1. 私わたしたち全すべてに神かみからの知ち恵えが必ひつ要ようなのはなぜですか。（格かく言げん 4:7）

 あなたは，重じゅう要ような決けっ定ていをしなければならない時ときに，知ち恵えを求もとめて祈いのったことがあるでしょう。それはとても良よいことでした。（ヤコ 1:5）ソロモン王おうは，「知ち恵えは最もっとも重じゅう要ようなもの」と書かいています。（格かく言げん4:7を読よむ。）でも，ソロモンがここで言いっていたのは，一いっ般ぱん的てきな知ち恵えのことではありません。エホバ神かみから与あたえられる知ち恵えのことでした。（格かく 2:6）では，神かみからの知ち恵えは現げん代だいの私わたしたちが問もん題だいに対たい処しょする上うえでも助たすけになるでしょうか。確たしかになります。この記き事じでは，そのことについて考かんがえます。

2. 本ほん当とうの意い味みで賢かしこくなるためにどんなことができますか。

² 本ほん当とうの意い味みで賢かしこくなるためには，どうしたらよいでしょうか。1つの方ほう法ほうは，非ひ常じょうに賢かしこかった2人ふたりの人ひとの教おしえについて学まなび，それを実じっ践せんすることです。1人ひとり目めはソロモンです。聖せい書しょには，「神かみはソロモンに非ひ常じょうに豊ゆたかな知ち恵えと識しき別べつ力りょく……を与あたえた」とあります。（王おう一いち 4:29）もう1人ひとりは，どんな人ひとよりも賢かしこかったイエスです。（マタ 12:42）イエスについてはこう預よ言げんされていました。「その者ものの上うえにエホバの聖せいなる力ちからがとどまる。それにより知ち恵えと理り解かいを示しめ[す]」。（イザ 11:2）

3. この記き事じでは，どんなことを考かんがえますか。

³ ソロモンもイエスも，神かみから与あたえられた知ち恵えを用もちいて，私わたしたち全すべてに関かん係けいのある事こと柄がらについての良よいアドバイスを与あたえました。この記き事じでは，私わたしたちがバランスの取とれた見み方かたを持もつべき分ぶん野やのうち，3つを考かんがえます。お金かねと仕し事ごとと自じ分ぶんという分ぶん野やです。

4. ソロモンとイエスの状じょう況きょうは，どのように異ことなっていましたか。

⁴ ソロモンは非ひ常じょうに裕ゆう福ふくで，ぜいたくな暮くらしをしていました。（王おう一いち 10:7，14，15）一いっ方ぽう，イエスは財ざい産さんがほとんどなく，家いえも持もっていませんでした。（マタ 8:20）とはいえ，ソロモンもイエスも，物ものに対たいしてバランスの取とれた見み方かたを持もっていました。この2人ふたりが持もっていた知ち恵えは，どちらもエホバ神かみから与あたえられたものだったからです。

5. ソロモンはお金かねに対たいしてどんなバランスの取とれた見み方かたを持もっていましたか。

⁵ ソロモンは，お金かねは「身みの守まもり」である，と述のべています。（伝でん 7:12）お金かねがあれば，生せい活かつに必ひつ要ような物ものを手てに入いれることができますし，時ときには，欲ほしい物ものも買かえるかもしれません。とはいえ，裕ゆう福ふくだったソロモンも，お金かねよりももっと大だい事じなものがあるということを理り解かいしていました。例たとえば，「多おおくの富とみよりも良よい名な[または，「良よい評ひょう判ばん」，脚きゃく注ちゅう]を選えらべ」と述のべています。（格かく 22:1）また，お金かねを愛あいする人ひとは自じ分ぶんが持もっている物ものにまず満まん足ぞくできない，とも述のべています。（伝でん 5:10，12）そして，お金かねに頼たよってはいけない，と警けい告こくしています。どれほど多おおくのお金かねを持もっていても，それは瞬またたく間まに消きえ去さってしまうことがあるからです。（格かく 23:4，5）

6. イエスは物ものに対たいしてどんなバランスの取とれた見み方かたを持もっていましたか。（マタイ 6:31-33）

⁶ イエスも，物ものに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをしていました。食たべたり飲のんだりすることを楽たのしみました。（ルカ 19:2，6，7）また，ある時ときには，最さい初しょの奇き跡せきとして，水みずを最さい上じょうのぶどう酒しゅに変かえました。（ヨハ 2:10，11）そして，イエスが亡なくなった時ときに着きていたのは，高こう価かな服ふくでした。（ヨハ 19:23，24）とはいえ，イエスが生せい活かつの中なかで物ものを第だい一いちにすることはありませんでした。イエスは弟で子したちに対たいして，「誰だれも2人ふたりの主しゅ人じんの奴ど隷れいにはなれません。……神かみと富とみとの奴ど隷れいにはなれません」と言いいました。（マタ 6:24）また，王おう国こくを第だい一いちにするなら，必ひつ要ようなものはエホバが必かならず 与あたえてくださる，とも教おしえました。（マタイ 6:31-33を読よむ。）

7. 1人ひとりの兄きょう弟だいはお金かねに対たいするバランスの取とれた見み方かたを持もっていたので，どんな祝しゅく福ふくを経けい験けんしてきましたか。

⁷ 多おおくの兄きょう弟だい姉し妹まいは，お金かねについての神かみからの知ち恵えに従したがって祝しゅく福ふくを味あじわってきました。独どく身しんのダニエル兄きょう弟だいの例れいを考かんがえてみましょう。兄きょう弟だいはこう言いいます。「私わたしは10代だいの頃ころに，エホバに仕つかえることを第だい一いちにしようと決けつ意いしました」。兄きょう弟だいは，生せい活かつをシンプルにしてきたので，自じ分ぶんの時じ間かんや能のう力りょくや技ぎ術じゅつを用もちいてエホバの組そ織しきのさまざまなプロジェクトに参さん加かすることができています。兄きょう弟だいはさらにこう言いいます。「私わたしは自じ分ぶんが選えらんだ道みちを全まったく後こう悔かいしていません。確たしかに，お金かねを第だい一いちにしていれば，もっと多おおくのお金かねを稼かせげたと思おもいます。でも，そんなことをしていたら，いま得えている友ゆう情じょうや，王おう国こくを第だい一いちにすることから来くる満まん足ぞく感かんは得えられなかったことでしょう。エホバからの祝しゅく福ふくは，お金かねには換かえられないほど貴き重ちょうなものです」。お金かねではなくエホバに仕つかえることを第だい一いちにするなら，幸しあわせになれるのです。

8. ソロモンが仕し事ごとに対たいしてバランスの取とれた見み方かたを持もっていた，と言いえるのはなぜですか。（伝でん道どうの書しょ 5:18，19）

⁸ ソロモンは，一いっ生しょう懸けん命めい働はたらくことから来くる喜よろこびを「神かみからの贈おくり物もの」と表ひょう現げんしました。（伝でん道どうの書しょ5:18，19を読よむ。）そして，「あらゆる勤きん勉べんな働はたらきには価か値ちがある」と述のべました。（格かく 14:23）ソロモンは，この言こと葉ばの正ただしさをよく知しっていました。ソロモン自じ身しん，勤きん勉べんに働はたらく人ひとだったからです。家いえを建たて，ブドウ園えんや庭てい園えんや池いけを造つくり，町まちを築きずくこともしました。（王おう一いち 9:19。伝でん 2:4-6）こうしたことを成なし遂とげるには勤きん勉べんな努ど力りょくが必ひつ要ようでしたから，ソロモンはそれなりの満まん足ぞく感かんを得えたことでしょう。とはいえ，本ほん物ものの満まん足ぞく感かんを得えるには，それだけでは十じゅう分ぶんでないことを理り解かいしていました。それで，エホバのためにさまざまなことを行おこないました。例たとえば，エホバへの崇すう拝はいのために用もちいる壮そう麗れいな神しん殿でんの建けん設せつを監かん督とくしました。その工こう事じは7年ねんに及およびました。（王おう一いち 6:38; 9:1）こうしたさまざまなことを行おこなった結けっ果か，ソロモンは，一いち番ばん大たい切せつなのはエホバへの崇すう拝はいに関かん係けいした活かつ動どうだ，ということを理り解かいしました。それでこう述のべました。「全すべてを聞きいた今いま，結けつ論ろんはこうだ。真しんの神かみを畏おそれ，その方かたのおきてを守まもりなさい」。（伝でん 12:13）

9. イエスが仕し事ごとに対たいしてバランスの取とれた見み方かたを持もっていた，と言いえるのはなぜですか。

⁹ イエスも勤きん勉べんに働はたらく人ひとでした。若わかい頃ころは大だい工くとして働はたらきました。（マル 6:3）イエスの両りょう親しんは，たくさんの子こ供どもたちを養やしなう上うえでイエスが助たすけてくれることに感かん謝しゃしていたはずです。完かん全ぜんだったイエスは，大おお勢ぜいの人ひとから仕し事ごとを頼たのまれたことでしょう。イエスは大だい工くとしての仕し事ごとを楽たのしんでいたに違ちがいありません。それでも，その仕し事ごとに勤きん勉べんに打うち込こみつつ，エホバに仕つかえるための時じ間かんをきちんと取とり分わけました。（ヨハ 7:15）後のちに，伝でん道どうを全ぜん時じ間かん行おこなっていた時ときには，こう述のべました。「腐くさってしまう食しょく物もつのためではなく，なくならないで永えい遠えんの命いのちをもたらす食しょく物もつのために働はたらきなさい」。（ヨハ 6:27）また，山さん上じょうの垂すい訓くんの中なかでは，「自じ分ぶんのために天てんに宝たからを蓄たくわえなさい」と教おしえました。（マタ 6:20）

10. 仕し事ごとに関かんして，どんな問もん題だいにぶつかることがありますか。

¹⁰ 神かみからの知ち恵えは，仕し事ごとに対たいするバランスの取とれた見み方かたを持もつ上うえで助たすけとなります。クリスチャンである私わたしたちは，「きちんと仕し事ごとをし，一いっ生しょう 懸けん命めい働はたら」くよう教おしえられています。（エフェ 4:28）それで雇やとい主ぬしは，私わたしたちが正しょう直じきに，また勤きん勉べんに働はたらくのを見みて，高たかく評ひょう価かしてくれるかもしれません。私わたしたちは，雇やとい主ぬしがエホバの証しょう人にんに対たいしてもっと良よい印いん象しょうを持もってくれることを願ねがって，働はたらく時じ間かんを増ふやすかもしれません。しかし，そうしているうちに，家か族ぞくやエホバのために用もちいる時じ間かんを取とれなくなるかもしれません。こうした状じょう況きょうをそのままにしておいてはいけません。バランスの取とれた見み方かたを持もつ必ひつ要ようがあります。

11. 1人ひとりの兄きょう弟だいは，仕し事ごとに対たいするバランスの取とれた見み方かたについてどんなことを学まなびましたか。

¹¹ 若わかいウィリアム兄きょう弟だいは，以い前ぜんに雇やとってくれていた長ちょう老ろうから仕し事ごとに対たいする見み方かたについて大たい切せつなことを学まなびました。こう言いっています。「[その兄きょう弟だい]は，仕し事ごとに関かんしてバランスの取とれた見み方かたをする点てんで良よいお手て本ほんです。一いっ生しょう懸けん命めいに働はたらく人ひとで，いい仕し事ごとをするので顧こ客きゃくとの関かん係けいもばっちりです。でも，1日にちの終おわりに仕し事ごとを終おえたら，仕し事ごとのことはもう忘わすれて家か族ぞくや信しん仰こうのためにきちんと時じ間かんを取とっています。見みていてすごく幸しあわせそうです」。 *

12. ソロモンが自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをしていたと言いえるのはなぜですか。後のちに，そうした見み方かたができなくなったのはなぜですか。

¹² ソロモンは，エホバに忠ちゅう実じつに仕つかえていた時ときは，自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをしていました。若わかい頃ころは，自じ分ぶんには限げん界かいがあることを慎つつしみ深ぶかく認みとめ，エホバに導みちびきを求もとめました。（王おう一いち 3:7-9）王おうになって初はじめの頃ころは，誇ほこりに注ちゅう意いすべきことを理り解かいしていました。こう述のべています。「誇ほこりは崩ほう壊かいにつながり，傲ごう慢まんな精せい神しんは転てん落らくにつながる」。（格かく 16:18）しかし残ざん念ねんながら，ソロモンはやがてこの自じ分ぶんの言こと葉ばに反はんする行おこないをするようになりました。ある時じ点てんで誇ほこりを抱いだくようになり，神かみの命めい令れいを無む視ししました。ヘブライ人じんの王おうには次つぎのようなおきてが与あたえられて いました。「王おうは自じ分ぶんのために多おおくの妻つまを持もつべきではありません。心こころがそれることのないためです」。（申しん 17:17）しかし，ソロモンはこのおきてを退しりぞけ，700人にんの妻つまと300人にんの側そく室しつを持もちました。しかも，その多おおくは異い教きょうの神かみを崇すう拝はいしていました。（王おう一いち 11:1-3）ソロモンは，自じ分ぶんは大だい丈じょう夫ぶだ，と考かんがえていたのかもしれませんが，やがて，エホバから離はなれてしまうという悲ひ惨さんな結けっ果かになりました。（王おう一いち 11:9-13）

13. イエスの謙けん遜そんさからどんなことを学まなべますか。

¹³ イエスはいつも，自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた謙けん遜そんな見み方かたをしていました。人にん間げんになる前まえ，エホバのために素す晴ばらしいことをたくさん行おこないました。「他たの全すべてのものは，天てんのものも地ち上じょうのものも，[イエス]を通とおして創そう造ぞうされた」とあります。（コロ 1:16）イエスは，バプテスマを受うけた時とき，天てんでエホバと一いっ緒しょにいた間あいだに自じ分ぶんが成なし遂とげたことを思おもい出だしたようです。（マタ 3:16。ヨハ 17:5）でも，だからといって誇ほこりを抱いだいたり，ほかの人ひとを見み下くだしたりはしませんでした。弟で子したちに対たいして，自じ分ぶんは「仕つかえてもらうためではなく仕つかえるために，また多おおくの人ひとと引ひき換かえる贖あがないとして自じ分ぶんの命いのちを与あたえるために」地ち上じょうに来きた，と話はなしました。（マタ 20:28）また，自じ分ぶんからは何なに一ひとつ行おこなえないことを慎つつしみ深ぶかく認みとめました。（ヨハ 5:19）本ほん当とうに素す晴ばらしい謙けん遜そんさです。イエスは，私わたしたちが倣ならうべき立りっ派ぱな手て本ほんを残のこしました。

14. 自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをすることについて，イエスからどんなことを学まなべますか。

¹⁴ イエスは弟で子したちに，自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをするよう教おしえました。ある時とき，「あなたたちは髪かみの毛けまで全すべて数かぞえられています」と言いいました。（マタ 10:30）これはつまり，天てんのお父とうさんエホバが，私わたしたちのことを深ふかく気きに掛かけ，高たかく評ひょう価かしてくださっている，ということです。このことについて考かんがえると，安あん心しんできるのではないでしょうか。自じ分ぶんはだめだと考かんがえる傾けい向こうがある場ば合あいには特とくにそうです。エホバがこれほどまでに私わたしたちのことを思おもっていてくださる のですから，自じ分ぶんにはエホバを崇すう拝はいする資し格かくも新あたらしい世せ界かいで生いきる資し格かくもない，とは考かんがえないようにしましょう。

15. （ア）以い前ぜんの「ものみの塔とう」誌しは，自じ分ぶんに対たいしてどんな見み方かたをするよう勧すすめていますか。（イ）24ページの写しゃ真しんから分わかるように，自じ分ぶんに目めを向むけ過すぎるなら，どんな祝しゅく福ふくを得え損そこなってしまいますか。

¹⁵ 15年ねんほど前まえの「ものみの塔とう」誌しは，自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをするよう勧すすめて，こう述のべています。「確たしかに，うぬぼれてしまうほど自じ分ぶんのことを高たかく評ひょう価かしたいとは思おもいませんし，逆ぎゃくに自じ分ぶんなど価か値ちのない人にん間げんだと考かんがえて他たの極きょく端たんに走はしりたいとも思おもいません。むしろ，自じ分ぶんについての道どう理りにかなった見み方かた，つまり自じ分ぶんの長ちょう所しょも短たん所しょも考こう慮りょに入いれた見み方かたを培つちかうよう努ど力りょくを傾かたむけるべきです。あるクリスチャンの女じょ性せいは，『わたしはひどい悪あく人にんではないけど，特とく別べつな善ぜん人にんでもないと思おもいます。みんなと同おなじで，良よい所ところも悪わるい所ところもあります』と言いいました」。 * 自じ分ぶんに対たいしてバランスの取とれた見み方かたをするのは，本ほん当とうに良よいことだと思おもいませんか。

16. エホバが賢かしこい生いき方かたを教おしえてくださっているのはなぜですか。

¹⁶ エホバは聖せい書しょを通とおして，賢かしこい生いき方かたを教おしえてくださっています。私わたしたちのことを愛あいし，幸しあわせになってほしいと願ねがっているからです。（イザ 48:17，18）エホバを第だい一いちにするなら，賢かしこい生いき方かたができ，最さい高こうの幸しあわせを味あじわうことができます。そして，お金かねや仕し事ごとや自じ分ぶんに目めを向むけ過すぎることから来くるさまざまな問もん題だいを避さけられます。では，賢かしこい生いき方かたをし，エホバに心こころから喜よろこんでいただけるようにしましょう。（格かく 23:15）