1-2. 私わたしたちはどんな不ふ当とうな扱あつかいを受うけることがありますか。

 イエスは，ある例たとえ話ばなしの中なかで，公こう正せいに扱あつかわれることを裁さい判ばん官かんに何なん度ども求もとめたやもめについて話はなしたことがありました。当とう時じの人ひとたちは不ふ公こう正せいな扱あつかいを受うけることがよくあったので，イエスの弟で子したちの多おおくはこの話はなしに共きょう感かんできたことでしょう。（ルカ 18:1-5）今いまでも同おなじことがいえます。私わたしたちは誰だれでも不ふ当とうな扱あつかいを受うけることがあるからです。

² 今いまの世よの中なかでは偏へん見けんや不ふ平びょう等どうや抑よく圧あつがよく見みられるので，不ふ当とうな扱あつかいを受うけても私わたしたちは驚おどろきません。（伝でん 5:8）でも，兄きょう弟だい姉し妹まいから不ふ当とうなことをされると深ふかく傷きずつくかもしれません。もちろん，反はん対たい者しゃたちとは違ちがい，兄きょう弟だい姉し妹まいはわざとひどいことをしようとは思おもっていません。でも，完かん璧ぺきではないので失しっ敗ぱいしてしまうことがあります。そのような時ときには，反はん対たい者しゃたちからひどい扱あつかいを受うけたイエスがどのように反はん応のうしたかを考かんがえることが役やく立だちます。私わたしたちは不ふ当とうな扱あつかいをする反はん対たい者しゃたちに対たいして辛しん抱ぼう強づよく接せっしたいと思おもっています。そうであれば，仲なか間まの兄きょう弟だい姉し妹まいに対たいしてはもっとそうしたいと思おもうことでしょう。では，私わたしたちが会かい衆しゅうの仲なか間まやそれ以い外がいの人ひとからひどい扱あつかいを受うける時とき，エホバはどう感かんじているでしょうか。

3. エホバは私わたしたちがどんな扱あつかいを受うけているかを気きに掛かけている，といえるのはどうしてですか。

³ エホバは，私わたしたちがどんな扱あつかいを受うけているかをとても気きに掛かけています。「エホバは公こう正せいを愛あいする方かた」です。（詩し 37:28）イエスは，エホバが適てき切せつな時ときに「速すみやかに公こう正せいをもたらしてくださる」と言いい ました。（ルカ 18:7，8）間まもなく，エホバは全すべての苦くるしみをなくし，あらゆる不ふ公こう正せいを正ただしてくれます。（詩し 72:1，2）

4. エホバは私わたしたちをどのように助たすけてくれていますか。

⁴ 私わたしたちは正ただしいことが行いき渡わたる時じ代だいが来くるまで待まつ必ひつ要ようがあります。でもそれまでの間あいだ，エホバは私わたしたちが不ふ公こう正せいなことを経けい験けんするとしても上じょう手ずに対たい処しょできるよう助たすけてくれています。（ペテ二に 3:13）例たとえば，ひどい扱あつかいを受うけた時ときにどうすれば良よくない反はん応のうを避さけられるかを教おしえてくれています。また，イエスの完かん璧ぺきな手て本ほんを聖せい書しょに残のこしてくれています。さらに，不ふ当とうな扱あつかいを受うけた時ときに役やく立だつアドバイスも与あたえてくれました。

不ふ当とうな扱あつかいにどう反はん応のうするかに注ちゅう意いする

5. 不ふ当とうな扱あつかいにどう反はん応のうするかに注ちゅう意いする必ひつ要ようがあるのはどうしてですか。

⁵ 不ふ当とうな扱あつかいを受うけると，深ふかく傷きずついたりつらい気き持もちになったりするかもしれません。（伝でん 7:7）エホバに忠ちゅう実じつに仕つかえたヨブやハバククもそうでした。（ヨブ 6:2，3。ハバ 1:1-3）このように感かんじるのは自し然ぜんなことです。でも反はん応のうの仕し方かたに注ちゅう意いしていないと，間ま違ちがったことをしてしまうかもしれません。

6. アブサロムの例れいからどんなことが学まなべますか。（挿さし絵えも参さん照しょう。）

⁶ 私わたしたちは不ふ当とうな扱あつかいを受うけた時とき，自じ分ぶんの力ちからでなんとかしようとして，間ま違ちがったことをしてしまうことがあります。でも，そうするなら状じょう況きょうはますます悪わるくなってしまうでしょう。ダビデ王おうの息子むすこアブサロムの場ば合あいがそうでした。アブサロムは妹いもうとのタマルが異い母ぼ兄きょう弟だいのアムノンにレイプされた時とき，激げき怒どしました。アムノンがしたことはモーセの律りっ法ぽうによれば死しに値あたいする罪つみでした。（レビ 20:17）アブサロムが怒いかりを感かんじたのは無む理りもないことでしたが，自じ分ぶんの力ちからでなんとかしようとするべきではありませんでした。アブサロムにはそうする権けん限げんはありませんでした。（サム二に 13:20-23，28，29）

7. ある詩し編へん作さく者しゃは不ふ公こう正せいなことを見みて，どのように感かんじましたか。

⁷ 不ふ公こう正せいなことをしている人ひとが罰ばつを受うけていないように見みえると，正ただしいことを行おこなうことに意い味みがあるのだろうか，と感かんじるかもしれません。ある詩し編へん作さく者しゃは，悪わるい人ひとたちが正ただしい人ひとたちを食くい物ものにしながら繁はん栄えいしているように思おもえて，「こうした悪あく人にんは気き楽らくに暮くらしている」と言いいました。（詩し 73:12）不ふ公こう正せいなことを目めにして心こころがかき乱みだされてしまい，エホバに仕つかえることの価か値ちを見み失うしない そうになりました。それでこう言いいました。「私わたしは事ことの意い味みを理り解かいしようとして，思おもい悩なやんでいた」。（詩し 73:14，16）さらにこう言いっています。「私わたしの足あしはもう少すこしでそれていくところだった。危あやうく滑すべるところだった」。（詩し 73:2）アルベルト兄きょう弟だいも似にたような経けい験けんをしました。 a

8. アルベルト兄きょう弟だいはひどい扱あつかいを受うけてどうなりましたか。

⁸ アルベルト兄きょう弟だいは，会かい衆しゅうの基き金きんからお金かねを盗ぬすんだと誤ご解かいされ，非ひ難なんされました。その結けっ果か，長ちょう老ろうではなくなり，会かい衆しゅうの多おおくの人ひとからも誤ご解かいされ，敬けい意いを失うしないました。兄きょう弟だいは振ふり返かえってこう言いっています。「とてもつらかったです。怒いかりが込こみ上あげ，がっかりしました」。兄きょう弟だいはつらい感かん情じょうをそのまま持もち続つづけ，エホバとの絆きずなが弱よわくなってしまいました。そして集しゅう会かいや奉ほう仕しに参さん加かしない時じ期きが5年ねん続つづきました。兄きょう弟だいの例れいから，ひどい扱あつかいを受うけた時ときに怒いかりの気き持もちを放ほうっておくなら，どんな危き険けんがあるかがよく分わかります。

イエスの手て本ほんに倣ならう

9. イエスはどんなひどい扱あつかいを受うけましたか。（挿さし絵えも参さん照しょう。）

⁹ イエスはひどい扱あつかいに対たい処しょする点てんで完かん璧ぺきな 手て本ほんを残のこしてくれました。イエスが家か族ぞくや他たの人ひとたちからどんな不ふ当とうな扱あつかいを受うけたか，考かんがえてみてください。親しん族ぞくから頭あたまがおかしくなってしまったと言いわれました。宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちには，悪あく魔まの力ちからを使つかって奇き跡せきを行おこなっていると言いわれました。さらに，ローマの兵へい士したちにあざけられ，暴ぼう力りょくを振ふるわれ，殺ころされました。（マル 3:21，22; 14:55; 15:16-20，35-37）イエスはこのように本ほん当とうにひどい扱あつかいを受うけましたが，仕し返かえしをしたりせず，忍にん耐たいしました。この手て本ほんから何なにを学まなべるでしょうか。

10. イエスは不ふ当とうな扱あつかいを受うけた時とき，どうしましたか。（ペテロ第だい一いち 2:21-23）

¹⁰ ペテロ第だい一いち 2:21-23を読よむ。 b イエスが残のこしてくれた完かん璧ぺきな手て本ほんは，私わたしたちが不ふ公こう正せいに対たい処しょする上うえで役やく立だちます。イエスは話はなすべき時ときとそうでない時ときを分わかっていました。（マタ 26:62-64）間ま違ちがったうわさを立たてられても，いちいち反はん応のうすることはありませんでした。（マタ 11:19）話はなす時ときには，迫はく害がいする人ひとたちを脅おどしたり悪あく態たいをついたりしませんでした。イエスが自じ分ぶんの反はん応のうをコントロールできたのはどうしてでしょうか。「正ただしく裁さばく方かたに自じ分ぶんを委ゆだね」ていたからです。イエスは，一いち番ばん大だい事じなのはエホバが物もの事ごとをどう見みているかであることを分わかっていました。そして，エホバが適てき切せつな時ときに不ふ公こう正せいをなくしてくれることを信しんじていました。

11. 話はなす前まえにどんなことを考こう慮りょできますか。（写しゃ真しんも参さん照しょう。）

¹¹ イエスのように，不ふ当とうな扱あつかいを受うけた時とき，話はなす前まえによく考かんがえることは大たい切せつです。ちょっとしたこと であれば見み過すごしましょう。事じ態たいを悪あっ化かさせることを言いってしまわないように黙だまっていることもできます。（伝でん 3:7。ヤコ 1:19，20）でも，ひどい扱あつかいを受うけている人ひとを守まもったり，私わたしたちの信しん条じょうや真しん理りについて正ただしく伝つたえたりするために，話はなす必ひつ要ようがある場ば合あいもあります。（使し徒と 6:1，2）話はなす時ときにはできるだけ穏おだやかに，敬けい意いを込こめて接せっするようにしましょう。（ペテ一いち 3:15） c

12. どのようにして「正ただしく裁さばく方かたに自じ分ぶんを委ゆだね」ることができますか。

¹² イエスのように，「正ただしく裁さばく方かたに自じ分ぶんを委ゆだね」ましょう。ほかの人ひとから誤ご解かいされたり，ひどいことをされたりした時ときには，エホバが全すべてを分わかってくれているということを思おもい出だしましょう。そのことを確かく信しんしているなら，ひどいことをされても，やがてエホバがその問もん題だいを扱あつかってくださると考かんがえることができます。全すべてをエホバにお任まかせするなら，怒いかりや憤いきどおりの気き持もちを募つのらせずに済すみます。そうした気き持もちをそのままにしておくなら，過か剰じょうに反はん応のうしたり，喜よろこびを失うしなったり，エホバとの友ゆう情じょうが壊こわれてしまったりするかもしれません。（詩し 37:8）

13. 不ふ当とうな扱あつかいを忍にん耐たいするのに，どんなことが助たすけになりますか。

¹³ もちろん，私わたしたちはイエスの手て本ほんに完かん璧ぺきに倣ならうことはできません。自じ分ぶんが言いったことやしたことを，後あとになって後こう悔かいするときもあります。（ヤコ 3:2）時ときには不ふ当とうな扱あつかいをされて，体からだも心こころも大おおきなダメージを受うけることがあります。もしそういう経けい験けんをしているなら，エホバは全すべてのことを知しっているということを忘わすれないでください。不ふ当とうな扱あつかいを受うけて苦くるしんだイエスもあなたの気き持もちをよく分わかってくれます。（ヘブ 4:15，16）イエスの完かん璧ぺきな手て本ほんに加くわえて，エホバは不ふ公こう正せいにどのように対たい処しょしたらいいのか，具ぐ体たい的てきなアドバイスを私わたしたちに与あたえてくれています。「ローマのクリスチャンへの手て紙がみ」の2つの節せつから考かんがえてみましょう。

「神かみの憤いきどおりに任まかせましょう」

14. 「神かみの憤いきどおりに任まかせ」るとはどういうことですか。（ローマ 12:19）

¹⁴ ローマ 12:19を読よむ。使し徒とパウロはローマのクリスチャンに，「神かみの憤いきどおりに任まかせましょう」と勧すすめました。これは，問もん題だいを正ただすタイミングや方ほう法ほうはエホバの判はん断だんに任まかせるということです。ジョン兄きょう弟だいはひどいことをされた時ときのことを振ふり返かえってこう言いっています。「私わたしは自じ分ぶんの方ほう法ほうで解かい決けつしたいという気き持もちと闘たたかわなければいけませんでした。でも，ローマ 12章しょう19節せつのおかげでエホバを待まつことができました」。

15. エホバを待まつなら必かならず良よい結けっ果かになるといえるのはどうしてですか。

¹⁵ エホバが問もん題だいを扱あつかってくれるのを待まつなら，必かならず良よい結けっ果かになります。自じ分ぶんの力ちからで問もん題だいを解かい決けつしようとすると，多おおくの場ば合あいストレスや挫ざ折せつ感かんを味あじわうことになります。エホバは私わたしたちを助たすけたいと思おもっています。まるで，「私わたしに任まかせてくれたら，後あとは私わたしがなんとかするから」と言いってくれているかのようです。「私わたしが報ほう復ふくする」というエホバの約やく束そくを信しんじているなら，エホバが一いち番ばん良よい方ほう法ほうで問もん題だいを扱あつかってくれるという確かく信しんを持もってエホバに任まかせることができます。先さきほどのジョン兄きょう弟だいはそうしました。こう言いっています。「自じ分ぶんでなんとかしようとするのではなくエホバを待まつなら，はるかに良よい結けっ果かになります」。

「善ぜんによって悪あくを征せい服ふくし続つづけましょう」

16-17. 「善ぜんによって悪あくを征せい服ふくし続つづけ」る上うえで，祈いのりはどのように助たすけになりますか。（ローマ 12:21）

¹⁶ ローマ 12:21を読よむ。パウロは「善ぜんによって悪あくを征せい服ふくし続つづけましょう」とも勧すすめました。山さん上じょう の垂すい訓くんの中なかでイエスも，「敵てきを愛あいし続つづけ，迫はく害がいする人ひとのために祈いのり続つづけなさい」と言いっていました。（マタ 5:44）イエスはまさにそうしました。ローマの兵へい士しに杭くいにくぎ付づけにされた時ときのことを思おもい出だすかもしれません。その時とき，イエスがどれほどの痛いたみや屈くつ辱じょくを味あじわい，理り不ふ尽じんに感かんじたかは，私わたしたちの想そう像ぞうをはるかに超こえています。

¹⁷ イエスは不ふ当とうな扱あつかいを受うけても愛あいを示しめし，エホバに仕つかえ続つづけました。ローマの兵へい士したちに罰ばつが与あたえられることを願ねがうのではなく，こう祈いのりました。「父ちちよ，彼かれらをお許ゆるしください。自じ分ぶんたちが何なにをしているのか知しらないのです」。（ルカ 23:34）私わたしたちも，自じ分ぶんにひどいことをした人ひとのために祈いのるなら，憤いきどおりや怒いかりの気き持もちを静しずめることができます。相あい手てに対たいする自じ分ぶんの見み方かたも変かえられるかもしれません。

18. アルベルト兄きょう弟だいとジョン兄きょう弟だいが問もん題だいに対たい処しょするのに，祈いのりはどのように助たすけになりましたか。

¹⁸ この記き事じに出でてきた2人ふたりの兄きょう弟だいたちにとっても，祈いのることが助たすけになりました。アルベルト兄きょう弟だいはこう言いっています。「不ふ当とうなことをした兄きょう弟だいたちのために祈いのりました。怒いかりの気き持もちを捨すてられるよう助たすけてください，とエホバに何なん度どもお願ねがいしました」。兄きょう弟だいは力ちからを取とり戻もどし，再ふたたびエホバに仕つかえるようになりました。ジョン兄きょう弟だいはこう言いいます。「自じ分ぶんを傷きずつけた兄きょう弟だいのために何なん度ども祈いのりました。すると，兄きょう弟だいに対たいして批ひ判はん的てきになるのではなく，広ひろい視し野やで見みることができるようになりました。また，穏おだやかな気き持もちにもなれました」。

19. この体たい制せいが続つづく限かぎり，どうすることが大たい切せつですか。（ペテロ第だい一いち 3:8，9）

¹⁹ この体たい制せいが続つづく限かぎり，不ふ当とうな経けい験けんをすることがあるでしょう。でもどんなときも，祈いのってエホバに頼たよることをやめないでください。イエスの手て本ほんに倣ならい，聖せい書しょのアドバイスの通とおりにしていきましょう。そうするなら，エホバがあなたを支ささえ，豊ゆたかに報むくいてくださいます。（ペテロ第だい一いち 3:8，9を読よむ。）