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全世界の報告

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アジアと中東

国や地域の数: 47

人口: 38億9,618万2,946人

伝道者数: 58万2,360人

聖書研究の数: 45万3,069件

キルギスタン: 補助開拓者のスベトラーナが何度訪問しても,区域内の1軒の家はいつも留守でした。ある日,その家の前を通りかかった時のこと,スベトラーナは,だれもいないから訪問しても無駄だろうと思いましたが,気を取り直して立ち寄ってみました。すると驚いたことに,若い女性が出てきました。その女性はエホバの証人に会えて大喜びし,以前に聖書研究をしていたが,その後,兄弟たちと連絡が取れなくなったと言いました。スベトラーナが,雑誌を定期的にお受け取りになりたいですかと尋ねると,女性は,雑誌だけでなく定期的な聖書研究をお願いしたいと答えました。すぐに研究が始まり,今ではクリスチャンの集会に出席しています。

日本: ビジネス街で奉仕している二人の姉妹が,弱者救済で有名な弁護士事務所を訪問しました。応対した女性は,忙しいと言って,話を聞こうとしませんでしたが,雑誌は受け取りました。次にようやく会えた時,その女性は一人きりでした。姉妹たちがあいさつする間もなく,女性はとげとげしい口調で,「何の罪もない子どもたちが殺されているのはなぜ。こんな世の中なのはなぜなの。納得のいく答えがあるなら,説明してちょうだい」と言いました。しかし,それから1時間ほど宇宙主権の論争について話し合っているうちに,女性の態度が変わっていきました。そして,だれも答えることができないと思っていた疑問に姉妹たちが聖書から答えてくれたことを感謝し,別れ際に姉妹たちに自宅の住所と電話番号を渡して,こう言いました。「普段はごく親しい人にしか教えないけれど,あなたたちは特別よ。また話したいわ。こういう話は,普通のことではないから」。そして,聖書研究が始まりました。

ネパール: ある女性は長いこと教会に通っていましたが,教会員の貪欲さや言い争いを目の当たりにして,幻滅していました。夫は牧師でしたが,寄付をめぐる争いが起きて免職され,酒浸りになり,家族を扶養しなくなってしまいました。女性は必死に真理を求め,来る日も来る日も祈っていました。そして,家族を養うために古紙回収所で働き始めました。ある日,本や雑誌や新聞を仕分けていると,「唯一まことの神の崇拝において結ばれる」の本が目に留まり,服の中に隠して自宅に持ち帰りました。その本を毎日読み,ずっと祈りもささげていました。そんなころ,特別開拓者のビシュヌという姉妹がドアをノックしました。女性はビシュヌの話が気に入り,家に招き入れました。そして,ビシュヌの話と本の内容が似ていると思うようになり,本を出してきてビシュヌに見せ,それが同じエホバの証人の本であることを知って喜びました。今では定期的に聖書を学び,子どもと共にすべての集会に出席しています。

スリランカ: プンチバンダはまだ伝道者になっていませんでしたが,非公式に王国の音信を伝えたいと思いました。プンチバンダが話しかけた物ごいの男性は,病気を患って亡くなった長女の話を始めました。奇跡的ないやしを期待して一緒にアセンブリーズ・オブ・ゴッド教会へ行ったが,何も起きなかった,とのことです。プンチバンダは,神は今いやしを行なわれないことと,神の王国の下で病気が治ることを説明し,その点を扱った雑誌を渡しました。そして,王国会館へ来るよう招待しました。男性は家に帰ると,招待されたことを家族に話し,雑誌を見せました。すると妻が,自分も雑誌を受け取って王国会館に招待されたことがあると言いました。男性は,まず自分一人で行ってみることにし,王国会館で兄弟姉妹から温かく歓迎されました。現在では,妻,息子,二人の娘と共に集会に出席し,エホバの民との交友を楽しんでいます。

レバノン: フィリピン出身の特別開拓者の姉妹は,こう述べています。「街路証言をしている時,フィリピン人の女性にお会いしました。そして,その方の職場を訪ねて,聖書研究を司会するようになりました。その方は知りたいことがたくさんあり,まだわたしが答え終わらないうちに次の質問をなさることもありました。しかし,同じ教会の熱心な成員である親しい友人たちから反対を受けるようになりました。くじけないように励ましましたが,残念なことに反対に負けて,聖書の勉強をやめてしまわれました。でもわたしは,『羊のような人なら,いつか研究を再開するはず』と自分に言い聞かせました。1年後,まだその方のことが気にかかっていたので手紙を書こうと思い立ち,その方を気遣っていることと,またお会いしたいことを伝えました。すると電話をくださったので,お訪ねしたところ,前よりも関心が高まっているようでした。以前に話し合った事柄が心の中に残っており,それをとても大切にしておられました。そして,いろいろな教会に行ったけど,真理を教えてくれるところはなかったとおっしゃいました。研究を再開して進歩し,今ではバプテスマを受けた姉妹です。12歳の息子さんも,バプテスマはまだですが,伝道者になっておられます」。

インド: ある姉妹はこう書いています。「家から家の奉仕をしている時,一人の少女がわたしたちを見て家に入ったのに気づきました。その後,お会いした男性から帰れと言われ,その場を去ろうとしている時,先ほどの女の子がその男性と話しているのが見えました。バスを待っていると,その女の子が自転車に乗ってやって来て,こう言いました。『エホバが本当の神様だということを知っています。わたしに聖書を教えてください。家に入って皆さんをお迎えしたいと思ったんですけど,家主が駄目だと言うんです』。そこで,どうしてエホバが本当の神様だと思うのかと尋ねると,いきさつを話してくれました。2年前に,バスで旅行している時にクリスチャンの大きな集まりのようなものを見かけたそうです。エホバの証人の地域大会でした。それで,この子はバスから降り,3日間ずっと大会に出席しました。そして,エホバの証人が来てくれることをずっと待っていたのです。関心のほどが分かったので,ある姉妹の家に一緒に行って,聖書研究を始めました。定期的に集会に出席するようになり,霊的によく進歩しています」。

アフリカ

国や地域の数: 56

人口: 7億8,176万7,134人

伝道者数: 101万5,718人

聖書研究の数: 182万540件

ウガンダ: エホバの証人のルーシーは,大きな調剤所で働いています。ある時,同僚たちと一緒に呼び出され,無実を誓うようにと言われました。会計検査によって多額の不足が明らかになったのです。同僚は次々と聖書に手を置いて,自分は関与していないと誓います。自分の番になったルーシーは,誓う代わりに箴言 15章3節を開き,「エホバの目はあらゆる場所にあって,悪い者と善い者とを見張っている」と読み上げました。室内は静まりかえり,やがて真犯人が上司のところに行って白状しました。上司はみんなに,これからは「ルーシーの聖句」を忘れないようにと言い,その後,ルーシーの給料は増え,調剤所の鍵をゆだねられるようになりました。

ベニン: ジョズエは学校で,あざけりの的になっていました。授業中に間違った答えをした時には,クラスメートから,「エホバの司祭様ともあろうお方が,どうして間違えるんだ」,「かばんを抱えて歩き回ってばかりいるからさ」などと,からかわれました。

ジョズエはこう言います。「週末に奉仕に行く時は,クラスメートに会うのではないかとびくびくしていました」。それで,そのことについて祈り,長老に相談しました。長老は,むしろ攻めに転じて,野外奉仕の時間を増やし,クラスメートに堂々と文書を提供するように,と励ましてくれました。ジョズエは,三つの成果があったと述べています。「今では,機会あるごとに補助開拓奉仕をしています。冷やかしていたクラスメート二人との聖書研究も行なっています。成績もずっと良くなりました」。

エチオピア: 2年ほど前,運転免許証を拾ったアスナケクは,持ち主に会って返すことにしました。持ち主のエルサという女性はアスナケクの正直さに感心し,お礼としてお金を渡そうとしました。アスナケクはお礼を受け取る代わりに,「神はわたしたちに何を求めていますか」のブロシュアーを渡しました。エルサは翌日から聖書研究を始めましたが,エホバというお名前を聞くのは初めてではないと言いました。司祭である父親から,み名について聞いていたからです。エルサの家族全員が地域大会に出席し,夫も聖書研究を始めました。しかし,司祭である父親はそれを聞いて激怒し,エホバの証人はろくでなしだと言いました。エルサは研究を続ける決意を固めていたので,敬意をこめて父親に,エホバの証人は決してそのような人たちではない,と話しました。ショックを受けた父親は,エルサの「求め」のブロシュアーをこっそり持ち出して,何度も読みました。そして,内容に感銘を受け,その後は,通りがかりの人にいつものように祝福を与える際に,三位一体の名は用いなくなりました。そのため,「背教者」のレッテルを貼られ,暴行を加えられそうになりました。それで,父親はアディスアベバに移転し,そこで聖書研究を始めました。エルサおよび家族の7人はバプテスマを受けた証人になり,夫と子どももよく進歩しています。

コートジボワール: アンダーソンは,いつも聖書を読んでいる店の主人に「神はわたしたちに何を求めていますか」のブロシュアーを提供しました。やがて聖書研究が始まり,その男性は特に,「神に喜んでいただける家族生活」という部分に目を引かれました。こう述べています。「夫と妻のそれぞれに役割があるとは思っていませんでした。夜遅く帰宅しても,妻からとやかく言われるのは我慢できませんでした。それでよく,『おれは男だ。出かけたい時は出かける。家のことは女房のお前がやれ』と言っていました。今では,仕事が終わるとすぐに家に帰り,家事を手伝っています」。

ケニア: 小学2年生の7歳の男の子が,もうすぐ巡回監督の訪問があると聞きました。それで,訪問の1週間前に校長先生のところに行き,火曜日午後の集会に出席するための許可を求めました。許可はもらえましたが,翌日,学校に行くと,両親とその監督を連れて来るように言われました。それで,父親と一緒に巡回監督が学校に出向きました。校長は,監督が本当にやって来たのでびっくりしました。急な上り坂を1時間以上も歩いて校長に会いに来たからです。校長は文書を受け取り,それ以降,とても親切で協力的です。

マラウイ: ある兄弟は,野外奉仕の時によく,ある男性から嫌がらせを受けていました。兄弟が伝道しているのを見ると,わざわざ自転車を止めて,議論を吹きかけるのです。兄弟の聖書を取り上げようとしたこともあります。ある日,兄弟が聖書研究を司会しているところに,その人が通りかかりました。そして,自転車の何かを調節しようとして前輪のスポークに手を挟まれ,指にひどいけがを負ってしまいました。やじ馬はだれも,激痛に耐えるその人を助けようとしません。ただその兄弟だけが,親切に指を布でくるみ,病院へ行く手配をしてくれました。後日,兄弟がその男性の家を訪ねると,男性はこれまでの行ないを恥じ,デマにだまされてあんなことをしていたと述べ,さらにこう言いました。「あなたたちは唯一の本当の神を崇拝しているんですね。わたしがあんなひどいことをしたのに,これほど親切にしてくださるとは思いもしませんでした」。

カメルーン: 込み合う病院の待合室で若い姉妹が座っていると,病気の老人が入ってきました。いすは全部ふさがっており,その男性は立っていなければなりません。その時のことを姉妹はこう述べています。「お気の毒に思い,席を譲って差し上げました。すると,待合室の中がざわつきました。席を譲ると,診察の順番も譲ることになるからです。一人の女性から,あなたはどの宗教なのと尋ねられたので,エホバの証人ですと答えました。その方は,こんな立派なことをする若者はめったにいないと言って,褒めてくださいました。それで,持っていた幾つかのパンフレットを用いて,その方や他の方たちに証言し,たくさんの質問にも答えることができました。エホバの証人に対する見方を変えて,訪問を望む方もおられました」。

トーゴ: ある若者は,孤立した区域で奉仕していた兄弟たちに出会って大喜びし,2冊のノートを見せました。ノートには,「あなたは地上の楽園で永遠に生きられます」の本の全部と,『すべてのことを確かめよ』の本の一部が書き写されていました。その2冊の本を見つけたのは,以前に住んでいた福音派の牧師の家でした。そこには本棚が二つあり,一方には牧師のお気に入りの本が,もう一方には“無価値な”本が入っていました。エホバの証人の本が入っていたのは後者の本棚です。若者は,そのうちの1冊を数ページ読んだだけで内容に心を奪われました。しかし,本を持ち出すことはできず,どこで手に入るのかも分からなかったので,書き写すことにしました。読んだ事柄について他の人に話したところ,母親と牧師から反対を受けるようになりました。兄弟たちはその若者に文書を渡し,霊的に進歩するよう援助しています。

南アフリカ: タンディーという姉妹は,夫婦仲がうまくいっていないベラという同僚の相談に乗るよう,雇い主から頼まれました。ベラは,警察官である夫から身体的また感情的に虐待され,離婚を決意していました。タンディーは,「幸せな家庭を築く秘訣」の本を2冊渡し,1冊は夫に渡すようにと勧めました。1週間後,ベラに話しかけたところ,夫はその本を読んでおり,家庭に安らぎが生まれたとのことでした。3か月後にはベラから,神様が祈りと「幸せな家庭」の本によって自分たち夫婦を救ってくださったという報告を受けました。このことを聞いた雇い主は,全社員2,000人にその本を推薦しました。これまでにタンディーは「幸せな家庭」の本を96冊同僚に配布しています。そして会社から,エホバの証人の世界的な業への寄付を受け取りました。

南北アメリカ

国や地域の数: 56

人口: 8億7,907万3,403人

伝道者数: 319万9,835人

聖書研究の数: 302万2,276件

ベネズエラ: あるエホバの証人の家族は最近,家に新しい電話を引き,それに伴って新しい番号をもらいました。しかし,技術的な問題が原因で,人々が女性占星術師と話すために地元のテレビ局に電話をかけると,この家につながるようになりました。それで,家族はその状況を最大限に活用することにしました。「聖書から論じる」の本を用いて,かけてきた人に伝える情報や幾つかの聖句を準備したのです。母親のグラシエラは応対に熟練するようになりました。ある日,こんな電話がかかってきました。「もしもし,星の女神様ですか」。

「わたしはグラシエラですが,どちら様ですか」。

「カルメンです」。

「カルメンさん,どうして星の女神とお話しになりたいんですか。何か助けやアドバイスが必要でしょうか」。

カルメンは個人的な問題について話し始めました。グラシエラは温かい口調で,最善のアドバイスをどこから得られるかを説明し,聖句を幾つか読み,こう尋ねました。「今も将来も,確かな導きが必要なら創造者に求めるほうがよいと思われませんか」。するとカルメンは,かつてエホバの証人と聖書を勉強していたことを打ち明けました。それで,勉強を再開することが取り決められました。その後もグラシエラの家族は,助けを求める多くの人と話しました。しばしば良い証言ができ,証人たちが訪ねて来た時に話を聞くように勧めたり,地元の王国会館の場所を教えたりしました。

コロンビア: 2005年の3月,カリに住む姉妹の車が盗まれ,数日後に見つかりました。姉妹と未信者の夫は,車の所で警察の到着を待ちましたが,なかなか来ないので車を持って行くことにしました。ところが,その車が犯罪に使われていたため,警察に止められて逮捕され,刑務所に送られてしまいました。姉妹は刑務所に入るとすぐさま宣べ伝え始め,わずかの間に数件の聖書研究を始めました。研究生の一人は釈放されましたが,姉妹がここから出たらすぐに研究を続けてほしいと頼みました。また,同棲していた男性には,神に喜んでいただくために結婚したいと言いました。

姉妹は少し前に,伝道する時間をもっと見いだせるように祈っていましたが,まさか刑務所の中でとは思ってもみませんでした。刑期を短くできるとも言われましたが,エホバに守られていると感じましたし,宣べ伝えることに満足していたので,断わりました。姉妹と夫は刑務所で45日間過ごした後,自由にされました。姉妹は,信仰が強まったと言います。その間,夫は兄弟たちの訪問と援助を受けました。それまで20年間ほとんど霊的なことをしていませんでしたが,集会に出席するようになり,聖書を勉強したいと言いました。姉妹は現在,刑務所を定期的に訪ねて女性の囚人との聖書研究を4件司会しています。エホバが祈りにこたえてくださり,実に多くの方法で祝福してくださったことに感謝しています。

ブラジル: 2年前まで,目の不自由なレニルドという男性は,自分の町や近くの都市の市場でよく物ごいをしていました。障害年金の足しにするためとはいえ,物ごいはかなりの収入源になりました。それでレニルドは,車や家や立派な家具を持ち,その貧しい地域では庶民がふつう手にしないほどたくさんの食べ物を買うことができました。しかし,エホバの証人と聖書を勉強して徐々に霊的な人生観を持つようになり,勇気のいる決断を下すよう動かされました。少ない収入でやっていくため家族として何ができるかを妻と3人の子どもと話し合った後に,物ごいをやめたのです。レニルドとその家族はやがて霊的な進歩を遂げ,地域大会でバプテスマを受けました。現在,レニルドは物ごいとしてではなく,良いたよりの熱心な伝道者として知られており,野外奉仕に月平均40時間をささげています。

エクアドル: ある開拓者がレストランのオーナーに中国語の雑誌を定期的に届けていました。その人のもとに同業の友人が訪ねて来ました。その友人は雑誌を見つけて読み,とても関心を持ったので,香港<ホンコン>支部に手紙を書き,さらに雑誌と聖書と「エホバに近づきなさい」の本を求めました。また,聖書研究も依頼しました。香港支部はエクアドル支部と連絡を取り,間もなく開拓者たちが依頼の文書を持ってその関心のある男性の家を訪ねました。4日後,開拓者たちは再び訪問しました。男性は文書を読んだでしょうか。こう述べました。「創世記から読み始めてエゼキエル書までいきましたが,分からないことが幾つかあります。エホバはなぜ,わたしたち人間にそんなに良くしてくれるのですか。すべてはエホバのものなのに,どうして人類を助けるためにそれほどまでしてくださるのですか。エホバにとってどんな得になるのでしょう」。聖書研究が始まり,男性はすぐに集会に出席するようになりました。たばこもカジノ通いもやめました。そして,集会に行くために店を早めに閉めることさえしています。この男性は現在,バプテスマを受けていない伝道者になるまでに進歩し,国内の中国語を話す人々を助けたいという地元の兄弟たちに中国語を教えています。

ホンジュラス: 2005年1月,グアテマラでフロルという名の姉妹が,サーカスでピエロをしている15歳のセバスティアンに非公式に伝道しました。セバスティアンは関心を示しましたが,話す時間がほとんどありませんでした。ところがある日,大きなテントのてっぺんから落ち,ギプスをはめて寝ていなければならなくなりました。それで,霊的な事柄について考える時間がたっぷりできました。フロルは毎日訪ねて,セバスティアンのいろいろな質問に答えました。しばらくして,綱渡りをする母親のドリスも関心を示し,聖書を学ぶようになりました。ブランコ曲芸師のダリラと,かつて証人たちと勉強していた踊り子のソフィアも,娘たちと共に研究に加わりました。それで,グループは7人に増えました。フロルは,その全員との研究を2か月間,週に5回から7回司会しました。

サーカスがホンジュラスへ移動する時となり,フロルはグループの皆に,行く先々の町で証人たちを探し,ぜひとも研究を続けて集会に出席するようにと励ましました。一行がコパンという町に着くと,その地域で奉仕している特別開拓者たちによって聖書研究が再開されました。グラシアスに移動すると,今度は別の特別開拓者が研究を司会しました。サンタ・ローサ・デ・コパンに移動することになった時は,宣教者の夫婦が,これから3週間研究を見てほしいという電話を受けました。

それは一風変わった研究で,7人から10人がサーカスの大きなテントに集まります。週に2回研究し,皆よく準備して臨んでいます。そのうちの最年少はフリエッタという名の9歳の少女で,ブランコ曲芸師です。集会のある時は大抵,ショーの始まる時間に間に合うようすぐに帰って大急ぎで衣装に着替えなければなりませんが,皆喜んで努力を払っています。

オセアニア

国や地域の数: 30

人口: 3,523万7,787人

伝道者数: 9万3,961人

聖書研究の数: 4万7,864件

ニュージーランド: セシリアという名の若い姉妹が昼休みに,聖書に基づくブロシュアーを読んでいました。すると,職場の同僚から,どんな内容か尋ねられました。セシリアが説明していると,上司を含む15人が集まって来て耳を傾けました。上司はあとでセシリアをオフィスに呼び,聞いた事柄に感銘を受けたと言いました。そして,食堂が聖書討議の場所として用いられることを従業員に伝え,食べる時間と討議の時間を持てるようにセシリアの昼休みを30分から1時間に延ばしました。4週の間,そうした討議に9人から15人が出席しました。現在,そのうちの二人の女性が聖書を定期的に研究して良い進歩を遂げており,家族や友人に証言しています。

ツバル: 「ベテル」を意味するペテリという名の14歳の少女は,ほとんど耳が聞こえません。親戚にエホバの証人がいて,何度か集会に出席しましたが,耳が聞こえず読むこともできないので,あまり益を得られませんでした。ペテリは自分から進んで読唇術を学びました。最近,デールという宣教者の姉妹がこの少女と,「地上での生活を永遠に楽しんでください」のブロシュアーを用いて研究するようになりました。デールは,挿絵を用いて聖書について教え,本文を使ってペテリが読み方を学べるように助けました。これはとりわけ大変でした。デールは新しい宣教者でツバル語をまだ学んでいる最中でしたし,ペテリは正しく発音するための舌の動かし方を学ぶのに助けを必要としていたからです。ペテリは熱心で勤勉です。わずか3か月で読めるようになってきました。ペテリとデールは集会で注解するために一緒に準備します。ペテリは前もってよく練習し,自信を持って集会で注解します。話し手の唇の動きに集中できるよう,王国会館では最前列に座ります。デールはこう書いています。「ペテリにとってエホバは真の友になりつつあります。『耳の聞こえない者の耳も開けられる』時の話になると,彼女の目にはよく涙があふれます」。―イザ 35:5

サモア: 開拓者のエレナ姉妹はメソジスト派の女性と聖書研究をしていました。その女性の家は地元の牧師の家の向かいにあり,研究は壁のない側で行なわれたので牧師から丸見えでした。ある日,研究をしていると,牧師がやって来ました。聖書研究生が用件を尋ねると,牧師は「うちの子豚を捜しているんだ。1か月近く見ていないんでね」と答えました。それからエレナの方を向いて,「うちの子豚が何で逃げたか,知っているかい?」と尋ねました。エレナは牧師が文字どおりの子豚について話していると思い,いつも同じようなえさを与えているから逃げたのではないかと述べ,何かほかのものを与えたらどうかと提案しました。すると驚いたことに,牧師は聖書研究生を指さして,「彼女がうちの子豚だ! お前がわたしから盗ったんだ。こんな勉強はすぐにやめて,もう二度としないように」と言いました。(サモアの村で教会の牧師は絶大な力を持っています。)女性は泣き出しました。エレナは彼女を落ち着かせようとし,聖書を勉強する人にこうしたことが起こることは聖書に予告されていると説明しました。

エレナは予定を調整し,研究の日時や場所を変えるようになりました。こう説明しています。「開放的なサモアの家の正面側ではなく,奥の小部屋に移って研究をしました。そこはとても暑い場所でしたが,少なくとも研究を続けることはできました。そうしたことが2か月続きました。するとある日,始めの祈りの後,牧師が不意にやって来ました。研究をやめさせるために来たのだと思いましたが,前とは様子が違っていました」。

牧師は研究に同席し,質問さえしました。そして,研究の後,女性の方を向いてこう言いました。「話したいことがあるんだ。ゆうべ町に行ったんだが,帰りに別の村の近くで車が故障してしまってね。若い夫婦と若い男性が来て,車を直すのを手伝ってくれた。でも,車が動かないので,家まで送ると言ってくれて,車は彼らの家に置かせてもらったんだ。彼らの車に乗り込んだら,『ものみの塔』や他の出版物が目に入った。それで,この人たちはお宅に来ている人と同じ教会の人たちではないかと思い始めたんだ」。

女性はすかさず,「そのとおりです。それはエレナさんの子どもたちです」と答えました。牧師は謝り,こう言いました。「今やっていることを続けなさい。エホバの証人がとても親切で良い人たちだと分かった。わたしの言ったことを許してほしい。このような教育は,うちの教会の人が態度を変えるのに役立つだろう」。その日以後,姉妹たちは家の奥の暑苦しい小部屋ではなく,壁のない涼しい正面側で研究をしています。牧師から丸見えですが,あれから一度も邪魔されていません。

サイパン: この島で,ヘレンという名の女性が神の王国の真理に深く心を動かされました。ヘレンは宣教者の助けを借りながら聖書を勉強し,学んでいる事柄に対する感謝を表わしたいと思いました。それで,ある日の研究の終わりに,小さな布袋を宣教者に渡し,「多くは持っていませんが,これを宣べ伝える業への寄付として差し上げたいと思います」と言いました。袋の中には,故郷のポーンペイ島で採れた一粒の美しい真珠が入っていました。ヘレンは,真珠を売ってそのお金を寄付してほしいと言いました。真珠はたいへん質の良いもので,宝石店のオーナーは喜んでそれを100㌦(約1万1,000円)で買いました。幾ら寄付するかを決められるよう,お金はヘレンに渡されましたが,ヘレンは「どうぞ全部寄付箱に入れてください」と言って,受け取りませんでした。惜しみなく与えるよう,この女性を動かしたものは何だったのでしょうか。イエスが述べたたとえ話にあるように,ヘレンは王国の希望というもっと価の高い真珠を見つけたのです。―マタ 13:45,46

ヨーロッパ

国や地域の数: 46

人口: 7億3,153万6,437人

伝道者数: 149万8,142人

聖書研究の数: 71万7,797件

ベラルーシ: パベルとマーヤという特別開拓者の夫婦が,開拓奉仕学校に出席していました。ある晩,この夫婦は散歩に出かけることにしました。伝道する計画があったわけではありませんが,「あらゆる国の人々のための良いたより」の小冊子を持って行きました。途中,2人の外国人男性を見かけたので,証言することにしました。そして,彼らがパキスタンから来ていて,ウルドゥー語を話すことが分かりました。夫婦は小冊子を持っていたのを思い出し,それを渡して読むように勧めました。2人のうちの1人が関心を示し,聖書研究に応じ,その同じ週に会衆の集会にも来ました。その人はエホバの民と交わって非常に励まされ,こう言いました。「ミンスクに3年いますが,本物のクリスチャンに会ったのはこれが初めてです」。この人は今も聖書研究を続けています。

イギリス: 長老のリチャードは目が不自由で,アービンという名の盲導犬を飼っています。アービンはリチャードが訪れる場所をすべて覚えるよう特別の訓練を受けていたため,家から家の宣教が問題となりました。リチャードが犬の提供元に事情を伝えると,この種の宣教はアービンにとって難しすぎるとのことでした。それで,アービンをビジネス街の奉仕に連れて行くように勧められました。ビジネス街であれば,定期的に訪れるさまざまな場所に犬が慣れるからです。リチャードはそれまでビジネス街での奉仕に少し気後れを感じていましたが,アービンの助けでやがてこの奉仕に熟達するようになりました。

ハンガリー: ある巡回監督はこう報告しています。「2004年の5月,庭仕事をしていたチャバという名の男性に会いました。この人は教会の信徒代表委員会のメンバーでした。短い会話を交わした後,わたしたちはその場を去りましたが,2日後に『知識』の本を持って再び訪問し,聖書研究を始めました。帰り際に,男性はストーブの調子がおかしいと言いました。それで,わたしはこの種の修理が得意な兄弟を知っているのであなたの電話番号を教えておくと伝えました。関心を高めるために兄弟たちが次に訪問すると,男性は本を返し,研究をやめてしまいました。そうこうしているうちに,ストーブを直すために紹介した兄弟が修理のことで電話をかけました。兄弟は3日かけてストーブを直し,その間,真理について何時間も話しました。チャバさんは聖書研究を再開し,奥さんも加わりました。そして,2005年の5月にはバプテスマを受けていない伝道者になりました。わたしが会衆を訪問している時に,彼はわたしと組んで初めて宣教に参加しました。その霊的な進歩は,兄弟たちの友好的で親切な態度や,証人たちと教会の人たちの行ないの違いに負うところが大きいと思います」。

ベルギー: ある兄弟は,通りの角にある家の女性を再訪問する時,いつも玄関先で会話していました。ある日,兄弟がこの家を去ると,男性が近づいて来て,こう言いました。「友人たちから,あなた方エホバの証人とはかかわらないほうがよいと言われました。でも,わたしはあなた方をかばって,そんなことはないと言ったんです。正直に申しますと,犬の散歩の途中,角を曲がったあたりに立って何度もあなたとあの家の奥さんの会話に耳を傾けていました。復活と楽園についてよく話しておられましたね。そのことについてもっと聞かせてもらえませんか。妻が襲われて17回も刺され,病院で療養中なんです。絶望的な気持ちで,もうどうしたらよいか全く分かりません」。この男性と家庭聖書研究が始まりました。

イタリア: ある日の昼過ぎ,一人の兄弟が職場から家に帰る途中でした。自宅に近づくと,バイクに乗った2人組の男に追いつかれました。後ろに座っていた男が銃を引き抜き,車を止めるようにと身ぶりで合図しました。兄弟はそのとおりにしました。次に,銃を持った男は車のドアを開け,降りてポケットの金を全部渡すようにと言いました。兄弟はそれに従いました。それから,銃を持った男は,運転席に乗り込んで走り去ろうとしました。しかし,ダッシュボードの上にあった「エホバの証人の年鑑」を見て,「お前はエホバの証人か」と尋ねました。

「はい,そうですが。どうしてですか」と兄弟は言いました。男はそれには答えず,車から出て謝罪し,車の中に戻るように言いました。その間,もう一人の強盗は相棒に,取った金を返すようにと言いました。

「本当にすみませんでした」と,銃を持った男は兄弟のために車のドアを閉めながら言いました。考え直した理由は何も述べませんでしたが,彼らが証人たちに敬意を抱いていたのは確かなようです。

スウェーデン: 2003年4月,ある男性が伝道者から「知識」の本を受け取りました。90歳近い男性で,以前は国じゅうを旅して,いろいろな教会の写真を撮っていました。そのため,スウェーデン教会に属する団体の名誉会員となっていました。伝道者は男性に,教会の中に神のみ名があるのに気づいたかどうか尋ね,スウェーデンの教会にある神のみ名の写真を一枚見せました。その人は関心をそそられ,聖書研究の勧めに応じ,研究をとても楽しみました。こう述べています。「聖書を子どものころから読んできて,かなり分かっているつもりだったが,今知っていることに比べたら何も分かっていなかったよ」。しばらくして男性は王国会館での集会に出席するようになり,2005年6月,91歳で,初めて神権宣教学校で聖書朗読の割り当てを果たしました。現在はバプテスマを受けていない伝道者で,バプテスマを目指して努力しています。この人が2003年にエホバの証人の話に耳を傾けたのは,証人たちを悪く言ったテレビ番組を見たからでした。エホバの証人について本当のところを知りたいと思い,今はもう知っています。

[43ページの図版]

スベトラーナ,キルギスタン

[47ページの図版]

ルーシー,ウガンダ

[52ページの図版]

グラシエラ,ベネズエラ

[55ページの図版]

レニルドとその家族,ブラジル

[57ページの図版]

デールとペテリ,ツバル

[57ページの図版]

セシリア,ニュージーランド

[58ページの図版]

エレナ,サモア

[61ページの図版]

パベルとマーヤ,ベラルーシ

[61ページの図版]

リチャードと犬のアービン,イギリス