1-2. サムソンについて学まなぶとよいのはどうしてですか。

 サムソンと聞きくと，どんなことが思おもい浮うかびますか。ものすごく力ちからの強つよい人ひとというイメージがあるかもしれません。確たしかにその通とおりです。でも，サムソンは良よくない決けっ定ていをしたためにつらい経けい験けんをしました。とはいえ，エホバはサムソンの信しん仰こうに注ちゅう目もくし，私わたしたちの手て本ほんとして聖せい書しょに記き録ろくさせました。

² サムソンはエホバから力ちからを与あたえられて，イスラエル人じんを救すくうために驚おどろくようなことを行おこないました。サムソンが死しんでから何なん百びゃく年ねんもたった後あと，エホバはパウロを導みちびき，立りっ派ぱな信しん仰こうを示しめした人ひととしてサムソンの名な前まえを記き録ろくさせました。（ヘブ 11:32-34）サムソンの手て本ほんは私わたしたちにとって励はげみになります。サムソンは難むずかしい状じょう況きょうでもエホバに頼たよりました。では，どんなことを学まなべるか考かんがえてみましょう。

3. サムソンはどんな使し命めいを与あたえられましたか。

³ サムソンが生うまれた頃ころ，イスラエル人じんはフィリスティア人じんの厳きびしい支し配はいの下もとでとても苦くるしんでいました。（裁さば 13:1）それで，エホバはサムソンに「先せん頭とうに立たってイスラエルをフィリスティア人じんから救すく[う]」という使し命めいを与あたえました。（裁さば 13:5）この難むずかしい務つとめを果はたすために，サムソンはエホバに頼たよる必ひつ要ようがありました。

4. エホバはどのようにサムソンを救すくい出だしましたか。（裁さばき人びと 15:14-16）

⁴ サムソンはどのようにエホバに頼たより，エホバの支ささえを経けい験けんしたでしょうか。ある時とき，フィリスティア人じんがサムソンを捕つかまえようとして， おそらくユダにあったレヒにやって来きました。恐おそれを感かんじたユダの人ひとたちは，サムソンを引ひき渡わたすことにし，2本ほんの新あたらしい縄なわで縛しばってフィリスティア人じんの所ところに連つれていきます。（裁さば 15:9-13）でも，「エホバの聖せいなる力ちからがサムソンに働はたらき」，手てから縄なわが外はずれるようにしました。サムソンは「死しんだばかりの雄おロバの顎あご骨ぼねを見みつけ」，その骨ほねで1000人にんを打うち倒たおすことができました。（裁さばき人びと15:14-16を読よむ。）

5. サムソンはエホバを信しん頼らいしていることをどのように示しめしましたか。

⁵ サムソンが雄おロバの顎あご骨ぼねを使つかったのはどうしてでしょうか。それは普ふ通つう，武ぶ器きとして使つかう物ものではありませんでした。サムソンは，エホバに頼たよるならどんな武ぶ器きを使つかうとしてもフィリスティア人じんを打うち倒たおせると確かく信しんしていたのでしょう。その時とき手てに入はいった物ものを使つかってエホバの望のぞむことを果はたし，強つよい信しん仰こうを示しめしました。このようにエホバに頼たよったからこそ，勝しょう利りを収おさめることができました。

6. サムソンからどんなことを学まなべますか。

⁶ エホバは私わたしたちにも力ちからを与あたえて，どんな割わり当あても果はたせるようにしてくださいます。自じ分ぶんでは無む理りだと思おもえるような割わり当あてであっても，思おもってもみなかったような方ほう法ほうで助たすけてくださるかもしれません。エホバに頼たよるなら，エホバはサムソンに力ちからを与あたえたのと同おなじように，私わたしたちのことも助たすけてくださいます。（格かく 16:3）

7. どんな例れいから，エホバに導みちびきを求もとめることの大たい切せつさが分わかりますか。

⁷ 建けん設せつプロジェクトに参さん加かしている多おおくの兄きょう弟だい姉し妹まいは，エホバを信しん頼らいして奉ほう仕ししてきました。以い前ぜんは多おおくの場ば合あい，王おう国こく会かい館かんや崇すう拝はいのための建たて物ものを自じ分ぶんたちで設せっ計けいし，新しん築ちくしていました。でも，伝でん道どう者しゃの数かずが増ふえるにつれて，調ちょう整せいが必ひつ要ようになりました。責せき任にんある兄きょう弟だいたちは，エホバに導みちびきを求もとめ，建たて物ものを購こう入にゅうして改かい装そうするといった新あらたな方ほう法ほうを取とり入いれることにしました。ここ数すう年ねん，世せ界かい中じゅうで行おこなわれているたくさんの建けん設せつプロジェクトに参さん加かしているロバート兄きょう弟だいはこう 言いっています。「最さい初しょの頃ころは，この新あたらしい方ほう法ほうを受うけ入いれにくく感かんじている人ひとたちもいました。これまで何なん年ねんもやってきたやり方かたとは全まったく違ちがっていたからです。でも，兄きょう弟だいたちは新あたらしい方ほう法ほうに進すすんで合あわせようとしました。エホバは確たしかにこの調ちょう整せいを祝しゅく福ふくしてくださっていると思おもいます」。これは，エホバがご自じ分ぶんの望のぞむことを行おこなえるように私わたしたちを導みちびいてくださっている一ひとつの例れいにすぎません。時とき々どき，次つぎのように考かんがえてみるのは良よいことです。「私わたしはエホバに奉ほう仕しする時とき，いつも導みちびきを求もとめ，進すすんで調ちょう整せいに応おうじているだろうか」。

8. サムソンはとても喉のどが渇かわいた時とき，どうしましたか。

⁸ サムソンはほかにも驚おどろくような事こと柄がらを行おこないました。素す手ででライオンを倒たおしたこともあれば，アシュケロンという町まちで30人にんのフィリスティア人じんを打うち倒たおしたこともありました。（裁さば 14:5，6，19）こうしたことが行おこなえるのはエホバが助たすけてくれているからだ，ということをサムソンは理り解かいしていました。それは，サムソンが1000人にんのフィリスティア人じんを打うち倒たおした後あと，とても喉のどが渇かわいていた時ときに取とった行こう動どうから分わかります。自じ分ぶんでどうにかして水みずを見みつけようとするのではなく，エホバに助たすけを求もとめました。（裁さば 15:18）

9. エホバは，助たすけを求もとめるサムソンのためにどんなことをしましたか。（裁さばき人びと 15:19）

⁹ エホバは，助たすけを求もとめるサムソンのために奇き跡せきを行おこない，水みずが湧わき出でるようにしました。サムソンはそれを飲のむと「元げん気きを取とり戻もどし，回かい復ふくし」ました。（裁さばき人びと15:19を読よむ。）この泉いずみは，何なん年ねんも後あと，サムエルが「裁さばき人びとの書しょ」を書かいた時ときもまだあったようです。イスラエル人じんはこの泉いずみを見みるたびに，エホバがご自じ分ぶんに頼たよる人ひとを必かならず支ささえてくださるということを思おもい出だしたでしょう。

10. エホバに助たすけてもらうためには，どんなことが大たい切せつですか。（挿さし絵えと写しゃ真しんも参さん照しょう。）

¹⁰ 私わたしたちもエホバに助たすけを求もとめる必ひつ要ようがあります。どんな才さい能のうや能のう力りょくを持もっているとしても，またエホバへの奉ほう仕しにおいてどんなことを成なし遂とげてきたとしてもそうです。エホバに頼たよらなければ何なにもうまくいかない，ということを謙けん遜そんに認みとめることが大たい切せつです。サムソンが，エホバが与あたえてくださった水みずを飲のんで元げん気きを取とり戻もどしたように，私わたしたちもエホバが与あたえてくださるものを十じゅう分ぶんに活かつ用ようするなら，忠ちゅう実じつにエホバに仕つかえ続つづけるための力ちからを得えられます。（マタ 11:28）

11. エホバの助たすけを十じゅう分ぶんに活かつ用ようするためにどんなことができますか。

¹¹ ロシアのアレクセイという兄きょう弟だいの例れいを考かんがえてみましょう。厳きびしい迫はく害がいの中なかで強つよい信しん仰こうを保たもつのに，どんなことが助たすけになっているでしょうか。兄きょう弟だいと妻つまは，エホバとの絆きずなを強つよめるための日にっ課かを大たい切せつにしています。兄きょう弟だいはこう言いっています。「個こ人じん研けん究きゅうや毎まい日にちの聖せい書しょ通つう読どくを欠かかさないようにして，エホバとの絆きずなを強つよめるようにしています。また，妻つまと一いっ緒しょに毎まい朝あさ日ひ々びの聖せい句くについて話はなし合あい，エホバに祈いのるようにしています」。何なにが学まなべますか。自じ分ぶんでどうにかしようとするのではなく，エホバに頼たよることが大たい切せつです。個こ人じん研けん究きゅうや信しん仰こうを強つよめるための日にっ課かを守まもるようにしましょう。そうするなら，エホバは私わたしたちの努ど力りょくを豊ゆたかに祝しゅく福ふくしてくれます。サムソンにしたのと同おなじように，私わたしたちのことも必かならず元げん気きづけてくれるのです。

12. サムソンはどんな良よくない決けっ定ていをしましたか。それまでの決けっ定ていとはどんなところが違ちがっていましたか。

¹² サムソンも私わたしたちと同おなじで不ふ完かん全ぜんだったので，良よくない決けっ定ていをすることがありました。ある決けっ定ていは本ほん当とうに悲ひ惨さんな結けっ果かをもたらしました。裁さばき人びととして働はたらくようになってからしばらくして，サムソンは「ソレクの谷たににいるデリラという女じょ性せいを愛あいするように」なりました。（裁さば 16:4）以い前ぜんにサムソンは，フィリスティア人じんの女じょ性せいを妻つまとして迎むかえようとしたことがありました。でも，それは「エホバから出でていること」でした。エホバは「フィリスティア人じんと戦たたかう機き会かいをうかがっていた」のです。後のちにサムソンはフィリスティア人じんの町まちガザで娼しょう婦ふのところに入はいりましたが，それもエホバの力ちからによってこの町まちの門もんの扉とびらを運はこび去さり，防ぼう備びに一いち撃げきを加くわえる機き会かいとなりました。（裁さば 14:1-4; 16:1-3）でも，デリラの件けんに関かんしては，サムソンは自じ分ぶんの考かんがえで行こう動どうしていました。おそらくデリラはイスラエル人じんだったからです。それで，デリラと結けっ婚こんしてもフィリスティア人じんと戦たたかうチャンスが生うまれることにはなりませんでした。

13. デリラはサムソンにどんなことをしましたか。

¹³ デリラはサムソンをだます見み返かえりとして，フィリスティア人じんからたくさんのお金かねを受うけ取とりました。サムソンはデリラに夢む中ちゅうになっていたので，デリラのことを信しん用ようし切きってしまい，まさか自じ分ぶんがだまされているとは考かんがえなかったのかもしれません。デリラに何なん度どもせがまれたため，サムソンは自じ分ぶんがどうして並なみ外はずれた力ちからを持もっているのかをデリラに明あかしてしまいます。残ざん念ねんなことに，しばらくの間あいだサムソンはエホバからの支ささえを失うしない，弱よわくなってしまいました。（裁さば 16:16-20）

14. サムソンはデリラを信しんじたために，どんなつらい経けい験けんをしましたか。

 ¹⁴ サムソンは，エホバではなくデリラを信しんじたためにつらい経けい験けんをしました。フィリスティア人じんに捕とらえられ，盲もう目もくにされました。さらに，以い前ぜん自じ分ぶんが門もんを引ひき抜ぬいた町まちガザの牢ろう屋やで粉こなをひく仕し事ごとをさせられました。そして，フィリスティア人じんが祭まつりを祝いわうために集あつまった時とき，そこに連つれていかれました。フィリスティア人じんは偽にせの神かみダゴンに，サムソンを捕とらえてくれたことに感かん謝しゃして盛せい大だいな犠ぎ牲せいを捧ささげます。さらに，サムソンを「笑わらいもの」にしようとします。（裁さば 16:21-25）

15. サムソンが再ふたたびエホバに頼たよるようになったことはどんなことから分わかりますか。（裁さばき人びと 16:28-30）（表ひょう紙しの絵えを参さん照しょう。）

¹⁵ サムソンは大おおきな失しっ敗ぱいをしましたが，諦あきらめませんでした。フィリスティア人じんと戦たたかうというエホバから任まかされた使し命めいを果はたすチャンスを探さがしていました。（裁さばき人びと16:28-30を読よむ。）それで，エホバに「フィリスティア人じんに復ふく讐しゅうさせてください」と祈いのりました。エホバはサムソンのこの祈いのりに答こたえ，特とく別べつな力ちからを再ふたたび与あたえました。この時とき，サムソンはそれまでに倒たおしたよりも多おおくのフィリスティア人じんを倒たおすことができました。

16. サムソンの失しっ敗ぱいからどんなことを学まなべますか。

¹⁶ サムソンは自じ分ぶんの失しっ敗ぱいによってつらい経けい験けんをしましたが，諦あきらめずにエホバのために働はたらこうとしました。私わたしたちも，何なにかの間ま違ちがいをして矯きょう正せいされたり奉ほう仕しの機き会かいを失うしなったりするかもしれません。でも，諦あきらめないようにしましょう。エホバが私わたしたちのことを諦あきらめていないということを忘わすれないでください。（詩し 103:8-10）たとえ私わたしたちが失しっ敗ぱいしたとしても，エホバのために働はたらく力ちからを必かならず与あたえてくださいます。

17-18. マイケル兄きょう弟だいの経けい験けんからどんな励はげみが得えられますか。（写しゃ真しんも参さん照しょう。）

¹⁷ マイケルという若わかい兄きょう弟だいの例れいを考かんがえましょう。兄きょう弟だいは，援えん助じょ奉ほう仕し者しゃや正せい規き開かい拓たく者しゃとしてエホバのために忙いそがしく働はたらいていました。でもある時とき，間ま違ちがいを犯おかし，会かい衆しゅうでの奉ほう仕しの機き会かいを失うしなってしまいました。兄きょう弟だいは言いいます。「それまでは，いろんな奉ほう仕しでスケジュールがいっぱいでした。でも突とつ然ぜん，エホバのためにできることがなくなってしまったように感かんじました。エホバに 見み捨すてられるとまでは考かんがえませんでしたが，昔むかしのようにエホバとの強つよい絆きずなを持もてるだろうか，会かい衆しゅうで以い前ぜんのような奉ほう仕しができるだろうか，と考かんがえました」。

¹⁸ それでもマイケル兄きょう弟だいは諦あきらめませんでした。こう言いっています。「エホバとの強つよい絆きずなを取とり戻もどすことに打うち込こみました。いつでもエホバに祈いのって気き持もちを打うち明あけ，聖せい書しょを学まなび，じっくり考かんがえるようにしました」。やがて兄きょう弟だいは会かい衆しゅうでの奉ほう仕しの機き会かいを再ふたたび与あたえられ，今いまでは長ちょう老ろうまた正せい規き開かい拓たく者しゃとして奉ほう仕ししています。さらにこう言いっています。「兄きょう弟だい姉し妹まいが支ささえになってくれました。特とくに長ちょう老ろうたちの励はげましのおかげで，エホバが変かわらずに愛あいしてくれていることに気き付づけました。今いまではまた，晴はれやかな気き持もちで会かい衆しゅうのために奉ほう仕しすることができています。この経けい験けんを通とおして，心こころから悔くい改あらためるならエホバが必かならず許ゆるしてくださる，ということを学まなびました」。私わたしたちも間ま違ちがいを犯おかすことがあるかもしれませんが，エホバのために働はたらき続つづけることができます。エホバに頼たより，生いき方かたを正ただすためにできる限かぎりのことをするなら，エホバは支ささえてくださるのです。（詩し 86:5。格かく 28:13）

19. サムソンの例れいから学まなんだどんなところが印いん象しょうに残のこりましたか。

¹⁹ この記き事じでは，サムソンについてのエピソードを幾いくつか考かんがえました。サムソンは完かん全ぜんな人ひとではありませんでしたが，間ま違ちがいを犯おかした後あとも諦あきらめずにエホバに仕つかえようとしました。エホバもサムソンのことを諦あきらめませんでした。もう一いち度どサムソンに特とく別べつな力ちからを与あたえました。エホバはサムソンの信しん仰こうを高たかく評ひょう価かしていたので，ヘブライ 11章しょうの中なかで立りっ派ぱな信しん仰こうを示しめした人ひとの一人ひとりとして名な前まえを挙あげています。このような愛あい情じょう深ぶかい天てんのお父とうさんに仕つかえられるのは，本ほん当とうにうれしいことではないでしょうか。エホバは私わたしたちが助たすけを必ひつ要ようとする時ときには特とくに，力ちからを与あたえたいと思おもってくださっています。それで，サムソンのようにエホバにこう祈いのりましょう。「どうか私わたしを思おもい出だしてください。どうか……私わたしを強つよくしてください」。（裁さば 16:28）