研究記事25
ストレスを感じる時,エホバに頼りましょう
「私はひどく思い悩んでいるのです」。サムエル第一 1:15(「新世界訳」2013年改訂版[英語])
30番の歌 私の父,私の神,私の友
何を学ぶか *
1. イエスの警告に従う必要があるのはなぜですか。
イエスは終わりの日についての預言の中で,こう述べました。「生活上の思い煩い[または,「暮らしのための思い煩い」]……のためにあなた方の心が押しひしがれ[る]ことがないよう,自分自身に注意を払いなさい」。(ルカ 21:34; 脚注)わたしたちはこの警告に従う必要があります。今日でも,ストレスとなる同様の問題に対処しなければならないからです。
2. 兄弟姉妹は,ストレスとなるどんな問題にぶつかっていますか。
2 一度に幾つもの問題にぶつかることもあります。例えば,ジョン *という兄弟は多発性硬化症を患っていました。ある日,19年連れ添った妻が家を出て行き,ジョンは打ちのめされました。その後追い打ちをかけるように,娘2人がエホバに仕えるのをやめてしまいました。ボブとリンダという夫婦も幾つかの難しい問題にぶつかりました。2人とも失業し,家を失いました。リンダは命にかかわる心臓病と診断され,免疫系を徐々に損なう病気にもなってしまいました。
3. フィリピ 4章6,7節から,どんな確信を抱けますか。
3 創造者また愛情深い天の父であるエホバは,ストレスがわたしたちにどんな影響を及ぼすかをご存じです。わたしたちが難しい問題に対処できるよう助けたいと思っておられます。(フィリピ 4:6,7を読む。)聖書には,神に仕えた人たちが様々な問題を耐え忍んだことが記されています。そうした問題に対処できるよう,エホバがどのように助けたかも記録されています。では,幾つかの例を考えましょう。
エリヤは「わたしたちと同様の感情を持つ人」だった
4. エリヤはどんな問題にぶつかりましたか。エホバに頼ることによって,どんな経験をしましたか。
4 エリヤは大変な時期にエホバに仕えた人で,幾つもの難しい問題にぶつかりました。イスラエルの歴史の中でも特に不忠実な王アハブは,邪悪なバアル崇拝者イゼベルと結婚しました。2人は国中でバアル崇拝を推し進め,エホバの預言者たちを大勢殺しましたが,エリヤは何とか逃げることができました。エリヤはエホバに頼ることによって,ひどい飢きんを生き延びることもできました。(王一 17:2-4,14-16)バアルの預言者や崇拝者たちと対決した時にも,エホバに頼りました。エホバに仕えるようイスラエル人に強く勧めました。(王一 18:21-24,36-38)エリヤは,ストレスとなるそうした状況のもとで,エホバが支えてくださっていることを何度も実感しました。
5-6. 列王第一 19章1-4節によると,エリヤはどんな気持ちになりましたか。エホバは,エリヤを愛していることをどのように示しましたか。
5 列王第一19:1-4を読む。しかし,エリヤは王妃イゼベルに命をねらわれ,恐れを感じてベエル・シェバの先まで逃げました。ひどく落ち込み,「死ぬことを願[い]」ました。どうしてそう感じたのでしょうか。エリヤは「わたしたちと同様の感情を持つ」不完全な人でした。(ヤコ 5:17)ストレスと極度の疲れでいっぱいいっぱいになってしまったのでしょう。こう考えたのかもしれ ません。「清い崇拝を推し進めるために努力したが,無駄だった。イスラエルの状況は全く良くなっていない。今でもエホバに仕えているのは自分だけだ」。(王一 18:3,4,13; 19:10,14)忠実な預言者がこんなふうに感じたことを意外に思うかもしれません。でも,エホバはエリヤの気持ちを理解しておられました。
6 エホバは,気持ちを打ち明けたエリヤを叱ったりしませんでした。むしろ,エリヤが力を取り戻せるよう助けました。(王一 19:5-7)後にエホバは,ご自分のすさまじい力を示すことによって,エリヤの考えを親切に正しました。さらに,イスラエルにはバアル崇拝を拒んだ人たちがまだ7000人もいることを知らせました。(王一 19:11-18)エホバはそのようにして,エリヤを愛していることを示しました。
エホバは助けてくださる
7. エリヤの例からどんな励みが得られますか。
7 あなたはストレスとなる状況に置かれていますか。エホバがエリヤの気持ちを理解しておられたことを知ると,慰められます。わたしたちのつらい気持ちも分かってくださる,と確信できるからです。エホバはわたしたちの限界はもちろん,考えや気持ちも知っておられます。(詩 103:14; 139:3,4)エリヤに倣ってエホバに頼るなら,エホバはストレスとなる問題に対処できるよう助けてくださいます。(詩 55:22)
8. わたしたちがストレスに対処できるよう,エホバはどのように助けてくださいますか。
8 だれでも,ストレスのせいでマイナス思考になり,落ち込んでしまうことがあります。そんな時は,エホバが助けてくださることを思い出してください。どのように助けてくださるでしょうか。エホバは,悩みを打ち明けるよう勧めておられます。そして,助けを求める叫びを聞いてくださいます。(詩 5:3。ペテ一 5:7)ですから,抱えている問題について,エホバに気兼ねなく祈ってください。エリヤの時とは違い,直接話しかけてくださることはありません。でも,ご自分の言葉聖書や組織を通して語りかけてくださいます。聖書の記述を読むと,慰められ,希望が持てます。仲間の兄弟姉妹も励ましてくれます。(ロマ 15:4。ヘブ 10:24,25)
9. 信頼できる友は,どんな助けになってくれますか。
9 エホバはエリヤに対して,エリシャに仕事をゆだねるよう伝えました。エリヤが切実に必要としていた仲間をお与えになったのです。エリシャはエリヤを感情面で支えたことでしょう。わたしたちも,信頼できる友に話を聞いてもらうと,気持ちが楽になります。(王二 2:2。箴 17:17)そのような友がいないなら,感情面で支えてくれる友を与えてください,とエホバに祈りましょう。
10. エリヤの経験を学ぶと,どんな希望を持てますか。イザヤ 40章28,29節にある約束から,どんな励みが得られますか。
10 エホバは,エリヤがストレスに対処し,長い間忠実に奉仕できるよう助けました。エリヤの経験を学ぶと,希望が持てます。わたしたちも極度のストレスを感じ,身も心もくたくたになってしまうかもしれません。それでも,エホバに頼るなら,エホバは奉仕を続けるのに必要な力を与えてくださいます。(イザヤ 40:28,29を読む。)
ハンナ,ダビデ,ある詩編作者もエホバに頼った
11-13. 聖書時代,神に仕えていた3人の人は,ストレスによってどんな影響を受けましたか。
11 聖書にはほかにも,大きなストレスを感じた人のことが記されています。例えば,ハンナはサム一 1:2,6)ハンナは極度のストレスのためにひどく苦しみ,泣き悲しんでいました。食欲もなくなりました。(サム一 1:7,10)
子どもがいないことでつらい思いをしていました。夫のもう一人の妻からの執拗ないじめもありました。(12 ダビデもストレスに押しつぶされそうになったことがあります。どんな問題にぶつかったのでしょうか。多くの間違いを犯したことで,罪悪感にさいなまれました。(詩 40:12)愛する息子アブサロムが反逆し,やがて死にました。(サム二 15:13,14; 18:33)親しい友の一人がダビデを裏切りました。(サム二 16:23–17:2。詩 55:12-14)ダビデが書いた詩編の多くには失意がつづられていますが,それと共に,エホバへの揺るぎない信頼が記されています。(詩 38:5-10; 94:17-19)
13 後の時代,ある詩編作者は,悪い人たちの生き方をうらやむようになりました。この人は,レビ人アサフの子孫だと思われます。「神の大いなる聖なる所」で奉仕していましたが,感情的なストレスのせいで幸福感や満足感を失いました。神に仕えることによって得られる祝福にも満足できなくなりました。(詩 73:2-5,7,12-14,16,17,21)
14-15. エホバに助けを求めることについて,聖書中の3人の例からどんなことを学べますか。
14 この3人は皆,エホバに助けを求めました。熱烈に祈り,エホバに悩みを打ち明けました。なぜストレスを感じているのかを気兼ねなく伝えたのです。それと共に,エホバを崇拝する場所に行くことをやめませんでした。(サム一 1:9,10。詩 55:22; 73:17; 122:1)
サム一 1:18)ダビデもこう述べました。「義なる者の遭う災いは多い。しかし,エホバはそのすべてから彼を救い出してくださる」。(詩 34:19)アサフの子孫と思われる詩編作者は後に,エホバが「右手をつかんでくださ[った]」と感じました。親切な助言を受けたからです。こうも述べています。「わたしについていえば,神に近づくことは良いことなのです。主権者なる主エホバのもとに,わたしは自分の避難所を置きました」。(詩 73:23,24,28)3人の例から何を学べますか。わたしたちも難しい問題を抱え,ストレスを感じることがあります。それでも,エホバが人々をどのように助けたかを思い巡らし,エホバの助けを祈り求め,エホバが求めておられることを行なうなら,ストレスに対処できるのです。(詩 143:1,4-8)
15 エホバはそれぞれの人に思いやり深く接しました。その結果,ハンナは穏やかな気持ちになれました。(エホバに頼るなら,乗り越えられる
16-17. (ア)自分を孤立させるべきでないのはなぜですか。(イ)どうすれば力が得られますか。
16 3人の例から別の教訓も学べます。エホバや仲間の兄弟姉妹から自分を孤立させるべきではない,ということです。(箴 18:1)夫に捨てられ,極度のストレスを感じていたナンシーは,こう 述べています。「何日もの間,だれとも会いたくないし話したくもない,と思っていました。でも,自分を孤立させると,ますますつらい気持ちになりました」。しかしナンシーは,困っている人を助けようとすることで前向きになれました。こう言います。「他の人の悩みを聞いていると,その人の問題の大変さがひしひしと伝わってきて,自分の問題は気にならなくなりました」。
17 集会に出席するなら,力が得られます。エホバに「助け,……慰めて」いただけるからです。(詩 86:17)集会に行くと,エホバが聖霊,聖書,兄弟姉妹を通して力づけてくださいます。「相互に励まし合う」こともできます。(ロマ 1:11,12)ソフィアという姉妹はこう言います。「エホバと兄弟姉妹のおかげで何とか頑張っています。特に,集会が大きな力になっています。宣教や会衆の活動を行なえば行なうほど,ストレスや不安にうまく対処できると感じています」。
18. 落胆した時,エホバは何を与えてくださいますか。
18 落胆した時には次のことを思い出してください。エホバが将来,問題を完全に解決すると約束しておられるだけでなく,今もストレスに対処できるよう助けてくださる,ということです。エホバはわたしたちが「志しかつ行動」できるよう助けてくださいます。失意や落胆を克服するための意欲と力を与えてくださるのです。(フィリ 2:13)
19. パウロはローマ 8章37-39節で,どんなことを保証していますか。
19 ローマ 8:37-39を読む。使徒パウロは,どんなものも神の愛からわたしたちを引き離すことはできない,と保証しています。では,ストレスに対処しようとしている兄弟姉妹をどのように助けることができますか。次の記事では,エホバに倣って,どのように兄弟姉妹を思いやり,支えることができるかを考えます。
44番の歌 謙遜な人の祈り