この出版物の目的は，聖書に対する洞察を得られるよう読者を助けることです。それはどのようにしてなされていますか。まず，取り上げる論題ごとに，それと関連のある詳細な点が聖書のすべての部分から集められています。また，原語の言葉およびその字義通りの意味に注意が向けられています。一般の歴史や考古学上の調査，および科学の他の諸分野からの関連した情報も考慮し，聖書に照らしてそれを評価しています。視覚のための補助資料も収められています。そして，聖書の述べる事柄と調和して行動することの価値を認識できるよう読者を助けています。

聖書は，エホバ神が人間に対して行なわれた事柄を述べ，しかもそれを，現実の生活をありありと反映する文脈の中で行なっています。聖書は，人々や土地の名前を挙げ，それぞれの時代に生きた国民や支配者たちについて述べ，動物や植物の種類に具体的に言及しています。背景知識を深めることによって，そうした人々や事物について聖書の述べている事柄からいっそうの益を得られるでしょう。読者の助けとなるように，この「聖書に対する洞察」は，聖書に名を挙げられている3,000人以上の人物について情報に富む記事を収め，また合計97の国民･民族･部族に関する種々の事実を載せています。地理上の個々の場所について論じる記事は1,000を超え，各種の植物について96，鳥や動物について106の記事があります。さらに，聖書の他の多くの肝要な論題に関する記事があります。

聖書の各書には特別な注意が向けられています。個々の書の概要は，その筆者が発展させた主要な考えに注意を引き，読みやすく覚えやすい形にまとめられています。特に指示がない限り，この参考図書中に引用されている聖書翻訳は，「新世界訳聖書 ― 参照資料付き」，1985年日本語版です。これに加えて，他の40以上の翻訳からも参照もしくは引用がなされています。

視覚のための補助資料として数十枚の地図があり，その多くは，主要な場所をそれぞれの歴史上の時代に基づいて目立たせています。さらに，数多くの写真や図版があり，聖書の土地やそこで起きた事柄を思い浮かべるのに役立つでしょう。歴史上の重要な出来事を描いたさし絵も幾つかあります。それより多いのは，聖書の記録に関連のある，特定の場所また博物館の展示物の写真です。博物館展示物の写真その他の写真の提供に謝意を表して，その提供者の名は，第2巻，1310ページに挙げてあります。

詳細な解説記事では，聖書を書くためにもともと用いられたヘブライ語，ギリシャ語，アラム語について論じられています。個々の記事は，単に今日一般に用いられている言語でその語句がどのように理解されているかではなく，原語での対応する表現の意味にしたがって論議が展開されています。この出版物に示されている聖書の中の名称の意味は，その名称を構成する原語の語句が聖書の他の箇所で実際どのように用いられているかに基づいて説明されています。

聖書に関する質問の答えはどうすれば見いだせますか。（1）特定の聖書の表現の意味を知りたいと思われますか。あなたの質問は人物，場所，あるいは何かの特質に関するものですか。各記事は一般の国語辞典と同じ五十音順に配列されており，聖書に出て来る名称や表現は「新世界訳聖書」の訳し方にしたがっていることを念頭に置いてください。調べたいと思われる名称や論題が見出し語となっている記事を開いてください。必要な点がすぐに見つからないなら，第2巻の巻末にある事項索引を見てください。事項索引は，ときに思いがけないところに見つかる貴重な資料を正確に示すでしょう。（2）特定の聖句に関する説明が必要なら，第2巻にある聖句索引をまずご覧ください。

わたしたちの切なる願いは，この出版物を通してあなたが聖書の著者であられるエホバ神に対する感謝を深くされ，神のみ言葉の意味についてさらに深い洞察を得られることです。また，この出版物によってあなたがみ言葉の内容を生活にいっそう当てはめ，その肝要な真理を他の人々と分かち合うようになられることを真に願っています。