました。(ヨハネ 11:33,35)しかし真に悲しんで涙を流すことは,ある国で葬式のときによく見られる泣き叫ぶこととは全く違います。愛する人を失ったときに号泣するまでに泣くことは自然なことです。(サムエル後 1:11,12)しかし,目に見えない霊たちの不興を買うことを恐れたり,家族の他の成員の目を恐れたりして泣き叫ぶのは神の言葉に反します。号泣したり歌をうたうときの言葉は,亡くなった人や他の先祖への祈りや祈願である場合が少なくありません。事実,死者に対する恐れだけの理由で通夜が行なわれることがあります。ですから,エホバを恐れる人が葬式に出席するのは間違いではありませんが,『汚れた物から離れ,それに触れるのをやめよ』という助言を覚えておくのは良いことです。(コリント第二 6:17)悪霊崇拝に関係した事柄に参加しなくても同情心を示したり心から慰めたりすることができます。また,エホバの民は復活の希望を持っているので悲しみに打ちひしがれてしまうべきではありません。そのわけで聖書はこう述べています。「また,兄弟たち,死んで眠っている者たちについてあなたがたが知らないでいることを望みません。希望を持たないほかの人びとのように悲しむことのないためです」― テサロニケ第一 4:13

98 悪霊崇拝に関係のある習慣にはほかにどんなものがありますか。

98 もとより,死,葬式,生きている親族に課される制約に関係した習慣は,土地の信仰と伝統によって種々様々です。しかし,そうした習慣はたいてい死者が生きている人々を見ているという信仰に基づいており,神の言葉に反する多くの慣行を含んでいます。神の真のしもべはそうした慣行によって自分が汚れることを望みません。アフリカのある土地では人が死んでから一年後に,“その死者を家に連れもどす”ための特別な儀式さえ行なわれます。人が死ぬと,その人の魂はすぐに“霊界”へ行かず,二度めの葬式が行なわれるまで無活動の状態になり,そのあと“霊の領域”に入れると信じられています。死者へのいけにえとして葬式の際に動物をほふり,酒を供える所もあります。

99,100 (イ)クリスチャンはなぜそうした機会に油断なく気を配っているべきですか。(ロ)エホバは何を容認されませんか。

99 しかしながら大切なのは神の言葉がそうした慣行について何と述べているかということです。例えば詩篇 106篇28,29節には,偽りの崇拝を行なうようになって「死者の犠牲を食べ」始めた不忠実なイスラエル人のことが述べられています。聖書はそのような行為により彼らが神の「怒りを引き起こし」,神の恵みを失ったことを示しています。人が死ぬと,神だけがその人を復活によって生き返らせることができることを聖書からすでに学びました。―33節から36節をご覧ください。

100 そうです,人が死んだときや葬式,結婚,妊娠,誕生,割礼などはいずれも油断なく見張っていなければならない時です。神の言葉は,「目ざめなさい! 油断なく見張っていなさい! あなたがたの敵である悪魔が,ほえるライオンのように,だれかをむさぼり食おうと探しながらうろつき回っています」と警告しています。(ペテロ第一 5:8,新英訳聖書)圧力に屈してお守りのような小さな“まじない”を身に着けるのはたやすいことです。しかし神の是認を望む人は,エホバが「専心の献身を要求する神」であることを忘れません。(出エジプト 20:4-6,新)神はうそに基づいた偽りの崇拝を容認されることはありませんし,神の戒めに関して『なまぬるい』ならご自分のしもべのだれをも祝福されることはありません。―啓示 3:16

病気になったとき

101 “信仰療法”にはどんな危険があり得ますか。

101 病気になって,何人もの医者に診てもらい,いくつもの病院にかかってもよくならないことがあります。ある人は,所によって“信仰療法”と呼ばれるもの,つまり,いやしをしてくれる人の助けに頼る必要を感じるかもしれません。“治療師”はほとんどの場合,それ自体何の害もない薬草その他の自然薬品を用います。しかし,薬草医や“信仰治療師”が薬草その他の薬を用いる際に心霊術と結び付けるかもしれないという危険があります。聖書の,例えば「新世界訳」の啓示 21章8節に出ている「心霊術」という言葉は,ギリシャ語のファーマキアから来ていて,文字通りには「麻薬を混ぜ込む」という意味があります。それは,昔多くの占い師および他の心霊術者たちが儀式を行なう際に麻薬を用いたからです。

102 提案される“療法”に心霊術がどのように関係していることがありますか。

102 いやしを施す人々は,犠牲(病人が持って来た鳥や動物)を使ったり,魔術を用いたり,まじないをかけたりしていやしに心霊術を入り込ませることがあります。西アフリカのある国で,一人の男の人は歯の病気に効く薬草を手に入れるのに部落の一女性のところへ行くように言われました。その女性は薬を手渡すときにそれを見てはいけないと男の人に言いました。その理由を尋ねられると,彼女はその薬の効き目がなくなるからだと答えました。しかし薬草にしろほかの薬にしろ“見られている”かどうかどうしてわかるのでしょうか。薬に目がついているのでしょうか。そうでないことは明らかです。したがって,治療師は霊の力が薬を通して作用し,実際,薬に魔力を付与すると信じているに違いありません。

103 “信仰治療師”の中には何を使って治療する人がいますか。

103 心霊術を禁ずる神の律法を尊重すると言いながら,実際には魔術を使って治療する“信仰治療師”がいます。治療の際泥とか薬草の湿布をします。ところがその湿布を取ったときに石とかぼろ切れなどを取り出して,これが病気の原因だったがこのように取り除いたと言います。

104 “信仰療法”に伴う犠牲について何と言えますか。

104 全能の神が魔術と占星術を行なう人々をどのようにご覧になるか,それらをどれほど「嫌悪」されるかということはすでに読みました。(申命 18:10-12,新。58節から61節をご覧ください。)“信仰療法”には“神々”に懇願するための祭儀や儀式や犠牲をささげることが含まれる場合が少なくありません。ですから“信仰治療師”が犠牲にささげるにわとりややぎを持って来るように求めるなら,それは何を意味するでしょうか。それらの動物は実際にはだれにささげられるのでしょうか。使徒パウロは霊感の下にこう述べました。『諸国民が犠牲としてささげるものは,悪霊に犠牲としてささげるのであり,神にささげるのではありません。それでわたしは,あなたがたが悪霊と分け合う者となることを望まないのです』― コリント第一 10:20-22

105 あらゆる適切な方法を用いても自分や子供の病気が治らない場合にはどうすべきですか。

105 悪霊の影響の捕らわれから自由の身になったのであれば,くもの巣のようにからみつく偽りの慣行と伝統に再び引きもどされてなおかつ自由の身でいることはできません。しかしあらゆるふさわしい治療を試みても治らないならどうでしょうか。聖書は「あなたの重荷をエホバご自身に投げかけよ。そうすれば彼自らあなたを支えてくださるであろう」と述べています。(詩 55:22,新)奇跡的にいやされることではなく,賢明かつ適切な治療を選択する知恵が得られるように神に祈ってください。また,とりわけ,病気がどれほど長期に及ぶものであっても,どれほどの重病であっても,確固とした信仰と明るい見方を保って霊的に健全で強くあるよう祈らねばなりません。またエホバに自分の子供をゆだねることができます。子供たちは命をエホバに負っています。エホバは子供たちを守ることもできます。といっても“保護するまじない”やひも,犠牲,儀式あるいは他の祭儀によって守るのではありません。

106 神のしもべが病気になったり死に直面したりするときに支えとなるのはどんな希望ですか。

106 わたしたちは,いやしを施す人や“信仰治療師”を含め心霊術を行なう人々が遅かれ早かれ病気になり,何らかの原因でみな死んでゆくのを知っています。心霊術とかかわりを持たない神の真のしもべやその子供たちもしばらくの間苦しんだり,不治の病気にかかったりしますが,彼らは自分たちを支えるすばらしい希望を持っています。エホバ神が定めの時にすべての病気と死を除去されることを知っているのです。その時,神への忠実を保っている人々は命を得させる備えにあずかることができます。その備えは,「諸国民をいやす」葉をつけた並木の間を流れる「命の水の川」によって象徴されています。(啓示 22:1,2)ですから死に直面しても,わたしたちは,『だれでも自分の魂を救おうと思う者はそれを失います。しかし,だれでもわたしのために自分の魂を失う者はそれを見いだすのです』というイエスの言葉を思いに留めることができます。(マタイ 16:25)心霊術の汚れた慣行に頼って命を救おうとはせずに,全能の神の力に頼り,神が病気のない新秩序でわたしたちを死からよみがえらせてくださるという希望を持つことができます。

107,108 (イ)今日エホバはわたしたちを導くのになぜ夢を用いられませんか。(ロ)夢に頼るとどんな悪い影響がありますか。

107 目に見えない霊的な敵対者であるサタンは,夢を使って神のしもべを清い崇拝から引き離すこともします。夢を非常に重要視する人は少なくありません。夢が後日起こる出来事を予告しているように見える場合もあります。ヤコブのいとし子ヨセフのように,古代において数人の神のしもべが夢を通してある出来事を予告するのに用いられたことは確かです。しかし,その当時聖書全巻はなく,したがって人々の完全な導きがなかったことを忘れてはなりません。今はそれがあります。それらの書物についてこう書かれています。「聖書全体は神の霊感を受けたものであり……それは,神の人が十分な能力をそなえ,あらゆる良い業に対して全く整えられた者となるためです」― テモテ第二 3:16,17

108 神の言葉,聖書はあらゆる良い業に対するわたしたちの完全な導きです。聖書全巻を書かせて以来今日に至るまで,神は夢ではなくその霊感された言葉によってご自分の真のしもべを導いてこられました。事実,神の言葉は占いと偽りの崇拝に関連した夢に対して警告を与え,「占いをなす者たちは偽り事の幻を見,無価値な夢,それを彼らは語り続ける」と述べています。(ゼカリヤ 10:2,新。申命 13:1-3)霊感による神の言葉はわたしたちを正しい道に導きます。ところが夢に頼る人々は間違いなく偽りの道に導かれ,清い崇拝から引き離されます。―エレミヤ 23:25-27,32; 27:9,10

真の崇拝者には輝かしい将来がある

109 神の言葉はどのように祝福と保護になりますか。

109 夢に頼るかわりに,神の言葉に見いだされるすばらしい預言に注意を向けてください。人を欺くことのない神の言葉は,目に見えない霊たちの崇拝に関する事実や死者の真の状態を教えています。死者は無意識であり,生きている人を助けることも害をもたらすこともないということを教えて,恐れの捕らわれから人を自由にします。また,神の言葉は悪霊が,死んだ人になりすまして多くの人をだます目に見えない霊たちであることを暴露して人々を保護します。一方,聖書の教えを生活の中で実践するなら,平安な思いや幸福感が得られるなど大きな益のあることが分かります。また聖書の預言が今日非常に正確に成就していることも分かります。

110 「大いなるバビロン」は何を表わしていますか。

110 それらの預言は将来について何を予告しているでしょうか。心霊術的な伝統と慣行を伴う目に見えない利己的な霊たちの崇拝を含め,あらゆる偽りの崇拝が間もなく完全に滅ぼされるということが予告されています。聖書では,キリスト教世界の偽りの宗教を含め,全世界のあらゆる偽りの宗教は,「大いなるバビロン」と呼ばれる象徴的な汚れた女によって表わされています。その女は「多くの水の上に座る」大きな都市王国として描かれ,その多くの水は「もろもろの民と群衆と国民と国語を表わしてい(ます)」。―啓示 17:1,5,15,18

111 エホバはなぜ人々に大いなるバビロンを出るようにと警告しておられますか。

111 わたしたちは様々な偽りの宗教が,世界のあらゆる土地で人々をとりこにし圧迫している帝国を,今日に至るまでどのように築き上げてきたかを見ることができます。その象徴的な都市に対して,神の言葉は「あなたの心霊術の行ないによってあらゆる国民が惑わされた」と述べています。(啓示 18:23)偽りの宗教が,人々を誤導し清い崇拝から引き離す手段として目に見えない利己的な霊者に利用されているので,神はそれを憎んでおられます。偽りの宗教帝国,象徴的な大いなるバビロンについて聖書は,「彼女は火で焼きつくされるであろう。エホバ神,彼女を裁いたかたは強いからである」と述べています。悪霊たちとその支配者であるサタンは超人間的な力を持っているとはいえ,エホバ神とそのみ使いの軍勢に比べるなら取るに足りません。偽りの宗教の世界帝国である大いなるバビロンを除去する神の時が到来する際,それら目に見えない利己的な霊たちは,神の言葉に反する事柄を行なっている人々を決して救うことはできません。それゆえ神は,「わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄をともに受けることを望まないなら,彼女から出なさい」と警告しておられます。―啓示 18:4,8

112 それに続いてどんな戦争が起こりますか。だれがその戦争に生き残りますか。

112 偽りの宗教が滅びてすぐ後に「全能者なる神の大いなる日の戦争」が続きます。そのとき,栄光を受けたキリスト・イエスは神の代理として天のみ使いの大軍を率いて,神の地上の敵のすべてと戦います。このようにして神は,女性が家の掃除をするようになんなく,地上から悪を一掃されるのです。(啓示 16:14-16)生残者はいるでしょうか。聖書はこう述べています。「廉潔な者たちが地に住み,とがめのない者たちが地上に残されるからである。邪悪な者たち,彼らは地から切り断たれる。そして不信実な者たち,彼らは地から引き離されるであろう」。(箴 2:21,22,新)そうです,『温和な者たちは自ら地を所有し,平和の豊かさに必ずや無上の喜びを見いだすでしょう』。―詩 37:10,11,29,新。箴 12:7

113 わたしたちの前にはどんな輝かしい将来がありますか。

113 あなたは美しい楽園に復興した地上で真に謙遜で愛のある人たちと共に住むことを想像できるでしょうか。そこには利己的で圧制的な政治体制ではなく,完全で義にかなった政府の支配が行き渡るのです。(ダニエル 2:44。イザヤ 65:17,21,22,25)あなたは,神のご意志が天におけると同じように地においても成され,人々が戦争のことをもはや学ばないような時代に住みたいと思われませんか。(ペテロ第二 3:13。マタイ 6:10。ミカ 4:3,4)病気や痛みや死の恐れはそこにありません。さらに,心霊術を使って地上に多大の苦しみをもたらしてきた張本人である悪魔と悪霊たちは永遠に滅ぼされてしまいます。神の言葉は,なんとすばらしい見込みを差し伸べているのでしょう。それは楽園の地上で平和と安全と健康を享受しつつ永遠に生きるという見込みです。―啓示 21:3,4; 20:10

114,115 そのわけで,あなたは何をしなければなりませんか。

114 命を愛されるなら,全能の神とその目的に関する知識を取り入れ続けてください。イエス・キリストは天のみ父への祈りの中で,「唯一まことの神であるあなたと,あなたがお遣わしになったイエス・キリストについての知識を取り入れること,これが永遠の命を意味しています」と言われました。―ヨハネ 17:3

115 しかし,あなたは真剣な努力を払わねばなりません。「信仰の戦いをりっぱに戦い……なさい」と使徒パウロは述べています。どんな目的を持ってでしょうか。「永遠の命をしっかりとらえ(る)」ためです。(テモテ第一 6:12)そうです,目に見えない利己的な霊たちのとりこにする,からみつくくもの巣を断ち切ってください。それから引き続き,『悪魔に立ち向かってください。そうすれば,彼はあなたから逃げ去ります。神に近づいてください。そうすれば,神はあなたがたに近づいてくださいます』。(ヤコブ 4:7,8)確固とした信仰を持ってください。そうすれば「優しいあわれみの父またすべての慰めの神」はあなたに勝利を得させてくださり,神の義の新秩序で永遠に神に仕える喜びを与えてくださるでしょう。―コリント第二 1:3

[脚注]

^ 13節 聖書の真実性を裏付ける証拠はこのほかに,「聖書はほんとうに神のことばですか」と題する本や「聖書全体は神の霊感を受けたものであり,有益です」と題する本(英文)に載せられています。

[研究用の質問]

[5ページの図版]

目に見えない霊たちが子供を助けてくれることを信じて,この女性は“まじない師”を訪れている

[16ページの図版]

死んだ先祖は霊界で生きているという誤った信仰に基づいて,先祖の霊を表わす像が作られる

[17ページの図版]

聖書では魚,鳥,動物は人間と同様“魂”と呼ばれている。しかしそのいずれも不滅ではない

[20ページの図版]

イエス・キリストの来たるべき千年統治中に死者はよみがえらされる

[30ページの図版]

昔のイスラエルでは,心霊術を行なう者は神の命令により石打ちにされた

[34ページの図版]

ある人々は,特定の樹木,大きな岩,川,滝,山そのほかの場所を目に見えない霊者の住みかとみなしている

[37ページの図版]

多くの人は間違った信仰ゆえに,恐れという“くもの巣”に捕らわれている

[42ページの図版]

かかしと同様に,人が作るどんな偶像も歩いたり話したり,だれかを助けたり害したりできない

[43ページの図版]

人が作る偶像には何らかの超人間的な力があるだろうか。この偶像は,食物を料理するために燃やしているたきぎが取られたのと同じ木から作られている。偶像はたきぎと同じように容易に燃えてしまう以上,それに人を助けたり害したりする力があると言えるだろうか

[45ページの図版]

大勢の人が心霊術を捨て,それに関係のある物品を処分した

[48,49ページの図版]

定期的に集まって,霊感による神の言葉を研究するなら,「天の場所にある邪悪な霊の勢力」に対して首尾よく戦える

[61ページの図版]

楽園の地上では,人も動物もみな全く平和に暮らし,飢え,悲しみ,病気,死はもはやない