1. この世よの中なかに信しん頼らいが見みられないとしても，私わたしたちが驚おどろかないのはなぜですか。

 サタンの世せ界かいで暮くらしている人ひと々びとは，誰だれを信しん頼らいしたらよいのかが分わからなくなっています。ビジネスや政せい治じや宗しゅう教きょうの指し導どう者しゃたちに，いつも期き待たいを裏うら切ぎられてきたからです。そして，友とも達だちや近きん所じょの人ひとや家か族ぞくのことさえ信しん頼らいできなくなっています。とはいえ，私わたしたちはこうした様よう子すを見み聞ききしても驚おどろくことはありません。聖せい書しょの預よ言げんによれば，「終おわりの時じ代だい」に，「人ひと々びとは……不ふ忠ちゅう実じつになり……中ちゅう傷しょうし……人ひとを裏うら切ぎ[る]」からです。これはつまり，人ひと々びとがこの体たい制せいの神かみであるサタンと同おなじように信しん頼らいできない者ものになるということです。（テモ二に 3:1-4。コリ二に 4:4）

2. （ア）私わたしたちはどこに信しん頼らいを置おくことができますか。（イ）どう思おもう人ひとがいるかもしれませんか。

² とはいえ，クリスチャンである私わたしたちは，エホバを100％信しん頼らいしています。（エレ 17:7，8）エホバが私わたしたちのことを愛あいしていて，「決けっして見み捨すてない」ということを固かたく信しんじています。（詩し 9:10）また，キリスト･イエスのことも信しん頼らいしています。私わたしたちのために命いのちを与あたえてくださったからです。（ペテ一いち 3:18）そして，聖せい書しょの導みちびきが信しん頼らいできるものであるということを，経けい験けんを通とおして知しっています。（テモ二に 3:16，17）ですから，私わたしたちはエホバとイエスと聖せい書しょを信しん頼らいできるのです。それでもある人ひとは，会かい衆しゅうの兄きょう弟だい姉し妹まいをいつも信しん頼らいすることはできるのだろうか，と思おもうかもしれません。できるとすれば，それはなぜでしょうか。

3. 私わたしたちはどんな素す晴ばらしい経けい験けんをしていますか。（マルコ 10:29，30）

³ エホバは，ご自じ分ぶんを崇すう拝はいする者ものたちから成なる世せ界かい的てきな家か族ぞくに私わたしたちを加くわえてくださいました。これは本ほん当とうに素す晴ばらしいことであり，私わたしたちにとって大おおいに助たすけとなっています。（マルコ 10:29，30を読よむ。）私わたしたちには，共ともにエホバを愛あいし，エホバの基き準じゅんに従したがって生いきるよう 一いっ生しょう懸けん命めい努ど力りょくしている兄きょう弟だい姉し妹まいが世せ界かい中じゅうにいるのです。言げん語ごや文ぶん化かや服ふく装そうなどは違ちがっているかもしれませんが，初はじめて会あった時ときでさえ，親したしみを感かんじます。そして，そうした兄きょう弟だい姉し妹まいと一いっ緒しょに愛あい情じょう深ぶかいお父とうさんエホバを賛さん美びし，崇すう拝はいできるのは，特とくにうれしいことです。（詩し 133:1）

4. 私わたしたちに兄きょう弟だい姉し妹まいが必ひつ要ようなのはなぜですか。

⁴ 私わたしたちは，これまでになく兄きょう弟だい姉し妹まいと一いっ致ち団だん結けつする必ひつ要ようがあります。仲なか間まは私わたしたちが重おも荷にを負おうのを助たすけてくれます。（ロマ 15:1。ガラ 6:2）また，私わたしたちがエホバに熱ねっ心しんに仕つかえ，エホバとの絆きずなを強つよく保たもっていけるよう励はげましてもくれます。（テサ一いち 5:11。ヘブ 10:23-25）私わたしたちは，共きょう通つうの敵てきであるサタンやサタンの邪じゃ悪あくな世せ界かいにしっかり立たち向むかう必ひつ要ようがあります。この面めんで会かい衆しゅうからの保ほ護ごがなかったら，私わたしたちはどうなってしまうでしょうか。サタンとサタンの支し配はい下かにある者ものたちは，神かみに仕つかえる人ひとたちを間まもなく攻こう撃げきします。その時とき，私わたしたちを支ささえてくれる兄きょう弟だい姉し妹まいがいるというのは，本ほん当とうにありがたいことです。

5. 兄きょう弟だい姉し妹まいを信しん頼らいするのを難むずかしく感かんじる人ひとがいるのはなぜですか。

⁵ とはいえ，中なかには兄きょう弟だい姉し妹まいを信しん頼らいするのを難むずかしく感かんじる人ひともいます。それは，内ない密みつのことをほかの人ひとに漏もらされたり，約やく束そくを破やぶられたりしたことがあるからかもしれません。あるいは，傷きずつくようなことを言いわれたりされたりしたからかもしれません。確たしかに，こうした経けい験けんをすると，人ひとを信しん頼らいするのが難むずかしくなるのも無む理りはありません。では，どうすれば仲なか間まを信しん頼らいすることができるでしょうか。

6. 信しん頼らいを築きずく上うえで，愛あいはどのように助たすけとなりますか。（コリント第だい一いち 13:4-8）

⁶ 信しん頼らいの土ど台だいとなるのは，愛あいです。コリント第だい一いち 13章しょうには，愛あいのさまざまな側そく面めんが説せつ明めいされています。こうした点てんを考かんがえることは，他たの人ひとへの信しん頼らい を築きずいたり取とり戻もどしたりする上うえで助たすけとなります。（コリント第だい一いち13:4-8を読よむ。）例たとえば，4節せつには，「愛あいは辛しん抱ぼう強づよく，親しん切せつです」とあります。エホバは，私わたしたちが罪つみを犯おかしたとしても，辛しん抱ぼう強づよく接せっしてくださいます。ですから私わたしたちも，誰だれかの言こと葉ばや行こう動どうに傷きずついたり気き分ぶんを害がいされたりするとしても，辛しん抱ぼう強づよさを示しめさなければなりません。また，5節せつには，「[愛あいは]いら立だちません。愛あいは傷きずつけられても根ねに持もちません」とあります。ですから，自じ分ぶんにされた嫌いやなことを覚おぼえておいて，後あとで持もち出だすようなことはしません。伝でん道どうの書しょ 7章しょう9節せつには，「すぐに腹はらを立たててはならない」とあります。腹はらを立たてるよりも，エフェソス 4章しょう26節せつにある次つぎの言こと葉ばを当あてはめる方ほうが，はるかに優すぐれています。そこにはこうあります。「怒おこったまま日ひが沈しずむことがないようにしましょう」。

7. マタイ 7章しょう1-5節せつの言こと葉ばは，信しん頼らいを築きずく上うえでどのように助たすけとなりますか。

⁷ 兄きょう弟だい姉し妹まいに対たいしてエホバと同おなじ見み方かたをすることも，信しん頼らいを築きずく上うえで助たすけとなります。エホバは兄きょう弟だい姉し妹まいのことを愛あいしています。そして，罪つみを記き録ろくするようなことはしません。私わたしたちもエホバに倣ならう必ひつ要ようがあります。（詩し 130:3）兄きょう弟だい姉し妹まいの欠けっ点てんに注ちゅう目もくするのではなく，良よい性せい質しつや可か能のう性せいに目めを向むけるように努ど力りょくしましょう。（マタイ 7:1-5を読よむ。）動どう機きを疑うたがうこともしません。愛あいは「全すべてのことを信しんじ」るからです。（コリ一いち 13:7）もちろん，全すべてのことを信しんじるといっても，エホバは私わたしたちがだれかれ構かまわず信しん頼らいすることを願ねがっているわけではありません。エホバが願ねがっているのは，信しん頼らいできることを示しめしてきた人ひとを信しん頼らいすることです。 *

8. どうすれば仲なか間まへの信しん頼らいを深ふかめることができますか。

⁸ 信しん頼らいは敬けい意いと同おなじように，勝かち得える必ひつ要ようがあるもので，それには時じ間かんがかかります。では，兄きょう弟だい姉し妹まいへの信しん頼らいを深ふかめるためにどんなことができるでしょうか。相あい手てのことをよく知しるようにしましょう。集しゅう会かいの時ときに会かい話わをしたり，一いっ緒しょに伝でん道どうを行おこなったりできます。辛しん抱ぼう強づよく接せっし，その人ひとに自じ分ぶんが信しん頼らいできる人ひとであることを示しめすチャンスを差さし伸のべましょう。初はじめのうちは，自じ分ぶんのことを何なんでも話はなすというわけにはいかないかもしれませんが，絆きずなが深ふかまっていくと，自じ分ぶんの気き持もちを打うち明あけやすくなるかもしれません。（ルカ 16:10）では，信しん頼らいを裏うら切ぎられてしまった場ば合あいには，どんなことができるでしょうか。その人ひとのことをすぐに諦あきらめるのではなく，時じ間かんを取とるようにしましょう。一いち部ぶの人ひとから裏うら切ぎられたからといって，誰だれも信しん頼らいできないと考かんがえることがないようにしてください。聖せい書しょには，この点てんで立りっ派ぱな手て本ほんとなっている忠ちゅう実じつな人ひとたちの記き録ろくが幾いくつも収おさめられています。誰だれかから傷きずつけられても，ほかの人ひとを信しん頼らいするのをやめなかった人ひとたちの手て本ほんです。

9. （ア）ハンナは，エホバから責せき任にんを委ゆだねられている人ひとたちのひどい行おこないを見みても，エホバの取とり決きめに対たいする信しん頼らいをどのように示しめしましたか。（イ）ハンナの例れいから，エホバの取とり決きめを信しん頼らいすることについて，どんなことを学まなべますか。（挿さし絵えを参さん照しょう。）

⁹ あなたは，責せき任にんある兄きょう弟だいからがっかりさせられたことがありますか。もしあるなら，ハンナの手て本ほんについて考かんがえることはためになります。当とう時じのイスラエルで，エホバへの崇すう拝はいにおいて一いち番ばん大おおきな責せき任にんを委ゆだねられていたのは，大だい祭さい司しのエリでした。しかし，エリの家か族ぞくは良よい手て本ほんを示しめしていませんでした。息子むすこたちは，祭さい司しの務つとめを委ゆだねられていたにもかかわらず，恥はずべき不ふ道どう徳とくな行おこないを していました。それに対たいして，エリはほとんど正ただすことをしませんでした。エホバは，すぐにエリを大だい祭さい司しの立たち場ばから除のぞくことはしませんでした。それでもハンナは，エリが大だい祭さい司しの間あいだは幕まく屋やに行いかない，と言いって，エホバの取とり決きめに従したがうのをやめたりはしませんでした。ある時とき，エリはハンナが涙なみだながらに祈いのっているのを見みて，酔よっていると思おもい込こみました。そして，事じ実じつを確たしかめることもせずに，苦くるしい思おもいをしていたハンナにひどいことを言いいました。（サム一いち 1:12-16）それでもハンナは，息子むすこを与あたえられたなら幕まく屋やで仕つかえさせる，という誓ちかいを守まもりました。それはつまり，息子むすこをエリのもとに預あずけるということです。（サム一いち 1:11）エリの息子むすこたちの行おこないは正ただされる必ひつ要ようがあったので，後のちにエホバは，この2人ふたりを罰ばっしました。（サム一いち 4:17）一いっ方ぽう，ハンナには息子むすこサムエルを授さずけました。（サム一いち 1:17-20）

10. ダビデ王おうは，裏うら切ぎられたからといって人ひとを信しん頼らいするのをやめてしまいましたか。

¹⁰ あなたは，親したしい友とも達だちから裏うら切ぎられたように感かんじたことがありますか。もしあるなら，ダビデ王おうについて考かんがえてみてください。ダビデには，アヒトフェルという友ともがいました。ダビデの息子むすこのアブサロムが王おう権けんを奪うばおうとした時とき，アヒトフェルはその反はん逆ぎゃくに加くわわり，アブサロムの側がわに付つきました。これはダビデにとって本ほん当とうにショックなことでした。息子むすこからも，友ともだと思おもっていた人ひとからも裏うら切ぎられたのです。それでもダビデは，ほかの人ひとたちを信しん頼らいするのをやめたりはしませんでした。例たとえば，忠ちゅう実じつな友ともであるフシャイを信しん頼らいしました。フシャイは，アブサロムの反はん逆ぎゃくに加くわわりませんでした。それで，ダビデにはフシャイを信しん頼らいする十じゅう分ぶんの理り由ゆうがありました。そして，フシャイはその信しん頼らいに応こたえ，命いのちを危き険けんにさらしてまでダビデを助たすけました。（サム二に 17:1-16）

11. ナバルの召めし使つかいは，どのように信しん頼らいを示しめしましたか。

¹¹ ナバルの召めし使つかいの手て本ほんも考かんがえてみましょう。ある時じ期き，ダビデと部ぶ下かたちは，イスラエル人じんナバルの召めし使つかいたちを親しん切せつに守まもりました。その後ご，ダビデは裕ゆう福ふくなナバルに対たいして，部ぶ下かたちのために食たべ物ものを分わけ与あたえてくれるようにとお願ねがいしました。でも，ナバルがこの控ひかえめなお願ねがいをはねつけると，ダビデは非ひ常じょうに怒おこり，ナバルの家いえの男おとこたち を皆みな殺ごろしにしようと考かんがえました。召めし使つかいは，この状じょう況きょうについて，ナバルの妻つまのアビガイルに報ほう告こくします。この召めし使つかいもナバルの家いえの者ものだったので，自じ分ぶんの命いのちがアビガイルに懸かかっているということが分わかっていました。そして，逃にげるのではなく，アビガイルが何なんとかしてくれると信しんじました。アビガイルは機き転てんが利きく人ひととしてよく知しられていたからです。その後ごの展てん開かいから分わかる通とおり，この召めし使つかいがアビガイルを信しん頼らいしたのは正ただしいことでした。アビガイルは勇ゆう気きを持もって行こう動どうし，ダビデを思おもいとどまらせることができました。（サム一いち 25:2-35）アビガイルは，ダビデがふさわしい判はん断だんをしてくれると信しん頼らいしていたのです。

12. イエスは，欠けっ点てんがある弟で子したちを信しん頼らいしていることをどのように示しめしましたか。

¹² イエスは，欠けっ点てんがある弟で子したちのことを信しん頼らいしました。（ヨハ 15:15，16）ヤコブとヨハネが王おう国こくでの特とく別べつな立たち場ばを求もとめてきた時ときにも，エホバに仕つかえる2人ふたりの動どう機きを疑うたがったり，2人ふたりを使し徒とから外はずしたりすることはしませんでした。（マル 10:35-40）後のちにイエスが逮たい捕ほされた夜よるには，弟で子したち全すべてがイエスを見み捨すてて逃にげていきました。（マタ 26:56）それでも，イエスは弟で子したちのことを信しん頼らいし続つづけました。弟で子したちが完かん全ぜんではないということを理り解かいしていましたが，それでも彼かれらを「最さい後ごまで愛あいし」ました。（ヨハ 13:1）復ふっ活かつした後あとには，11人にんの忠ちゅう実じつな使し徒とたちに大おおきな責せき任にんを委ゆだねました。それは，人ひと々びとを弟で子しとする点てんで率そっ先せんすることや，イエスの貴き重ちょうな羊ひつじを世せ話わすることです。（マタ 28:19，20。ヨハ 21:15-17）イエスがこれらの不ふ完かん全ぜんな人ひとたちを信しん頼らいしたのは，間ま違ちがいではありませんでした。彼かれらは地ち上じょうでの歩あゆみを終おえるまで，忠ちゅう実じつを保たもったからです。確たしかに，ハンナ，ダビデ，ナバルの召めし使つかい，アビガイル，イエスは，不ふ完かん全ぜんな人ひとを信しん頼らいする面めんで立りっ派ぱな手て本ほんです。

13. どんなことがあると，人ひとを信しん頼らいするのが難むずかしくなるかもしれませんか。

¹³ あなたは，ある兄きょう弟だいを信しん頼らいして，内ない密みつにしておいてほしいことを話はなしたのに，後あとになってその信しん頼らいを裏うら切ぎられたということがありますか。そうしたことがあると，本ほん当とうに大おおきなショックを受うけます。1人ひとりの姉し妹まいは，ある長ちょう老ろうを信しん頼らいして個こ人じん的てきなことを打うち明あけました。でも次つぎの日ひ，その長ちょう老ろうの奥おくさんから励はげましの電でん話わがかかってきました。姉し妹まいが打うち明あけた話はなしを長ちょう老ろうから聞きいたことは明あきらかでした。その結けっ果か，姉し妹まいがこの長ちょう老ろうを信しん頼らいできなくなったのも，無む理りもないことでした。でも姉し妹まいは，賢けん明めいにも別べつの長ちょう老ろうに助たすけを求もとめ，長ちょう老ろうたちを再ふたたび信しん頼らいできるようになりました。

14. ある兄きょう弟だいが仲なか間まへの信しん頼らいを再ふたたび築きずく上うえで，どんなことが助たすけとなりましたか。

¹⁴ ある兄きょう弟だいは，長ながい間あいだ，2人ふたりの長ちょう老ろうたちと意い見けんが合あわず，信しん頼らいできないと感かんじていました。でも，自じ分ぶんが深ふかく尊そん敬けいしている兄きょう弟だいの次つぎの言こと葉ばが耳みみに残のこりました。「敵てきはサタンです。兄きょう弟だい姉し妹まいではありません」。短みじかいながらもインパクトのあるこの言こと葉ばをじっくり考かんがえ，助たすけを求もとめてエホバに祈いのりました。そして，やがて2人ふたりと良よい関かん係けいを取とり戻もどすことができました。

15. 仲なか間まへの信しん頼らいを再ふたたび築きずくのに時じ間かんがかかる場ば合あいがあるのはなぜですか。

¹⁵ あなたは，会かい衆しゅうで与あたえられていた特とく別べつな仕し事ごとを失うしなったことがありますか。それはとてもつらいことです。グレーテ姉し妹まいと母はは親おやは，1930年ねん代だいにナチス･ドイツが支し配はいしていた頃ころ，エホバに忠ちゅう実じつに仕つかえていました。当とう時じ，エホバの証しょう人にんの活かつ動どうは禁きん止しされていました。その中なかで姉し妹まいは，仲なか間まのために「ものみの塔とう」誌しを複ふく製せいする仕し事ごとを与あたえられていました。でも，兄きょう弟だいたちは姉し妹まいの父ちち親おやが真しん理りに反はん対たいしていることを知しると，その父ちち親おやが当とう局きょくに通つう報ほう するのではないかと恐おそれ，その仕し事ごとを姉し妹まいから取とり上あげました。でも，姉し妹まいの試し練れんはそれで終おわりではありませんでした。第だい2次じ世せ界かい大たい戦せん中ちゅう，その兄きょう弟だいたちはグレーテ姉し妹まいと母はは親おやを信しん用ようせず，「ものみの塔とう」誌しを渡わたそうとしませんでした。また，道みちで会あった時ときにあいさつもしてくれませんでした。姉し妹まいは本ほん当とうに傷きずつきました。姉し妹まいによると，兄きょう弟だいたちを許ゆるして再ふたたび信しん頼らいできるようになるには，とても長ながい時じ間かんがかかりました。でもやがて，「エホバはこの兄きょう弟だいたちを許ゆるしているに違ちがいない。だから，自じ分ぶんも許ゆるさなければいけない」と考かんがえるようになりました。 *

16. 兄きょう弟だい姉し妹まいを信しん頼らいするよう努ど力りょくする必ひつ要ようがあるのはなぜですか。

¹⁶ あなたも同おなじようなつらい経けい験けんをしたことがあるなら，仲なか間まへの信しん頼らいを再ふたたび築きずくよう努ど力りょくしてください。時じ間かんがかかるかもしれませんが，そうするだけの価か値ちがあります。例たとえで考かんがえてみましょう。もし食しょく中ちゅう毒どくになってしまったなら，その後あとは食たべる物ものにいっそう気きを付つけるはずです。でも，だからといって，食たべるのをやめてしまうことはないでしょう。同おなじように，1度ど嫌いやな経けい験けんをしたからといって，兄きょう弟だい姉し妹まいは誰だれも信しん頼らいできないと考かんがえてはいけません。人ひとは皆みな，生うまれた時ときから不ふ完かん全ぜんだからです。信しん頼らいを再ふたたび築きずくようにするなら，いっそう幸しあわせになれます。そして，会かい衆しゅう内ないの信しん頼らい感かんを深ふかめるために自じ分ぶんにできることをいっそう考かんがえられるようになるでしょう。

17. 信しん頼らいがとても重じゅう要ようなのはなぜですか。次つぎの記き事じではどんなことを考かんがえますか。

¹⁷ サタンが支し配はいする世せ界かいでは，信しん頼らいはほとんど見みられません。でも，エホバの証しょう人にんの間あいだには，愛あいに基もとづく信しん頼らいが満みちています。そうした信しん頼らいがあるので，いま喜よろこびや一いっ致ちを味あじわうことができています。そして将しょう来らい，難むずかしい問もん題だいにぶつかる時とき，信しん頼らいは保ほ護ごとなります。では，信しん頼らいを裏うら切ぎられて傷きずついた時ときには，どんなことができるでしょうか。エホバと同おなじ見み方かたをし，聖せい書しょの教おしえを当あてはめ，仲なか間まへの愛あいを深ふかめ，聖せい書しょ中ちゅうの手て本ほんから学まなぶようにしましょう。そうすれば，心こころの傷きずを乗のり越こえ，再ふたたび信しん頼らいを築きずくことができます。そして，「兄きょう弟だい以い上じょうの絆きずなで結むすばれる友とも」を大おお勢ぜい得えることができます。（格かく 18:24）とはいえ，信しん頼らい関かん係けいを育はぐくむには，自じ分ぶんが信しん頼らいするだけでは十じゅう分ぶんではありません。相あい手てから信しん頼らいしてもらう必ひつ要ようもあります。次つぎの記き事じでは，自じ分ぶんが信しん頼らいできる人ひとであることをどのように示しめせるかを考かんがえます。