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ハルマゲドン

ハルマゲドン

定義: ヘブライ語に由来し,多くの翻訳者が「ハルマゲドン」と訳している,ギリシャ語ハル マゲドーンには,「メギドの山」もしくは「軍隊の集結の山」という意味があります。聖書はこの名称を,核兵器による大破壊ではなく,宇宙的な規模で到来する「全能者なる神の大いなる日の戦争」と結び付けています。(啓示 16:14,16)この名称は特に,地上の政治支配者たちがエホバとイエス・キリストによるエホバの王国とに敵対して集合する「場所[ギリシャ語,トポン; つまり,状態もしくは情勢]」に関して用いられています。そのような敵対的態度は,神の王国の目に見える代表者,つまり地上にいるエホバの僕たちに対する全地球的な行動というかたちで示されるでしょう。

いわゆる“熱核ハルマゲドン”によって人間がこの地球を破滅させることを神は許されるでしょうか

詩編 96:10: 「エホバ自ら王となられた。産出的な地[ヘブライ語,テーヴェール; 肥沃で人が住む所としての地,居住可能なこの地球]も堅く立てられているので,よろめかされることはありえない」。

詩編 37:29: 「義なる者たちは地を所有し,そこに永久に住むであろう」。

啓示 11:18: 「諸国民は憤り,あなたご自身の[エホバの]憤りも到来しました。また……地を破滅させている者たちを破滅に至らせる定められた時が到来しました」。

聖書が述べているハルマゲドンとは何ですか

啓示 16:14,16: 「それらは実は悪霊の霊感による表現であってしるしを行ない,また人の住む全地の王たちのもとに出て行く。全能者なる神の大いなる日の戦争に彼らを集めるためである。そして,それらは王たちを,ヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれる場所に集めた」。

ハルマゲドンの戦いはただ中東でのみなされるのですか

すべての国の支配者や軍隊が神に敵対する側に集められます

啓示 16:14: 「それらは……人の住む全地の王たちのもとに出て行く。全能者なる神の大いなる日の戦争に彼らを集めるためである」。

啓示 19:19: 「わたしは,野獣[人間の政治的支配全体]と地の王たちとその軍勢が,馬に乗っている方とその軍勢に対して戦いをするために集まっているのを見た」。

エレミヤ 25:33: 「エホバに打ち殺される者は,その日,地の一方の果てから地の他方の果てにまで及ぶであろう」。

ハルマゲドンという名称が用いられてはいても,その戦争が文字どおりのメギドの山で行なわれるという意味ではないはずです

文字どおりのメギドの山は存在しません。高さ約21㍍の荒れ塚が古代メギドの遺跡として見いだされるだけです。

「人の住む全地」の王たちや軍勢が,メギドの下方に広がる文字どおりのエスドラエロン平原の中に入ることはできません。その平原は三角形で,長さは32㌔,幅は東側で29㌔しかありません。―「聖書地理」(ニューヨーク,1957年),デニス・ベイリー,148ページ,英文。

歴史におけるメギドの役割を考えると,その名称は適切です。メギドの下方に広がる平原は何度も決定的な戦いの場となったからです

その場所でエホバは,カナン人の軍の長シセラを裁き人バラクの前に敗北させました。―裁き人 5:19,20; 4:12-24

エジプトのファラオ,トトメス3世はこう述べました。「メギドを攻略することは,一千の町を攻略するに等しい」―「旧約聖書と関係のある古代近東テキスト」(米国,ニュージャージー州プリンストン,1969年),ジェームズ・プリッチャード編,237ページ,英文。

ハルマゲドンとは,軍隊,およびすべての国の支配者たちを支持する他の諸勢力を巻き込む一つの世界情勢ですから,メギド(「軍隊の集結」の意)という語が用いられているのは適切です。

ハルマゲドンで滅びるのはだれ,また何ですか

ダニエル 2:44: 「天の神は……ひとつの王国を立てられます。……それはこれらのすべての王国を打ち砕いて終わらせ,それ自体は定めのない時に至るまで続きます」。

啓示 19:17,18: 「わたしはまた,ひとりのみ使いが太陽の中に立っているのを見た。彼は大声で叫び,中天を飛ぶすべての鳥に言った,『さあ,来なさい,神の大きな晩さんに集まれ。王たちの肉,軍司令官たちの肉,強い者たちの肉,馬とそれに乗る者たちの肉,そしてすべての者,すなわち自由人ならびに奴隷および小なる者と大なる者の肉を食べるためである』」。

ヨハネ第一 2:16,17: 「すべて世にあるもの ― 肉の欲望と目の欲望,そして自分の資力を見せびらかすこと ― は父から出るのではなく,世から出る(の)です。さらに,世は過ぎ去りつつあり,その欲望も同じです。しかし,神のご意志を行なう者は永久にとどまります」。

啓示 21:8: 「憶病な者,信仰のない者,不潔で嫌悪すべき者,殺人をする者,淫行の者,心霊術を行なう者,偶像を礼拝する者,またすべての偽り者については,その分は火と硫黄で燃える湖の中にあるであろう。これは第二の死を表わしている」。

その滅びは永久的なものですか

マタイ 25:46: 「これらの者[キリストの『兄弟たち』に良い事を行なわなかった者たち]は去って永遠の切断に入り……ます」。

テサロニケ第二 1:8,9: 「神を知らない者と,わたしたちの主イエスについての良いたよりに従わない者(は)……永遠の滅びという司法上の処罰を受けます」。

それを生き残る人々がいますか

ゼパニヤ 2:3: 「地の柔和な者たち,神の司法上の定めを守り行なってきたすべての者たちよ,エホバを求めよ。義を求め,柔和を求めよ。恐らくあなた方はエホバの怒りの日に隠されるであろう」。

ローマ 10:13: 「『エホバの名を呼び求める者はみな救われる』のです」。

詩編 37:34: 「エホバを待ち望み,その道を守れ。そうすれば,神はあなたを高めて地を所有させてくださる。邪悪な者たちが断ち滅ぼされるとき,あなたはそれを見るであろう」。

ヨハネ 3:16: 「神は……ご自分の独り子を与え,だれでも彼に信仰を働かせる者が滅ぼされないで,永遠の命を持てるようにされたからです」。

啓示 7:9,10,14: 「わたしが見ると,見よ,すべての国民と部族と民と国語の中から来た,だれも数えつくすことのできない大群衆が,白くて長い衣を着て,み座の前と子羊の前に立っていた。彼らの手には,やしの枝があった。そして大声でこう叫びつづける。『救いは,み座に座っておられるわたしたちの神と,子羊とによります』。……『これは大患難から出て来る者たちで(ある)』」。

ハルマゲドンの際,幼い子供たちはどうなりますか

聖書はこの質問に直接には答えていませんし,わたしたちは人を裁く者ではありません。しかし聖書は,真のクリスチャンの幼い子供たちを神が「聖なる者」とみなされることをはっきり示しています。(コリント第一 7:14)聖書はまた,過去の時代に神が邪悪な者たちを滅ぼした際,その幼子たちも共に滅ぼされたことを明らかにしています。(民数 16:27,32。エゼキエル 9:6)神はだれが滅びることも望まれませんから,親と子供双方の益のために,いま警告を伝えさせておられます。親にとって賢明なことは,子供たちが今もハルマゲドンの時も神から好意の目で見られるような道を追い求めてゆくことではないでしょうか。

邪悪な者を滅ぼすことは神の愛に反していませんか

ペテロ第二 3:9: 「エホバは……ひとりも滅ぼされることなく,すべての者が悔い改めに至ることを望まれるので,あなた方に対して辛抱しておられるのです」。

ルカ 18:7,8: 「神は,日夜ご自分に向かって叫ぶその選ばれた者たちのためには,たとえ彼らに対して長く忍んでおられるとしても,必ず公正が行なわれるようにしてくださらないでしょうか。あなた方に言いますが,彼らのため速やかに公正が行なわれるようにしてくださるのです」。

テサロニケ第二 1:6,7: 『あなた方[神の僕たち]に患難をもたらす者に患難をもって報いることは,神にとって義にかなったことです』。

中立的な立場を取ることは可能ですか

テサロニケ第二 1:8: 「イエスは,[自ら好んで]神を知らない者と,わたしたちの主イエスについての良いたよりに従わない者に報復をするのです」。

マタイ 24:37-39: 「ちょうどノアの日のよう……です。……洪水が来て彼らすべてを流し去るまで注意しませんでしたが,人の子の臨在の時もそのようになるのです」。

マタイ 12:30: 「わたしの側にいない者はわたしに敵しており,わたしと共に集めない者は散らすのです」。

申命記 30:19,20と比較。

諸国家が神との戦争に至るような世界情勢へと進んでいるのはだれの影響力のためですか

啓示 16:13,14: 「わたしは,かえるのように見える三つの汚れた霊感の表現が,龍[悪魔サタン; 啓示 12:9]の口から,野獣の口から,偽預言者の口から出るのを見た。それらは実は悪霊の霊感による表現であってしるしを行ない,また人の住む全地の王たちのもとに出て行く。全能者なる神の大いなる日の戦争に彼らを集めるためである」。

ルカ 4:5,6; ヨハネ第一 5:19と比較。使徒 5:38,39; 歴代第二 32:1,16,17も参照。