1. 聖せい書しょ時じ代だい，パンはどれほど大たい切せつなものでしたか。

 パンは聖せい書しょ時じ代だいの主しゅ食しょくの1つでした。（創そう 14:18。ルカ 4:4）聖せい書しょでは，食たべ物ものを指さして「パン」という言こと葉ばが使つかわれることがあります。（マタ 6:11。使し徒と 20:7，注ちゅう釈しゃく）よく知しられているイエスが行おこなった奇き跡せきの2つはパンに関かんするものでした。（マタ 16:9，10）そのうちの1つはヨハネ 6章しょうに書かかれています。この記き録ろくから私わたしたちはどんなことを学まなべるでしょうか。

2. どんな状じょう況きょうで食たべ物ものが必ひつ要ようになりましたか。

² 使し徒とたちが伝でん道どう旅りょ行こうから戻もどると，イエスは使し徒とたちが休やすめるように舟ふねでガリラヤ湖こを渡わたりました。（マル 6:7，30-32。ルカ 9:10）そして，ベツサイダという町まちに向むかい，自じ分ぶんたちだけで過すごせる静しずかな場ば所しょへ行いきます。でもそれを知しった何なん千ぜん人にんもの人ひとが先さき回まわりして集あつまっていました。イエスはそうした人ひとたちを無む視しするのではなく，優やさしく接せっしました。時じ間かんを取とって王おう国こくについて教おしえ，病びょう気きの人ひとを癒いやしました。遅おそい時じ間かんになったので，弟で子したちは，ここにいる人ひとたちが食たべ物ものを手てに入いれるにはどうしたらよいだろうと考かんがえました。中なかには食たべ物ものを少すこしだけ持もっている人ひともいたかもしれませんが，ほとんどの人ひとは村むらへ行いって食たべ物ものを買かう必ひつ要ようがありました。（マタ 14:15。ヨハ 6:4，5）イエスはどうしたでしょうか。

奇き跡せきによってパンを与あたえる

3. イエスは使し徒とたちにどんな指し示じを与あたえましたか。（挿さし絵えも参さん照しょう。）

³ イエスは，群ぐん衆しゅうを解かい散さんさせようとした使し徒とたちに次つぎのように言いい ました。「その必ひつ要ようはありません。あなたたちが食たべ物ものを与あたえなさい」。（マタ 14:16）でもそれは不ふ可か能のうに思おもえました。そこには約やく5000人にんの男だん性せいに加くわえ，女じょ性せいや子こ供どももいました。1万まん5000人にん分ぶんほどの食しょく事じを用よう意いする必ひつ要ようがあったかもしれません。（マタ 14:21）アンデレは「ここに大おお麦むぎのパン5つと小ちいさな魚さかな2匹ひきを持もっている少しょう年ねんがいます。でも，これほど大おお勢ぜいでは何なにになるでしょうか」と言いいました。（ヨハ 6:9）大おお麦むぎのパンは貧まずしい人ひとを含ふくめみんなが普ふ段だん食たべていたものでした。小ちいさな魚さかなは塩しお干ぼしされていたものと思おもわれます。でも少しょう年ねんが持もっていたのは，到とう底ていみんなに行いき渡わたる量りょうではありませんでした。

4. ヨハネ 6章しょう11-13節せつからどんなことを学まなべますか。（写しゃ真しんも参さん照しょう。）

⁴ イエスはそこにいた人ひとたちをもてなしたいと思おもい，青あお草くさの上うえにグループになって座すわるよう指し示じしました。（マル 6:39，40。ヨハネ 6:11-13を読よむ。）それから，パンと魚さかなを与あたえてくれたことに感かん謝しゃして天てんの父ちちに祈いのりを捧ささげました。そうするのはふさわしいことでした。実じっ際さいに食たべ物ものを与あたえてくださっているのはエホバだからです。私わたしたちもイエスの手て本ほんに倣ならい，一人ひとりでいる時ときもそうでない時ときも食しょく事じの前まえに感かん謝しゃの祈いのりを捧ささげましょう。イエスは祈いのった後あと，人ひと々びとに食たべ物ものを配くばりました。みんながおなかいっぱいになるまで食たべることができました。余あまりが出でるほどだったので，イエスは無む駄だにしたくないと思おもい，かけらを集あつめるようにと命めいじます。そのようにして，後あとで使つかえるようにしたのかもしれません。私わたしたちもイエスのように物ものを無む駄だにせず，賢かしこく使つかうようにしたいと思おもいます。親おやの皆みなさん，この記き述じゅつを子こ供どもたちと一いっ緒しょに学まなぶ のはどうでしょうか。そして，祈いのることやもてなすこと，惜おしみなく与あたえることなどについて話はなし合あうことができます。

5. イエスがしたことを見みて人ひと々びとはどうしましたか。イエスはどのように反はん応のうしましたか。

⁵ 人ひと々びとはイエスの教おしえ方かたや奇き跡せきにとても驚おどろきました。神かみがモーセを通とおして，特とく別べつな預よ言げん者しゃを立たてると約やく束そくしたことを知しっていたので，「イエスがその預よ言げん者しゃなのだろうか」と考かんがえたかもしれません。（申しん 18:15-18）もしイエスがその預よ言げん者しゃなら，素す晴ばらしい統とう治ち者しゃになり，イスラエルにいるみんなが食たべ物ものに困こまらないようにしてくれるだろう，と思おもったかもしれません。それで人ひと々びとはイエスを「王おうにするために捕とらえ」ようとしました。（ヨハ 6:14，15）もしイエスが人ひと々びとの願ねがいを受うけ入いれたなら，当とう時じローマの支し配はい下かにあったユダヤ人じんの政せい治じに関かかわることになってしまったでしょう。でもイエスはそうはせず，すぐに「山やまに去さって」いきました。周まわりからの圧あつ力りょくがあっても政せい治じに関かかわることはしませんでした。ここから私わたしたちは大たい切せつな点てんを学まなべます。

6. どうすればイエスの手て本ほんに倣ならえますか。（挿さし絵えも参さん照しょう。）

⁶ もちろん，私わたしたちが奇き跡せきによって食たべ物ものを増ふやしたり病びょう気きを癒いやしたりするよう求もとめられることはないはずです。国くにを治おさめるよう求もとめられることもないでしょう。でも，問もん題だいを解かい決けつしてくれそうな人ひとを支し持じしたり，その人ひとに投とう票ひょうしたりするようにと言いわれることはあるかもしれません。そのように政せい治じに関かかわるよう圧あつ力りょくをかけられる時とき，イエス の手て本ほんを思おもい出だすことができます。イエスは政せい治じに一いっ切さい関かかわりませんでした。後のちに，「私わたしの王おう国こくはこの世せ界かいのものではありません」とも言いいました。（ヨハ 17:14; 18:36）私わたしたちクリスチャンは，イエスの考かんがえ方かたや行こう動どうに倣ならう必ひつ要ようがあります。神かみの王おう国こくを支し持じし，王おう国こくについて祈いのったり語かたったりします。（マタ 6:10）では，イエスが奇き跡せきによってパンを与あたえた記き述じゅつからさらに学まなべる点てんを考かんがえてみましょう。

「パンの意い味み」

7. イエスはどんなことをしましたか。使し徒とたちはどのように反はん応のうしましたか。（ヨハネ 6:16-20）

⁷ イエスは群ぐん衆しゅうに食しょく事じをさせた後あと，使し徒とたちを舟ふねでカペルナウムへ向むかわせました。そして，王おうにしようとする群ぐん衆しゅうを避さけるために自じ分ぶんは山やまへ行いきました。（ヨハネ 6:16-20を読よむ。）使し徒とたちが舟ふねをこいでいると嵐あらしが起おき，強つよい風かぜが吹ふいて湖みずうみは荒あれだします。そこにイエスが水みずの上うえを歩あるいてやってきます。そしてペテロにも水みずの上うえを歩あるくようにと言いいます。（マタ 14:22-31）イエスが舟ふねに乗のるとすぐ風かぜがやみます。弟で子したちは驚おどろいて，「確たしかにあなたは神かみの子こです」と言いいます。 a （マタ 14:33）弟で子したちがそう言いったのは，イエスが奇き跡せきによって人ひと々びとにパンを与あたえた時ときではなく，水みずの上うえを歩あるくのを見みた後あとでした。そのことについてマルコはこう書かいています。「[弟で子したちは]すっかり驚おどろいた。先さきほどのパンの意い味みを把は握あくしておらず，まだ心こころが鈍にぶくて理り解かいできなかったのである」。（マル 6:50-52）弟で子したちは，エホバが聖せいなる力ちからによってどれほどの力ちからをイエスに与あたえているかを理り解かいできていませんでした。それでイエスはパンの奇き跡せきについて話はなし，私わたしたちにとって大たい切せつな点てんを教おしえました。

8-9. 群ぐん衆しゅうがイエスを捜さがしたのはどうしてですか。（ヨハネ 6:26，27）

⁸ イエスに食たべ物ものをもらった人ひと々びとは何なにに関かん心しんがあったのでしょうか。次つぎの日ひ，イエスと使し徒とたちがいなくなったことに気き付づくと，人ひと々びとはティベリアから着ついた舟ふねに乗のり込こみ，イエスを捜さがしにカペルナウムに向むかいました。（ヨハ 6:22-24）それは神かみの王おう国こくについてもっと聞ききたかったからでしょうか。そうではありませんでした。特とくに関かん心しんがあったのは食しょく欲よくを満みたすことでした。どうしてそういえるでしょうか。

⁹ 群ぐん衆しゅうがカペルナウムの近ちかくでイエスを見みつけた時ときのことを考かんがえてみましょう。イエスは，人ひと々びとが一いち時じ的てきな食しょく欲よくを満みたすことを一いち番ばんに考かんがえていると指し摘てきします。人ひと々びとは「パンを食たべて満まん足ぞくし」ましたが，それは「腐くさってしまう食しょく物もつ」だと言いいました。それで，そのような食しょく物もつではなく，「なくならないで永えい遠えんの命いのちをもたらす食しょく物もつ」のために働はたらくようにと勧すすめました。（ヨハネ 6:26，27を読よむ。）人ひと々びとは永えい遠えんの命いのちにつながる食しょく物もつがあると聞きいて驚おどろいたことでしょう。では，どうすればそのような食しょく物もつを手てに入いれることができたのでしょうか。

10. 「神かみの求もとめること」とは何なんでしたか。

¹⁰ ユダヤ人じんたちは，そのような食しょく物もつを手てに入いれるには何なにかをする必ひつ要ようがあるだろう，と考かんがえました。モーセの律りっ法ぽうで求もとめられていた行おこないのことを考かんがえたかもしれません。でもイエスは「神かみの求もとめること，それは神かみが遣つかわした人ひとに信しん仰こうを抱いだくことです」と言いいました。（ヨハ 6:28，29）「永えい遠えんの命いのちを受うけ」るには，神かみが遣つかわした人ひとに信しん仰こうを持もつことが必ひつ要ようです。イエスは以い前ぜんにもこのことを教おしえたことがありました。（ヨハ 3:16-18）またこの後あとにも，永えい遠えんの命いのちを得えるにはどうすればよいか，さらに伝つたえました。（ヨハ 17:3）

11. ユダヤ人じんたちが文も字じ通どおりのパンのことばかり考かんがえていたことは，どんな点てんから分わかりますか。（詩し編へん 78:24，25）

 ¹¹ ユダヤ人じんたちは「神かみの求もとめること」についてイエスが教おしえたことを受うけ入いれませんでした。そしてこう言いいました。「私わたしたちがあなたを信しんじられるよう，あなたはしるしとしてどんな奇き跡せきを見みせてくれますか」。（ヨハ 6:30）そして，モーセの時じ代だいには自じ分ぶんたちの先せん祖ぞに食しょく物もつとなるマナを与あたえられたと言いいます。（ネヘ 9:15。ヨハ 6:31。詩し編へん 78:24，25を読よむ。）人ひと々びとが文も字じ通どおりのパンをもらうことばかり考かんがえていたことが分わかります。そしてイエスが，マナとは違ちがい命いのちを与あたえる「天てんからの真しんのパン」について話はなした時とき，人ひと々びとはその意い味みについて尋たずねることもしませんでした。（ヨハ 6:32）今いまの生せい活かつのことばかり考かんがえていて，イエスが伝つたえようとしていた永えい遠えんの命いのちに関かんする真しん理りを聞きこうとしなかったのです。このことから何なにを学まなべるでしょうか。

私わたしたちにとって一いち番ばん大たい切せつなこと

12. イエスは何なにを一いち番ばん大たい切せつにしていましたか。

¹² ヨハネ 6章しょうから大たい切せつな点てんを学まなべます。私わたしたちにとって一いち番ばん大たい切せつなのはエホバとの絆きずなだということです。イエスはそのことをサタンから誘ゆう惑わくされた時ときにはっきりと示しめしました。（マタ 4:3，4）山さん上じょうの垂すい訓くんの中なかでも，神かみの導みちびきが必ひつ要ようであることを自じ覚かくすることの大たい切せつさについて話はなしました。（マタ 5:3）それで，次つぎの点てんを考かんがえてみることができます。「自じ分ぶんの生いき方かたには，何なによりもエホバとの絆きずなを大たい切せつにしていることが表あらわれているだろうか」。

13. （ア）食たべることを楽たのしむのが間ま違ちがったことではないのはどうしてですか。（イ）どんな警けい告こくに注ちゅう意いを払はらうことは大たい切せつですか。（コリント第だい一いち 10:6，7，11）

¹³ 生せい活かつに必ひつ要ような物ものについて祈いのったり，楽たのしい時じ間かんを過すごしたりするのはふさわしいことです。（ルカ 11:3）「食たべ，飲のみ，一いっ生しょう懸けん命めい働はたらく」ことから味あじわえる喜よろこびは「真しんの神かみからのもの」です。（伝でん 2:24; 8:15。ヤコ 1:17）でも，私わたしたちはそうした物ものに対たいして正ただしい見み方かたをする必ひつ要ようがあります。パウロはその点てんについて当とう時じのクリスチャンに宛あてた手て紙がみの中なかで強きょう調ちょうしました。シナイ山さんの近ちかくでイスラエル人じんに起おきた出で来き事ごとについて話はなし，「彼かれらのように悪わるい事こと柄がらを行おこなおうとしてはなりません」と警けい告こくしました。（コリント第だい一いち 10:6，7，11を読よむ。）エホバは奇き跡せきによってイスラエル人じんに食たべ物ものを与あたえましたが，人ひと々びとは食たべ物ものに執しゅう着ちゃくし，「悪わるい事こと柄がら」を行おこなう結けっ果かになってしまいました。（民みん 11:4-6，31-34）さらに，金きんの子こ牛うしを崇すう拝はいしながら，食たべたり飲のんだり楽たのしんだりしました。（出しゅつ 32:4-6）パウロはこの出で来き事ごとを当とう時じのクリスチャンへの警けい告こくとして話はなしました。西せい暦れき70年ねんのユダヤ人じんの体たい制せいの終おわりが近ちかづいていたからです。私わたしたちも今いまの体たい制せいの終おわりが近ちかづいているので，パウロの警けい告こくを真しん剣けんに受うけ止とめる必ひつ要ようがあります。

14. 新あたらしい世せ界かいではどんなことを楽たのしみにできますか。

¹⁴ イエスは「この日ひのためのパン」を祈いのり求もとめるように教おしえた時とき，神かみの望のぞまれることが「天てんと同おなじように地ち上じょうでも」行おこなわれることを祈いのるように，とも言いいました。（マタ 6:9-11）それが実じつ現げんする時ときのことをイメージできますか。聖せい書しょによると，神かみが地ち上じょうに対たいして望のぞんでいることの中なかには，みんなが上じょう質しつの食たべ物ものを楽たのしむことが含ふくまれています。イザヤ 25章しょう6-8節せつによると，神かみの王おう国こくの下もとではたくさんのおいしい食たべ物ものがあります。また，詩し編へん 72編へん16節せつでは，「地ち上じょうには穀こく物もつが豊ゆたかに実みのり，山やま々やまの頂いただきでも豊ほう作さくになる」と書かかれています。収しゅう穫かくした穀こく物もつを使つかって自じ分ぶんの好すきなパンを焼やいたり，新あたらしいレシピを試ためしたりしてみたいと思おもい ませんか。自じ分ぶんでブドウ園えんを造つくって，ブドウを食たべたりワインを飲のんだりすることもできます。（イザ 65:21，22）しかも，みんなでこうしたことを楽たのしめます。

15. 将しょう来らい復ふっ活かつしてくる人ひとたちはどんなことを学まなびますか。（ヨハネ 6:35）

¹⁵ ヨハネ 6:35を読よむ。将しょう来らい復ふっ活かつが起おきる時とき，イエスの奇き跡せきによってパンと魚さかなを食たべた人ひとたちに会あえるかもしれません。当とう時じイエスに信しん仰こうを抱いだいていなかった人ひとたちも復ふっ活かつする可か能のう性せいがあります。（ヨハ 5:28，29）でも，そうした人ひとたちも，イエスが言いった「私わたしが命いのちのパンです。私わたしのもとに来くる人ひとは全まったく飢うえ……ません」という言こと葉ばの意い味みを学まなぶことになります。そして，イエスが自じ分ぶんの命いのちを贖あがないとして犠ぎ牲せいにしてくれたことに信しん仰こうを持もつ必ひつ要ようがあります。新あたらしい世せ界かいでは，復ふっ活かつしてくる人ひとや生うまれてくる子こどもたちのために，信しん仰こうを強つよめる教きょう育いくプログラムが準じゅん備びされることでしょう。そうした人ひとたちを教おしえ，助たすけることができるのは本ほん当とうにうれしいことです。新あたらしい世せ界かいでエホバとの絆きずなを持もてるよう他たの人ひとを助たすける時とき，どんなおいしいパンを食たべる時ときよりも深ふかい喜よろこびを味あじわうことができるのです。

16. 次つぎの記き事じではどんなことを学まなびますか。

¹⁶ この記き事じではヨハネ 6章しょうの一いち部ぶを考かんがえてきましたが，イエスは「永えい遠えんの命いのち」についてさらにたくさんのことを教おしえました。その内ない容ようは当とう時じのユダヤ人じんだけでなく今いまの私わたしたちにとっても大たい切せつです。次つぎの記き事じではヨハネ 6章しょうをさらに考かんがえます。