ドタン
(Dothan)
聖書中の二つの話に出て来る都市。ドタンは今日では,テル・ドータン(テル・ドタン)と同定されています。テル・ドータンは,サマリアの丘陵地とカルメル山脈との間の小さな盆地状の平原にある丘の上に位置しており,サマリアの北北東16㌔の所にあります。―第1巻,950ページの写真。
若いヨセフは,兄たちとその羊の群れを「ドタンで」見つけました。彼らは同市の北の牧草地にいたのではないかと考えられます。ギレアデ(ヨルダン川の東)と地中海沿岸ならびにエジプトを結ぶ道路がそこを通っていました。ヨセフを買い取った「イシュマエル人の隊商」が旅したのは,この道だったのかもしれません。―何世紀も後に,シリアの王はエリシャを捕らえるために重装備の軍勢をドタンに急派しました。この時,預言者の従者は恐れを抱きますが,奇跡的に目を開かれ,『エリシャの周囲の山地』,すなわちドタンがあったその丘かドタンのすぐ東,南,西にあった丘の上に,火のような,神の戦いの装備を見ます。(王二 6:11-17)都市を取り囲んでいたシリア人も周囲にあったこれらの丘に駐屯していて,エリシャが彼らに会いに都市の外へ出た時には,その丘から『下って来た』のかもしれません。しかし,敵の軍勢は奇跡的に一種の盲目状態にされ,害を及ぼすことがないようにされました。エホバはこのことを成し遂げるためにみ使いの軍勢をお用いになったのかもしれません。―王二 6:18,19。創 19:1,10,11と比較。