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どうしてわたしはこんなに内気なのだろう

どうしてわたしはこんなに内気なのだろう

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どうしてわたしはこんなに内気なのだろう

ある若い女性は新聞の相談欄で,「みんなから,とてもきれいだ,と言われます」と述べながらも,そのあと,「私には人と話す点で問題があります。話している時に相手の目を見ると顔が赤くなり,緊張してものが言えなくなってしまいます。職場ではだれとも話をしないので,私のことを,いやに“お高くとまっている”と言っているのを幾度か耳にしました。……お高くとまっているのではないのです。ただ内気なのです」と語っていました。

ある調査の示すところによると,回答者の80%はかつて内気だった時期があり,40%は今でも自分のことを内気だと考えています。実際,内気は非常に古い時代から人間に共通に見られます。聖書によるとモーセは,イスラエル国民の前で神の代弁者として行動することを恥ずかしそうに辞退しました。(出エジプト記 3:11,13; 4:1,10,13)また,キリストの弟子のテモテも内気なところがあり,率直に発言して自分の権威を正しく行使することに気後れを感じていたようです。―テモテ第一 4:12。テモテ第二 1:6-8

内気とは何か

内気で恥ずかしがるということは,知らない人,権力者,異性,あるいは同僚であっても,人々が周りにいると落ち着かない気持ちになることです。これは自分を強く意識することで,本人にさまざまな影響があります。ある人はあがります。目は下を向き,心臓はどきどきし,何も話せなくなってしまいます。また,落ち着きを失って,のべつ幕なしに話し始める人もいれば,大きな声で自分の意見や好みを述べるのを難しく感じる人もいます。

しかし,ある程度内気であることには実際にプラスの面もあります。内気は慎みや謙遜さに似ています。神が求めまた推称される事柄の一つは,『慎みをもって神と共に歩むこと』です。(ミカ 6:8)思慮深く控え目に見え,高圧的でなく,過度に攻撃的でもないということには,さらに別の益があります。内気な人は多くの場合良い聞き手として高く評価されます。しかし,内気であることが足かせになって,自分の潜在能力が十分に発揮できず,他との関係や仕事や感情面に良くない影響があれば,それは何とかすべき時です。

それにはまず問題を理解することから始めるのがよいでしょう。(箴言 1:5)内気はひととなりの表われではなく,人の行動,種々の状況に対する反応,自分が習得しかつ他の人々と接する経験を通して一層強くなった行動パターンなどの表われです。自分は人からよく思われていない,嫌われている,とあなたは考えています。他の人たちのほうが自分よりも優れている,あるいは正常だと考えています。人と付き合うようにしてみたところで,全然うまくいかないだろうと考えています。物事がうまくいかないことを予想するのです。ですから多くの場合うまくいきません。すっかり緊張して,自分が思い込んでいるとおりに行動するからです。

内気があなたの生活に及ぼす影響

引っ込みがちで物をはっきり言わなかったり,自分のことに夢中になって他の人に注意を払わなかったりすると,お高くとまっているとか,よそよそしい,退屈な人間という印象や,ぼんやりしている,無知だといった印象まで与えるかもしれません。自分のことばかり気にしていると,話されている事柄に集中するのが難しくなります。そのため,与えられている情報にそれほど注意を払わなくなります。そうなると,一番恐れていること,つまり自分が愚かに見えるという結果が生まれます。

実際のところそれは,内気という牢獄の中に自分を閉じ込めてかぎをかけ,そのかぎを捨ててしまった状態です。いろいろな機会があっても逃してしまいます。本当は欲しくもない品物を受け取ったり,望んでもいない状況を受け入れたりします。それもみな,自分の意見をはっきり言い表わすことを恐れるからです。人々に会って新しい友達をつくる喜びや,自分の人生を豊かにする事柄を行なう喜びを得損ないます。しかし,他の人々も得損なうのです。彼らは本当のあなたを知ることはないのです。

内気な傾向を克服する

時間をかけて努力すれば,態度を変えることはできます。まず,相手から評価されているかどうかについて心配しないようにします。多分その人は自分自身のこと,また自分が言うことやすることなどを考えるのに忙しくて,それどころではないでしょう。しかし,もしその人が,あなたをからかうような子供っぽいことをすれば,問題はその人にあるということを理解しましょう。「自分の隣人をさげすむ者は分別に欠けている」のです。(箴言 11:12,改訂標準訳)友達にするだけの価値のある人たちは,外見によってではなく,ひととなりによって人を判断します。

積極的な考え方をするようにも努力しましょう。完全な人は一人もいないのです。わたしたちにはみな長所と短所があります。物の見方は様々であり,好き嫌いも異なるということを忘れないでください。あなたと違う意見を持っていても,それはあなたを人間としてつまはじきするということではありません。

また,他の人たちを公平に評価するようにしましょう。以前内気だったある青年は語りました。「私は自分について二つのことを発見しました。……第一に,あまりにも自己中心的でした。自分自身のことを考えすぎていたため,自分の言ったことを人がどう思うか心配でした。第二に,他の人の動機は悪いと決めてかかっていました。他の人を信頼せずに,彼らは私を見下すだろうと考えました」。

この青年はエホバの証人の集会に出席しました。「私がそこで聞いた話は本当にためになりました」と,思い出して語りました。『講演者が指摘したのは,愛は外向的であり,愛があれば,人の一番悪いところではなくて一番良いところを考える,という点でした。それで私は,人々の動機は悪いと決めてかかるのをやめ,「人々は理解してくれる,親切にしてくれる,思いやりを示してくれる」と,自分に言い聞かせました。私は人を次第に信頼するようになりました。中には私を誤解する人たちがいるかもしれないことは分かっていましたが,それはもうその人たちの問題なのだと考えるようになりました』。

「積極的に愛を示し始める必要のあること ― 他の人たちにもっと近づく必要のあることも学びました」と,青年は説明します。「まず若い人たちを対象にそれを実行してみました。後には他の人たちの家を訪問するようになりました。そしてその人たちの必要を敏感に感じ取ること,また人を助けるという観点から考えることなどを学びました」。こうして青年は,ルカ 6章37節と38節にあるイエスの助言の真実さを認めるようになりました。「裁くのをやめなさい。そうすれば,あなた方が裁かれることは決してないでしょう。また,罪に定めるのをやめなさい。そうすれば,あなた方が罪に定められることは決してないでしょう。……いつも与えなさい。そうすれば,人々はあなた方に与えてくれるでしょう。……あなた方が量り出しているその量りで,今度は人々があなた方に量り出してくれるのです」。

事を始める

人と打ち解ける ― つまりあいさつをして会話を始めるようにしましょう。天気の話のような簡単な会話でも構いません。でも忘れないでください。あなたの側の責任は50%しかないのです。あとの半分は相手の側にあります。言い方が少々まずくても気にしないことです。相手が笑えば自分も一緒に笑うようにします。「うまく言えませんでしたが」と言えば気持ちは楽になり,会話を続けることができます。

楽な気持ちでいられる服装がよいでしょう。しかし清潔でプレスのきいたものを身に着けるよう気を配ります。自分の服装はきちんとしていると感じていれば,服装についての心配はずっと少なくなるため,その場の会話に注意を集中できます。背筋を伸ばして立ちますが,気分を楽にし,にこやかで感じのよい態度を保ちます。そしていつも親しみやすいまなざしで相手を見,相手の話にうなずき,また相づちを打ちます。

人前でのスピーチとか就職面接など,難しい状況に面する時には,できるかぎりよく準備して臨みます。言うことを前もって練習します。話し方の問題も,やはり練習によって克服するか,あるいは小さくすることができます。どんな技術にせよ,新しい技術を習得するには時間がかかりますが,これにも同じように時間がかかります。しかし良い結果が見られると,一層の成功を目指すようさらに勇気づけられます。

見過ごすべきでないのは,神が与え得る助けです。古代のイスラエル国民の最初の王であったサウルは,初めは痛々しいほど内気でした。(サムエル第一 9,10章)しかし,戦闘を開始すべき時が来ると『神の霊がサウルの上に働き』,サウルは人々を勝利に導きました。―サムエル第一 11章

今日,クリスチャンの若者たちは,他の人々が神や神の約束された義の新しい世について学ぶよう助ける責任を担っています。(マタイ 24:14)この良いたよりを携え,宇宙の最高主権者の代理として働くということは,若い人々に自信を与え,自分に注意を集中しないようにする助けとなるに違いありません。そして神に忠実に奉仕すれば,神の祝福を得,内気な傾向を克服するよう神が助けてくださることを確信できます。

討論のための質問

□ 正確に言えば内気とは何ですか。内気な人は人前でどのように振る舞いますか。あなたにもある程度そのようなところがありますか

□ 内気な人は他の人たちが周囲にいるとなぜ自信を失いますか

□ 内気な人はそのためにどのように損をすることがありますか

□ 内気な傾向を克服するどんな方法がありますか。それらの提案で,あなたに役立ったものがありますか

[121ページの拡大文]

内気な人は友情や機会を得損なう

[124ページの囲み記事]

内気な傾向は次のようにして克服できる

自分が変化することを望み,その変化が実際に可能であることを信じる

消極的な考えを捨てて積極的に行動する

現実的で有意義な,自分に合った目標を定める

くつろぐ方法や心配を処理する方法を見つける

ある場面を前もってよく練習する

徐々に進歩を経験することによって自信を得る

さまざまな意見があることや,他の人たちも間違いをするということを忘れないようにする

技術をみがき,新しい技術を身につけるようにする

他の人たちに愛を示し,助けを差し伸べる

趣味のよい服装をし,自信をもって行動する

神が与えてくださる援助に頼る

クリスチャンの集会に出席して参加し,自分の信仰を他の人たちと分かち合う

[123ページの図版]

自分は人からばかにされている,と内気な人は想像する

[125ページの図版]

人と打ち解ける ― つまり笑顔を見せ,あいさつをし,会話を進めるようにする