古こ代だいエジプトの人ひと々びとがパピルスで作つくられた紙かみを使つかっていたことは，よく知しられています。ギリシャやローマの人ひと々びともパピルス紙しを使つかいました。 * しかし，パピルスが紙かみだけでなく舟ふねを造つくるのにも使つかわれていたことは，あまり知しられていません。

2500年ねん以い上じょう前まえ，預よ言げん者しゃイザヤは，「エチオピアの川かわの地ち方ほう」に住すむ人ひと々びとが「パピルスの舟ふねを水みずに浮うかべ」，「海かい路ろで使し節せつを遣つかわす」と書かきました。後のちに預よ言げん者しゃエレミヤは，メディア･ペルシャ軍ぐんがバビロンを攻こう略りゃくすることについて予よ告こくしました。その軍ぐんは，バビロニア人じんが逃にげられないように，「パピルスの舟ふね」を焼やくことになっていました。（イザ 18:1，2。エレ 51:32）

聖せい書しょを学まなんでいる人ひとたちは，聖せい書しょ時じ代だいにパピルスが舟ふねを造つくるのに使つかわれていたことを示しめす証しょう拠こが見みつかっても，驚おどろくことはありません。聖せい書しょが神かみの聖せいなる力ちからの導みちびきによって書かかれた本ほんであることを知しっているからです。（テモ二に 3:16）では，何なにが発はっ見けんされたのでしょうか。考こう古こ学がく者しゃたちは，エジプトでパピルスの舟ふねが造つくられていたという確たしかな証しょう拠こを発はっ見けんしました。

エジプトの墓はかに見みられる絵かい画がやレリーフには，パピルスを刈かり取とって舟ふねを造つくる様よう子すが描えがかれています。パピルスの茎くきを切きって束たばにし，幾いくつかの束たばをさらに束たばねていきます。パピルスの茎くきの断だん面めんは三さん角かく形けいなので，きつく縛しばると，堅かたくて強つよい束たばになります。「古こ代だいエジプトの手て引びき」（英えい語ご）によると，パピルスの舟ふねは17㍍を超こえる長ながさになることもありました。左さ右ゆうに10から12本ほんずつのオールを付つけられるほどの大おおきさです。

パピルスはナイル渓けい谷こくにたくさん生はえていたので，簡かん単たんに手てに入はいりました。また，パピルスの舟ふねは造つくるのが比ひ較かく的てき簡かん単たんでした。大おお型がたの船ふねを造つくるのに主おもに木きが使つかわれるようになってからも，魚さかなを取とったり狩かりをしたりする人ひとは，パピルスでできたいかだや小ちいさな舟ふねを引ひき続つづき使つかっていたようです。

人ひと々びとは長ながい間あいだ，パピルスの舟ふねを使つかっていました。西せい暦れき1世せい紀きから2世せい紀きに生いきたギリシャの著ちょ述じゅつ家かプルタルコスによると，パピルスのいかだは，当とう時じの人ひと々びとにとってもなじみのあるものでした。