内容へ

目次へ

世界展望

世界展望

世界展望

「会議中です」

ウォールストリート・ジャーナル紙の伝えるところによると,大手企業の幹部の秘書148人に対する調査で,人にうそをつくよう上司から頼まれることがあったと回答した秘書は47%に上った。テキサス州でマーケティング・アシスタントをしているある秘書は,職を失わないために30年間,電話の主に上司は「会議中です」と言わなければならなかった。上司が一人で事務所にいても,そうである。うその中には,特に一触即発の危険をはらむものもある。上司の妻が電話してきたときに,ご主人は今どこにいらっしゃるか分かりませんと答えることなどがそれだ。ある秘書は電話の主に,期限を過ぎていながらまだ小切手を送っていないことを正直に話したため,首になった。

親が関心を持てば

「科学者によると,出来の良い子に育てる秘訣は,親が子どもの学習に関心を抱き,それを示すことである」と,トロント・スター紙は述べている。統計カナダとカナダ人材開発は,1994年以来合同でカナダの4歳から11歳の子ども2万3,000人を対象に発育と健康に関する追跡調査を行なってきた。カナダの親はほとんどが子どもの学校教育に,それも低学年の間の教育に積極的な関心を払っているようだ。報告によると,「10歳と11歳の子どもの95%が,良い成績を取るよう親からいつも言われる,または,ほとんどいつも言われると答えた」。親の87%は,「子どもが小学校1年生から3年生の間,毎日一緒に本を読む」。トロント地区教育委員会の養育計画の理事メアリー・ゴードンは,「良い親になる必要条件は富や学歴ではなく,いつもそばにいて気を配り,関心を示すことだということが分かった」と述べ,「この教育的な関係によって脳は発達する。それはまず家庭で始まる」と付け加えた。

ティーンエージャーと電話

ティーンエージャーが電話でおしゃべりをすることはよく知られている。ポーランドの週刊誌「プチアチュカ」によると,「ティーンエージャーは遊びで,あるいは退屈しのぎで受話器に手を伸ばす」。しかし,通話時間や電話代のことを全く考えていない場合が少なくない。どんな改善策があるだろうか。同誌は,せめて電話代の一部でも子どもに負担させることだと述べ,「電話は共有物であり,ほかの人も使いたい時がある」ことをティーンエージャーに銘記させるようにと勧めている。

虫の名射撃手

ロンドンのインディペンデント紙によると,「科学者たちは高速度撮影により,ホソクビゴミムシが,昆虫界きっての名射撃手として,極めて効果的な兵器を正確に発射するメカニズムを解明した」。この虫は,腹部の先端にある盾のような一対のそらせ板を使い,敵になりそうな相手に高温の酸性液を命中させて一瞬のうちに息の根を止める。ホソクビゴミムシ自身はその液体によって害を受けないので,アリなどの小さな虫が群がって攻撃してきた時でも,背中をはじめ自分の体の特定の部位にねらいを定めて防御することもできる。液体を発射しているところを写真に撮ったニューヨーク州イサカのコーネル大学の科学者たちは,「ホソクビゴミムシが腹部の先端を回転させて噴射のねらいを定めることは知られていたが,噴射の精度は見落とされていた」と述べた。

台所でかっとなる

「複雑化する一方のハイテク家電製品は,“台所でかっとなる”もとだ」と,ロンドンのインディペンデント紙は伝えている。いらいらした家族は,「何時間もかけてマニュアルを読まなければ,スープを電子レンジで温めたり,靴下を洗濯したり,泡立て器付きミキサーを使ったりすることができないことを思い知る」。心理学者たちは,現代の科学技術により,設計する側が電気製品に多くの機能を詰め込めるようになったことを指摘し,過剰機能の最たる例として標準的なビデオデッキを挙げている。マンチェスター大学の心理学教授ケアリー・クーパーはこう説明する。「人々は職場のあらゆる場所で新技術に出くわしている。だから,家にいる時ぐらい,仕事のことを忘れられるもっとシンプルな生活がしたいのだ」。

生のもやしの危険

FDAコンシューマー誌によると,米国食品医薬品局は,食中毒の報告が増えているため,危険を減らしたければ,もやし類を生で食べないよう消費者にアドバイスしている。アルファルファやクローバー,豆もやしを生で食べる人は少なくない。しかし,もやし類は一部の国や地域における細菌感染の発生と関連づけられてきた,とニューヨーク・タイムズ紙は言う。幼児や高齢者,免疫力の弱っている人は特に中毒を起こしやすい。研究者たちは細菌を抑える様々な方法を試みた。その中には,もやしを塩素溶液やアルコールで洗浄することなどが含まれていたが,どれも完全に有効な方法ではなかった。同紙によると,「発芽する過程の湿気と温かさは,微生物の増殖に理想的な環境なのだ」と研究者たちは説明している。

ロンドンの言語事情

イングランドのロンドンの学童が話す言語は少なくとも307に上る,と同市のタイムズ紙は報じている。ロンドンで現在話されている言語の調査を最初に手掛けた人の一人フィリップ・ベーカー博士は,実に様々な言語が話されていることに驚き,「ロンドンこそ世界一の多言語都市であり,ニューヨークをもしのいでいることはまず間違いない」と述べた。307という数には何百もの方言は含まれておらず,実際の数より少なめに数えられているものと思われる。ロンドンの学童85万人のうち,家で英語を使っているのは3分の2にすぎない。最大の外国語集団はインド亜大陸から来た言語集団である。アフリカの言語も,最低100は話されている。生徒の間で話されている言語が一校だけで58に上っているケースもある。

真菌の攻撃

真菌が足の指や裏に感染してできる厄介な水虫がドイツで急速に広まっている,とニュース雑誌「シュピーゲル」は報じている。ドイツ人の5人に1人はそれにかかっており,ヨーロッパ諸国の中には感染率がもっと高い国もある。感染する危険性が高いのは,サウナやプール,あるいは一部の宗教的な建物など狭い所をはだしで歩いた時である。真菌の胞子は非常に強いので,スプレー機やたらいを使って足を消毒しても,薬品が足にかかるのは数秒間にすぎないため,水虫を予防するどころか逆に広めてしまう場合が少なくない。どうすれば足を守れるだろうか。菌類専門家のハンスユルゲン・ティーツ博士は,どこでも人が歩く場所ではサンダルを履くよう勧めている。最も大切なのは,常に足を乾燥させておくことだ。足を完全に乾かしておく,特に指の間を乾かしておくことにより,真菌が付いて繁殖するのを防ぐことができる。

海水から塩分を除く

ザ・オーストラリアン紙によると,南オーストラリア沿岸にある小さな島の淡水化プラントで海水が飲料水に変えられている。海水から塩分を取り除くことは昔から行なわれているが,「そこで使われている技術は,画期的な脱塩法として歓迎されている。薬品を必要としないからである」と,記事は述べている。カンガルー島のペンショーでは,400人の住民に真水を供給するため,「海から水を引き,高い水圧で薄い膜の中を通過させて塩分を除いている。濃縮物,つまり塩水は,問題なく海に戻すことができる」。この新しいシステムはもっと広く利用されることが大いに期待されているものの,従来の浄水方法に比べればコストが低いとはいえ,まだ費用がかかる,とザ・オーストラリアン紙は言う。

世界のたばこ大国

「アメリカ医師会ジャーナル」誌(英語)の伝えるところによれば,中国は「たばこの生産量,消費量ともに世界一である。中国の人口12億のうち,喫煙者は男性が3億人以上,女性も2,000万人を超える」。中華預防医学研究院および北京<ペキン>の中国吸煙與健康協会の医師団は西側諸国の医師たちと共に,12万人余りを対象に行なった全国調査の結果を発表した。医師たちはどのような結論に達しただろうか。中国は「たばこが流行する初期の段階」にあり,「現在たばこを吸っている中国人のうち,少なくとも5,000万人は早死にするものと思われる」とした。報告によると,喫煙を始める中国人の平均年齢は約3歳下がり,1984年には28歳だったのが25歳になった。喫煙が肺がんや心臓病を引き起こすことを知っていた人はわずかしかいなかった。