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“死の文化”を抜け出すよう若者たちを助ける

“死の文化”を抜け出すよう若者たちを助ける

“死の文化”を抜け出すよう若者たちを助ける

今日,若者の間で死というテーマに人気が集まっているのはなぜでしょうか。米国イリノイ州代表の下院議員ヘンリー・ハイドはこう述べています。「これらの若者には精神的空白があり,そこに死と暴力の文化が満ちている」。

タイム誌(英語)の一読者はこう書いています。「怠惰な親,暴力的な娯楽,道徳的・霊的基礎教育の欠如。これらが今日の若者の間に存在する死のサブカルチャーを生み出したのである」。

寂しさも,思春期の若者たちを悩ませる大きな問題です。親が共働きで,一日の大半は家にいないという家庭の若者もいれば,片親しかいない若者もいます。ある資料によると,米国の若者は毎日約3.5時間を独りで過ごしており,1960年代の若者に比べると,親と過ごす時間が1週間あたり11時間少なくなっています。実際,親と一緒に過ごしたり,親から感情的な支えを得たりすることが全くない若者もいるのです。

親にできること

若い人たちが“精神的空白”と闘っていることからすると,親の役割はどれほど大切でしょうか。賢明な親なら,子どもたちが一方では健全な娯楽を必要とし,他方では常に個人的な支えを必要としていることを理解しています。親は愛ある関心に動かされて,音楽やテレビ番組,ビデオ,小説,テレビゲーム,映画などの好みについて子どもたちと話し合うことができます。若者は口には出さないかもしれませんが,親の愛情と愛ある指導を渇望している場合が少なくありません。不安に満ちた世界で生きているため,率直な答えを必要としています。大人は,自分の若かりし時よりもはるかに複雑な世界が子どもを取り巻いているということを理解すべきです。

子どもを守りたいと思う親は,常に子どもと話をし,その言葉に真剣に耳を傾け,今風の文化に巻き込まれることの危険について注意を与えます。親がはっきりとした制限を設け,一貫性を保ち,分別を働かせ,同時に子どもに優しく接するなら,たいていは良い結果が得られます。―マタイ 5:37

エホバの証人である親は,聖書や聖書に基づく出版物,それにビデオ *を用いつつ,子どもと定期的に話し合うよう努めます。彼らはそうした機会を用いて子どもを叱るのではなく,霊的に築き上げる事柄を考慮します。こうした家族の集まりで,親はそれぞれの子どもに影響を及ぼす問題に耳を傾け,子どもに個人的な関心が向けられるようにします。

親から霊的な指導が得られない若者は,詩編 27編10節の次のような言葉から力を得ることができます。「わたしの父とわたしの母がわたしを捨て去ったとしても,エホバご自身がわたしを取り上げてくださることでしょう」。優しい憐れみの父エホバはどのように若い人たちを助けてくださるのでしょうか。エホバの証人の会衆は逃れ場のように,多くの人が他の人々の愛情を知り,疑いを取り除く場となってきました。このことが真実であることを知ったホシアスという若者はこう述べています。「エホバの組織は重要な役割を果たしています。わたしは生きていてもつまらないと思っていました。目的も希望もなく生きていました。でも,人は独りぼっちではないということを知り,わたしの人生は180度変わりました。会衆の兄弟たちは,わたしが失った家族の代わりになってくださったのです。会衆の年長者たちや家族の皆さんは,わたしの感情を安定させる錨のような存在です」。

実際,エホバの証人の会衆の集会に定期的に出席することにより,精神的にも霊的にも健康になった若者や大人は少なくありません。人類学者のパトリシア・フォルトゥニーは,「エホバの証人: 千年紀<ミレニアム>の終わりに立ち向かうための宗教上の新たな選択肢」という随筆の中で,このプラスの効果についてこう述べています。「エホバの証人は,日常生活に当てはめるべき明瞭かつ率直な秩序体系,すなわち思考や行動の指針となる厳しい規範を与えている」。ここで言及されている「秩序体系」と「規範」は聖書に基づいています。ですから,エホバの証人は隣人たちと同様の問題や圧力に直面しますが,この古い書物の独特な知恵から力を得ています。そうです,エホバの証人は聖書に見られる明快な教義と原則に逃れ場を見いだすのです。

『死がもはやない』時

エホバの証人の王国会館で与えられる教えが繰り返し強調しているのは,まもなく始まる新しい世に関する神の約束です。その新しい世には「義が宿り」,人々を「おののかせる者はだれもい(ません)」。(ペテロ第二 3:13。ミカ 4:4)さらに,預言者イザヤの記録によると,その時,神は「実際に死を永久に呑み込み,主権者なる主エホバはすべての顔から必ず涙をぬぐわれ(ます)」。最初の人間アダムによる違犯の結果として,人類に死が入りましたが,もうしばらくすれば『もはや死はなくなる』と,神は約束しておられます。―イザヤ 25:8。啓示 21:3,4。ローマ 5:12

助けを必要としている若い皆さんには,聖書を読み,希望と生きがいを見いだすようお勧めします。エホバの証人の助けを借りるなら,前途には神の約束しておられる新しい世での最良の時代が待っているという希望が得られるのです。

[脚注]

^ 8節 「若い人は尋ねる ― どうすれば本当の友達ができるだろうか」というビデオは,ものみの塔聖書冊子協会が製作したものです。現在は英語で入手することができ,若い人たちのための実際的な助けを提供しています。

[9ページの図版]

親は時間をとって,子どもの言うことに真剣に耳を傾け,子どもの抱える問題を理解しなければならない

[10ページの図版]

『エホバの証人は,日常生活に当てはめるべき明瞭かつ率直な秩序体系を与えている』