1-2. （ア）イエスは自じ分ぶんの死しを記き念ねんするために簡かん素そな式しきを取とり決きめました。これがイエスらしいと言いえるのはなぜですか。（イ）イエスのどんな性せい格かくについて考かんがえますか。

毎まい年とし，キリストの死しの記き念ねん式しきではどんなことが行おこなわれますか。皆みなさんは，その基き本ほん的てきな手て順じゅんを思おもい出だせるでしょう。とても簡かん素そな式しきだからです。深ふかい意い味みのあるこの式しきが，これほど簡かん素そなのはなぜでしょうか。

² イエスは地ち上じょうにいた時とき，大たい切せつな真しん理りを簡かん潔けつに，明めい快かいに，分わかりやすく教おしえました。（マタ 7:28，29）自じ分ぶんの死しを記き念ねんする *ために取とり決きめた意い味み深ぶかい式しきも簡かん素そなものでした。これから記き念ねん式しきの食しょく事じについて，またイエスの言こと葉ばや行こう動どうについて考かんがえます。イエスの謙けん遜そんさや勇ゆう気きや愛あいに関かんする理り解かいを深ふかめることができるでしょう。イエスにいっそう倣ならう方ほう法ほうも学まなべます。

3. マタイ 26章しょう26節せつから28節せつによると，イエスが取とり決きめた記き念ねん式しきの食しょく事じはどれほど簡かん素そなものでしたか。イエスが使つかった2つのものは何なにを表あらわしていましたか。

³ イエスは11人にんの忠ちゅう実じつな使し徒とたちの前まえで自じ分ぶんの死しの記き念ねん式しきを取とり決きめました。過すぎ越こしの食しょく事じで残のこったものを使つかって簡かん素そな式しきを行おこなったのです。（マタイ 26:26-28を読よむ。）イエスが使つかったのは，そこにあった無む酵こう母ぼパンとぶどう酒しゅだけでした。そして使し徒と たちに，パンは自じ分ぶんの完かん全ぜんな体からだを，ぶどう酒しゅは自じ分ぶんの血ちを表あらわすと述のべました。イエスは自じ分ぶんの体からだと血ちを彼かれらのためにささげるつもりでした。使し徒とたちは，その重じゅう要ような新あたらしい式しきが簡かん素そであることに驚おどろかなかったでしょう。なぜそう言いえますか。

4. イエスはマルタにどんなアドバイスをしましたか。イエスはそのアドバイスをどのように自じ分ぶんに当あてはめましたか。

⁴ 半はん年としほど前まえ，イエスの宣せん教きょうの3年ねん目めに起おきた出で来き事ごとを振ふり返かえってみましょう。イエスは親したしい友ともラザロとマルタとマリアの家いえに行いきました。くつろいだ雰ふん囲い気きの中なかで彼かれらを教おしえ始はじめます。マルタは大たい切せつな客きゃくであるイエスをもてなそうと，たくさんの食しょく事じを準じゅん備びすることに気きを取とられています。それに気きづいたイエスは，マルタを親しん切せつに正ただします。手ての込こんだ食しょく事じは必ひつ要ようないと教おしえたのです。（ルカ 10:40-42）間まもなく犠ぎ牲せいの死しを遂とげようとしていたイエスは，このアドバイスを自じ分ぶんに当あてはめ，記き念ねん式しきの食しょく事じを簡かん素そなものにしました。このことからイエスについてどんなことを学まなべますか。

5. 記き念ねん式しきの食しょく事じが簡かん素そであることから，イエスがどんな方かたであることが分わかりますか。フィリピ 2章しょう5節せつから8節せつにも，イエスについてどんなことが述のべられていますか。

⁵ イエスの言こと葉ばや行こう動どうのすべてには謙けん遜そんさが表あらわれていました。イエスは地ち上じょうでの最さい後ごの晩ばんにも際きわ立だった謙けん遜そんさを表あらわしました。（マタ 11:29）イエスは，自じ分ぶんが人じん類るい史し上じょう最さい大だいの犠ぎ牲せいをささげること，エホバによって復ふっ活かつさせられて，天てんで栄えい光こうある立たち場ばに就つくことを知しっていました。それでも，自じ分ぶんの死しを記き念ねんするために手ての込こんだ式しきを行おこなうことを求もとめたりしませんでした。自じ分ぶんに過か度どの注ちゅう意いを引ひこうとしなかったのです。むしろ，簡かん素そな式しきによって自じ分ぶんのことを思おもい起おこすようにと言いいました。（ヨハ 13:15。コリ一いち 11:23-25）この簡かん素そで意い味み深ぶかい食しょく事じから，イエスが高こう慢まんではなかったことが分わかります。わたしたちの天てんの王おうが非ひ常じょうに謙けん遜そんな方かたであるのはうれしいことです。（フィリピ 2:5-8を読よむ。）

6. 試し練れんに遭あう時とき，どのようにイエスの謙けん遜そんさに倣ならえますか。

⁶ どのようにイエスの謙けん遜そんさに倣ならえますか。自じ分ぶんより他たの人ひとのことを第だい一いちにすることによってです。（フィリ 2:3，4）地ち上じょうでの最さい後ごの晩ばん，イエスは自じ分ぶんが間まもなく苦くるしみの死しを遂とげることを知しっていまし た。それにもかかわらず，自じ分ぶんの死しを嘆なげくことになる忠ちゅう実じつな使し徒とたちを深ふかく気き遣づかったのです。彼かれらを教おしえ，励はげまし，元げん気きづけるために時じ間かんを取とりました。（ヨハ 14:25-31）謙けん遜そんにも，自じ分ぶんより他たの人ひとのことを気き遣づかったのです。何なんと素す晴ばらしい手て本ほんでしょう。

7. イエスは主しゅの晩ばんさんを取とり決きめたすぐ後あと，どんな勇ゆう気きを示しめしましたか。

⁷ イエスは主しゅの晩ばんさんを取とり決きめたすぐ後あと，大おおきな勇ゆう気きを示しめしました。冒ぼうとくという不ふ名めい誉よな罪つみを着きせられ，最さい後ごには処しょ刑けいされることを承しょう知ちのうえで，父ちちエホバのご意い志しを受うけ入いれたのです。（マタ 26:65，66。ルカ 22:41，42）イエスは完かん全ぜんな忠ちゅう誠せいを保たもちました。エホバの名な前まえを尊とうとび，神かみの主しゅ権けんを支し持じし，悔くい改あらためた人ひとたちが永えい遠えんに生いきられるようにするためです。それと共ともに，弟で子したちが間まもなく生しょうじる試し練れんに立たち向むかえるよう助たすけました。

8. （ア）イエスは忠ちゅう実じつな使し徒とたちにどんなことを教おしえましたか。（イ）イエスの死し後ご，弟で子したちはイエスの勇ゆう気きにどのように倣ならいましたか。

⁸ イエスは不ふ安あんを感かんじていたかもしれません。それでも，忠ちゅう実じつな使し徒とたちが必ひつ要ようとする事こと柄がらに注ちゅう意いを向むけて，勇ゆう気きを示しめしました。ユダを去さらせた後のちに簡かん素そな式しきを行おこないました。後のちに油あぶらそそがれる弟で子したちは，その式しきを行おこなうたびに，イエスの流ながした血ちと新あたらしい契けい約やくがもたらす恩おん恵けいについて考かんがえることになりました。（コリ一いち 10:16，17）イエスは，弟で子したちが天てんに招まねかれるにふさわしい者ものとなれるよう，自じ分ぶんと父ちちエホバが彼かれらに望のぞむ事こと柄がらを教おしえました。（ヨハ 15:12-15）彼かれらが間まもなく試し練れんに遭あうことも知しらせ ました。その後ご，自じ分ぶんの手て本ほんに注ちゅう意いを向むけ，「勇ゆう気きを出だしなさい！」と励はげましました。（ヨハ 16:1-4前ぜん半はん，33）何なん十じゅう年ねんたった後あとも，イエスの弟で子したちは自じ己こ犠ぎ牲せい的てきな歩あゆみを続つづけ，勇ゆう気きを示しめしていました。様さま々ざまな試し練れんに遭あい，大おおきな苦くるしみを経けい験けんしましたが，支ささえ合あっていたのです。（ヘブ 10:33，34）

9. イエスに倣ならい，どのように勇ゆう気きを示しめせますか。

⁹ わたしたちもイエスに倣ならって勇ゆう気きを示しめします。例たとえば，信しん仰こう上じょうの理り由ゆうで迫はく害がいされている兄きょう弟だいたちを援えん助じょするには，勇ゆう気きが必ひつ要ようです。兄きょう弟だいたちは不ふ当とうに投とう獄ごくされるかもしれません。そのような時とき，わたしたちはできる限かぎりのことを行おこないます。彼かれらを擁よう護ごするために意い見けんを述のべることができるかもしれません。（フィリ 1:14。ヘブ 13:19）「大だい胆たんに」伝でん道どうし続つづけることによっても勇ゆう気きを示しめします。（使し徒と 14:3）イエスのように，反はん対たいや迫はく害がいを受うけても王おう国こくのメッセージを伝つたえ続つづける決けつ意いをしています。とはいえ，自じ分ぶんに勇ゆう気きが足たりないと感かんじることがあるかもしれません。そんな時とき，何なにができますか。

10. 記き念ねん式しきまでの数すう週しゅう間かん，何なにをすべきですか。なぜですか。

¹⁰ キリストの贖あがないの犠ぎ牲せいによって実じつ現げん可か能のうになった希き望ぼうについて考かんがえると，勇ゆう気きがわいてきます。（ヨハ 3:16。エフェ 1:7）特とくに，記き念ねん式しきまでの数すう週しゅう間かんは，贖あがないへの感かん謝しゃを深ふかめる良よい機き会かいです。記き念ねん式しきの聖せい書しょ朗ろう読どくをし，イエスの死しに関かん係けいした出で来き事ごとをじっくり思おもい巡めぐらしましょう。そうすれば，主しゅの晩ばんさんに出しゅっ席せきする時とき，パンとぶどう酒しゅ，またそれが表あらわす大おおきな犠ぎ牲せいについて，いっそうよく理り解かいできるでしょう。イエス とエホバがしてくださった事こと柄がらを理り解かいし，自じ分ぶんや家か族ぞくがどんな恩おん恵けいを受うけられるかが分わかると，将しょう来らいへの希き望ぼうは強つよまり，終おわりまで勇ゆう気きをもって忍にん耐たいする決けつ意いを抱いだけます。（ヘブ 12:3）

11-12. ここまででどんなことを学まなべましたか。

¹¹ 主しゅの晩ばんさんについて振ふり返かえり，贖あがないの犠ぎ牲せいの価か値ちに加くわえ，イエスの謙けん遜そんさと勇ゆう気きについて学まなぶことができました。イエスは，わたしたちのために願ねがい出でる天てんの大だい祭さい司しとして，今いまも謙けん遜そんさと勇ゆう気きを示しめしています。（ヘブ 7:24，25）わたしたちは心こころからの感かん謝しゃを表あらわすため，イエスの命めい令れいに従したがい，イエスの死しを忠ちゅう実じつに記き念ねんし続つづけなければなりません。（ルカ 22:19，20）その式しきは，ニサン14日かに当あたる日ひに行おこなわれます。それは1年ねんで最もっとも重じゅう要ような日ひです。

¹² 簡かん素そな式しきである主しゅの晩ばんさんから，イエスの性せい格かくの際きわ立だった一いち面めんを知しることができます。わたしたちのために命いのちをなげうつよう動うごかしたものです。それは何なんでしょうか。

13. ヨハネ 15章しょう9節せつとヨハネ第だい一いち 4章しょう8節せつから10節せつは，エホバとイエスの愛あいについてどんなことを述のべていますか。だれがエホバとイエスの愛あいの恩おん恵けいを受うけていますか。

¹³ イエスはわたしたちに対たいするエホバの強つよい愛あいに完かん全ぜんに倣ならい，何なにをする時ときにも愛あいを表あらわしました。（ヨハネ 15:9; ヨハネ第だい一いち4:8-10を読よむ。）深ふかい愛あいに動うごかされ，わたしたちのために命いのちをなげうってくださいました。油あぶらそそがれた者ものであれ「ほかの羊ひつじ」であれ，わたしたちは贖あがないの犠ぎ牲せいを通とおしてエホバとイエスが示しめしてくださった愛あいの恩おん恵けいを受うけています。（ヨハ 10:16。ヨハ一いち 2:2）記き念ねん式しきで使つかわれたパンとぶどう酒しゅも，弟で子したちに対たいするイエスの愛あいと気き遣づかいの表あらわれと言いえます。なぜでしょうか。

14. イエスはどのように弟で子したちへの愛あいを示しめしましたか。

¹⁴ イエスは，複ふく雑ざつな儀ぎ式しきではなく簡かん素そな式しきを取とり決きめることによって，油あぶらそそがれた弟で子したちへの愛あいを表あらわしました。油あぶらそそがれた兄きょう弟だい姉し妹まいは毎まい年とし記き念ねん式しきを行おこないましたが，時ときには刑けい務む所しょの中なかなど難むずかしい状じょう況きょうに置おかれていたこともあります。（啓けい 2:10）彼かれらはイエスの命めい令れいに従したがうことができたでしょうか。

15-16. ある兄きょう弟だい姉し妹まいは難むずかしい状じょう況きょうのもとでどのように主しゅの晩ばんさんを行おこないましたか。

¹⁵ 真しんのクリスチャンは現げん代だいに至いたるまで，イエスの死しを記き念ねんするための努ど力りょくを払はらってきました。難むずかしい状じょう況きょうのもとでも，主しゅの晩ばんさんの手て順じゅんにできる限かぎり従したがいました。例たとえば，中ちゅう国ごくの独どく房ぼうに入いれられていたハロルド･キング兄きょう弟だいは，創そう意い工く夫ふうを働はたらかせて記き念ねん式しきを行おこないました。手てに入はいるものを使つかって，ひそかに表ひょう象しょう物ぶつを準じゅん備びしました。記き念ねん式しきの日ひ付づけもできるだけ正せい確かくに割わり出だしました。記き念ねん式しきの時ときになると，独ひとりで歌うたい，祈いのり，聖せい書しょの話はなしをしました。

¹⁶ 別べつの例れいもあります。第だい二に次じ世せ界かい大たい戦せん中ちゅう，強きょう制せい収しゅう容よう所じょに入いれられていた姉し妹まいたちは命いのち懸がけで主しゅの晩ばんさんを行おこないました。表ひょう象しょう物ぶつが簡かん素そだったので，目め立だたないように記き念ねん式しきを行おこなえました。こう述のべています。「私わたくしたち[は]円えん形けいに寄より添そって並ならんで立たちました。中ちゅう央おうには白しろ布ぬののかけられた足あし台だいが置おかれ，その上うえに表ひょう象しょう物ぶつが載のっています。電でん灯とうをつけると見みつかるおそれがあったので，一いっ本ぽんのろうそくで部へ屋やを照てらしました。……私わたくしたちはみ父ちちの聖せいなるみ名な を立りっ証しょうするためにあらん限かぎりの力ちからを尽つく[す]というみ父ちちへの熱ねつ烈れつな誓ちかいを新あらたにしました」。何なんと素す晴ばらしい信しん仰こうでしょう。わたしたちが難むずかしい状じょう況きょうのもとでも記き念ねん式しきを行おこなえるのは，イエスの愛あい情じょう深ぶかい配はい慮りょのおかげです。

17. どんな点てんを自じ問もんできますか。

¹⁷ 記き念ねん式しきが近ちかい今いま，次つぎの点てんを自じ問もんしましょう。「どうすればイエスのような愛あいをもっと表あらわせるだろうか。自じ分ぶんのことより兄きょう弟だい姉し妹まいのことを考かんがえているだろうか。兄きょう弟だい姉し妹まいにできる以い上じょうのことを期き待たいする傾けい向こうがあるだろうか。それとも兄きょう弟だい姉し妹まいの限げん界かいに配はい慮りょしているだろうか」。いつもイエスに倣ならい，「思おもいやり」を示しめしたいものです。（ペテ一いち 3:8）

18-19. （ア）記き念ねん式しきが行おこなわれなくなった後あと，エホバに仕つかえる人ひとたちはどんなことをするに違ちがいありませんか。（イ）今いま，どうしたいと思おもいますか。

¹⁸ キリストの死しの記き念ねん式しきはやがて行おこなわれなくなります。イエスが大だい患かん難なんの際さいに「到とう来らい」して，残のこっている「選えらばれた者ものたち」を天てんに集あつめると，記き念ねん式しきは行おこなわれなくなります。（コリ一いち 11:26。マタ 24:31）

¹⁹ 記き念ねん式しきが行おこなわれなくなった後あとも，エホバに仕つかえる人ひとたちは，イエスの大おおきな謙けん遜そんさと勇ゆう気きと愛あいの表あらわれであるこの式しきのことを懐なつかしく思おもい出だすでしょう。その式しきがどれほど素す晴ばらしいものだったかを，新あたらしい世よで話はなすに違ちがいありません。では今いま，記き念ねん式しきの恩おん恵けいを受うけられるよう，イエスの謙けん遜そんさと勇ゆう気きと愛あいに倣ならいましょう。そうすれば，エホバからの豊ゆたかな報むくいを得えることができるのです。（ペテ二に 1:10，11）