研究記事23
「ヤハの炎」を燃やし続けるために
「愛の火は燃え盛る火,ヤハの炎」。ソロモンの歌 8:6
131番の歌 「神が結び合わせたもの」
何を学ぶか a
1. 聖書は本物の愛をどのように描いていますか。
「愛の火は燃え盛る火,ヤハの炎。渦巻く水も愛を消すことはできない。川も愛を流し去ることはできない」。 b (ソロ 8:6,7)本当に美しい表現です。結婚している人たちは,本物の愛を描いたこの言葉を読むと心強く感じることでしょう。夫婦がいつまでもお互いを愛し続けることは可能なのです。
2. 夫婦はお互いに愛し続けるためにどんなことができますか。
2 夫婦がお互いに愛し続けるためには,努力が必要です。たき火を燃やし続けるためには,まきをくべる必要があります。何もしなければ,火はやがて消えてしまいます。同じように,夫婦が互いに愛し続けるためには,絆を強める必要があります。でも時には,お互いへの愛が弱くなっているように感じることがあるかもしれません。経済的な問題や病気を抱えたり,子育てに追われたりしている時は,特にそうかもしれません。では,「ヤハの炎」を燃やし続けるためにどんなことができるでしょうか。この記事では,夫婦の絆を強めるのに助けとなる3つの点を取り上げます。 c
エホバとの絆を強める
3. 夫婦がエホバとの絆を強めることはどうして大切ですか。(伝道の書 4:12)(写真と挿絵も参照。)
3 「ヤハの炎」を燃やし続けるためには,夫婦の両方がエホバと の絆を強めるよう努力することが大切です。どうしてでしょうか。エホバとの絆を大事にしているなら,エホバからのアドバイスを喜んで当てはめようとするでしょう。そうするなら,お互いへの愛を弱めるような問題を避けたり乗り越えたりすることができます。(伝道の書4:12を読む。)エホバとの絆を大事にしている人は,エホバに見習って親切や辛抱を示し,快く許すよう努力します。(エフェ 4:32–5:1)夫婦でこうした点に取り組むなら,お互いへの愛が強くなっていきます。結婚して25年以上になるレナ姉妹はこう言います。「エホバとの絆を大事にしている人には,愛や敬意を示しやすいものです」。
4. エホバがイエスの両親としてヨセフとマリアを選んだのはどうしてですか。
4 聖書中の例を考えてみましょう。エホバはメシアになるイエスの両親としてヨセフとマリアを選びました。たくさんいたダビデの子孫の中から,この2人が選ばれたのはどうしてでしょうか。2人ともエホバとの強い絆を持っていたからです。それでエホバは,この2人ならきっとご自分のことを一番に考えて家庭を築いていくはずだ,と思いました。では,結婚している人たちはヨセフとマリアからどんなことを学べるでしょうか。
5. 夫はヨセフにどのように見習うことができますか。
5 ヨセフはエホバからの指示に進んで従ったので,良い夫になることができました。少なくとも3回,エホバから家族についての指示を受けました。どの時もすぐに従いました。(マタ 1:20,24; 2:13-15,19-21)大きな変化が求められるとしても,エホバから言われた通りにしたので,マリアを守り,支え,養うことができました。マリアはそんなヨセフのことをいっそう愛し,尊敬するようになったことでしょう。夫の皆さん,ぜひヨセフの手本に見習ってください。聖書のアドバイスを調べ,それを当てはめましょう。 d 大きな変化が求められるとしてもそうするなら,妻を愛していることを示し,結婚の絆を強めることができます。結婚して20年余りになるバヌアツのある姉妹はこう言います。「夫がエホバのお考えをよく調べて,その通りにしているのを見ると,夫をもっと尊敬できるようになります。安心できますし,夫の決定を信頼して従うことができます」。
6. 妻はマリアにどのように見習うことができますか。
6 マリアは,エホバとの絆を強める面でヨセフに頼りきりになるのではなく,自分でも努力しました。マリアは聖書の内容をよく知っていました。(ルカ 1:46の注釈を参照。)じっくり考えるための時間もきちんと取っていました。(ルカ 2:19,51)このようにしてエホバとの絆を強めていたので,良い妻になることができました。現代 の多くの妻たちも,マリアの手本に見習っています。えみこ姉妹はこう言っています。「独身時代には,エホバと自分の絆を強めるための日課がありました。でも結婚すると,夫が祈ってくれるようになり,崇拝の面でも夫が率先してくれます。それで,だんだんと信仰を強める面で夫任せになってしまいました。やがて,エホバとの絆を強めるのは自分の責任だということに気付きました。今では,祈ったり聖書を読んだりエホバについてじっくり考えたりするための1人の時間を取るようにしています」。(ガラ 6:5)妻の皆さん,エホバと自分の絆を強めるために,これからも努力してください。そうするなら,夫から高く評価され,ますます愛されることでしょう。(格 31:30)
7. ヨセフとマリアはどんな面でも夫婦の手本となっていますか。
7 ヨセフとマリアは,エホバとの絆を強める面で協力しました。家族でエホバを崇拝することが大切だと分かっていたからです。(ルカ 2:22-24,41; 4:16)子供が増えるにつれて,大変なこともあったかもしれませんが,2人は頑張りました。素晴らしい手本です。あなたも子供がいるなら,みんなで集会に行ったり家族の崇拝をしたりするのが大変だ,と感じることもあるでしょう。夫婦で一緒に聖書を学んだり祈ったりする時間を取るのは,もっと難しいかもしれません。でも,エホバへの崇拝を何よりも大切にしましょう。そうするなら,エホバとの絆も夫婦の絆も強めることができます。
8. 夫婦の関係がぎすぎすしていると思える場合,どんなことができますか。
8 では,もし夫婦の関係がぎすぎすしているように思える場合はどうでしょうか。そういう場合,一緒に家族の崇拝をするのはなかなか気が進まないかもしれません。もしそうなら,2人の興味があるものや,短くて楽しめる内容のものを考えることから始めるのはどうでしょうか。そうすれば,夫婦の絆も,一緒にエホバを崇拝したいという気持ちも強くなっていくことでしょう。
一緒に過ごす
9. 夫婦が一緒に過ごすことはどうして大切ですか。
9 夫婦の皆さん,一緒に過ごすことによっても,2人の愛を強めることができます。そうするなら,相手の考えや気持ちを知ることができます。(創 2:24)結婚して15年以上になる,リリア姉妹とルスラン兄弟の例を考えてみましょう。結婚当初に感じたことについて,姉妹はこう言っています。「私たちは,思っていたよりも一緒に過ごす時間がないということに気付きました。仕事や家事や子供の世話で,1日があっという間に過ぎてしまいました。それで,このまま夫婦で一緒に過ごす時間を取らなければ,気持ちがどんどん離れていってしまうかもしれない,と思いました」。
10. エフェソス 5章15,16節にあるアドバイスを夫婦でどのように当てはめられますか。
10 夫婦で一緒に過ごす時間を確実に取るために,どんなことができるでしょうか。一緒に過ごす時間を前もって決めておくことができるかもしれません。(エフェソス 5:15,16を読む。)ナイジェリアのウゾンドゥ兄弟はこう言います。「私は予定を立てる時に,夫婦で一緒に過ごす時間も必ず含めるようにしています。この時間はとても大切なので,簡単に変えないようにしています」。(フィリ 1:10)モルドバで夫婦で巡回奉仕をしているアナスタシヤ姉妹は,時間を上手に活用しています。こう言います。「私は,夫が忙しく している間に,自分一人でできることを行うようにしています。そうすれば,夫がゆっくりできるようになった時に,一緒に時間を過ごすことができます」。でも,忙し過ぎて,夫婦で一緒に過ごす時間を取るのは難しい,と感じる場合はどうしたらいいでしょうか。
11. アクラとプリスキラはどんなことを一緒に行いましたか。
11 1世紀のクリスチャンから愛された,アクラとプリスキラについて考えてみましょう。(ロマ 16:3,4)聖書には,この夫婦がどんな生活を送っていたかについて詳しくは記録されていません。でも,2人がいつも一緒に仕事をし,伝道を行い,仲間を助けていたことが書かれています。(使徒 18:2,3,24-26)聖書の中では,アクラとプリスキラの名前が必ず一緒に出てきます。
12. 夫婦で過ごす時間を増やすために,どんなことができますか。(写真と挿絵も参照。)
12 アクラとプリスキラにどのように見習うことができるでしょうか。夫も妻も,やるべきことがきっとたくさんあるでしょう。その中に,夫婦で一緒にできることが何かあるでしょうか。例えば,アクラとプリスキラのように,一緒に伝道に出掛けることができますか。アクラとプリスキラは仕事も一緒に行いました。もちろん,全ての夫婦が2人で同じ仕事をしているわけではないでしょう。でも,家事を一緒に行うことができるでしょうか。(伝 4:9)お互いに助け合って行うなら,会話も増え,チームとしての一体感が強くなることでしょう。ロバート兄弟とリンダ姉妹は,結婚して50年以上になります。兄弟はこう言います。「正直言って,私たちは夫婦で一緒に出掛けたり,趣味を楽しんだりする時間はあまりありません。でも,私が皿洗いをしている時に妻が隣で皿を拭いてくれたり,私が庭仕事をしている時に妻が手伝ってくれたりすると,幸せな気持ちになります。夫婦で一緒に何かを行うと,2人の距離が縮まり,愛も深まっていきます」。
13. 夫婦の絆を強めるためには,どんなことも大切ですか。
13 注意したい点として,ただ一緒にいるだけで絆が強まるとは限りません。ブラジルのある姉妹はこう言っています。「最近は気を散らすものがたくさんあります。それで,一緒に時間を過ごしていると思っていても,実は同じ家に住んでいるだけ,ということもあり得ます。ただ一緒にいるだけではなく,相手に関心を向けることが大切です」。ブルーノ兄弟とタイーズ姉妹もこの点を意識しています。兄弟はこう言います。「夫婦で時間を過ごす時には,携帯電話を近くに置かないようにして,2人の時間を楽しんでいます」。
14. 夫婦で一緒に過ごすことが楽しくないと感じる場合,どんなことができますか。
14 夫婦で一緒に過ごすことが楽しくないと感じる 場合,どうしたらいいでしょうか。それぞれ趣味や興味のあることが違ったり,相手の言葉や行動にいらいらしたりするのかもしれません。そういう場合には,この記事の初めで考えた,たき火の例えを思い出してください。火は最初から勢いよく燃えるわけではありません。小さな火にまきをくべていくと,だんだんと大きな火になります。同じように,夫婦で少しの時間一緒に過ごすことから始めてみるのはどうでしょうか。けんかの原因になるようなことではなく,2人で楽しめることを行うようにしましょう。(ヤコ 3:18)小さなことから少しずつ行っていくなら,お互いへの愛は強くなっていくでしょう。
お互いに敬意を込めて接する
15. 夫婦の愛を強めるために敬意が欠かせないのはどうしてですか。
15 敬意は結婚生活に欠かせません。それはたき火が燃え続けるために必要な酸素に似ています。酸素がないと火がすぐに消えてしまうのと同じように,夫婦の間に敬意がないと,愛はすぐに冷めてしまいます。それで,夫婦の愛を強めるためには,お互いが敬意を示し合うよう努力する必要があります。でも,自分では敬意を示していると思っていても,相手に伝わっていないなら意味がありません。ペニー姉妹とアレット兄弟は結婚して25年以上になります。姉妹はこう言います。「私たちはお互いに敬意を示し合っているので,家の中はとてもいい雰囲気です。意見を大切にしてくれることが分かっているので,お互いに何でも思っていることを話せます」。では,相手に敬意が伝わるようにするにはどうしたらいいでしょうか。アブラハムとサラの例を考えてみましょう。
16. 夫はアブラハムにどのように見習うことができますか。(ペテロ第一 3:7)(写真と挿絵も参照。)
16 アブラハムはサラに敬意を込めて接しました。サラの気持ちを大切にし,話によく耳を傾けました。ある時,サラはアブラハムに自分の気持ちをぶつけ,アブラハムを厳しく責めることまでしました。それでも,アブラハムは腹を立てたりはしませんでした。サラが謙遜に自分を支えてくれていたからです。アブラハムはサラの話をよく聞き,問題を解決しようとしました。(創 16:5,6)どんなことを学べるでしょうか。夫の皆さんには家族のためにいろいろなことを決める権限があります。(コリ一 11:3)でも,妻に関係することを決定する時には特に,妻の意見をよく聞くようにしましょう。(コリ一 13:4,5)妻がストレスを感じて話を聞いてもらいたいと思っている時には,妻の気持ちを大切にし,よく耳を傾けるようにします。(ペテロ第一3:7を読む。)ドミトリー兄弟とアンジェラ姉妹は結婚して30年ほどになり ます。姉妹は,兄弟が自分に敬意を込めて接してくれていると感じています。こう言います。「夫は,私がつらい気持ちになっている時や,話を聞いてもらいたいと思う時に,いつも耳を傾けてくれます。私が感情的になってしまう時にも,辛抱強く接してくれます」。
17. 妻はサラの手本にどのように見習うことができますか。(ペテロ第一 3:5,6)
17 サラはアブラハムに進んで協力することで敬意を示しました。(創 12:5)ある時,アブラハムは通り掛かった3人の人を家に招いてもてなすことにしました。それでサラに,手を止めてパンをたくさん作ってほしい,とお願いしました。(創 18:6)サラはすぐにアブラハムから言われた通りにしました。妻の皆さん,サラに見習って,夫の決定に協力するようにしましょう。そうするなら,夫婦の絆を強めることができます。(ペテロ第一3:5,6を読む。)前の節に出てきたドミトリー兄弟は,妻が敬意を込めて接してくれていると感じています。こう言います。「アンジェラは,私と意見が違う時にも進んで協力してくれます。あまり良い結果にならなかったとしても,私を責めたりはしません。本当に感謝しています」。確かに,相手が敬意を込めて接してくれるなら,愛を示しやすいのではないでしょうか。
18. 夫婦の愛を強めていくよう努力することには大きな価値があります。どうしてそう言えますか。
18 サタンはクリスチャンの夫婦の愛の絆を壊そうとしています。お互いへの愛が弱くなるなら,エホバからも離れていってしまうということを知っているからです。でも,本物の愛は決して絶えることがありません。それで,「ソロモンの歌」の中で描かれているような愛を,夫婦の間で育んでいくようにしましょう。夫婦でエホバに仕えることを何よりも優先し,一緒に時間を過ごし,相手の気持ちを大切にしてください。そうするなら,本物の愛の源であるエホバに栄光をもたらすことができます。そして2人の愛は,十分にまきがくべられたたき火のように,いつまでも燃え続けることでしょう。
132番の歌 私たちは一つになる
a エホバは人間に結婚という贈り物を与えてくださいました。結婚によって,夫と妻は強い愛の絆で結ばれます。とはいえ,この愛は弱くなってしまうこともあります。この記事では,夫婦がずっと愛し合い,幸せな結婚生活を送っていくのに役立つ点を考えます。
b ここでは,いつまでも続く本物の愛のことを「ヤハの炎」と表現しています。エホバがそうした愛の源だからです。
c 配偶者がエホバの証人ではないとしても,この記事に載せられている提案は,夫婦の絆を強めるのに助けとなるでしょう。(コリ一 7:12-14。ペテ一 3:1,2)